有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/11/10 15:00
【資料】
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【項目】
150項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績の分析
第34期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当連結会計年度における世界情勢を鑑みますと、米中の貿易摩擦の激化、イギリスのEU離脱決定、中東情勢の悪化、香港の大規模民衆デモ、日韓関係の悪化と各国間の関係性に歪みが生まれる話題が続き、世界経済成長率はリーマンショック以降最も低い成長率に留まる見込みとなりました。
国内に転じますと、平成から令和へ元号改元、G20サミットの開催、ラグビーW杯の開催、消費税増税、東日本における大型台風による被害等があり、先行き不透明な状態ではありますが、新しい時代の幕開けとなる一年となりました。
こうした社会情勢のなか、当社グループが属する物流業界では、インターネットの普及によってネットショッピング市場が拡大し、宅配需要が爆発的に高まっております。しかし、少子高齢化に伴う人口減少と労働環境の厳しさから慢性的な人手不足が続いており、運転手不足が深刻化しております。
当社グループにおきましては、「生活物資に特化した物流への経営資源の集中投資」、「関東から全国への展開を見据えた物流基盤の構築」、「将来を見据えAI・ITを導入した物流システムの構築」の3つを成長戦略とした中期経営計画を推進しており、中期経営計画2年目となる当連結会計年度では、前連結会計年度に立ち上げた業務を早期に安定稼働させ、新たに「関西TC」、「北陸DDC」、「川崎FDC」、「松本FDC」の4つの新規業務を稼働させております。
労務面においては、働き方改革として、有給休暇の取得や月間60時間超えの残業代の割増率引き上げを法令の猶予期間より前倒して実施する等、従業員が働きやすい労働環境の整備を進めて参りました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度における経営成績は、営業収益16,219百万円(前連結会計年度比17.8%増)、営業利益540百万円(同59.6%増)、経常利益552百万円(同66.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益409百万円(同254.7%増)となりました。
なお、当社グループは「物流事業」を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載を省略しております。
第35期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
当第3四半期連結累計期間における経済状況としては、米中貿易摩擦の影響や英国のEU離脱などの世界情勢の中、新型コロナウイルス感染症が急激な勢いで世界中に広まっており、世界経済における先行きは極めて不透明な状況が続いております。国内経済におきましては、国内における新型コロナウイルス感染症の拡大によって政府より緊急事態宣言が発出され、外出自粛や休業要請によって飲食業や小売業などにおいては苦戦を強いられる状況となっております。また、海外からの観光客が減少したことにより、インバウンド消費が減少しており、国内経済における先行きも極めて不透明な状況が続いております。
物流業界においては、世界経済の低迷から国外への輸送量が減少している中、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により国内経済においても先行き不透明な状況にあることから、さらなる輸送量の減少が懸念されます。一方で、深刻な人手不足は続いており、業界全体が人材確保に注力しております。
このような社会情勢の下、当社グループは「生活物資に特化した物流への経営資源の集中投資」「関東から全国への展開を見据えた物流基盤の構築」「将来を見据えAI・ITを導入した物流システムの構築」の3つを成長戦略とした中期経営計画を推進しております。
当第3四半期連結累計期間においては、物流セグメントでは前連結会計年度の消費税増税以降の個人消費の落ち込みが年初も継続したことにより、想定を下回るスタートとなった一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、当社グループが取扱っている生活必需品やマスク・消毒液等の感染予防対策商品の需要が高まったこと、新たに「南東北TC」、「東海DDC」、「印西センター」、「八千代センター」と4つの新規業務を稼働させたことにより、堅調に推移致しました。一方、その他セグメントの旅客事業において、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、観光バスやタクシー業務が停滞したことで、厳しい状況が続いております。
以上の結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間における経営成績は、営業収益13,479百万円、営業利益429百万円、経常利益465百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益295百万円となりました。
なお、当社グループは「物流事業」を主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載を省略しております。
② 財政状態の分析
第34期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は4,830百万円となり、前連結会計年度末に比べ329百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が162百万円増加したこと、及び営業未収入金が189百万円増加したことによるものであります。固定資産は6,562百万円となり、前連結会計年度末に比べ47百万円増加いたしました。これは主に土地が118百万円及びリース資産が29百万円増加した一方で、建物及び構築物が155百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、11,392百万円となり、前連結会計年度末に比べ377百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は4,459百万円となり、前連結会計年度末に比べ407百万円増加いたしました。これは主に営業未払金259百万円、短期借入金130百万円が増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が195百万円減少したことによるものであります。固定負債は4,964百万円となり、前連結会計年度末に比べ429百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が383百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、9,424百万円となり、前連結会計年度末に比べ22百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,967百万円となり、前連結会計年度末に比べ399百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益409百万円の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
第35期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は5,140百万円となり、前連結会計年度末に比べ310百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が238百万円増加したことによるものであります。固定資産は6,580百万円となり、前連結会計年度末に比べ18百万円増加いたしました。これは主に建物及び構築物が120百万円減少した一方、リース資産が151百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、11,720百万円となり、前連結会計年度末に比べ328百万円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は4,185百万円となり、前連結会計年度末に比べ274百万円減少いたしました。これは主に営業未払金が258百万円減少したことによるものであります。固定負債は5,287百万円となり、前連結会計年度末に比べ322百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が260百万円、リース債務が95百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、9,472百万円となり、前連結会計年度末に比べ47百万円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は2,248百万円となり、前連結会計年度末に比べ281百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が250百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は18.1%(前連結会計年度末は16.3%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第34期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ154百万円増加し、2,538百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,222百万円(前連結会計年度は703百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益561百万円、減価償却費491百万円及び、仕入債務の増加額259百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は301百万円(前連結会計年度は941百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出251百万円、無形固定資産の取得による支出9百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は766百万円(前連結会計年度は295百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入1,530百万円がありましたが、長期借入金の返済による支出2,109百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出270百万円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
第34期連結会計年度及び第35期第3四半期連結累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第34期連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第35期第3四半期
連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年9月30日)
金額(百万円)前年同期比(%)金額(百万円)
物流事業15,441118.413,081
その他777107.0397
合計16,219117.813,479

(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度及び第35期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第33期連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
第34期連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第35期
第3四半期連結累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年9月30日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
株式会社クスリのアオキ3,14622.83,97924.53,30324.5
三菱食品株式会社2,48118.03,29520.32,72420.2
株式会社PALTAC1,52411.01,71910.61,35810.0

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者による会計上の見積りは、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、会計上の見積りには不確実性があるため、実際の結果と見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第34期連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(営業収益)
前連結会計年度末に立ち上げた業務を早期に安定稼働させ、既存業務の見直しを行い、不採算となっていた業務改善を行っております。また、新たに「関西TC」、「北陸DDC」、「川崎FDC」、「松本FDC」と4つの新規業務を稼働させております。この結果、営業収益は16,219百万円(前連結会計年度比17.8%増)となりました。
(営業原価、営業総利益)
新規業務における設備投資や労務管理の強化を図ったことで、営業原価は14,588百万円(同16.5%増)となりました。この結果、営業総利益は1,630百万円(同31.2%増)となりました。また、営業総利益率は10.1%(前連結会計年度は9.0%)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
管理スタッフの増加等により販売費及び一般管理費は1,090百万円(前連結会計年度比20.5%増)となりました。この結果、営業利益は540百万円(同59.6%増)となりました。
(営業外収益・営業外費用及び経常利益)
業務受託収入9百万円、リサイクル収入6百万円、受取保険金7百万円、賃貸料7百万円を計上したこと等により営業外収益は57百万円となりました。また、支払利息40百万円を計上したこと等により営業外費用は44百万円となりました。この結果、経常利益は552百万円(同66.6%増)となりました。
(特別利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
固定資産売却益8百万円を計上したことにより特別利益は8百万円となりました。また、法人税等を130百万円、非支配株主に帰属する当期純利益21百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は409百万円(同254.7%増)となりました。
第35期第3四半期連結累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
(営業収益)
前連結会計年度末に稼働したセンターが堅調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症の拡大によってコンビニ業務及び旅客事業においては、利用者が減少したことにより、収益へ大きな影響を与える結果となっております。一方で、ドラッグストア業務においては、感染症対策商品の需要が高まったことや外出自粛を受けて日用品や食料品のまとめ買いによって、物量が増加しております。新規立ち上げセンターとしては、「南東北TC」、「東海DDC」、「八千代センター」、「印西センター」を無事に稼働させております。この結果、営業収益は13,479百万円となりました。
(営業原価、営業総利益)
新型コロナウイルス感染症の影響から日用品や食料品の需要が高まったことによって、物量の波動が激しい状況下において、勤務時間のコントロールや採用活動に注力し、労務費や外注費の削減に取り組みました。営業原価は12,285百万円となりました。この結果、営業総利益は1,194百万円となりました。また、営業総利益率は8.8%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
役員報酬の減少等によって販売費及び一般管理費は764百万円となりました。この結果、営業利益は429百万円となりました。
(営業外収益・営業外費用及び経常利益)
新型コロナウイルス感染症の影響から持続化給付金を受給したこと等により、営業外収益は63百万円となりました。また、支払利息を25百万円計上したこと等によって営業外費用は28百万円となりました。この結果、経常利益は465百万円となりました。
(特別利益・特別損失及び親会社株主に帰属する四半期純利益)
固定資産売却益11百万円を計上したことにより特別利益は11百万円となりました。また、投資有価証券評価損5百万円を計上したこと等により特別損失は5百万円となりました。さらに、法人税等を144百万円、非支配株主に帰属する四半期純利益30百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は295百万円となりました。
また、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の各指標等の達成・進捗状況については、以下のとおりであります。
経営指標第33期連結会計年度
(2018年12月31日)
第34期連結会計年度
(2019年12月31日)
第35期第3四半期
連結累計期間
(2020年9月30日)
実 績計 画実 績
顧客数(社)18202120
拠点数(拠点)36403943
輸送力(台)766923886964

(注)1.顧客数は、全国展開を見据えて東京本社を開設し、営業活動を進めた結果、お客様の本社や拠点が集中している関東エリアでの受注が増加したことにより、2019年12月31日現在21社となりました。なお、顧客数は、年間の営業収益が1億円以上の取引先のみ記載しております。
第35期第3四半期連結累計期間における顧客数は、2020年9月30日現在までの9か月間で営業収益が1億円以上となった顧客数であります。
2.拠点数は、営業活動の結果、拠点の統合と新規拠点開設を行った結果、2019年12月31日現在39拠点となりました。
第35期第3四半期連結累計期間における拠点数は、2020年9月30日現在43拠点となっております。
3.輸送力は、新規拠点開設によって自社車両の増加や新たな協力会社が増加した結果、2019年12月31日現在886台となりました。なお、総台数における自社車両台数は306台であります。
第35期第3四半期連結累計期間における輸送力は、2020年9月30日現在964台となっております。なお、総台数における自社車両台数は321台であります。
上記のとおり、第34期連結会計年度(2019年12月31日)においては、顧客数のみ計画を上回る結果となり、拠点数及び輸送力では計画に未達となっておりますが、第35期第3四半期連結累計期間(2020年9月30日)では順調に推移しており、当社グループの中長期的な経営戦略は概ね計画どおりに進捗しているものと判断しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの事業活動における資金需要としては、事業運営を円滑に行うための費用や一般管理費等の営業費用として充当される運転資金と物流センター等の事業拠点の新設や車両の入替のために充当される設備資金があります。なお、当社グループの設備投資計画等の内容については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
また、これらの必要資金の財源については、いずれも原則として内部留保による手元資金の充当及び社債や銀行借入れ等の有利子負債により調達しております。なお、設備資金のための銀行借入については、株式会社三菱UFJ銀行をエージェントとするシンジケートローンや同行とのタームローン契約等を締結しており、当連結会計年度末における契約総額、借入金実行残高、借入金未実行残高は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結貸借対照表関係」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 貸借対照表関係」に記載しております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。