有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/03/05 15:00
【資料】
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【項目】
155項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは「テクノロジーで社会の課題を解決する」というミッションのもと、世の中にある様々な問題や課題を新しい発想と最新のテクノロジーで解決し、人々の暮らしがより安全に、より豊かになり、未来への希望に満ちた社会を実現することを目指しております。その実現のために、顕在化した社会のニーズはもちろん、これから起こるであろう未来の姿を思い描き、そこで必要となるサービスや解決すべき課題にフォーカスし、今までにない斬新なサービスをいち早く開発し社会に提供してまいります。
(2) 経営環境及び経営戦略
当社グループが事業を展開するインターネット業界はもちろん、あらゆる産業において新たなデジタル技術を利用したこれまでにないビジネスモデルが誕生する、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)化が加速してきております。
自動車業界においても100年に一度の大変革期と言われるように、MaaS(Mobility as a Serviceの略)やCASE(Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared (カーシェアリング)、Electric(電気自動車)の頭文字をとった造語)の進展で大手自動車メーカーはもちろん、自動車アフターマーケット事業者にもDX化による新たなプレーヤーの出現や従来の垣根を超えた参入が相次ぎ大きな変化の波が到来しております。
当社グループはこの変化を“好機”と捉え、人口減少の中にあってなお増え続ける国内の自動車保有台数約7,800万台(一般財団法人 自動車検査登録情報協会「令和2年10月末現在の自動車保有台数」二輪車を除く)のユーザーが求める“車の所有”に掛かる維持費の削減と利便性の向上を兼ね備えた新たなライフデータプラットフォーム事業を展開し始めました。
一方、SMS配信市場では、本人認証や企業と個人とのコミュニケーションツール、効果的なマーケティングツールとして幅広い用途が開発され急激にSMSの普及が進んでおります。国内ではまだ認知率も普及率も低いため今後の拡大余地は大きく、当社グループとしてもSMS関連サービスの更なる成長を実現させてまいります。また現在広く普及しているSMS認証をさらに発展させた、より高度な認証システムの研究開発を進め、あらゆる企業のセキュリティーニーズに応えるべく積極的に投資してまいります。
このように、当社グループはデジタル化推進によるユーザーの利便性向上と、国内でサービスを展開するあらゆる事業者の効率化に資するサービスの提供を継続してまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大が人々の生活や経済活動に多大な影響を与えております。当社グループにおいても、外出自粛や新規サービスの販促計画の延期等、売上の減少要因となる影響が出ている一方、企業と顧客を繋ぐ新たなコミュニケーション手段としてSMS配信が幅広く活用される等、売上の増加要因となる影響も出ております。その結果、当社グループ全体としては堅調に成長することができており、本書提出日現在において、新型コロナウイルスが当社グループ事業の経営環境に与える影響は、限定的であると考えております。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長による企業価値の向上を経営目標とし、収益力を高めると共に経営の効率化を図っております。具体的には、「売上高」及び「営業利益率」を重要な経営指標として位置づけ、各経営課題の改善に取組んでおります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 「symphony」の導入加盟店開発及び「車選びドットコム」や「CarMe」等自社メディアの認知度向上
当社グループの主たるサービスの一つである中古車販売業務支援クラウドサービス「symphony」の導入加盟店の獲得を推進し、中古車登録台数を増加させることが自社メディアである「車選びドットコム」及び「CarMe」の利用者増大に貢献すると考えております。そこで、「symphony」の導入加盟店を獲得するために営業拠点を全国に拡大してまいります。また、加盟店の契約継続率向上のために、更なる外部サービスとのデータ連携強化、新機能の開発、付帯サービスの拡充を進めてまいります。
② SMSソリューション事業のシェア拡大と新たな用途開発
拡大するSMS配信市場において優位に事業を進めるためには、市場シェアを確保することが重要であります。限られた経営資源において営業機会の最大化や面の拡大を実現するために、アライアンスパートナーや業種特化のプレイヤーとの連携を強化してまいります。
また、SMS配信サービスに、生体認証サービスやRCS(リッチ・コミュニケーション・サービス、テキストメッセージのほかファイル転送や動画・音声メッセージの送受信が可能なコミュニケーションツール)等マルチメッセンジャーサービスを結合させ、「コンタクト・インターフェース」の開発・提供を進めてまいります。
③ 開発体制の強化
当社グループで開発するサービスやプロダクトは、企画やマーケティングはもちろん、設計、デザイン、開発、運用までその大半を内製化しております。そのため、技術革新やDX(デジタルトランスフォーメーション)を捉えた最先端のプロダクトを開発・提供することが、将来の事業拡大に必要不可欠であると認識しております。今後は、国内外からの優秀な技術者の確保と育成に努めるとともに、より積極的な最新技術の研究及び導入、またそれらを活用したサービスやプロダクトの開発と提供が迅速に行える体制の構築を行ってまいります。
④ システムの安定性の確保
当社グループは、多くのサービスをインターネット上で顧客に提供しており、安定した事業運営を行うにあたり、市場シェア拡大や新規プロダクトの提供、外部システムとの連携の増加等を念頭に置いた、サーバー設備の増強や負荷分散システムの導入等が不可欠であると認識しております。今後も、中長期的な視点から設備投資を行い、システムの安定稼働及びセキュリティ管理体制の維持・強化に取り組んでまいります。
⑤ コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化
当社グループの更なる事業の拡大、継続的な成長を維持していくために、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の更なる強化が重要であると認識しております。当社グループは、社外役員の登用、監査役と内部監査室の連携、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施等を通じて、コーポレート・ガバナンス機能の充実、内部管理体制の一層の強化等を行ってまいります。
⑥ 優秀な人材の確保と教育及び海外人材に対応した組織体制強化
当社グループは、更なる事業拡大と業界革新を実現していく上で国内外問わず優秀な人材を確保するために、海外人材に対応した組織体制の強化が必要不可欠であると認識しております。そのため、将来を担う社員の育成と、組織の活性化を目的とした新卒採用及び各事業フェーズに合わせ即戦力となる人材確保を目的とした中途採用、そして優秀な開発人材の確保と将来の海外展開を見据えた海外人材の採用を積極的に行ってまいります。また、それぞれの事業をけん引する人材育成を重点課題と位置付け、事業別、職能別、階層別社内研修の実施や外部研修への参加促進、専門資格の取得支援、英語及び海外人材の日本語学習支援等、幅広い成長機会の提供・支援を行ってまいります。さらに、年齢や国籍に制限をせず、高いスキルや潜在能力を持つ人材を積極的に登用し、適材適所を見極めながら組織改編を行うことで、変化に強い組織体制を作ってまいります。