有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/01/15 15:01
【資料】
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【項目】
146項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第9期連結会計年度(自 2019年8月1日 至 2020年7月31日)
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて471,490千円増加し、2,891,762千円となりました。このうち流動資産は、前連結会計年度末に比べて414,348千円増加し、2,454,916千円となり、固定資産は、前連結会計年度末に比べて57,142千円増加し、436,846千円となりました。流動資産の主な増加要因は、新製品開発による原材料及び貯蔵品、製品の在庫増によるたな卸資産の増加504,380千円等によるものです。固定資産の主な増加要因は、当社製品のブランド価値を保全するための商標権及び意匠権の取得等による無形固定資産の増加32,487千円、直営店舗の開設準備に係る敷金及び内装負担金の支払等による投資その他の資産の増加15,683千円等によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて240,430千円減少し、627,676千円となりました。このうち流動負債は、前連結会計年度末に比べて241,351千円減少し、470,685千円となり、固定負債は、前連結会計年度末から921千円の増加となり、156,991千円となりました。流動負債の主な減少要因は、当座貸越契約における借入金を返済したことによる短期借入金の返済による減少100,000千円、未払法人税等の納付等による減少340,660千円等によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて711,920千円増加し、2,264,086千円となりました。主な増加の要因は、親会社株主に帰属する当期純利益717,371千円の計上により利益剰余金が717,263千円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は78.3%(前連結会計年度末は64.1%)となりました。
第10期第1四半期連結累計期間(自 2020年8月1日 至 2020年10月31日)
(資産)
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて241,768千円増加し、3,133,531千円となりました。このうち流動資産は、前連結会計年度末に比べて216,679千円増加し、2,671,595千円となり、固定資産は、前連結会計年度末に比べて25,089千円増加し、461,936千円となりました。流動資産の主な増加要因は、たな卸資産の増加100,007千円等によるもの、固定資産の主な増加要因は、無形固定資産の増加11,113千円、投資その他の資産の増加15,175千円等によるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて22,321千円増加し、649,998千円となりました。このうち流動負債は、前連結会計年度末に比べて25,399千円増加し、496,085千円となり、固定負債は、前連結会計年度末から3,078千円の減少となり、153,913千円となりました。流動負債の主な増加要因は、未払法人税等の計上等による増加99,371千円、買掛金の支払等による減少88,311千円等によるものです。
(純資産)
当第1四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて219,446千円増加し、2,483,533千円となりました。主な増加の要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等により利益剰余金が増加したこと等によるものです。
この結果、自己資本比率は79.3%(前連結会計年度末は78.3%)となりました。
② 経営成績の状況
第9期連結会計年度(自 2019年8月1日 至 2020年7月31日)
当連結会計年度(2019年8月1日~2020年7月31日)における景況感は、当初は国内で雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調で推移したものの、2月以降は、新型コロナウイルス感染症の拡大により企業活動や消費が大きく制約を受けた影響で、景気が急激に減退し極めて厳しい状況となりました。
国内化粧品市場においては、消費税率引き上げ後の個人消費の弱さが残るなか、感染症拡大により外出自粛要請が発令され、消費マインドは低下、小売店の営業時間短縮や臨時休業、加えて入国規制によるインバウンド需要の激減等の影響を受け、厳しい状況が続いております。
海外化粧品市場においては、感染症拡大に伴い中国やその他アジア地域は2月から急激に減速しましたが、中国においては感染者数減少を受けてEコマース市場を中心に回復傾向が見られております。
このような市場環境のもと、当社グループは、2019年からスタートした3ヵ年中期経営計画(2019年度~2022年度)に基づき、中国本土で広告投資を強化、販売力の強化を図るとともに、次世代の成長製品を創出すべく取り組みを進めてまいりました。特に当連結会計年度では中国国内最大級のECプラットフォームにおけるサプリメント旗艦店に加えて化粧品旗艦店を追加で開設する等、Eコマースを中心に認知度・ブランド力の向上に努め、前連結会計年度に比べて中国本土における投資を拡大いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における業績は、売上高は4,290,404千円(前期比24.4%増)となり、前連結会計年度を大幅に上回りました。
利益につきましては、増収効果によって売上総利益は増加しましたが、認知度・ブランド力向上のために積極的に広告の先行投資を実施した結果、販売費及び一般管理費が増加し、営業利益は1,075,984千円(前期比24.2%減)、経常利益は1,030,348千円(前期比25.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は717,371千円(前期比20.6%減)となり、増収減益となりました。
当社グループは化粧品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業の区分別の販売先は次のとおりであります。
区分前連結会計年度
(自 2018年8月1日
至 2019年7月31日)
当連結会計年度
(自 2019年8月1日
至 2020年7月31日)
前年
同期比
(%)
金額
(千円)
構成比
(%)
金額
(千円)
構成比
(%)
中国
売上
サロン66,0231.9770,14318.01,166.5
Eコマース
(Tmall Global&RED旗艦店、Taobaoその他ECプラットフォーム、Tmall 卸)
2,165,77162.82,899,11867.6133.9
リテール(中国小売店・百貨店、日免・深免等中国空港免税店)19,0390.620,7820.5109.2
2,250,83465.33,690,04486.0163.9
日本
売上
サロン362,50110.5189,9894.452.4
リテール
(ドラッグストア、小売店、百貨店、羽田・成田等日本空港免税店、直営店)
621,23018.0230,6005.437.1
その他
(Amazon、Yahoo、楽天、自社EC)
92,0192.744,4991.048.4
1,075,75031.2465,08910.843.2
その他
地域
売上
リテール(ロッテ・新羅免税店、シンガポール・チャンギ空港免税店等)56,7261.640,1270.970.7
その他
(ロシア・オーストラリア・米国等)
65,1961.995,1422.2145.9
121,9223.5135,2703.2110.9
販売実績合計3,448,507100.04,290,404100.0124.4

第10期第1四半期連結累計期間(自 2020年8月1日 至 2020年10月31日)
当第1四半期連結累計期間(2020年8月1日~2020年10月31日)における景況感は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞が終息しておらず、感染拡大懸念についても不透明であることから、依然として厳しい状況が続いています。
国内化粧品市場においては、新型コロナウイルス感染症による入国規制によるインバウンド需要は依然として回復の見通しがたたず、消費マインドの冷え込みが継続しており、先行きは不透明な状況が続いております。
海外化粧品市場においても、新型コロナウイルスの感染拡大の影響等により先行きは不透明な状況が続いていますが、中国市場においては感染者数減少を受けて、Eコマース市場を中心に回復傾向が見られております。
このような市場環境のもと、当社グループでは、2019年からスタートした3ヵ年中期経営計画(2019年から2022年)に基づき、中国本土において広告投資を強化、販売力の強化を図るとともに、次世代の成長製品を創出すべく取り組みを進めてまいりました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における業績は次のとおりとなりました。
当第1四半期連結累計期間の売上高は、国内売上は低調であったものの、越境ECを含め中国国内での売上が好調に推移したことにより1,225,648千円となりました。営業利益は305,298千円、経常利益は309,181千円となりました。
以上の結果により、親会社株主に帰属する四半期純利益は209,476千円となりました。
なお、当社グループは化粧品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
[業績の概要](単位:千円、%)
第8期連結会計年度
(自 2018年8月1日
至 2019年7月31日)
第9期連結会計年度
(自 2019年8月1日
至 2020年7月31日)
第10期第1四半期
連結累計期間
(自 2020年8月1日
至 2020年10月31日)
金額金額対前期比金額
売上高3,448,5074,290,404+24.41,225,648
営業利益1,419,6871,075,984△24.2305,298
経常利益1,383,0961,030,348△25.5309,181
親会社株主に帰属する
当期(四半期)純利益
903,876717,371△20.6209,476

③ キャッシュ・フローの状況
第9期連結会計年度(自 2019年8月1日 至 2020年7月31日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ51,493千円減少し、当連結会計年度末には924,558千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は161,517千円(前連結会計年度は749,553千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,032,136千円、売掛金回収による売上債権の減少178,456千円等があった一方、新製品開発による原材料及び貯蔵品、製品の在庫増によるたな卸資産の増加509,221千円、事業拡大に伴う法人税負担増による法人税等の支払額653,268千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は90,704千円(前連結会計年度は317,000千円の使用)となりました。これは主に、直営店舗の開設準備等に係る有形固定資産の取得による支出36,952千円、当社製品のブランド価値を保全するための商標権及び意匠権の取得等による無形固定資産の取得による支出31,972千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は105,182千円(前連結会計年度は246,316千円の獲得)となりました。これは主に、当座貸越契約における借入金を返済したことによる短期借入金の純増減額△100,000千円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは化粧品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
a.生産実績
最近2連結会計年度及び第10期第1四半期連結累計期間における生産実績は次のとおりです。
セグメントの名称第8期連結会計年度
(自 2018年8月1日
至 2019年7月31日)
第9期連結会計年度
(自 2019年8月1日
至 2020年7月31日)
第10期第1四半期
連結累計期間
(自 2020年8月1日
至 2020年10月31日)
金額(千円)金額(千円)前年同期比
(%)
金額(千円)
化粧品事業1,341,5821,694,990126.3458,761

(注) 1.金額は製造原価によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社は見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。
c.販売実績
最近2連結会計年度及び第10期第1四半期連結累計期間における販売実績は次のとおりです。
セグメントの名称第8期連結会計年度
(自 2018年8月1日
至 2019年7月31日)
第9期連結会計年度
(自 2019年8月1日
至 2020年7月31日)
第10期第1四半期
連結累計期間
(自 2020年8月1日
至 2020年10月31日)
金額(千円)金額(千円)前年同期比
(%)
金額(千円)
化粧品事業3,448,5074,290,404124.41,225,648

(注) 1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度及び第10期第1四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先第8期連結会計年度
(自 2018年8月1日
至 2019年7月31日)
第9期連結会計年度
(自 2019年8月1日
至 2020年7月31日)
第10期第1四半期
連結累計期間
(自 2020年8月1日
至 2020年10月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
JIUCHONGTIAN TRADE LIMITED699,31020.3----

(注) 1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.第9期連結会計年度及び第10期第1四半期連結累計期間のJIUCHONGTIAN TRADE LIMITEDに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 第9期連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
(売上高)
当社グループは、当連結会計年度において、中国国内最大級のECプラットフォームにおけるサプリメント旗艦店に加えて化粧品旗艦店を追加で開設する等、Eコマースを中心に認知度・ブランド力の向上に努め、前連結会計年度に比べて中国本土における広告投資拡大に重点的に取り組んでまいりました。その結果、当連結会計年度の売上高は4,290,404千円となり、前連結会計年度に比べ24.4%増加いたしました。
事業区分ごとにみると、中国国内売上で3,690,044千円、日本売上で465,089千円となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は1,252,668千円となり、結果として売上総利益は3,037,735千円となりました。売上原価の低減に努めた結果、売上原価は売上比で29.2%、売上総利益は70.8%になっております。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費の主な項目として、従業員給与及び手当289,090千円(売上比6.7%)、ブランドの認知力向上の為に傾注した広告宣伝費515,817千円(売上比12.0%)を計上した結果、販売費及び一般管理費合計で1,961,751千円(売上比45.7%)となりました。
広告宣伝費の対売上高比率は12.0%、広告宣伝費と主にTmall Global売上高に応じて発生する支払手数料と合わせた対売上高比率は22.0%と、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等で挙げた指標」に掲げた15%以下、30%以下を維持することができた結果、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引きました営業利益は1,075,984千円(売上比25.1%)となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益で3,946千円(売上比0.1%)、営業外費用では主に為替差損45,586千円(売上比1.1%)を計上し、49,582千円(売上比1.2%)となりました。結果として経常利益は1,030,348千円(売上比24.0%)となりました。
(特別利益、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益で1,787千円、法人税等合計で314,764千円(売上比7.3%)を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は717,371千円(売上比16.7%)となりました。
b. 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、2,891,762千円となりました。
当連結会計年度末における負債は、627,676千円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、2,264,086千円となりました。
主な増減内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
以上の結果、財務指標としては、流動比率が521.6%、自己資本比率が78.3%になっております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループは、事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。当社の運転資金需要のうち主なものは、新製品上市のための研究開発投資、店舗の出店、生産性向上のための設備投資、認知度拡大のための広告投資等があり、主な資金の源泉は、化粧品と健康補助食品の販売による収入となります。
なお、当社グループの当連結会計年度末の現金及び預金残高は924,558千円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。この判断及び見積りに関しては過去の実績などを勘案し合理的に判断しております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(棚卸資産)
製品、原材料及び貯蔵品は、主として総平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しております。四半期末及び期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。また、滞留及び過剰在庫の内、陳腐化したたな卸資産については、適正な価値で評価されるように評価減の金額を見積もっております。
(有形固定資産)
当社グループでは、有形固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損の判定を行っております。また、減損リスクの管理として、新たな遊休及び休止資産の発生等といった案件発生の可能性の把握とその対応を行っております。資産グループの回収可能価額は、事業用資産については将来キャッシュ・フローをもとにした使用価値により測定しております。経営者はそれらの将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローが減少し、減損損失が発生する可能性があります。