有価証券届出書(新規公開時)

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2021/03/24 15:00
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150項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは第一次、第二次オイルショックの時代背景のもと、省エネルギー系設備のエンジニアリング企業として1979年に創業致しました。「省エネルギー事業で世の中の役に立ちたい」という創業のポリシーを引き継ぎ、以下の企業理念、経営理念及び経営ビジョンを掲げております。
企業理念
顧客重視・顧客満足
・すべてのお客さま・ビジネスパートナー・株主・投資家・地域社会・グループの全役職員やその家族など、あらゆるステークホルダーを顧客とします。
・トップマネジメントが主導して、顧客に正面から向きあい、甘えず、着実に、誠実な経営をお約束します。
・ESG(注1)とコンプライアンスを経営の根幹に置くことで、SDGs(注2)の実現に貢献し、持続可能な成長による企業価値向上を目指します。

経営理念
Total Energy Saving & Solution
複雑化する顧客のエネルギーに対する課題やニーズに対して、画一的な製品サービスでは、企業理念である「顧客重視・顧客満足」を達成することはできません。
社名の由来であるTotal Energy Saving & Solutionの実現に向け、総合的なエネルギーソリューション(注3)の提供をグループ全体で推進致します。

経営ビジョン
+E Performer
当社グループのあるべき姿を定めたものが経営ビジョンの「+E Performer(プラスイー パフォーマー)」です。
「+E」には当社グループの事業活動に関わる「Energy、Economy、Environment、Engineering、Ecology、
Engagement…」等について「一歩先を行く、他には無いものを新しく提供する」という意味を込めております。
また、「Performer」には「実行者」という意味があり、顧客のニーズに正面から向き合い、成果を出していく
企業姿勢を表しております。
当社グループの強みを最大限に発揮することで、次世代に向けてエネルギーを育み、守り、つなぐ
「+E Performer」を目指して参ります。

(2)経営環境
(全般)
当社グループが事業を行うエネルギー業界では、国連による持続可能な開発目標(SDGs)の提唱やパリ協定(注4)の締結を契機に世界的な潮流としてエネルギーの脱炭素化に向けた取り組みが活発になっております。日本においても2018年7月に第5次エネルギー基本計画(注5)が閣議決定され、2030年に向けた政策対応として徹底した省エネルギー社会の実現や更なる再生可能エネルギーの導入が推進されております。また、2020年10月26日に開催された第203回国会における菅内閣総理大臣による所信表明演説では、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことが宣言されました。
そのため、当社グループでは、脱炭素化社会の実現に向け、当社グループの事業領域において省エネルギー設備への積極的な投資や再生可能エネルギーの利用の増加及びエネルギー・環境関連分野へのスマート化の推進等の取り組みの機会が増加していくと考えております。
(再生可能エネルギー)
国際エネルギー機関(注6)が2020年10月に公表した「World Energy Outlook 2020」では、世界の電源構成に占める再生可能エネルギーの割合が2040年に46.9%(2018年は25.5%)に増加することが予測されております。
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また、環境省が設置・運営する環境産業市場規模検討会が2020年3月に公表した「令和元年度環境産業の市場規模推計等委託業務 環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」では、国内クリーンエネルギー利用分野(再生可能エネルギー発電システム、再生可能エネルギー売電、再生可能エネルギー設備管理、エネルギー貯蔵設備)の市場規模見通しは、2020年から2050年にかけて1.5倍の10.5兆円(2020年は7.2兆円)に拡大することが予測されています。
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日本政府は、第5次エネルギー基本計画において、国内電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を2030年までに22%~24%程度(2018年度は17.4%)にする目標を立てていることから、当社グループでは再生可能エネルギー発電所の設置が今後も増加していくと考えております。一方、国内において再生可能エネルギー発電の普及に寄与したFIT制度は、再生可能エネルギー発電促進賦課金に対する電気使用者の費用負担軽減の観点から、太陽光発電や風力発電、バイオマス発電等の一部の電源種別については、新たに取得するFIT認定(注7)において固定買取価格が制度開始時と比べて低下、または買取価格の決定方法が入札に移行する等、見直しが行われております。そのため、当社グループでは、FIT制度から自立可能な電源の構築が求められ、更なる自家消費用途への利用が進むものと考えております。
また、株式会社矢野経済研究所が2020年4月に発表した「バイオマスエネルギー市場に関する調査(2020年)」では、バイオマス発電市場、バイオマス熱(蒸気)供給市場、バイオ燃料供給市場それぞれのエネルギー供給量を金額ベースで換算し、合算した国内バイオマスエネルギー市場規模見通しは、2020年度から2035年度に向けて約2倍の約1.1兆円(2020年度は約0.6兆円)に拡大することが予測されています。そのため、当社グループでは、バイオマスエネルギー市場の成長に向けて、燃料の長期安定調達が課題となると考えております。
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(省エネルギー)
1979年に制定された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」では、エネルギーの使用が多い事業者に対し、毎年度、省エネルギー対策の取組状況やエネルギー消費効率の改善状況を政府に報告することを義務付ける等、省エネルギーの取り組みを促す枠組みが構築されております。日本政府は、第5次エネルギー基本計画において、産業分野は既に高いレベルの省エネルギーを達成しているものの、更なる改善を進めるために、より省エネルギー効果の高い設備への更新を強化することを方針としています。そのため、我が国においては、個社単位の省エネルギー強化の取り組みに加えて、複数事業者が連携することで更なる省エネルギーの取り組みやユーティリティ設備(注8)と需要設備を最適制御するエネルギーマネジメントシステムの導入が進むものと当社グループでは考えております。
(エネルギーの分散化)
近年、大規模な自然災害発生による大規模・集中型エネルギー供給の脆弱性が顕在化し、コージェネレーションシステム(注9)や自家発電設備が、企業の工場や事業所のレジリエンス対策(注10)を目的に導入されています。また、日本国内においては、地域に再生可能エネルギー発電設備が増加することによって、エネルギーリソース(注11)の分散化がより進む傾向にあります。そのため、当社グループでは、各企業や地域に分散設置されたエネルギーリソースからエネルギー供給を行うことで、非常時の電源確保及びエネルギー供給リスクの分散化、需要地での地産地消によって送電ロスの削減等の課題解決につながるものと考えております。
(新たな電力取引市場の開設)
我が国の電力取引市場においては、すでに、電力量(kWh)を取引する「卸電力市場」(2005年4月取引開始)、環境価値を取引する「非化石価値取引市場」(2018年5月取引開始)が開設されているほか、2020年7月には、将来の供給力(容量)を取引する「容量市場」において2024年度の供給力の取引を対象としたオークションが初めて行われました。また、調整力(周波数調整や予備力)を取引する「需給調整市場」が2021年4月に開設される予定です。
容量市場においては、需要側が所有する分散型エネルギーリソース(コージェネレーションシステム、自家発電設備、燃料電池、蓄電池、再生可能エネルギー発電システム等)が供給力として利用可能となるため、当社グループでは、将来の供給力確保を見据えて、分散型エネルギーリソースの新規設置需要やリプレイス需要が見込まれるものと考えております。
また、需給調整市場においては、分散型エネルギーリソースが調整力として利用可能となるため、当社グループでは、分散型エネルギーリソースの付加価値が高まるとともに、これらの分散型エネルギーリソースを調整力として取りまとめるERAB(注12)サービスが活発化してくるものと考えております。
(アウトソーシング需要への対応)
当社グループでは、近年、労働力不足や人材不足、働き方改革推進による生産性向上や業務効率化、業務の高度化を背景に、非中核事業を外部に委託するアウトソーシング需要が高まるもの考えております。そのため、当社グループの事業領域においてもインフラの供給、ユーティリティ設備の第三者所有、O&Mの外部委託等について同様の顧客ニーズがあると考えております。
(3)経営戦略
当社グループでは、経営方針、経営環境を踏まえ、以下の経営戦略を掲げております。
1.再生可能エネルギーの主力電源化、省エネルギーの徹底、エネルギーのスマート化の3つの事業領域に注力する
当社グループでは、Total Energy Saving & Solutionの経営理念に基づきエネルギー業界に特化したビジネスを展開しておりますが、社会的なニーズが強く、より成長が見込まれる「再生可能エネルギーの主力電源化」「省エネルギーの徹底」及び「エネルギーのスマート化」の3つの事業領域に注力することで、世界的なエネルギー脱炭素化に貢献し、SDGsの実現を目指して参ります。
2.総合的なエネルギーソリューションの提供により顧客との長期取引関係の構築と収益機会の多様化を目指す
当社グループでは、顧客の抱える環境対策、省エネ対策、エネルギーコスト対策等の複雑化するエネルギー課題に対して、総合的なエネルギーソリューションを提供致します。エンジニアリング事業とエネルギーサプライ事業の両面からソリューションの提供範囲を拡大させ、顧客との長期取引関係を構築すると同時に収益機会の多様化を進めて参ります。
3.ストックビジネスを充実させることで安定した経営基盤を構築する
ストックビジネスであるエネルギーサプライ事業を継続的に成長させることで、景気の影響を受けにくい、安定した経営基盤を構築して参ります。具体的には、連結売上高に占めるエネルギーサプライ事業の比率を主に再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電を拡大させることによって高め、長期的にエネルギーサプライ事業が安定的に過半を占める状況を目指して参ります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営指標として、事業の収益性を評価し、グループ全体の経済価値向上に寄与することから、売上総利益を重視しております。また、エネルギーサプライ事業における再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電については、自社発電所の累積発電容量(MW)を重視しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
a.再生可能エネルギー分野への取り組みと対処すべき課題
(太陽光発電に関するエンジニアリング事業)
当社グループは、1990年代より電力の自家消費を目的とした産業用ユーザー向けの太陽光発電システムのEPCを行っております。2012年にFIT制度が開始された際においても当社グループはいち早く太陽光発電システムの需要に対応し、EPC及びO&Mを顧客に提供して参りました。当社グループでは、本書提出日現在においては、開発型のエンジニアリング事業として福岡県京都郡みやこ町における大型太陽光発電所(発電容量約67.0MW)に取り組んでおり、今後も進捗管理を徹底しながら開発プロセスを進めて参ります。
(セカンダリ案件の取得)
当社グループでは、これまでのEPCやO&Mの実績やノウハウを活かし、自社による再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電に取り組んでおります。本書提出日現在においては、当社グループが所有・運営・売電を行う事業の大半は太陽光発電であります。しかしながら、FIT制度においては太陽光発電の固定買取価格が低下していることから、FIT認定の太陽光発電所にかかる新規開発には注力せず、開発プロセスが進行している案件の確実な事業化と稼働済太陽光発電所の取得を進めて参ります。
(オンサイトPPAモデルによる太陽光発電システム)
FIT制度から自立可能な電源の構築のため、自家消費用途の太陽光発電システムへの取り組みを進めております。当社グループでは、停電時にも必要な電力を供給できる機能を有した自家消費型太陽光発電システムによるオンサイトPPAモデル(注13)を活用した電力供給を、静岡県、大分県、三重県において3件の需要家に対して実施する予定です。当該事業は一般財団法人環境イノベーション情報機構(所在地:東京都千代田区、理事長:大塚 柳太郎)が公募する「令和2年度補正予算 サプライチェーン改革・生産拠点の国内投資も踏まえた脱炭素社会への転換支援事業(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金)」に採択され、事業開始に向けて太陽光発電システムの設置工事を進めております。上記3件のうち1件については、2021年3月1日に電力供給サービスを開始しており、サービス開始予定の残る2件を含め、今後もオンサイトPPAモデルを活用した自家消費型太陽光発電設備等の導入を進めて参ります。
(バイオマス発電への取り組み)
当社グループは、太陽光発電所以外の再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電に向けた取り組みとして、2014年11月から持分法適用関連会社である三重エネウッド株式会社にて近隣地域で流通する木質チップを燃料とするバイオマス発電を行っております。また、本書提出日現在においては、熊本県球磨郡錦町において地域の木質資源を活用する木質バイオマス発電事業所の開発に取り組んでおり、2020年9月に熊本県球磨郡錦町と同発電事業所の設置に向けて進出協定を締結致しております。今後も新規バイオマス発電所の所有・運営・売電に向けた開発プロセスを進めて参ります。
(未利用資源への取り組み)
再生可能エネルギーの普及とともに新たな製品サービスのニーズに対応するために、当社グループでは、土砂災害や獣害等の原因となっている放置竹林に対し、その竹を燃料とした「竹チップ混焼バイオマス温水ボイラ(商品名:E-NEボイラ)」を開発し、2020年1月末に製品化致しました。2020年7月からは、同製品の研究開発を引き継ぎ、バイオマス利活用が進んでいない籾殻、剪定枝を燃料としたバイオマス温水ボイラの研究開発を進めております。
(バイオマス燃料への取り組み)
バイオマス燃料の安定供給を目的として2018年10月にインドネシアに設立した連結子会社のPT PTEC RESEARCH AND DEVELOPMENTでは、木質バイオマス燃料の低コストかつ安定的な大量生産に向けた製造に関する研究開発を行っております。また、同じくインドネシアにて2020年3月に連結子会社化したPT INTERNATIONAL GREEN ENERGYでは、日本国内のバイオマス発電所に向けたPKS(注14)燃料販売事業を開始しております。今後もインドネシアにおけるバイオマス資源の安定調達先の確保と日本国内における販売チャンネル拡大を進めて参ります。
b.省エネルギー分野への取り組みと対処すべき課題
(省エネルギー分野における事業領域の拡大)
当社グループは、エネルギー消費量の削減やエネルギーコストの削減を求める顧客に対して、工場や事業所の省エネルギー診断を行い、コージェネレーションシステムや燃料転換設備(注15)、各種ユーティリティ設備等の省エネルギー設備を導入し、当社グループがO&M、監視及び制御を行うことによって、顧客にとって最適な設備利用及びエネルギー利用を可能とするワンストップ・サービスを提供しております。
今後は、顧客の工場や事業所の既存設備にサービス範囲を拡大することによって、高まるアウトソーシング需要に応えて参ります。当社グループでは、2020年8月17日には、ヴェオリア・ジャパン株式会社との合弁会社「VTユーティリティーズサービス株式会社」を設立し、ヴェオリア・ジャパン株式会社が得意とする「水」「廃棄物」分野も包含したサービスを提供し、事業を強化して参ります。
また、複数事業者における省エネルギーに対応するため、株式会社CDエナジーダイレクト等が設立した瑞穂町地域スマートエネルギー株式会社が行う東京都西多摩郡瑞穂町スマートエネルギーエリア形成事業(近接需要家(複数企業)への熱・電気といったエネルギー供給を、瑞穂町地域スマートエネルギー株式会社が受託し一括して行う事業)に、EPCの提供を通じて参画しており、今後はメンテナンス及び24時間遠隔監視サービスを提供していく予定であります。
(多角的なエネルギーサービス提供のための体制構築)
連結子会社のテス・エンジニアリング株式会社ではJ-クレジット制度(注16)におけるクレジットの売買仲介や「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」に係るエネマネ事業者(注17)として顧客に向けたエネルギー管理支援サービスを提供しております。当社グループでは、より多角的なエネルギーサービスの提供ができるよう、エネルギー政策の動向を早期に捉えることができる体制を構築して参ります。
c.エネルギーのスマート化に対する取り組みと対処すべき課題
(分散型エネルギーリソースの有効活用)
当社グループが取り組むエネルギーのスマート化とは、ICTやIoT技術を活用し、多種多様なエネルギーリソースと需要設備をコントロールし、エネルギーを効率良く利用することを言います。当社グループは、自社開発のエネルギーマネジメントシステムである「TESS WebView」を顧客に導入し、エネルギー最適制御を行うためのプラットフォームを構築しております。
当社グループでは、分散型エネルギーリソースの価値向上のために、コージェネレーションシステムや自家発電設備、太陽光発電システム等のEPCを通して獲得した顧客基盤を活用しながら、需要家が所有する分散型エネルギーリソースを当社がアグリゲーションコーディネーター(注18)として取りまとめ、今後開始される需給調整市場や容量市場での活用を行って参ります。なお、当社グループは、2019年12月に電力のデマンドレスポンス(DR)(注19)における分野で強みを持つ株式会社グローバルエンジニアリングに出資し、ビジネス提携による事業の強化を図っております。
(電力品質確保への対応)
再生可能エネルギー発電設備の普及とともに、一般送配電事業者から電力の需給量を調整するために要求される発電出力制御に対し、オンライン化を進め、自動で制御量を最適化することによって、効率的で最適なエネルギー利用を目指しております。
d.事業拡大のための取り組みと対処すべき課題
(技術基盤の拡大)
当社グループは、電気、冷熱、温熱、IT・通信、総合技術が求められるコージェネレーションシステムのEPCを通して技術基盤を確立し、太陽光発電、バイオマス発電、風力発電、燃料転換、省エネルギー等のエネルギーソリューションを展開して参りました。今後は、バイオマス燃料、水素、蓄電池、ERAB、地熱発電などの新しいエネルギー分野に既存の技術基盤を応用し展開していくことで、顧客に最適なエネルギーソリューションを提供致します。
(優良事業に対する投資)
当社グループは、これまで実施してきた再生可能エネルギー発電所の所有に関する投資を継続していくことに加え、今後はエネルギー分野におけるアウトソーシング需要に資する事業への投資も検討して参ります。
当社グループにおける投資判断では、自社戦略との整合性、既存事業とのシナジー及び事業の内部収益率(IRR)を重視しており、投資実行にあたっては、資本効率向上を目指し収益性・事業リスクを考慮した上で借入等の外部資金も活用していく方針であります。
(パートナーシップの強化)
当社グループは、顧客の抱えるエネルギー課題に対して当社グループ内のリソースを中心としてソリューションを提供するための事業基盤を構築して参りました。エネルギー分野やIT分野において技術革新が加速度的に進む中で、当社グループは持続的な成長を図るために、有力なパートナー企業開拓及び連携強化を検討して参ります。
(人材・組織強化)
エネルギー業界は規制緩和等によりビジネスチャンスが広がる一方で水素技術、蓄電池技術等の新たな技術を用いた製品、AI技術やIoT技術を利用したエネルギーマネジメントサービスが台頭し、新規企業の参入や大手電力会社やガス会社による新製品サービスの開発が進められております。当社グループにおいてもこれらの技術革新に対応し、新規製品サービスを展開していく方針でありますが、そのためには各分野で優位性を継続できる戦略立案と実行できる人材育成(新規事業の立ち上げ、社内でイノベーションを起こす人材育成等)、変化する市場に適切に対応できる柔軟性を持った組織力の強化、多角化による分断が生じない統率力の強化が必要となります。
当社グループは成長分野への人材の積極的な再配置や教育機会の拡充、スピード感を意識した役割と権限移譲及び能力を重視した人事評価制度の構築を進めており、今後においては、これらの取り組みを加速させるとともに人材育成、組織力強化、統率力強化のための投資を推進し、企業グループとしての経営基盤をより強固なものにしていくことを課題として認識しております。
(注1)ESG:
Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの頭文字からなる企業活動の社会持続性に関する指標を言います。
(注2)SDGs:
2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で発展途上国のみならず先進国自身が取り組むべき事項として掲げられた国際社会共通の目標であり、エネルギー、経済成長と雇用、気候変動等に対する取り組みをはじめとして計17の目標にて構成されております。
(注3)エネルギーソリューション:
当社グループが事業活動を通して顧客に提供するエネルギーに関するサービス全般を指します。
(注4)パリ協定:
第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)にてCO2排出量に削減目標を定める温暖化対策の世界的枠組みとして日本を含め196の国々による合意に基づき2015年12月に採択された国際協定であります。日本は本協定に対して2030年までに2013年比で温室効果ガス排出量を26%削減することを目標として掲げております。
(注5)エネルギー基本計画:
エネルギー政策基本法第12条に基づき制定される、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るためのエネルギーの需給に関する基本的な計画のことであります。
(注6)国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency ):
1974年に設立されたエネルギーセキュリティやエネルギーに関する政策協力を行うためのOECDの枠内における自律的な機関であり、日本を含むOECD30カ国が参加しております。
(注7)FIT認定:
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に規定される、経済産業大臣による再生可能エネルギー発電事業計画の認定を言います。
(注8)ユーティリティ設備:
工場の生産設備の稼働に必要な電気、蒸気、水、圧縮空気、燃料等を供給する設備のことを言います。
(注9)コージェネレーションシステム(CGS:Co-Generation System):
分散型エネルギーリソースの一つで、発電と同時に発生する熱を冷暖房や生産プロセスに利用する熱電併給システムのことを言います。CHP:Combined Heat & Powerと呼称される場合もあります。
(注10)レジリエンス対策:
企業活動が停止してしまうような事態に直面した際にも、受ける影響の範囲を小さく抑え、通常と同様のレベルで事業を継続できるような対策を講じておくことを言います。
(注11)エネルギーリソース:
電気や熱などのエネルギーを供給または貯蔵することができる設備(発電システム、蓄電池システム、ボイラ)などのことを言います。
(注12)ERAB(Energy Resource Aggregation Businesses):
DRやVPP(注20)を用いて、一般送配電事業者、小売電気事業者、需要家、再生可能エネルギー発電事業者といった取引先に対し、調整力、インバランス(注21)回避、電力料金削減、出力抑制回避等の各種サービスを提供することを言います。
(注13)オンサイトPPAモデル:
当事業におけるオンサイトPPAモデルとは、当社グループが発電事業者として、自家消費型太陽光発電設備等の所有・維持管理等を行い、当該設備等から発電された電力を需要家に供給する契約方式のことであります。
(注14)PKS:
Palm Kernel Shellの略称で、パーム椰子の種からパーム油を搾油した後に残った椰子殻のことであります。
(注15)燃料転換設備:
工場の熱源として利用する燃料を石油から天然ガスへ転換するための設備のことを言います。
(注16)J-クレジット制度:
省エネルギー機器の導入や森林経営等の取り組みによって日本国内におけるCO2等の温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度であります。
(注17)エネマネ事業者:
「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金(エネルギー使用合理化等事業者支援事業)」において、一般社団法人環境共創イニシアチブが指定する計測・見える化等の機能を備えたエネルギーマネジメントシステムを用いて、エネルギー管理支援サービスを提供する事業者のことであります。
(注18)アグリゲーションコーディネーター:
需要家側エネルギーリソース(注22)や分散型エネルギーリソースを束ね、調整力として一般送配電事業者や小売電気事業者との電力取引や市場取引を行う事業者のことであります。
(注19)デマンドレスポンス(DR):
需要家側エネルギーリソースの保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御することで、電力需要パターンを変化させることを言います。
(注20)バーチャルパワープラント(VPP):
IoT技術を活用して分散型エネルギーリソースを遠隔から統合制御し、1つの発電所のように機能させることによって、電力の需給バランスを調整することを言います。
(注21)インバランス:
電気の小売供給において小売電気事業者が事前に策定した需要調達計画と実績の差分のことであります。
(注22)需要家側エネルギーリソース:
需要家の受電点以下(behind the meter)に接続されているエネルギーリソース(発電設備、蓄電設備、需要設備)を総称するものであります。