有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/02/19 15:00
【資料】
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【項目】
138項目
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態の状況
第29期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は、373,292千円となり前事業年度末に比べ122,694千円増加しております。
主な増減要因は、第三者割当増資の実施による現金及び預金の増加104,647千円、新規登録会員キャンペーンに伴うプレゼント品の製作費の前払いとして前渡金の増加8,817千円、繰延税金資産の回収可能性の見直しに伴う増加31,568千円、12月単月比較におきまして産婦人科向け事業におけるリース契約に伴う売上が減少したことによる売掛金の減少8,546千円、産婦人科向け事業における在庫の適正化を図ったことによる原材料及び貯蔵品の減少7,885千円、通常償却に伴うのれんの減少4,046千円によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は89,369千円となり前事業年度末に比べ1,558千円減少しております。主な増減要因は、人員増による人件費及びサービス拡大におけるソフトウェア開発費の増加により未払金が13,188千円増加したものの返済スケジュールによる長期借入金の減少7,992千円および繰延税金資産の回収可能性の見直しに伴う繰延税金負債の減少7,191千円があったためです。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は283,923千円となり前事業年度末に比べ124,252千円増加しております。主な増減要因は、利益剰余金の増加70,756千円、新株発行による第三者割当増資による資本金の増加26,790千円、資本準備金の増加26,790千円によるものであります。この結果、自己資本比率は76.0%となり、前事業年度末に比べ12.3%増加しております。
第30期第3四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における資産合計は、467,432千円となり前事業年度末に比べ94,139千円増加しております。主な増減要因は、四半期純利益を計上したこと及び合併時の借入金の借り換えによる現金及び預金の増加28,855千円、既存セグメントにおける売上増及び合併による売掛金の増加21,371千円、合併時におけるのれんの増加50,325千円、合併による有形固定資産の増加5,088千円、開発ソフトウェアの運用開始及び追加開発費による無形固定資産(のれんを除く)の増加8,722千円、利益計上に伴い繰越欠損金が減少し繰延税金資産が減少したことに伴う投資その他の資産の減少24,186千円によるものであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債合計は125,332千円となり前事業年度末に比べ35,963千円増加しております。主な増減要因は、合併時の借り換えにより1年内返済予定の長期借入金の増加5,396千円及び長期借入金の増加13,606千円、合併に伴う資産除去債務の増加5,124千円によるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は342,099千円となり前事業年度末に比べ58,176千円増加しております。主な増加要因は、利益剰余金の増加58,176千円によるものであります。この結果、自己資本比率は73.1%となり、前事業年度末に比べ2.9%減少しております。
② 経営成績の状況
第29期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当事業年度における我が国経済は、雇用・所得環境や企業収益の改善が続き、景気は緩やかな回復基調で推移したものの、米中貿易摩擦の激化による世界経済の減速懸念や、欧米の政治動向などの不確実性リスクの高まりなどもあり、依然として先行き不透明な状況で推移しました。
このような経営環境のもと当社は産婦人科向け事業による安定収益をベースとしながら、メディア事業でさらなる進展を図ることに注力した結果、当事業年度の売上高は600,045千円(前年比122.8%)、営業利益は32,547千円(前期は17,836千円の営業損失)、経常利益は32,742千円(前期は17,313千円の経常損失)、当期純利益は70,756千円(前期は19,208千円の当期純損失)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
(メディア事業)
メディア事業におきましては、「妊娠・出産・育児」領域の専門サイト「ベビーカレンダー」の運営、広告案件の受注を目指して活動してまいりました。専門サイト「ベビーカレンダー」につきましては、当初月次でのサイト閲覧数目標を2,500万PVに設定しておりましたが、11月に計画を大幅に上回る5,500万PVまで伸長しました。さらに、12年ぶりに改訂された厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」に完全対応した離乳食ムック本を6月に出版、10月にアンチエイジングサイト「ウーマンカレンダー」、11月に「介護カレンダー」と他領域の専門サイトを続々と立ち上げました。
この結果、同セグメントの売上高は409,947千円(前年比135.4%)、セグメント利益は127,890千円(前年比120.3%)となりました。
(産婦人科向け事業)
産婦人科向け事業におきましては、主力である「ベビーパッド」の新規開拓及び既存取引先からのリプレース、ホームページ制作、並びにエコー動画館、かんたん診察予約システムといった新サービスの受注を目指して活動してまいりました。
この結果、同セグメントの売上高は190,098千円(前年比102.3%)、セグメント利益は19,659千円(前期は35,930千円のセグメント損失)となりました。
第30期第3四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
当第3四半期累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルスの収束が見えず、依然として予断を許さない状況が続いております。
このような経営環境のもと、当社の営業概況におきましては、メディア事業による専門サイト「ベビーカレンダー」の認知度アップ施策や自社サイト及び紙面広告の広告枠販売による収益確保に注力いたしました。産婦人科向け事業では、産院向けの各種サービスの提供や来院患者向けのコンテンツ提供により安定した収益を計上しております。さらに第1四半期会計期間中におきましてWebマーケティング事業を主とするgaデザイン株式会社の株式を100%取得し、のちに吸収合併したことに伴い新たにWebマーケティング事業を創設いたしました。Webマーケティング事業では、ホームページ制作といったWebデザインやグラフィックデザイン、広告事業といったWebマーケティングの収益確保に注力いたしました。この結果、当第3四半期累計期間の売上高は663,456千円、営業利益は93,263千円、経常利益は93,603千円、四半期純利益は58,176千円となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
(メディア事業)
メディア事業においては、「妊娠・出産・育児」領域の専門サイト「ベビーカレンダー」の運営、広告案件の受注を目指して活動してまいりました。専門サイト「ベビーカレンダー」につきましては、想定した閲覧数で推移しております。広告案件においては、自社サイトの認知度アップに伴って、当初の想定を上回る受注を確保できております。
この結果、同セグメントの売上高は433,662千円、セグメント利益は165,609千円となりました。
(産婦人科向け事業)
産婦人科向け事業においては、「ベビーパッド」の新規受注及びリプレース、エコー動画館、かんたん診察予約システムといった新サービス、ホームページ制作の受注を目指して活動してまいりました。「ベビーパッド」のリプレースにつきましては、当初の想定通りに推移しております。また、ホームページ制作につきましては、今後の収益を支えるサービスの一つと位置付けておりますので引き続き受注活動を継続してまいります。
この結果、同セグメントの売上高は168,231千円、セグメント利益は41,886千円となりました。
(Webマーケティング事業)
Webマーケティング事業においては、官公庁および医療施設を中心としたホームページ制作、各種広告掲載、印刷物などの受注を目指して活動してまいりました。また、主に産婦人科向け事業のホームページ制作の内製化などにも寄与しており、今後のサービス拡大にも期待しております。
この結果、同セグメントの売上高は61,562千円、セグメント利益は1,365千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第29期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より104,647千円増加し、当事業年度末には173,012千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローとそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって獲得した資金は、68,480千円(前事業年度は38,879千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益32,626千円、売上債権の減少額8,546千円、たな卸資産の減少額7,885千円によるものであります。売上債権が減少した要因は、当事業年度において産婦人科向け事業におけるリース契約に伴う売上が減少したことによります。また、たな卸資産の減少の要因は、産婦人科向け事業における在庫の適正化を図ったことにより原材料及び貯蔵品が減少したことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、8,434千円(前事業年度は22,833千円の使用)となりました。これは主に、人員増加に伴うパソコン及び電話工事などの有形固定資産の取得による支出2,219千円、当社がリリースしたアプリおよび当社サイトの回収などの無形固定資産の取得による支出7,797千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、44,601千円(前事業年度は22,389千円の使用)となりました。これは主に株式の発行による収入53,580千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社の事業は、受注から納品までの期間が短く、受注に関する記載を省略しております。
c.販売実績
第29期事業年度及び第30期第3四半期累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第29期事業年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第30期第3四半期累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年9月30日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
メディア事業409,947135.4433,662
産婦人科向け事業190,098102.3168,231
Webマーケティング事業--61,562
合計600,045122.8663,456

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2事業年度及び第30期第3四半期累計期間における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.第30期においてWebマーケティング事業を主とするgaデザイン株式会社の株式を100%取得し、のちに吸収合併したことに伴い、報告セグメントとして「Webマーケティング事業」を新たに追加しております。
相手先第28期事業年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
第29期事業年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第30期第3四半期累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年9月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社ベネッセコーポレーション93,41019.1103,96117.377,93911.7
株式会社日医リース57,03511.743,4437.267,33710.1

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 経営成績等の分析
第29期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
(売上高)
当事業年度における売上高は600,045千円(前年同期比22.8%増)となりました。これは主にメディア事業における閲覧数の増加を背景に当社インターネットサイト並びにアプリの広告枠の販売が増加したことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、241,236千円(前年同期比7.3%減)となりました。これは主に、前事業年度において、在庫廃棄費用を計上したことによるものであります。
この結果、売上総利益は358,809千円(前年同期比57.3%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、326,262千円(前年同期比32.6%増)となりました。これは主に人件費、採用費及び広告宣伝費の増加によるものであります。
この結果、営業利益は、32,547千円(前年同期は17,836千円の損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用)
当事業年度における営業外収益は、284千円(前年同期比62.9%減)、営業外費用は、89千円(前年同期比63.4%減)となりました。
この結果、経常利益は、32,742千円(前年同期は17,313千円の損失)となりました。
(当期純利益)
特別利益に投資有価証券売却益170千円、特別損失に固定資産除却損286千円計上しております。
この結果、当事業年度の税引前当期純利益は、32,626千円(前年同期は17,410千円の損失)となりました。
法人税につきましては、課税所得に伴う法人税、住民税及び事業税586千円(前年同期比4.3%増)、繰延税金資産の増加に伴う法人税等調整額△38,716千円の計上により、法人税等合計額は△38,129千円となりました。
以上により当期純利益は70,756千円(前年同期は19,208千円の損失)となりました。
第30期第3四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年9月30日)
(売上高)
当第3四半期累計期間における売上高は663,456千円となりました。これは主に2020年3月に実施したgaデザイン株式会社との合併による効果とメディア事業の閲覧数の増加によるものです。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期累計期間における売上原価は、217,734千円となりました。これは主に、売上増加に伴う機器の仕入及び外注費の計上によるものであります。
この結果、売上総利益は445,721千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期累計期間における販売費及び一般管理費は、352,457千円となりました。これは主に人件費、採用費及び広告宣伝費の計上によるものであります。
この結果、営業利益は、93,263千円となりました。
(営業外収益、営業外費用)
当第3四半期累計期間における営業外収益は、942千円、営業外費用は、602千円となりました。
この結果、経常利益は、93,603千円となりました。
(四半期純利益)
この結果、当第3四半期累計期間の税引前四半期純利益は、93,603千円となりました。
法人税につきましては、課税所得に伴う法人税、住民税及び事業税1,489千円、法人税等調整額33,938千円の計上により、法人税等合計は35,427千円となりました。
以上より四半期純利益は58,176千円となりました。
③ 財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照下さい。
④ 経営方針、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等
当社、持続的な成長と収益力を高めることで企業価値を向上させることを重視しており、「売上高」・「営業利益」及び「経常利益」を重要な指標として位置付けております。これらの指標の状況は以下のとおりとなります。
売上高は計画比85千円増(0.0%増)となりました。これは、メディア事業において当社サイト閲覧数の増加を背景とした広告枠の販売が増加したことによるものです。営業利益は計画比6,035千円増(22.7%増)となりました。これは、産婦人科向け事業において在庫の適正化を図ったことにより原材料及び貯蔵品が減少したことによるものです。経常利益は計画比6,103千円増(22.9%増)となりました。
当事業年度におけるこれら指標はすべて達成しておりますが、引き続き当該指標の達成に邁進していく所存であります。
指標第29期(計画)
(自2019年1月1日
至2019年12月31日)
第29期(実績)
(自2019年1月1日
至2019年12月31日)
計画比
売上高(千円)599,960600,045
(前年比22.8%増)
85千円増
(0.0%増)
営業利益(千円)26,51232,547
(前年は17,836千円の損失)
6,035千円増
(22.7%増)
経常利益(千円)26,63932,742
(前年は17,313千円の損失)
6,103千円増
(22.9%増)

(注) 当社は、前第3四半期累計期間については四半期財務諸表を作成していないため、前年同四半期累計期間との比較分析は行っておりません。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、前述の「2.事業等のリスク」をご参照ください。
⑥ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析について
当社の当事業年度のキャッシュ・フローについては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち、主なものは販売費及び一般管理費の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、有形固定資産及び無形固定資産の取得によるものであります。
運転資金の調達については、営業活動による現金収入を主としており、投資資金は借入金及び自己資金により賄っています。
⑦ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社が高品質なサービスを継続的に提供していくために、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の経営課題に対処することが必要であると認識しております。また、当社を取り巻く外部環境及び内部環境を適宜適切に把握し、市場におけるニーズを識別して経営資源の最適化に努めてまいります。