有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/05/25 15:00
【資料】
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【項目】
139項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは日々生まれる新規技術をもって、日本企業の活性化を牽引できるような存在であることに力を注いでおります。そのために、高い技術力を持った社員と、革新的で有効性の高い次世代型ソフトウェアを併せ持つことを重視しております。社員一人一人が高い技術力を持ったプロフェッショナルとして自主的に考え、実行できる存在として育成すること、また絶えず良いものを探し積極的に投資し導入することで、企業価値を高めております。これらのためには健全な財政状態を保つことが重要だと考えております。
(2) 経営環境
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い国内外の企業業績に与える影響は引き続き大きく、先行きも不透明な状況である中、当社グループの属する情報サービス産業においては、同感染症の発生以前より労働力の減少に対する経営効率化や生産性向上等、将来の成長及び競争力強化に向けた企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)推進への関心が高まっておりました。加えて、同感染症対策としてのリモートワークや付随する業務プロセスのオンライン化への対応が加速することにより、関連するIT分野への投資需要は引き続き堅調に推移するものと考えられます。
当社グループはDX事業の単一セグメントにおいて、これまで手作業で行っていたプログラミング作業を自動化できるローコード技術と、少人数かつ短期間で品質の高いシステム開発を実現できるアジャイル手法を組み合わせた受託開発サービス及び技術者向けトレーニングを提供する「プロフェッショナルサービス」と、それに関連する「ソフトウェアライセンス販売」の両サービスを提供しておりますが、同感染症が拡大する中でも、当社グループの既存顧客及び潜在顧客においては引き続き各種システム化への投資意欲は衰えておらず、多様化するニーズと、ニーズ対応への早期化を狙いとしたローコード開発ツールへの取り組みが加速するものと予測しております。
当社グループとしてはこれらを踏まえ、以下の対応が必要と考えております。
① 情報システム構築事例の増大
業務システム開発の手法や開発基盤の選定に際して、顧客企業は同一業界、同一業務領域における既存事例とその前提となる手法、基盤の安定性を重視するため、当社グループの保有する事例を増やすことが重要となります。また、当社グループは、事例をモデル化し資産として活用する事を目指しており、これを活用できる体制を整え開発期間の短縮や品質向上のみでなく技術者人材の省エネを実現し、顧客企業への更なる安定的な受託開発サービスの提供を可能として参ります。
② 技術者人材の育成による確固たる地位の確保
当社グループの提供する受託開発サービスは、手法や開発基盤を安定的に提供するための技術者人材の市場への供給が不可欠となります。そのため、施策として人材育成プログラムの増強を行います。これは、当社グループ内だけでなく、顧客企業やパートナー企業を含めた当社グループ外部への市場供給も目的としており、これを実現することにより、当社グループが扱うソリューション製品の国内における確固たる地位を確立して参ります。
③ 新たなソリューション製品の開発
当社グループは、遠隔地においても本社と連携して開発業務を行える体制を試験的に導入しており、徐々にですがノウハウを蓄積しております。今後は、このノウハウを生かしつつローコードの技術を取り入れ、場所や働き方を選ばずに開発業務を行えるシステムを構築して参ります。また、これらは将来的に顧客企業に対して応用技術の公開を予定しており、顧客企業が必要とする時に必要な技術を持った人員を遠隔地からでも確保できるようにし、需要と供給のマッチングモデルの確立を目指して参ります。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のため、収益力を高めるとともに、経営の効率化を図ってまいります。具体的には下表の各指標を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでまいります。
経営指標数値目標
売上高2022年3月期に19億円
期中取引顧客数2022年3月期に170社以上
従業員数及びサービスパートナー技術者数2022年3月期に従業員数80名以上、サービスパートナー技術者数100名以上

(注) 1.経営指標「売上高」の「数値目標」に記載される2022年3月期数値は、2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用される「企業会計基準第29号:収益認識に関する会計基準」を適用した数値となります。当該基準を適用しない従来基準での売上高目標数値は、2,648百万円となります。
2.上記の将来に関する事項は、将来の目標数値の達成を保証するものではありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの継続的な発展及び経営基盤の安定を図っていくために、以下の事項を今後の事業展開における主要な課題として認識し、事業展開を図る方針であります。
① 開発スピード強化への対応
当社グループでは、先端技術を活用した大規模な情報システムの開発を可能とするアジャイル型のプロジェクト管理手法とそれを支援する管理ツールの開発に取り組んでいます。当プロジェクト管理手法及び管理ツールは、社会的な環境の変化に伴う業務アプリケーションへのニーズの変化や様々な技術革新による開発技術の進化に応じて、常に改良と拡張を実施していく必要があります。また当プロジェクト管理手法をより効果的に活用するための新たな管理ツールの開発や、既存のクラウドサービスとの連携等を実現するための研究・開発組織の充実に取り組んでまいります。
② 技術者人材の確保と育成
先端技術と独自のプロジェクト管理手法を活用したプロフェッショナルサービスを手掛ける当社グループにおいては、そのサービスの持続的かつ発展的成長を遂げるために必要となる技術者人材の自社及びサービスパートナー企業における確保が不可欠となります。当社グループの採用する先端技術とプロジェクト管理手法を用いた顧客のシステム開発を推進するため、事業の柱となる新しい技術者人材の育成に注力し、自社内での確保にとどまらず、市場への供給に努めてまいります。
③ 組織体制の整備
当社グループは成長段階であり、小規模ながら組織も急速に拡大を行っております。こうした中、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要となります。このため、バックオフィス業務の整備を推進するとともに、経営の公正性及び透明性を確保するための内部管理体制の強化に努めてまいります。具体的には、内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実などを行っていく方針であります。
当社グループでは、上記のような事業上の課題に対処するための研究開発と技術者育成に係る継続的な投資を行います。これにより、当社独自のプロジェクト管理手法に基づくプロフェッショナルサービスを展開し、収益力の向上及び安定的なキャッシュ・フローを創出するとともに、その再投資を通じた事業の拡大に努めてまいります。