有価証券届出書(新規公開時)

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2021/05/21 15:00
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(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
第15期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善がみられたものの、米中貿易摩擦の長期化や世界経済の減速、消費税率の引上げ等の影響により景気低迷の傾向にありました。さらに、新型コロナウイルス感染拡大を受けた世界的な経済活動の縮小等により、不確実性の高い状況が続いております。
当社グループの事業領域である中小企業の「事業承継」におきましては、中小企業の事業承継問題がますます深刻化する中で、事業承継手段としてのM&Aニーズ(譲渡ニーズ)が一段と増加いたしました。また、オーナー経営者の高齢化に伴い高い技術力・製品力がありながら後継者不在により事業の継続が困難となり、技術・産業の承継が進まないという社会的課題が顕在化しております。これに対して、中小企業庁による2019年12月の「第三者承継支援総合パッケージ」及び2020年3月の「中小M&Aガイドライン」の策定など国もこの課題に取り組んでおり、引き続き事業承継に関連する市場は拡大傾向にあると考えます。
一方、当社グループのもう一つの事業領域である「モノづくり」におきましては、米中貿易摩擦などにより消費マインドが低迷している中、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって世界全体の経済が深刻な打撃を受けた結果、中国や北米、欧州など主要市場での自動車販売台数の減少、半導体製造装置や工作機械等の機械関連の減速と厳しい状況が続いております。
このような状況の中、経営執行にコミットしたプロ経営者をチームで派遣し現場・財務・経営の見える化を徹底し、バックオフィスの生産性向上や製造現場での幅広いITの活用に取り組み、ムダ・ムリ・ムラの排除を推進してまいりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は15,196,337千円(前期比17.2%増)、営業利益は290,840千円(前期比47.5%増)、経常利益は215,265千円(前期比85.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に負ののれん発生益を計上した前連結会計年度と比べ、当連結会計年度は特別利益が僅少であったため91,380千円(前期比75.8%減)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(プロフェッショナル・ソリューション事業)
当セグメントには、当社及び株式会社サンテクト(現 セレンディップ・テクノロジーズ株式会社)が含まれております。「プロフェッショナル・ソリューション事業」におきましては、当社への持込案件は増加したものの人的リソースを内部管理体制の整備に充てたため、戦略的に一定規模以上の事業承継型のM&A案件を制限し、又経営コンサルティング案件の受注を抑制いたしました。エンジニア派遣におきましては、採用が順調に進みエンジニア社員数は増加し、稼働率の増加及び時間外労働増加による稼働時間が増加いたしました。
これらにより、売上高は743,194千円(前期比134.7%増)、セグメント利益は27,524千円(前期はセグメント損失36,932千円)となりました。
(モノづくり事業)
当セグメントには、三井屋工業株式会社、佐藤工業株式会社及び天竜精機株式会社のモノづくり企業が含まれております。自動車内外装部品製造におきましては、前連結会計年度に当社グループ入り(連結子会社化)し、当社の強みである経営にコミットしたPMIにより通期を通じて黒字化いたしました。自動車精密部品製造におきましては、主要顧客の生産低迷の影響により売上高の減少傾向が続きましたが、人員の自然減を作業効率向上でカバーするなどし人員の最適化を図り、また物流コストの見直しや各種経費の削減などを着実に実行いたしました。FA装置製造におきましては、車載関連顧客中心へシフトし新規の顧客開拓も進みましたが、電池関連自動機の市場悪化の傾向が続き、また新製品の完成遅れによる影響がありましたが、設計部門を中心に設計技術強化と設計コスト力強化に取組み、製造部門を中心に製造工程管理力強化に取り組んでまいりました。
これらにより、売上高は14,711,667千円(前期比14.7%増)、セグメント利益は、263,320千円(前期比12.5%増)となりました。
第16期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の大幅な縮小により景気が悪化し、未だ収束の見通しが立たない不透明な経済状況となっております。
当社グループの事業領域である中小企業の「事業承継」におきましては、中小企業の事業承継問題が深刻化する中で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、経済・社会活動が大きく停滞したことに後押しされ、事業承継手段としてのM&Aニーズ(譲渡ニーズ)が一段と増加いたしました。
一方、当社グループのもう一つの事業領域である「モノづくり」におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、経済・社会活動が大きく停滞したことで大きな打撃を受けました。このような状況のもと、当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大以前から経営執行にコミットしたプロ経営者をチームで派遣し現場・財務・経営の見える化を徹底し、バックオフィスの生産性向上や製造現場での幅広いITの活用に取り組み、ムダ・ムリ・ムラの排除を実施してまいりました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大、長期化懸念から、徹底的なコストの削減・見直しに注力しました。
その結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間の連結業績は、売上高10,551,015千円、営業利益312,850千円、経常利益384,462千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、特別利益に保険解約返戻金195,903千円を計上したため370,791千円となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(プロフェッショナル・ソリューション事業)
当セグメントには、当社、株式会社サンテクト(※)及び株式会社エムジエク(※)が含まれております。当セグメントの当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高831,267千円、セグメント利益64,728千円となりました。事業承継課題を抱える中小企業が今後益々増加していく社会的背景のみならず、今般の新型コロナウイルス感染拡大に伴い経済活動の停滞の影響を受け業績が悪化している中小モノづくり企業から、事業承継案件、企業再生案件の当社への持ち込みが増加しております。
(※)2021年4月1日付で株式会社サンテクトは株式会社エムジエクと合併(株式会社サンテクトが存続会社、同時にセレンディップ・テクノロジーズ株式会社(現・連結子会社)へ社名変更)いたしました。
(インベストメント事業)
当セグメントには、セレンディップ・フィナンシャルサービス株式会社が含まれております。当セグメントの当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高890,500千円、セグメント利益154,590千円となりました。第1四半期連結会計期間におきましては設立間もなかったため費用計上が先行しておりましたが、第2四半期連結会計期間以降において、営業投資有価証券の第三者への売却によるキャピタルゲインの獲得やファイナンシャルアドバイザリー案件の増加等によって利益を計上することとなりました。
(モノづくり事業)
当セグメントには、三井屋工業株式会社、佐藤工業株式会社及び天竜精機株式会社のモノづくり企業が含まれております。当セグメントの当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高9,160,799千円、セグメント利益93,531千円となりました。
自動車部品製造におきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う自動車生産台数及び販売台数減少の影響を受け業績が悪化しておりましたが、当第3四半期連結会計期間におきましては売上が回復してまいりました。FA装置製造におきましても、新型コロナウイルス感染拡大の影響は残るものの、業績は回復傾向にあります。
② 財政状態の状況
第15期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ1,274,545千円減少し、5,503,349千円となりました。これは主に、銀行借入の一部を一括返済したことにより現金及び預金が481,317千円減少したこと、新型コロナウイルス感染症拡大による受注の減少により受取手形及び売掛金が357,005千円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ23,660千円減少し、7,481,219千円となりました。これは主に、減価償却により有形固定資産が81,581千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は12,984,569千円となり、前連結会計年度末に比べ1,298,206千円の減少となりました。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ613,443千円減少し、4,946,293千円となりました。これは主に、受注減少に伴う仕入及び外注の抑制により支払手形及び買掛金が795,942千円減少し、短期借入金が100,000千円減少し、前受金が291,313千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ773,722千円減少し、5,744,121千円となりました。これは主に、銀行借入の一部を一括返済したため長期借入金が825,800千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は10,690,415千円となり、前連結会計年度末に比べ1,387,165千円の減少となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ88,959千円増加し、2,294,153千円となりました。これは主に、利益剰余金が91,380千円増加したことによるものであります。
第16期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ988,866千円増加し、6,492,216千円となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症の一段の感染拡大と長期化に備え銀行借入を実施したため現金及び預金が1,137,851千円増加し、受取手形及び売掛金が274,047千円減少したことによるものであります。
当第3四半期連結会計期間末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ705,945千円増加し、8,187,164千円となりました。これは主に、子会社新工場立上のため建設仮勘定が698,303千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は14,679,381千円となり、前連結会計年度末と比べ1,694,812千円の増加となりました。
(負債の部)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ721,123千円増加し、5,667,417千円となりました。これは主に、販売回復による仕入及び外注の増加により支払手形及び買掛金が382,690千円、短期借入金が475,300千円増加し、前受金が166,420千円減少したことによるものであります。
当第3四半期連結会計期間末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ376,265千円増加し、6,120,387千円となりました。これは主に、新型コロナウイルスの一段の感染拡大と長期化に備え銀行借入を実施したため長期借入金が500,153千円増加し、役員退職慰労引当金が163,008千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は11,787,805千円となり、前連結会計年度末に比べ1,097,389千円の増加となりました。
(純資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ597,422千円増加し、
2,891,576千円となりました。これは主に、利益剰余金が370,844千円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
第15期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、営業活動により1,547,061千円の増加、投資活動により983,467千円の減少、財務活動により1,058,627千円の減少となった結果、前連結会計年度末に比べ、495,332千円減少し2,392,343千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した現金及び現金同等物は、1,547,061千円(前連結会計年度は197,250千円の獲得)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益212,494千円、減価償却費977,876千円、売上債権の減少額357,005千円、未収入金の減少額212,649千円、仕入債務の減少額795,942千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した現金及び現金同等物は983,467千円(前連結会計年度は3,249,577千円の使用)となりました。
これは主に、「モノづくり事業」セグメントにおいて生産能力増強のため設備投資を行ったことによる有形固定資産の取得による支出877,156千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した現金及び現金同等物は1,058,627千円(前連結会計年度は2,650,056千円の獲得)となりました。
これは主に、銀行借入の一部を借換(リファイナンス)したことによる長期借入金の返済による支出2,588,300千円、銀行借入の一部を借換(リファイナンス)したことによる長期借入れによる収入1,700,000千円、短期借入金の減少額(純額)100,000千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
第15期連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第15期連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前期比(%)
プロフェッショナル・ソリューション事業(千円)484,670350.6
モノづくり事業 (千円)14,744,625116.6
合計(千円)15,229,295119.2

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
第15期連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前期比(%)受注残高(千円)前期比(%)
モノづくり事業1,417,38575.8869,11272.6

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.モノづくり事業の自動車内外装部品製造及び自動車精密部品製造は、受注生産形態をとらないため受注高及び受注残高に含めておりません。
c.販売実績
第15期連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第15期連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前期比(%)
プロフェッショナル・ソリューション事業(千円)484,670350.6
モノづくり事業 (千円)14,711,667114.7
合計(千円)15,196,337117.2

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.当連結会計年度において、プロフェッショナル・ソリューション事業の販売実績に著しい変動がありました。これは、株式会社サンテクト(現 セレンディップ・テクノロジーズ株式会社)を2018年12月31日に連結子会社化したことによるものです。
4.最近2連結会計年度及び第16期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第14期連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第15期連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第16期第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
アイシン・エィ・ダブリュ㈱
(注)2
5,497,92842.44,529,62629.83,155,58629.9
トヨタ自動車㈱2,605,67920.12,876,64818.91,934,80718.3
トヨタ紡織㈱2,743,51221.22,536,59016.71,278,88312.1

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.アイシン・エィ・ダブリュ㈱は、2021年4月1日付でアイシン精機㈱と経営統合し、㈱アイシンに社名を変更しております。
d.営業投資活動の状況
当社グループは、他社との共同投資により、モノづくり企業を中心とした中堅・中小企業への投資を行っております。
当社グループの営業投資活動(共同投資及びマイノリティ投資)を示すための投資残高は次のとおりです。
第15期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
① 投資実行額
(単位:千円)
エクイティ投資実行額:業種別第14期連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第15期連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
---
合計--

② 投資残高
(単位:千円)
エクイティ投資残高:業種別第14期連結会計年度
(2019年3月31日)
第15期連結会計年度
(2020年3月31日)
製造業-10,000
合計-10,000

第16期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
① 投資実行額
(単位:千円)
エクイティ投資実行額:業種別第16期第3四半期連結累計期間
(自 2020年4月1日
至 2020年12月31日)
製造業607,446
合計607,446

(注)2020年4月1日付で、株式会社協立製作所株式(営業投資有価証券)567,446千円、2020年12月17日付で、株式会社アペックス株式(営業投資有価証券)40,000千円の投資実行をいたしました。
② 投資残高
(単位:千円)
エクイティ投資残高:業種別第16期第3四半期連結会計期間
(2020年12月31日)
製造業40,000
合計40,000

(注)2020年9月18日付で、株式会社協立製作所株式(営業投資有価証券)577,446千円を売却いたしました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は本書提出日現在において、判断したものであります。
第15期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループでは、オーナー経営者の高齢化に伴い高い技術力・製品力がありながら後継者不在により事業の継続が困難となり、技術・産業の承継が進まないという社会的課題が顕在化している環境下において、多様なソリューションを提案・提供し、信頼を得ることが当社グループの成長に繋がると認識しております。この認識の下、当社グループでは、事業承継に課題を抱える中小企業を対象として、「経営の近代化」に向け、事業承継型M&Aや経営コンサルティングを通じて、「すべてのステークホルダーに価値と成長をもたらす100年企業グループ」創出を目指しております。
当社の事業領域である「事業承継×モノづくり」のうち「事業承継」において当社への持込案件は増加したものの、内部管理体制の整備に重点をおいたため一定規模以上の事業承継型M&Aを制限し、上場後を見据えた案件の発掘・開拓に注力いたしました。また、セレンディップ・フィナンシャルサービス株式会社を設立し、事業承継問題に機動的に対応する体制を構築いたしました。
もう一方の「モノづくり」につきましては、前連結会計年度に当社グループ入り(連結子会社化)した三井屋工業株式会社が、当社の強みである経営執行にコミットしたPMIにより、前事業年度の税引前当期純損失74,159千円に対し当事業年度税引前当期純利益70,742千円とV字回復いたしました。なお、経営成績については、以下の通りです
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、2018年10月より連結対象となった「モノづくり事業」セグメントに属する三井屋工業株式会社の売上高が期を通して寄与したことにより、15,196,337千円(前期比17.2%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、12,776,324千円(前期比14.3%増)となりました。これは主に、売上高同様に三井屋工業株式会社による増加であります。一方で、子会社各社に対する経営執行にコミットしたPMIによる物流コストの見直しや生産効率向上等の原価低減施策を継続的に実施したため、売上総利益は、2,420,013千円(前期比35.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、2,129,172千円(前期比34.2%増)となりました。これは主に、人件費の増加によります。この結果、当社グループの当連結会計年度の営業利益は、290,840千円(前期比47.5%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は、受取配当金49,730千円等により100,021千円(前期比52.0%減)、営業外費用は、支払利息98,415千円等により175,596千円(前期比39.4%減)となり、この結果、経常利益は、215,265千円(前期比85.7%増)となりました。
b.財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況 第15期連結会計年度」に記載されているとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載されているとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、当社グループ事業領域の「モノづくり」における設備投資及び研究開発活動に伴う投資資金、「事業承継」におけるLBOファイナンスに対する買収資金の返済があります。これらの資金需要に対して安定的な資金供給を行うための財源については、主に内部資金により確保しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表の作成にあたり重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
この連結財務諸表の作成にあたって、経営者より一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
・固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングを各社及び工場ごとに行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
・投資有価証券の減損
当社グループは、製造・販売等に係る取引会社及び関係会社の株式を保有しています。これらの株式は、株式市場の価格変動リスクや、経営状態・財務状況の悪化による価値下落リスクを負っているため、投資有価証券の評価額の切り下げを行うこととなった場合、翌期以降の当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
・繰延税金資産
将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを基に、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額はその時の経営環境等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、繰延税金資産の修正を行うため、当社グループの繰延税金資産を取り崩す可能性があります。
第16期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の大幅な縮小により景気が悪化し、未だ収束の見通しが立たない不透明な経済状況となっております。
当社グループにおきましては、傘下に収めるモノづくり企業は新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停滞等の影響を受けたものの、自動車部品製造においては、当第3四半期連結会計期間において売上が回復しております。
一方、当該停滞の影響を受け業績が悪化している中小モノづくり企業から、事業承継案件、企業再生案件の当社グループへの持ち込みが増加いたしました。
このような状況の中、傘下に収めるモノづくり企業に対しては、経営執行にコミットしたプロ経営者チームによる現場・財務・経営の見える化を徹底し、バックオフィスの生産性向上や製造現場での幅広いITの活用に取組み、ムダ・ムリ・ムラの排除を徹底いたしました。また、業績が悪化している中小モノづくり企業からの事業承継案件、企業再生案件の増加に対応するため、専門性の高い人材を積極的に採用いたしました。
このような環境の下、当社グループの当第3四半期連結累計期間の連結業績は、売上高10,551,015千円、営業利益312,850千円、経常利益384,462千円、親会社株主に帰属する四半期純利益370,791千円となりました。
b.財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当第3四半期連結累計期間の財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況 第16期第3四半期連結累計期間」に記載されているとおりであります。
② 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 第15期連結会計年度 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」に記載した会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。