有価証券報告書-第83期(令和2年10月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/12/27 11:45
【資料】
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【項目】
108項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、集団給食における業務用総合厨房機器メーカーとして「誠実奉仕・堅実経営・技術開発」の社是のもと、企業の公共性を堅持し、厨房機器の製造と販売および調理設備の施工において、厨房業界随一を目指して前進します。さらに業界のリーディングカンパニーとして、お客様に「安心・安全な製品およびサービス」を提供し、社会生活に欠かせない「食」を通して、新たな社会の発展に貢献することを経営理念としております。
その経営理念に基づき、お客様に信頼される行動ならびに高品質で安心・安全な製品およびサービスを提供し、「食」を支える施設をサポートしていくことにより「社会的貢献」を果たします。また、「製品力強化」として多様化、高度化する顧客ニーズを的確に捉え、人にやさしい、環境にやさしい新製品、新システムの開発ならびに付加価値を強化することにより、自社製品力およびブランド力を強化し、その市場拡大を目指します。そして「販売力強化」として、当社の主要マーケットである学校給食、病院給食、官庁施設給食、学生食堂および民間企業(事業所・ホテル等)の施設に対し、国内すべての地域を網羅した営業体制のもと、提案、製品およびサービスの品質向上によってその販売力の強化を図り、さらなる成長を目指します。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社は、創業当初より学校給食分野を最重要マーケットとして捉え、それら自治体及び地域と密着した直販体制を展開しております。さらに、それら各地域の人々の健康維持を担う各種医療施設及び福祉施設の給食設備、また、それら地域の経済発展を担う各種企業の事業所給食設備、並びに、中食、外食等の産業給食施設等に対し、広域的な販売体制を整備してまいります。その上で、次の戦略を実行いたします。
a.一括設備の販売強化策
当社は、国内全ての学校給食センターについてその施工年、施工業者(自社、競合他社等)及び建替時期等の情報を把握しており、他社に先駆けた提案型営業展開を行うことにより、物件獲得率を高めて参ります。病院・事業所などの民間案件の情報把握も整備されつつあり、より詳細な情報取得を図るため全国の設計事務所・給食委託業者・コンサルティング会社との連携強化を図り、建物の設計段階から関与し、物件獲得率を高めて参ります。
b.製商品の入替促進強化策
当社は、お客様への自社製品および他社商品納品履歴を一元データ管理しており、そのデータを基にピンポイントな販売戦略を展開し、自社製品独自の仕様構造への絞り込み営業を強化し、当市場における自社製品占有率のさらなる維持拡大を図ります。病院や企業の社員食堂は、納品後5年を経過した取引先をピンポイント営業、学校関係は納品後10年から15年を経過した取引先をピンポイント営業いたします。
c.修理・保守点検による機器営業タイミングの情報収集
一元管理された顧客データ・自社製品納入実績データに基づき、お客様にとって安心安全で最適な年間保守サービスを提案し、突発的なマシーントラブルを減少させ、お客様との強固な信頼関係の構築を図った上で、上記a,bの営業情報収集を行い適切な提案時期を見極めます。
以上の戦略実行の当年度における達成状況を判断する指標として、売上高、製品売上高、売上総利益、営業利益を重視しております。
(3) 経営環境および対処すべき課題
新型コロナワクチン接種が進み治療薬が普及するにつれて、今後、経済活動が徐々に再開され、感染症拡大以前にみられた企業収益や雇用・所得環境も緩やかな回復基調を辿ることが期待されます。しかしながら、変異株等による国内各地での再拡大の懸念など、先行きは不透明な状況が続いており、引き続き予断を許さない状況が続くものと予測されます。当社の顧客である集団給食施設を含む外食産業におきましては、短期的には緊急事態宣言による時短などの影響で厨房施設稼働率の低下に伴う設備投資の延期や修理需要の低迷などが予想されます。中長期的には、集団給食施設における労働人口の減少への対応、一定水準のテレワークの浸透など企業の事業環境の変化への対応など、顧客ニーズが進化し多様化するものと考えられます。
このような経営環境下においても、当社は学校給食等、多数の人に継続的に食事を提供する集団給食向けの厨房機器を日本中の様々な給食施設や食品工場で施工やアフターメンテを実施しており、厨房施設や厨房機器に関する様々なノウハウを蓄積し続けております。また、厨房業界で当社が初めて学校給食関連市場等に投入した蒸気式回転釜や消毒保管庫製品などの製品も数多くあることから、製品技術力を評価して頂き、他業界の大手企業との共同研究を長年継続しております。共同研究の成果は、共同特許の取得や当該特許を使用した製品化にも至っております。当社は、このような競争優位を活かし、進化し多様化する顧客ニーズに応えるとともに環境に配慮した製品作りを推進いたします。
当社は、お客様に‘高品質’‘安心安全’‘低環境負荷’な製商品・サービスを提供し、お客様の満足を最優先に捉え、食に携わる企業として社会に貢献するため、以下の課題に取り組んで参ります。
①研究開発の強化
労働力不足に対応するための無人化/少人数での給食施設運営などお客様のニーズに応えた製商品の創出、並びに、現場で働く人々の使いやすさを追求した上でランニングコストを低減させるというお客様の厨房施設運用目標の実現に向け、常に最先端技術を駆使し、研究開発活動に邁進して参ります。そのための研究開発人員の増強、試作機の製造及び評価体制の強化等を図って参ります。
②ブランド力の強化
当社の主力製品である学校市場向け食器洗浄機・回転釜の国内生産台数シェアは、2020年度で20%程度となっており、そのブランド力を活かし自社製品全般の市場シェアを高めて参ります。当社が過去70年で形成した高水準の学校市場向けのブランドを更に強化するとともに、病院及び社員食堂市場向けに横展開し、一般市場向けの市場シェアを上昇させるべくマーケティング活動を遂行しております。
③品質管理体制の強化
当社は、厨房機器及び厨房システムの品質及び当社事業の運営体制全体の品質を維持・向上させることを目的に、ハード面において公共建築協会評価を、ソフト面においてISO9001を取得しております。当社は、製商品における‘安定稼働’を第一の品質と捉え、生産現場から設置据付まで、品質管理体制の徹底に取り組んで参ります。当社では、製商品を導入して頂いたお客様、使用者様への機器の取扱いや調理指導を徹底し、更には定期的な保守点検や老朽機器の更新をご提案するなど、製品事故を未然に防ぐ施策を講じて参ります。
④働き方改革を活かした競争力強化
当社は従業員に対し技術資格の取得を奨励したり、工場従業員にはどの工程でも生産活動に参加ができるように多能工として育成しております。更にテレワーク環境を充実させることにより「働き方改革」を加速させ、従業員が自身の仕事に対するやりがいを感じながら能力を発揮できる労働環境を整え、企業競争力の向上を実現して参ります。
⑤収益安定性と成長性の確保
当社は後記「2事業等のリスク(1)季節変動」に記載の通り、7月から9月に売上が集中する季節変動があります。この時期に売上が集中するのは、夏季休暇を利用して厨房設備を入れ替える学校市場の顧客構成比が高い事に起因しております。当社は、四半期単位で一定の利益が獲得できるよう収益構造の転換を図り、更に成長性の追及により財務基盤を安定させ、内部留保と株主還元の適切なバランスを図って参ります。
⑥内部統制システムの強化
内部管理面におきましては、内部統制システムを機能的に運用させることにより、コンプライアンス/リスク管理を徹底し、従業員の労務管理や外注先を含めた安全管理にも注力すると共にお客様に誠実に奉仕する体制を強化して参ります。また、業務の標準化・効率化を推進しつつ、事業の拡大・多角化にも耐えうる業務プロセスを構築いたします。
⑥ESGへの取組強化
社会生活に欠かせない「食」を支える社会に求められる企業として、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取組を強化し、新たな食生活の提案を行うなど社会的課題の解決と企業価値の向上を目指します。当社は事業活動を通じて、お客様の環境負荷低減や労働環境改善への貢献、全国の取引先との共生共創を目指します。