有価証券報告書-第16期(2024/04/01-2025/03/31)

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2025/06/27 16:48
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(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しております。従いまして、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、ウクライナやパレスチナでの紛争が継続し、シリアでは反政府勢力によって政権転覆が起こりました。米国大統領選挙においてはトランプ氏が当選し、第2期目として米国第一主義を推進するために、関税政策の大幅な変更と、これを交渉材料にした外交政策が進められ、世界情勢を一変させました。
特に、従来からの友好国との貿易関係について、米国の貿易赤字を減少させることを各国に要求することで、冷戦終了後の世界の政治情勢そのものを根底から覆すこともあり得ることを予感させられました。
関税政策変更の影響の大きさから、為替や金利の変動幅が大きくなり、これに伴って株式市場も変調をきたしました。関税が大幅に上がることで、米国物価が一層上昇するとの予想もあって、比較的順調に推移してきた米国経済の先行きも、憂慮すべき事象が増加し、消費の先行きにも影を落とす可能性が出てきました。
当連結会計年度の前半は、米国景気が好調を維持し、米国の株価が高止まり傾向となり、ドル円の為替レートは円安方向に振れました。国内の株価も高止まり傾向で、物価上昇が続きましたので、日本銀行はこれまでの金融政策の方針を変更し、2024年3月にマイナス金利政策を終了させ、政策金利を引き上げました。年度末近くになって上記の経済情勢から円高方向に振れ、物価動向も見通しが難しくなりました。米国の関税政策によっては、日本経済が大幅な景気後退に襲われる可能性も出てきた点が、今後の懸案事項と考えております。
当社グループ製品の主要なビジネス分野であるLGD(Laboratory Grown Diamond:人工宝石)市場は、当連結会計年度においても引き続き規模が拡大しております。米国ではLGDのダイヤモンド宝石市場におけるシェアが50%を超えているとの報道もあり、いよいよ本格的なLGD市場形成が進むと見られます。
しかし、2023年3月期終盤から、特に小型宝石の供給過剰が発生し、そのことによってLGDの価格の下落傾向が大きくなり、その影響は天然ダイヤモンドの価格下落をもたらしました。LGDの価格が同じグレードの天然ダイヤモンドの価格の15%程度といった低価格で取引される事例が見られるなど、LGDの大幅な価格下落によって採算割れを起こしたと見られる一部の企業は倒産などの事業撤退に追い込まれ、一部は生産工場の操業を停止する事態になりました。特に小型宝石を中心に製造していた企業は、困難な状態が顕著に現れています。大手企業も例外ではなくその米国LGD工場の操業停止や、欧州企業の債務整理開始、といったニュースが飛び込んできました。多くのLGD製造企業が集積しているインド・スーラット市や、イスラエルでも有力企業の倒産が発生しました。
また、LGDメーカーが種結晶を自家生産する動きがさらに拡大し、インド及び中国の種結晶メーカーが、安価で大型の種結晶を供給し始めております。このような情勢から、種結晶価格は低位のまま推移いたしましたので、当社グループの種結晶の一部について収益性が悪化しました。また、小型宝石から高価な大型宝石へ軸足を移す動きが顕著となり、求められる種結晶のサイズは12x12mm以上の割合が大幅に増加しております。特に、15x15mm種結晶の需要が大幅に増加し、当社グループとしてもその生産体制を強化しております。
こうした状況下、当社グループは、2024年11月28日に公表いたしました「2025年3月期中間期決算説明資料」及び2025年2月21日に公表いたしました「2025年3月期第3四半期決算説明資料」で示しましたとおり、と宣言し、種結晶偏重のビジネス形態からの離脱をテーマに、抜本的な事業構造改革に取り組んでまいりました。具体的には、種結晶偏重という事業構造から脱却し、LGD分野では、種結晶から宝石までの関連製品を取り扱うこととしました。また、デバイス分野への取り組みでは、とりわけ大型ウエハの実用化に向けた開発体制を強化しました。
当社グループは既に公表しましたとおり、2024年1月にエス・エフ・ディー株式会社(以下、「SFD」という。)を設立し、宝石の製造・販売企業としての事業開始準備をすすめ、各種の宝石の試作を行いました。また、SFD India Private Limited(以下、「SFD India」という。)をインド・スーラット市に設立し、業務を遂行するための体制を整えてきました。
当社グループでは宝石製作の原料となる原石製作について、当連結会計年度において鋭意取り組んでまいりました。その結果、当社グループの保有する大型単結晶を利用した高品質の原石生産が可能となりました。これらの原石を宝石に加工した結果からも、有効性が確認されました。
SFDは既に当社で生産した原石を購入し、これを海外の委託先において加工し、宝石としての完成品を保有しております。また、当面販売するために市場から宝石購入したものを、在庫の一部として保有し、ごく一部の宝石は国内で販売を行いました。
また、当連結会計年度においては、世界各国でダイヤモンドデバイスの開発が活発化し、各国が競ってこの開発に資金を投入する状況になりました。基板等の売上は2024年3月期に大幅に売上が増加いたしましたが、当連結会計年度においても増加傾向は変わりませんでした。また、デバイス開発を軌道に乗せるための2インチウエハの実用化に結び付く、30x30mm単結晶の開発を進め、2025年2月13日に当該サイズの基板の製品発売をいたしました。活発化している量子デバイス向けの低窒素(111)基板も発売し、エピタキシャル基板についても各ユーザーの要望に沿う形で多種類の構造を出荷できるようになりました。
このように、ダイヤモンドデバイス開発の進展を受けて、いよいよ本格的にダイヤモンドデバイスに向けた素材の市場が形成される時期が近づいており、当社グループは大型ウエハの実用化までの技術ロードマップを「2025年3月期中間期決算説明資料」及び「2025年3月期第3四半期決算説明資料」に開示し、当該技術ロードマップに沿った開発を進めております。半導体デバイスの製造プロセスを利用するためには、2インチウエハ(直径50mmの円盤状)より大型のウエハを使用することが必要です。この実現のためには、25x25mm以上の単結晶を4個接合したモザイク結晶(50x50mm以上の面積)を開発する必要があります。2025年2月13日に発売した、30x30mm単結晶が、その開発のキーとなる素材で、2025年12月末を2インチウエハの開発期限の目標として、取り組んでまいります。2インチウエハの実現のために、単に素材製作だけでなく研磨技術や成長装置の大面積化についても並行して開発に取り組んでおります。2インチ以上のウエハを使ったデバイスの量産に向けて、生産体制を整備して、ユーザーのニーズに適合したウエハを商品化していくことが重要となっており、これらに対する開発投資も行いました。
以上のような宝石の製品化や、大型ウエハの実用化に向けて、生産ならびに開発設備投資が必要と判断し、2024年9月に新株予約権による資金調達を開始いたしました。当連結会計年度末までに、853,014千円を調達いたしました。さらに、新たに銀行融資により、事業構造改革、開発投資を進めるための資金を厚めに手当ていたしました。一部の設備につきましては、当連結会計年度に購入を開始いたしましたが、引き続き宝石やウエハの生産体制の確立に向けて投資を行っていく計画です。
2024年3月期において当社は市況の急激な変化から、種結晶や素材の在庫が膨らんでおりました。当連結会計年度においては、種結晶の価格下落の影響もあって、利益率が大幅に低下しました。さらに在庫の製品や素材は、在庫評価損を計上しましたので、大幅な損失が発生しました。
また、当連結会計年度においては、事業環境の変化を考慮し、当社グループの固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額として減損損失1,300,371千円を計上いたしました。
上記から、当連結会計年度の連結損益計算書上、大きな損失を計上することとなりましたが、キャッシュ・フローは資金調達が進んだこともあって堅調に推移しており、最終的には大幅なプラスとなっております。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は902,729千円、営業損失は976,294千円、経常損失は989,231千円、親会社株主に帰属する当期純損失は2,306,367千円となりました。
また、当連結会計年度の製品種類別売上高は、種結晶が531,811千円、基板及びウエハは329,712千円、光学部品及びヒートシンクは14,688千円、工具素材は26,162千円、宝石は355千円となりました。
なお、当社グループはダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,721,889千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金が1,441,911千円、商品及び製品が383,532千円、仕掛品が600,691千円となっております。固定資産は1,655,877千円となりました。その主な内訳は、有形固定資産が1,551,463千円となっております。
この結果、総資産は4,377,766千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は354,000千円となりました。その主な内訳は、1年内返済予定の長期借入金が155,700千円、未払金が85,640千円となっております。固定負債は604,896千円となりました。その主な内訳は、長期借入金が470,180千円、資産除去債務が104,394千円となっております。
この結果、負債合計は958,897千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,418,869千円となりました。その主な内訳は、資本金が1,936,735千円、資本剰余金が2,466,335千円、利益剰余金が△983,645千円となっております。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,441,911千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果使用した資金は516,715千円となりました。主な獲得要因として減価償却費が459,336千円、減損損失が1,300,371千円あったものの、主な使用要因として税金等調整前当期純損失が2,291,460千円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は77,962千円となりました。これは主に固定資産の取得による支出が45,786千円、非連結子会社株式の取得による支出が32,175千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果獲得した資金は1,249,065千円となりました。これは主に長期借入れによる収入が500,000千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入が849,070千円あったこと等によるものであります。

④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループはダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであります。当連結会計年度における生産実績は以下のとおりであります。
生産高当連結会計年度
(自2024年4月1日
至2025年3月31日)
前年同期比(%)
生産高合計(千円)856,470-

(注)1.金額は製造原価によっております。
2.当社グループの売上高及び生産高は、ダイヤモンド単結晶の製造のための設備の規模(生産能力)に依存します。なお、当連結会計年度の当社の生産能力(カラットベース)は、以下のとおりであります。
当連結会計年度
(自2024年4月1日
至2025年3月31日)
(カラット)
生産能力210,000

3.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比については記載しておりません。
b.受注実績
当社グループはダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであります。当連結会計年度における製品種類別の受注実績は以下のとおりであります。
製品種類当連結会計年度
(自2024年4月1日至2025年3月31日)
受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
種結晶516,585-8,417-
基板及びウエハ310,154-7,005-
光学部品及びヒートシンク9,784-625-
工具素材26,893-1,210-
宝石355--
合計863,772-17,257-

(注)当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比については記載しておりません。
c.販売実績
当社グループはダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであります。当連結会計年度における製品種類別の販売実績は、以下のとおりであります。
製品種類当連結会計年度
(自2024年4月1日
至2025年3月31日)
前年同期比(%)
種結晶(千円)(注)2.531,811-
基板及びウエハ(千円)329,712-
光学部品及びヒートシンク(千円)14,688-
工具素材(千円)26,162-
宝石(千円)355-
合計(千円)902,729-

(注)1.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先当連結会計年度
(自2024年4月1日
至2025年3月31日)
金額(千円)割合(%)
CBC株式会社319,37835.4
本田技研工業株式会社113,19712.5

2.当社グループは、大型のダイヤモンド単結晶を大量に製造することができますが、当社グループの主要な製品である種結晶について、人工宝石市場における種結晶の大型化のニーズが増大しております。なお、当連結会計年度におけるサイズ別の種結晶の出荷割合(出荷個数ベース)は以下のとおりであります。
種結晶サイズ当連結会計年度
(自2024年4月1日
至2025年3月31日)
割合(%)
7x7mm以下0.4
8x8mm~9x9mm26.3
10x10mm~11x11mm38.2
12x12mm以上35.1

3.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比については記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
a.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの事業に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、ダイヤモンド単結晶の製造のための設備投資、研究開発費、人件費等の営業費用であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
当社グループは、日常の運転資金については自己資金で賄い、自己資金では賄えない設備投資資金等については金融機関からの長期借入で賄うとともに、資本での調達を検討することとしております。
なお、当連結会計年度末における借入金の残高は625,880千円であり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,441,911千円であります。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための成長性を判断する客観的な指標として、①売上高成長率、②経常利益率、③ROE、④自己資本比率を重視しております。
なお、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比については、記載しておりません。
①当連結会計年度における売上高成長率は、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比については、記載しておりません。
売上高成長率は、当社グループの成長性や事業進捗のペースを表す指標として、重視しております。
当社グループの事業進捗において、設備投資及び研究開発活動が重要ですが、設備投資及び研究開発活動の結果が売上高に結びつくことが必要であるため、売上高成長率の確保に努めてまいります。
②当連結会計年度における経常利益率は、△109.6%となっております。
経常利益率は、当社グループの売上高に対する収益性を表す指標として、重視しております。
当社グループの事業進捗及び競争優位性の確保にとって、設備投資及び研究開発活動が重要ですが、そのための長期的な資金として自己資金を継続的に確保することが必要であるため、一定の経常利益率の確保に努めてまいります。
③当連結会計年度におけるROEは、△67.5%となっております。
ROEは、当社グループの投下資本に対する収益性を表す指標として、重視しております。
また、研究開発活動により、ダイヤモンド単結晶の新たな用途を開拓することにより事業領域の拡大を図ってまいります。具体的には、大型単結晶の開発、ダイヤモンド半導体デバイス開発に必要な素材の開発や光学部品として必要な高品質結晶の開発を推進してまいります。
④当連結会計年度の自己資本比率は、78.0%となっております。
当社グループの事業進捗にとって設備投資は重要ですが、財務の健全性を保つためには、自己資本比率を50%以上に保ちたいと考えております。過度な借入を行うことがないよう、キャッシュ・フローにも注意を払っております。

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