有価証券届出書(新規公開時)

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2023/02/24 15:00
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事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
1.事業環境に関するリスク
(1)クラウド市場の動向について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社がクラウドインテグレーションサービスを展開するクラウド市場は、ICTを活用した業務の効率化に対する企業の期待やクラウドに対する注目度の高まりに伴って急速に成長しております。当社は今後もこの成長傾向は持続すると予測しており、クラウド事業の多角化を積極的に展開していく計画であります。
しかしながら、経済情勢や景気動向の悪化等により、企業の情報化投資が低迷するような場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、相応にあるものと認識しております。当社においては、AWSリセール、MSPを強化し、ストックビジネス拡大を進めることで、収益基盤の強化に努め、持続的な成長と企業価値の向上に努めています。
(2)製品・サービスの関連性について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社は、クラウドインテグレーションサービスにおいてクラウド環境の設計・構築やアプリケーション開発を行うため、その基盤となるクラウドインフラを広げるための主な手段としてAWSリセールサービスをクライアントに提供しております。そのため、Amazon Web Services, Inc.の事業停止や代替サービス又は技術の登場等によりAWSリセールの成長が鈍化した場合、クラウドネイティブインテグレーションにおける開発サービスおよび開発したアプリケーション等のMSPサービスの売上高の成長が鈍化し、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、常にあるものと認識しております。当社は、AzureやGCPなど他のパブリッククラウドの活用に取り組み、複数のクラウドサービスを組み合わせて最適な環境を実現するマルチクラウド化を推進するとともに、新技術への対応を行うために優秀な人材の確保に取り組んでおります。
(3)AWSへの依存について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社は、クラウドインテグレーターとして、AWSのリセールおよびその周辺ビジネスの拡大により売上高の持続的成長を実現してまいりました。従いまして、当社の成長はAWSの市場拡大に大きく依存しております。当社は、AWSを含めたパブリッククラウドの市場規模は継続的に拡大していくものと認識しており、近年においては、AWSは事業ポートフォリオをIaaS(注1)からPaaS(注2)まで広げ、今後も更なる成長と市場の拡大が見込まれると考えております。しかしながら、AWSの市場規模が縮小する場合やAmazon Web Services, Inc.の経営戦略に変更がある場合等には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、相応にあるものと認識しております。AWSの市場が急速に縮小する可能性は低いと考えられますが、AWSの市場動向、Amazon Web Services, Inc.の経営戦略について情報収集を行い、適切な経営判断ができるよう努めていきます。また、顧客の要望に応じて、AWS以外のクラウドサービスへの対応も進めます。
(4)Amazon Web Services, Inc.との契約について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社のAWSリセールについては、Amazon Web Services, Inc.とのSPA契約に基づいて行われております。当該契約は、当社又は同社のいずれかが解除事由への抵触を理由に解除を申し出た場合のほか、理由の如何に関わらず事前に解除を申し出た場合を除いて、継続するものとされております。現時点では当該契約の解除事由に該当する事実は生じておらず、良好な関係を築いておりますが、今後当社が解除事由に抵触したこと等を理由に契約を解除された場合には、当社の事業運営、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、低いものと認識しております。当社は、Amazon Web Services, Inc.からアドバンストパートナー、パブリックセクターパートナーとしても認定されており、今後も、Amazon Web Services, Inc.との関係性が良好なものとなるように努めていく所存です。また、必要に応じて、AzureやGCPなど他のパブリッククラウドの活用にも取り組んでまいります。
(5)業績変動の可能性について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社は、クラウドネイティブインテグレーションおよびデータインテグレーションサービスのうち、請負型のプロジェクトについて、契約における取引開始日から完全に履行義務を充足すると見込まれる時点までの期間がごく短いプロジェクトについては、クライアントの検収に基づき売上高を計上しております。請負型の案件は、クライアントの年度末に検収時期が集中する傾向にあるため、12月~3月に売上高及び利益が増加する傾向にあり、プロジェクトの進捗や検収の遅延等により、第3四半期までに見込んでいた売上高及び利益が翌四半期にずれ込む場合には、当社の各四半期の業績に変動が生じる可能性があります。
また、プロジェクトは想定される工数や難易度を基に見積りを作成し受注をしておりますが、見積り作成時に想定されなかったクライアントとの認識の相違等により、工数が大幅に増加し、プロジェクトの採算が悪化する場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、常にあるものと認識しております。当社は、プロジェクトの開発進捗についてクライアントと綿密にコミュニケーションを取ることで進捗管理を徹底するとともに、クライアントとの認識の相違等により想定工数が大幅に乖離することがないように見積り工数の算定を行い、計画通りに売上高及び利益の計上ができるように努めております。
(6)価格競争について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社が属するクラウド市場における価格競争は、競合企業の新規参入により今後更に激しくなることが予測されます。低価格競争が更に進展し、競合他社との差別化が有効に図れず、当社が提供するサービスの売上高が想定どおりに増加しない、または利益水準が悪化する場合等には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、相応にあるものと認識しております。当社においては、技術力の強化、サービス品質の向上等により、競争力の維持に努めております。
(7)技術革新への対応について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社が属するクラウド業界においては、市場及びクライアントニーズ、技術の変化が非常に速く、それに基づく新サービス等の開発・導入が相次いで生じております。また、AWSの特性としてサービスの仕様変更、新サービスの追加等頻繁にアップデートを実施しており、AWSエンジニアの育成プロセスは長期化かつ高難度化しております。よって、技術革新、またはそれに伴い変化するクライアントニーズを捉えた新サービスの開発、導入及び品質確保等にかかる対応が遅れた場合には、当社サービスの競争力が低下する可能性があります。加えて、技術革新に対応するために必要となる追加投資等の支出が拡大した場合には採算悪化による利益の低下につながり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、相応にあるものと認識しております。当社においては、このような変化を迅速にキャッチアップすべく、最新の技術動向等を注視し、最新の技術情報の収集とノウハウの習得に積極的に取り組んでおります。
(8)為替相場の変動について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社のAWSリセールにおいて、当社とAmazon Web Services, Inc.との取引にかかるAWS月額利用料は米ドル建てで計算されます。当社とクライアントとの契約の多くは従量課金の形態をとっており、日本円に換算後の利用料に対して当社の手数料率を加算した請求となっているため、当社において為替リスクは生じないこととなっております。
しかしながら、一部のクライアントとの契約においてはあらかじめ設定した固定の為替レートに基づく請求を行うため当社において為替リスクが生じ、その結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、相応にあるものと認識しております。一部の固定の為替レートを使用するクライアントとの契約については、一定のリスクを想定した為替レートを用いておりますが、実勢為替レートが契約時の想定よりも大幅に乖離した場合には為替レートを見直すことができることとしており、為替リスクによる損失を最小限に留めるための対策を講じております。
(9)法的規制について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社は、当事者間でのやり取りが可能な連絡網ツールであるsigfyの提供を行っていることから、電気通信事業法上の電気通信事業者として届出を行い受理されております。現在において、当社の事業に対する同法による規制強化等が行われるという認識はありませんが、社会情勢の変化等により当社の事業運営を制約する規制強化等が行われる可能性は否定できません。万が一、かかる規制の強化がなされた場合には、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
また、近年、インターネット関連事業を規制する法令は度々変更・追加がなされており、今後新たな法令等の規制がなされた場合には、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、低いものと認識しております。当社においては、法令改正の動向などの情報収集を適宜行い、適時に対応できるようにすることによりリスクの軽減を図っております。
2.事業運営に関するリスク
(1)サービスにおける不具合・瑕疵等について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社が提供するサービスの納品・検収完了後において、重大な不具合・瑕疵等が発見された場合には、当社に対する信頼性を著しく毀損する可能性があり、取引先からの信用を失うとともに、不具合・瑕疵等に対する対応費用の発生、損害賠償責任の発生等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、低いものと認識しております。当社においては、クラウドインテグレーション及びデジタルエンジニアリングサービスの提供・開発過程における提供・開発手順の標準化等により不具合・瑕疵の発生防止に努めるとともに、「ISO /IEC 27001(JIS Q 27001)」を取得し、情報セキュリティマネジメントの品質維持・向上に努めております。
(2)通信回線等の外部依存について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社が提供するサービスは、クライアントからAWSまでの接続サービス等の提供にあたり、通信キャリアから通信回線を調達しております。通信キャリアの提供する電気通信サービスに障害が生じ代替手段の調達ができずに、サービスが長時間にわたり中断する等の事象が発生した場合には、サービス提供完了時期がずれ込むことで、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、常にあるものと認識しております。当社においては、障害に対して迅速に対応するべく、日次のシステム監視及び障害検出に関して、管理体制を強化し障害発生の早期発見及び障害発生時の影響極小化のための体制を整えております。
(3)サービス中断の可能性について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社が提供するクラウドサービスは、地震等の自然災害、電力不足、停電、通信障害、テロ等の予見し難い事由により、停止あるいは遅延等の影響を受ける可能性があります。また、コンピュータクラッキング、コンピュータウイルス、人的過失及びクライアント等の偶発的あるいは故意による行為等に起因するサービスの中断も、当社のサービスの提供を妨げる可能性があります。サービスの提供が中断し当社の信用失墜又は事業機会の逸失が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、相応にあるものと認識しております。当社においては、社内周知徹底や運用テストの実施に継続的に取り組み、リモートワーク環境の整備などの事前準備を整えておくことにより、有事の際の影響を最小限に留めるよう努めております。また、システム障害によるサービス提供を中断する事態を回避するため、バックアップ回線による業務復旧体制の構築など、BCP(事業継続計画)の構築を推進しております。
(4)システム障害の発生について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社は、パブリッククラウドを活用したサービスを提供しておりますが、AWSが提供する各種サービスを提供するためには、インターネットの利用が不可欠な状態にあります。そのため、設備・システム上の問題、第三者によるサイバー攻撃、ハッキングその他不正アクセスなどが発生し、AWS自体にシステム障害が起きる場合には、これに起因して各種サービスの中断や品質低下により、当社の機会損失、顧客への損害の発生、サービスに対する信用性の低下等を招くことで、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。こうした障害によるサービスの中断や品質低下を避けるため、システム構成の冗長化、拡張性のある設計といった対策を行っております。
また、AWS全体に障害が発生する場合にも備え、AzureやGCPなど他のパブリッククラウドの活用に取り組み、複数のクラウドサービスを組み合わせて最適な環境を実現するマルチクラウド化を推進することで、システムの強化を図っております。
(5)特定人物への依存について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社は、創業取締役である2名(納富貞嘉・濱崎陽一郎)が中心となり当社の経営を行ってまいりました。両名は、当社の経営方針・経営戦略の策定やその実行において重要な役割を果たしております。今後何らかの理由でいずれかが当社の業務を遂行することが困難になった時点で、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、低いものと認識しております。当社においては、両名に過度な依存をしない経営体制を構築すべく、幹部社員への情報共有や権限委譲等に努めております。
(6)優秀な人的資源の確保について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社の提供するサービスは、当社の技術部門を中心とした従業員による継続した役務に依存しております。当社の事業拡大に伴い、優秀な経営陣及び従業員を内部育成し、技術・営業・企画及び管理面において適切な人材を適切な時期に確保又は維持できなかった場合、必要以上の人員数採用により労務費用を適切にコントロールすることができなかった場合、労働市場において想定よりも人件費が高騰した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、相応にあるものと認識しております。当社においては、様々な採用チャネルを活用して多様な人材の確保に努めるとともに、教育制度の充実等による適切な人材育成に努めております。また、魅力的な報酬制度や公正な人事評価制度の構築、リモートワークの推進をはじめとした働きやすい労働環境の整備等、従業員の働きがいを維持・向上させるための取り組みを実施しております。
(7)知的財産権について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社はこれまで、第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償や使用差し止めの請求を受けたことはなく、知的財産権の侵害を行っていないものと認識しております。当社は、第三者の特許権その他の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っておりますが、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償の負担が生じる可能性があります。当社が属するDX市場において知的財産権の状況を完全に把握することは困難であり、当社の事業に関連する知的財産権について第三者の特許取得が認められた場合、あるいは将来特許取得が認められた場合、当社の事業遂行の必要上これらの特許権者に対してライセンス料を負担する等の対応を余儀無くされる可能性があります。このような損害賠償及びライセンス料の多額の負担が生じた場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、低いものと認識しております。当社においては、社内担当部門で慎重に調査を行うとともに、必要に応じて専門家と連携を取り調査可能な範囲で対応を行うことでリスクの軽減を図っております。
(8)情報管理体制について
・リスクが顕在化した場合に経営成績等の状況に与える影響の内容
当社は、AWSの導入や運用、又はクラウドサービス提供の過程において、クライアントの機密情報やユーザーの個人情報を取り扱う可能性がありますが、外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員の故意等による機密情報や個人情報の漏洩、消失、改竄又は不正利用等が発生し、当社がそのような事態に適切に対応できず信用失墜又は損害賠償による損失や不正利用による想定外の通信料負担の発生等が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
・リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクへの対応策
当該リスクが顕在化する可能性は、常にあるものと認識しております。当社においては、システム上のセキュリティ対策やアクセス権限管理の徹底に加え、2018年12月に情報セキュリティマネジメントシステム「ISO /IEC 27001(JIS Q 27001)」の認証を取得し、当該公的認証に準拠した規程・マニュアルの整備、運用等を行うことで、情報管理体制の強化に努めております。また、従業員に対する継続的な研修教育を行ってまいります。
(9)新規事業展開について
当社は、更なる事業成長と収益源の多様化を進めるため、積極的に新規事業開発に取り組む必要があると考えております。新規事業の展開にあたっては、市場規模及び当社シェアの推定による収益化の可能性や技術的な実現可能性などを十分吟味し、事業分野の選定及び計画立案を行ってまいります。
しかしながら、新規事業に伴うリスクを十分に調査や検証したうえで実行する方針ではあるものの、投資時点や事業展開の開始時点で想定されなかった事象が起こる可能性があり、当初想定した効果や利益が実現されない可能性もあります。そのような場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
3.その他
(1)配当政策について
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、経営成績及び財政状態を勘案して、株主への利益配当を実現することを基本方針としておりますが、今後の配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。
当社においては、現在事業の拡大過程にあり、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先することが株主への最大の利益還元につながると判断しております。
(2)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。また、今後においても新株予約権を活用したインセンティブプランを活用していく方針であります。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日時点でこれらの新株予約権による潜在株式数は64,200株であり、発行済株式総数1,000,000株の6.42%に相当しております。
(3)風評リスクについて
当社は、高品質のサービスの提供に努めるとともに、役員及び従業員に対する法令等の遵守浸透や情報管理に対する意識の徹底を行い、経営の健全性、効率性及び透明性の確保を図っております。しかしながら、当社のサービスや役員及び従業員に対して意図的に根拠のない噂や悪意を持った評判等を流布された場合には、当社の社会的信用、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)調達資金の使途について
株式上場時の公募増資による調達資金の使途については、人員体制強化費用や広告宣伝費など、事業拡大に向けた投資に充当する予定です。
しかしながら、当社が属する業界において急速に事業環境が変化することも考えられ、現時点における資金使途計画以外の使途へ資金を充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、当社において想定した投資効果が得られない可能性があり、当社の事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、資金使途に変更が生じた場合には、その旨を開示いたします。
(5)当社株式の流動株式比率および流通株式時価総額について
当社は、東京証券取引所グロース市場及び福岡証券取引所Q-Boardへの上場を予定しておりますが、東京証券取引所グロース市場の定める流通株式比率は新規上場時において27.5%にとどまる見込みです。また、本書提出日現在において想定する上場時の流通株式時価総額は、東京証券取引所グロース市場が定める形式要件に近接しております。
今後は資本政策を検討し、事業計画に基づく成長資金調達のための公募増資、大株主に対する株式売出しの要請や、ストック・オプションの行使等により流通株式数の増加に努めてまいります。しかしながら、これらの施策が奏功せず、又は株式市況等の要因により、流通株式比率が向上しない、あるいは低下する可能性があり、また流通株式時価総額が上場時から増加しない、あるいは低下する可能性があります。
(6)新型コロナウイルスなどの感染症について
当社では、リモートワークの推進等を行うことで、新型コロナウイルスなどの感染症の流行下でも事業継続のための体制を構築しておりますが、当社のクライアントが罹患等したことにより事業が停滞した場合には、当社へのシステム開発等の発注が停滞又は中止となる可能性があり、また、当社の従業員が罹患等した場合には、システム開発等の業務遂行に支障が生じる可能性があります。
現状、BCP(事業継続計画)の策定により、クライアントや事業への影響を最小化するよう努めておりますが、想定を超える感染症の拡大が発生し、企業の経済活動が停滞した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注1)IaaS
Infrastructure as a Serviceの略で、仮想サーバーやストレージなどの「インフラ」をインターネット経由で提供します。
(注2)PaaS
Platform as a Serviceの略で、アプリケーションの開発・実行環境などの「プラットフォーム」をインターネット経由で提供します。