有価証券報告書-第19期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(または本書提出日)現在において当社が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は、キャッシュレス決済サービス事業を取巻く経営環境が大きく変化する中、これまでに醸成されてきた社内文化や価値観を改めて明文化し、Corporate Identityである「ミッション(存在意義)・ビジョン(目指す姿)・バリュー(価値観)」を2020年12月に新たに制定いたしました。これらを、経営戦略の策定や経営の意思決定における根幹の考え方と位置づけ、全社一丸となって持続的成長を目指しております。

当社のキャッシュレス決済サービス事業は、社会インフラであり日本中の生活者の暮らしを支えるものとして高い倫理観を持ち続けながらも、「新しい生活を生み出す会社。」として、更なる便利で安全な消費社会の創出を目指し、「ありえないを、やり遂げる。」の精神で今後もダイナミックにチャレンジを続けてまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、主な連結財務指標としては売上高、親会社株主に帰属する当期純損益を特に重視しておりますが、KPIとしては、①全社の売上高、②全社の営業利益率、③EBITDA、④ROE、⑤当社センターへの接続端末台数(注)、⑥サービスレベル目標(SLO: Service Level Object)の達成の6点を事業計画上定めております。また、サスティナブル経営の観点からも、事業環境の変化に応じてマテリアリティの見直しを行うなど、持続的な成長と企業価値の向上に取組んでおります。
(注)加盟店に対する物理的な「ラストワンマイル」であり非財務指標における当社の事業規模を示すものとして定めております。
(3)経営環境
2018年4月の経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」において、2025年にキャッシュレス決済比率40%の実現を目指す(将来的には世界最高水準の80%を目指す)ことがうたわれ、「国策」としてキャッシュレス決済が推進されております。この目標に対し経済産業省の発表(2026年3月31日)において、2025年のキャッシュレス決済比率が58.0%(約162.7兆円)に達し、政府目標の2025年40%を大幅に超えるまでに成長しております。また、将来的な目標に向けた中間目標は、2030年に国内指標で65%(国際比較指標で55%)と定められ更なる市場拡大が見込まれ、これを追い風に、同業界においては、生活様式の変化を踏まえつつ、無人店舗やモバイルを起点とした新たなサービスやソリューションが増加しています。
経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」2026/3/31から当社作成
当社の最大の強みでもある電子マネーについてはキャッシュレス決済の利用動態の変化等の要因もあり、2025年に発表された野村総合研究所の予測によれば、2024年に6.2兆円であった市場規模が2028年には5.1兆円と、将来的には利用が減少していく見込ではありますが、当社の占有率は2025年時点で41.7%と増加しており、今後もこの領域においての高い占有率を活かしたアップセル・クロスセル施策の推進を行っていく方針です。一方、政府の成長戦略により業界全体に対する決済手数料の削減圧力が予見されており、また、決済ネットワーク領域では、NTTデータが運営するCAFIS、日本カードネットが運営するCARDNET、三井住友カードが運営するsteraといった主要プレイヤーの競合が激化しております。当社は決済業界における各プレイヤーと、一部では競合しながらも、多くのプレイヤーと広く協業し、面を拡大するオープン戦略を取っていることから市場再編や新規参入にも柔軟に対応していく方針です。
マクロでは、雇用人口減少に伴う自動化の発展、特に主な対面市場となっている小売業のニューリテイル(注)化の流れは新規プレイヤーの参入を促す脅威でもあると同時に、新たな市場機会と捉えております。
[ 決済業界の各プレイヤーと当社の関係性 ]

(注)小売業において、IT及びデータを活用することで、売上の拡大やコスト削減を図るとともに、消費者に対しオンラインとオフラインの融合等により新しい消費体験を提供するコンセプト
(4)経営戦略
当社は、これまで市場が求めるすべての決済端末に接続しあらゆる決済サービスを高いセキュリティかつワンストップで提供するという方針のもと、クラウド型の電子決済処理で事業を拡大してまいりました。既に接続端末台数は121万台超(2026年3月末時点)、年間で5.5兆円(2026年3月期実績)を超える決済を処理する社会インフラとして拡大しております。
[短期成長戦略]
当社の売上の8割を占めるストック収入は、接続端末台数が増加すればするほど拡大していく構造となっており、短期経営戦略としては、「キャッシュレス決済サービス事業」の面的拡大・岩盤化を推進するとともに、端末1台当たりの売上も成長させていくことで更なる収益拡大を図る方針です。
①接続端末の面的拡大
決済事業者との協業による加盟店拡大に加え、他決済事業者との協業、自販機・精算機市場への販売拡大により、新たな面の拡大を追求しております。
なお、自社端末としては、協業販売先を通じて「UTP-11」の大型案件の導入が決まるなど、協業の拡大を図るとともに、品質と価格競争力に優れた「UT-X11」の拡販に注力しております。また、他社端末での電子マネー対応を支援し、当社決済処理センターでのプロセシングを行う等、引き続きセンター運用強化のために端末レイヤーはオープンに協業を進める戦略です。
②端末1台当たりの売上拡大
キャッシュレス推進の追い風を捉え、QR・バーコード決済等の市場に導入される新決済サービスについても電子マネー領域の高い占有率を活かしたクロスセルによりブランド拡充を推進し、決済処理金額の増加による端末1台当たりの売上拡大を図るとともに、昨今のコスト上昇に見合う単価上昇及び端末あたりの定額(決済手段やブランド数に依存するが、処理件数、金額に連動しない)サブスクリプション型の課金体系から一部(QR・バーコード決済精算業務等)の従量課金(GMV課金(注1)、処理件数課金)の導入を進めており、ストック収入による収益拡大と合わせて、定額型・従量型のベストミックスを追求していきます。
[中長期成長戦略]
中長期での経営戦略としては、決済インフラを梃に、店舗の高度化を目的とした「総合流通ソリューション」の提供を通じて、新たな収益基盤の構築を目指しております。その取組の一環として、特に決済と親和性の高い店舗業務のラストワンマイルであるPOS(販売時点情報管理システム)に着目し、POSのクラウド化及びIoT化サービスを開始しております。また、当社の基盤事業である、キャッシュレス決済サービス事業と推進中の情報プロセシング事業の融合により得られる購買データ等の活用により、「新しいリテールのかたち」を創造する「PFM」事業構想の実現に挑戦し、情報プロセシング事業の収益化を合わせた展開を行ってまいります。
また、キャッシュレス決済サービス事業及び情報プロセシング事業の更なる拡大のため、業界のロールアップも視野に入れ、積極的にM&Aを行っていき、持続的、非連続的成長に努めてまいります。
(注)1. Gross Merchandise Value(流通取引総額)
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① セキュリティ体制の継続的強化及び決済システムの強化
電子決済サービスを提供している当社の事業には強固なセキュリティ、セキュアなシステムが求められており、それらを継続して強化していくことが当社の課題であると認識しております。具体的には、クレジットカード業界のセキュリティ基準協議団体(PCI SSC)が定めるPCI DSSの基準に則った運用をしており、決済端末で暗号化されたカード情報は、システムで復号化されるまで、決済処理の経路上でカード情報を取得できないようにしております。また、当社の事業がインターネットを介しての通信ネットワークに依存していることから、システム内の多層化・冗長化に取組んでおります。システム上の観点のみならず、情報セキュリティに関する規程に基づく管理の徹底と社内教育及び研修の実施によりセキュリティの強化に努めてまいります。
② 顧客満足度向上
当社の更なる成長を実現していくために、より多くの顧客に継続的に選ばれるよう、顧客満足度向上に努めることが、当社の事業競争力の強化に資すると考えております。そのために、決済遅延やシステム障害を未然に防止し、常時安定したサービスを提供できるインフラの整備や、顧客の声を反映しながら機能や性能の向上を図る改善サイクルの確立、顧客からのご意見・ご要望に迅速かつ的確に対応できる体制の強化等、サービス品質向上に努めてまいります。
③ 一時的な収益性悪化への対応
当期は、データセンター移設及びシステムの安全性確保やサービスの安定提供を目的に複数の対策を実施したことにより、一時的なコストが増加したほか、フロー収入である端末販売について前期の大型案件受注の反動や顧客の計画見直しによる導入遅延等が重なり、収益性が悪化しました。これらは将来的な事業基盤強化を目的とした先行投資及び一過性の要因であると認識しており、販売施策の強化による売上回復に加え、事業ポートフォリオの見直し、業務プロセスの効率化により、収益構造の早期改善に向け努めてまいります。なお、データセンター移設については、当期中に全工程を完了しております。
④ ストック収入による定常的な利益の創出
当社の収益モデルは、顧客端末が当社決済処理センターに接続され継続して利用されることで収益が積み上がっていくストック型の構造にありますが、収益を積み上げていくために先行して費用が計上されるインフラ事業的要素があります。顧客基盤の拡大と端末設置台数の増加に伴い、当社決済処理センターへの接続による売上のみで定常的な利益を創出することが課題となるため、コストマネジメントを徹底し利益の創出に取組んでまいります。
⑤ 「情報プロセシング」事業の拡大
当社は決済のみならず流通業が必要とするソリューションを総合的に提供する企業体、そしてデータを保存・分析・連携する「情報プロセシング」を提供する高度なインフラ事業体へと進化を遂げることが戦略的方向性であることから、「情報プロセシング」の安定的な収益化が課題であると認識しております。「情報プロセシング」の主なサービスである「クラウドPOS」「Xinfony DataHub」「RXクラウド」については、更なる導入拡大を図るとともに、スケールメリットを活かしたコスト効率の改善等利益体質の強化にも注力してまいります。その他のサービスにおいても、顧客との実証実験などを通じ具体化を図り、取組みを加速させていくことで収益化を図ってまいります。
⑥ M&A及びアライアンスによる企業価値向上
当社は、当連結会計年度において、株式会社フォー・ジェイを子会社化し、PMIを実施してまいりました。当社グループの中長期的な持続的成長と企業価値向上のため、グループ企業間での人材交流や最適配置の促進により外部へのコスト流出を抑止して収益性の向上を図るとともに、多様なスキルセットを有する人材の獲得に取組んでまいります。
⑦ 子会社との連携強化と子会社管理体制の確立
当社と経営統合した子会社との間で協業の体制を構築するとともに、相互に事業シナジーを創出し、当社グループの企業価値を向上させていくことが必要であると認識しております。当社の経営方針に沿った子会社の経営管理体制を強化し、引き続き当社と子会社のサービスの融合、相互送客によりグループシナジーを創出してまいります。
⑧ 人的資本経営の推進
当社の持続的な成長と企業価値の向上には、何事もやりきることができる強い「組織」とそれを構成するあらゆる「人材」が必要不可欠と考えております。事業を牽引する意欲が高い「人材」を確保し、戦略的な教育と成果に応じた評価と処遇の実行及び安心して働くことができる職場環境の向上をもって、より一層の人的資本経営の推進を行ってまいります。
⑨ 人件費・外部支出増加への対応
近年のIT分野の人材不足、円安や国内外の政情による経済への影響等により、人件費並びに外部委託費用やサービス提供に必要となる機器やソフトウエアの価格が上昇しており、当社収益を圧迫する要因となっています。更なる事業成長のために、サービス品質を維持・向上させながら、持続可能な収益性を確保するために、引き続きムリムラムダの極小化と原資配分の最適化に努め、適正なコントロールを目指してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(または本書提出日)現在において当社が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は、キャッシュレス決済サービス事業を取巻く経営環境が大きく変化する中、これまでに醸成されてきた社内文化や価値観を改めて明文化し、Corporate Identityである「ミッション(存在意義)・ビジョン(目指す姿)・バリュー(価値観)」を2020年12月に新たに制定いたしました。これらを、経営戦略の策定や経営の意思決定における根幹の考え方と位置づけ、全社一丸となって持続的成長を目指しております。

当社のキャッシュレス決済サービス事業は、社会インフラであり日本中の生活者の暮らしを支えるものとして高い倫理観を持ち続けながらも、「新しい生活を生み出す会社。」として、更なる便利で安全な消費社会の創出を目指し、「ありえないを、やり遂げる。」の精神で今後もダイナミックにチャレンジを続けてまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、主な連結財務指標としては売上高、親会社株主に帰属する当期純損益を特に重視しておりますが、KPIとしては、①全社の売上高、②全社の営業利益率、③EBITDA、④ROE、⑤当社センターへの接続端末台数(注)、⑥サービスレベル目標(SLO: Service Level Object)の達成の6点を事業計画上定めております。また、サスティナブル経営の観点からも、事業環境の変化に応じてマテリアリティの見直しを行うなど、持続的な成長と企業価値の向上に取組んでおります。
(注)加盟店に対する物理的な「ラストワンマイル」であり非財務指標における当社の事業規模を示すものとして定めております。
(3)経営環境
2018年4月の経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」において、2025年にキャッシュレス決済比率40%の実現を目指す(将来的には世界最高水準の80%を目指す)ことがうたわれ、「国策」としてキャッシュレス決済が推進されております。この目標に対し経済産業省の発表(2026年3月31日)において、2025年のキャッシュレス決済比率が58.0%(約162.7兆円)に達し、政府目標の2025年40%を大幅に超えるまでに成長しております。また、将来的な目標に向けた中間目標は、2030年に国内指標で65%(国際比較指標で55%)と定められ更なる市場拡大が見込まれ、これを追い風に、同業界においては、生活様式の変化を踏まえつつ、無人店舗やモバイルを起点とした新たなサービスやソリューションが増加しています。
経済産業省「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」2026/3/31から当社作成当社の最大の強みでもある電子マネーについてはキャッシュレス決済の利用動態の変化等の要因もあり、2025年に発表された野村総合研究所の予測によれば、2024年に6.2兆円であった市場規模が2028年には5.1兆円と、将来的には利用が減少していく見込ではありますが、当社の占有率は2025年時点で41.7%と増加しており、今後もこの領域においての高い占有率を活かしたアップセル・クロスセル施策の推進を行っていく方針です。一方、政府の成長戦略により業界全体に対する決済手数料の削減圧力が予見されており、また、決済ネットワーク領域では、NTTデータが運営するCAFIS、日本カードネットが運営するCARDNET、三井住友カードが運営するsteraといった主要プレイヤーの競合が激化しております。当社は決済業界における各プレイヤーと、一部では競合しながらも、多くのプレイヤーと広く協業し、面を拡大するオープン戦略を取っていることから市場再編や新規参入にも柔軟に対応していく方針です。
マクロでは、雇用人口減少に伴う自動化の発展、特に主な対面市場となっている小売業のニューリテイル(注)化の流れは新規プレイヤーの参入を促す脅威でもあると同時に、新たな市場機会と捉えております。
[ 決済業界の各プレイヤーと当社の関係性 ]

(注)小売業において、IT及びデータを活用することで、売上の拡大やコスト削減を図るとともに、消費者に対しオンラインとオフラインの融合等により新しい消費体験を提供するコンセプト
(4)経営戦略
当社は、これまで市場が求めるすべての決済端末に接続しあらゆる決済サービスを高いセキュリティかつワンストップで提供するという方針のもと、クラウド型の電子決済処理で事業を拡大してまいりました。既に接続端末台数は121万台超(2026年3月末時点)、年間で5.5兆円(2026年3月期実績)を超える決済を処理する社会インフラとして拡大しております。
[短期成長戦略]
当社の売上の8割を占めるストック収入は、接続端末台数が増加すればするほど拡大していく構造となっており、短期経営戦略としては、「キャッシュレス決済サービス事業」の面的拡大・岩盤化を推進するとともに、端末1台当たりの売上も成長させていくことで更なる収益拡大を図る方針です。
①接続端末の面的拡大
決済事業者との協業による加盟店拡大に加え、他決済事業者との協業、自販機・精算機市場への販売拡大により、新たな面の拡大を追求しております。
なお、自社端末としては、協業販売先を通じて「UTP-11」の大型案件の導入が決まるなど、協業の拡大を図るとともに、品質と価格競争力に優れた「UT-X11」の拡販に注力しております。また、他社端末での電子マネー対応を支援し、当社決済処理センターでのプロセシングを行う等、引き続きセンター運用強化のために端末レイヤーはオープンに協業を進める戦略です。
②端末1台当たりの売上拡大
キャッシュレス推進の追い風を捉え、QR・バーコード決済等の市場に導入される新決済サービスについても電子マネー領域の高い占有率を活かしたクロスセルによりブランド拡充を推進し、決済処理金額の増加による端末1台当たりの売上拡大を図るとともに、昨今のコスト上昇に見合う単価上昇及び端末あたりの定額(決済手段やブランド数に依存するが、処理件数、金額に連動しない)サブスクリプション型の課金体系から一部(QR・バーコード決済精算業務等)の従量課金(GMV課金(注1)、処理件数課金)の導入を進めており、ストック収入による収益拡大と合わせて、定額型・従量型のベストミックスを追求していきます。
[中長期成長戦略]
中長期での経営戦略としては、決済インフラを梃に、店舗の高度化を目的とした「総合流通ソリューション」の提供を通じて、新たな収益基盤の構築を目指しております。その取組の一環として、特に決済と親和性の高い店舗業務のラストワンマイルであるPOS(販売時点情報管理システム)に着目し、POSのクラウド化及びIoT化サービスを開始しております。また、当社の基盤事業である、キャッシュレス決済サービス事業と推進中の情報プロセシング事業の融合により得られる購買データ等の活用により、「新しいリテールのかたち」を創造する「PFM」事業構想の実現に挑戦し、情報プロセシング事業の収益化を合わせた展開を行ってまいります。
また、キャッシュレス決済サービス事業及び情報プロセシング事業の更なる拡大のため、業界のロールアップも視野に入れ、積極的にM&Aを行っていき、持続的、非連続的成長に努めてまいります。
(注)1. Gross Merchandise Value(流通取引総額)
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① セキュリティ体制の継続的強化及び決済システムの強化
電子決済サービスを提供している当社の事業には強固なセキュリティ、セキュアなシステムが求められており、それらを継続して強化していくことが当社の課題であると認識しております。具体的には、クレジットカード業界のセキュリティ基準協議団体(PCI SSC)が定めるPCI DSSの基準に則った運用をしており、決済端末で暗号化されたカード情報は、システムで復号化されるまで、決済処理の経路上でカード情報を取得できないようにしております。また、当社の事業がインターネットを介しての通信ネットワークに依存していることから、システム内の多層化・冗長化に取組んでおります。システム上の観点のみならず、情報セキュリティに関する規程に基づく管理の徹底と社内教育及び研修の実施によりセキュリティの強化に努めてまいります。
② 顧客満足度向上
当社の更なる成長を実現していくために、より多くの顧客に継続的に選ばれるよう、顧客満足度向上に努めることが、当社の事業競争力の強化に資すると考えております。そのために、決済遅延やシステム障害を未然に防止し、常時安定したサービスを提供できるインフラの整備や、顧客の声を反映しながら機能や性能の向上を図る改善サイクルの確立、顧客からのご意見・ご要望に迅速かつ的確に対応できる体制の強化等、サービス品質向上に努めてまいります。
③ 一時的な収益性悪化への対応
当期は、データセンター移設及びシステムの安全性確保やサービスの安定提供を目的に複数の対策を実施したことにより、一時的なコストが増加したほか、フロー収入である端末販売について前期の大型案件受注の反動や顧客の計画見直しによる導入遅延等が重なり、収益性が悪化しました。これらは将来的な事業基盤強化を目的とした先行投資及び一過性の要因であると認識しており、販売施策の強化による売上回復に加え、事業ポートフォリオの見直し、業務プロセスの効率化により、収益構造の早期改善に向け努めてまいります。なお、データセンター移設については、当期中に全工程を完了しております。
④ ストック収入による定常的な利益の創出
当社の収益モデルは、顧客端末が当社決済処理センターに接続され継続して利用されることで収益が積み上がっていくストック型の構造にありますが、収益を積み上げていくために先行して費用が計上されるインフラ事業的要素があります。顧客基盤の拡大と端末設置台数の増加に伴い、当社決済処理センターへの接続による売上のみで定常的な利益を創出することが課題となるため、コストマネジメントを徹底し利益の創出に取組んでまいります。
⑤ 「情報プロセシング」事業の拡大
当社は決済のみならず流通業が必要とするソリューションを総合的に提供する企業体、そしてデータを保存・分析・連携する「情報プロセシング」を提供する高度なインフラ事業体へと進化を遂げることが戦略的方向性であることから、「情報プロセシング」の安定的な収益化が課題であると認識しております。「情報プロセシング」の主なサービスである「クラウドPOS」「Xinfony DataHub」「RXクラウド」については、更なる導入拡大を図るとともに、スケールメリットを活かしたコスト効率の改善等利益体質の強化にも注力してまいります。その他のサービスにおいても、顧客との実証実験などを通じ具体化を図り、取組みを加速させていくことで収益化を図ってまいります。
⑥ M&A及びアライアンスによる企業価値向上
当社は、当連結会計年度において、株式会社フォー・ジェイを子会社化し、PMIを実施してまいりました。当社グループの中長期的な持続的成長と企業価値向上のため、グループ企業間での人材交流や最適配置の促進により外部へのコスト流出を抑止して収益性の向上を図るとともに、多様なスキルセットを有する人材の獲得に取組んでまいります。
⑦ 子会社との連携強化と子会社管理体制の確立
当社と経営統合した子会社との間で協業の体制を構築するとともに、相互に事業シナジーを創出し、当社グループの企業価値を向上させていくことが必要であると認識しております。当社の経営方針に沿った子会社の経営管理体制を強化し、引き続き当社と子会社のサービスの融合、相互送客によりグループシナジーを創出してまいります。
⑧ 人的資本経営の推進
当社の持続的な成長と企業価値の向上には、何事もやりきることができる強い「組織」とそれを構成するあらゆる「人材」が必要不可欠と考えております。事業を牽引する意欲が高い「人材」を確保し、戦略的な教育と成果に応じた評価と処遇の実行及び安心して働くことができる職場環境の向上をもって、より一層の人的資本経営の推進を行ってまいります。
⑨ 人件費・外部支出増加への対応
近年のIT分野の人材不足、円安や国内外の政情による経済への影響等により、人件費並びに外部委託費用やサービス提供に必要となる機器やソフトウエアの価格が上昇しており、当社収益を圧迫する要因となっています。更なる事業成長のために、サービス品質を維持・向上させながら、持続可能な収益性を確保するために、引き続きムリムラムダの極小化と原資配分の最適化に努め、適正なコントロールを目指してまいります。