半期報告書-第7期(2024/05/01-2025/04/30)
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
スペースデブリ(以下、デブリ)増加による宇宙環境の悪化は世界各国にとって喫緊の課題であす。その数は年々増加し続けており、大きさが10cm以上のデブリの数は40,500個を超えると推定されています(2024年6月、欧州宇宙機関(ESA)公表)。また、当中間連結会計期間に軌道上で少なくとも5回の破砕が観測されており、その深刻度が増しています。
当社グループを取り巻く軌道上サービス市場においては、技術の進展とともに、国際機関、業界団体の取り組みや各国政府等の各種政策の推進が加速しております。国際的宇宙機関等における協議の活発化や発表等を受けて、デブリの脅威に対する認知度、デブリ除去を促進する仕組み作りへの機運、Space Sustainabilityに関するイニシアティブや軌道上サービスの事業化に対するニーズは加速度的に高まっております。2024年6月にG7プーリアサミットで発表されたG7首脳宣言では、2023年5月のG7広島サミットのG7首脳宣言で初めて言及されたスペースデブリへの課題認識を踏襲して、デブリの低減及び改善に関する技術の更なる研究開発、並びに宇宙の持続可能性に関する基準や規制の策定を含め、デブリの低減と改善のための更なる解決策を進展させる各国の取組を歓迎することが示されました。米国連邦通信委員会(FCC)は、2004年に作成した周波数の許可に際して考慮されるデブリ低減ガイドラインを見直し、宇宙機の運用終了から5年以内の軌道離脱を必要とする命令(5年ルール)を2022年9月に発布していましたが、この5年ルールが2年の猶予期間を経て、2024年9月30日以降に打ち上げられる衛星について適用が開始されました。また、同月に開催された国際連合の未来サミットにおいて、「未来のための協定(Pact for the Future)」が全193か国の加盟国が参加する国連総会で決議されました。協定の行動目標56番に、宇宙の探査と利用に関する国際協力を強化することが規定されており、具体的には、宇宙の安全で持続可能な利用は、SDGs 2030年アジェンダの達成において重要な役割を果たすとし、スペースデブリ等に関する新たな枠組みの確立について、国連宇宙空間平和利用委員会(UN COPUOS:United Nations Committee on the Peaceful Uses of Outer Space)で議論すること、関係する民間セクターを含め利害関係者が宇宙の安全性と持続可能性の向上に関する政府間プロセスに貢献できるように関与を求めること等が決定されました。
2024年7月の非営利団体Space Foundationの発表によると、2023年の世界の宇宙経済は、7.4%の成長を遂げ、商業収益は宇宙経済の78%を占め、政府支出は3年連続で2桁%の成長を維持しました。日本では、総額1兆円規模とされているJAXA宇宙戦略基金について、2024年7月より複数のテーマについて公募が開始されました。上記のような取り組みを受けて、宇宙経済の更なる拡大が期待されると考えております。
このように、世界的に宇宙関連支出や軌道上サービスに関する政府需要及び民間需要に繋がる政策推進等の機運が高まる中、当社グループは、2024年7月にESAの通信システム先端研究ARTESプログラムの一部であるSunriseプログラムにおいてELSA-M最終フェーズ(フェーズ4)の契約を、2024年8月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)と商業デブリ除去実証(CRD2)フェーズⅡの契約を、2024年9月には、英国宇宙庁(UKSA)とCOSMICフェーズ2の契約を締結しました。当社グループでは、これらの契約を今後軌道上サービスの開発及び商業化に貢献する重要なミッションと位置付けております。このように、当社グループは各国で複数の案件の契約を締結し、受注実績において世界でリードしております。コアRPO技術の実証を2度成功させている当社グループが、軌道上サービスの担い手としての先駆的なポジションを引き続き堅持しております。
当社グループは「軌道上サービス事業」の単一セグメントであるため、セグメント毎の経営成績については記載を省略しておりますが、このような経営環境の中で、技術開発、事業開発及び各国政策への提言等レギュレーションに関する活動等を推進した結果、当中間連結会計期間の当社グループの取り組む4つの軌道上サービス(注)における事業進捗は以下の通りです。
(注)4つの軌道上サービス
・End-of-Life Services (EOL):衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去サービス
・Active Debris Removal (ADR):既存デブリの除去サービス
・Life Extension Services (LEX):寿命延長サービス
・In-situ Space Situational Awareness (ISSA):故障機や物体の観測・点検サービス
当中間連結会計期間の当社グループの主要なミッションパイプラインの進捗は以下の通りです。
(注)技術開発の進捗やサービスの提供に応じ、当社グループに支払われることが合意又は予定されている収益の合計金額であり、契約において定められた条件が実現に至らない場合、マイルストーン収入の一部が支払われない可能性があります。また、当社グループが受注未了のフェーズについては、当社グループの想定通りに受注に至る保証はありません。
以上の結果、当中間連結会計期間の財政状態及び経営成績の状況は、以下の通りとなりました。
a.財政状態の状況
・資産
当中間連結会計期間末における流動資産は32,293,119千円となり、前連結会計年度末に比べ14,547,002千円増加しました。これは主に、現金及び現金同等物が13,568,219千円増加したことによるものです。非流動資産は7,209,875千円となり、前連結会計年度末に比べ34,817千円減少しました。これは主に、有形固定資産が39,310千円減少したことによるものです。
この結果、資産合計は39,502,994千円となり、前連結会計年度末に比べ14,512,184千円増加しました。
・負債
当中間連結会計期間末における流動負債は14,045,789千円となり、前連結会計年度末に比べ5,181,363千円増加しました。これは主に、顧客との契約に基づく前受金の受領により契約負債が5,893,256千円増加したことによるものです。非流動負債は12,465,935千円となり、前連結会計年度末に比べ1,740,908千円増加しました。これは主に、引当金が1,893,194千円増加したことによるものです。
この結果、負債合計は26,511,724千円となり、前連結会計年度末に比べ6,922,271千円増加しました。
・資本
当中間連結会計期間末における資本合計は、新株の発行による資本金及び資本剰余金のそれぞれ10,035,054千円の増加、中間損失の計上による利益剰余金の12,946,999千円の減少等により、前連結会計年度末と比べて7,589,913千円増加し、12,991,270千円となりました。
b.経営成績の状況
当社グループにおける事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況は以下のとおりであります。
当中間連結会計期間における売上収益は、ADRAS-JやELSA-M フェーズ3が完了間近にあることにより減少し、加えて受注損失引当金を繰り入れたことにより売上総損失が増加し、前年同期に引き続き、営業損失、税引前中間損失、親会社の所有者に帰属する中間損失を計上することとなりました。
以上の結果、当中間連結会計期間における当社グループの業績は、売上収益725,785千円(前年同期比40.9%減)、営業損失12,121,397千円(前年同期は営業損失4,579,860千円)、税引前中間損失12,946,324千円(前年同期は税引前中間損失2,929,004千円)、親会社の所有者に帰属する中間損失12,946,999千円(前年同期は親会社の所有者に帰属する中間損失2,929,679千円)となりました。
ご参考までに、当中間連結会計期間における当社グループのプロジェクト収益(注)は2,520,577千円(前年同期比101.2%増)となりました(うち、政府補助金収入は1,794,791千円)。なお、セグメント毎の経営成績については、当社グループは、「軌道上サービス事業」の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
(注)プロジェクト収益は、国際財務報告基準(IFRS)により規定された指標ではなく、投資家が当社グループの業績を評価する上で、当社が有用と考える財務指標です。プロジェクト収益は以下により算出しております。
「プロジェクト収益=売上収益+政府補助金収入」
なお、この数値は、当社グループが提供するサービスの対価として取得する政府補助金収入を売上収益に加算して算出しており、分析手段として重要な制限があることから、IFRSに準拠して表示された他の指標の代替的指標として考慮されるべきではありません。当社グループにおけるこの数値は、同業他社の同指標あるいは類似の指標とは算定方法が異なるために、他社における指標とは比較可能でない場合があり、その結果、有用性が減少する可能性があります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ13,568,219千円増加し、27,764,447千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、6,698,930千円の支出(前年同期は6,416,467千円の支出)となりました。これは主に、税引前中間損失12,946,324千円、営業債務及びその他の債務の増加額4,728,611千円及び引当金の増加額2,274,298千円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、338,576千円の支出(前年同期は920,478千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出286,707千円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、20,754,064千円の収入(前年同期は2,182,066千円の収入)となりました。これは主に、株式の発行による収入19,854,705千円及び短期借入金の純増加額942,000千円によるものであります。
(3) 受注実績
当社グループで行う事業は、軌道上サービス事業の単一セグメントであり、当中間連結会計期間における受注実績(受注総額及び受注残総額)(注1)は、次の通りです。
(単位:千円)
(注) 1.受注総額は、特定の期間において締結された契約に基づき、当社グループが支払いを受けた又は受けることができる金額の総額をいいます。受注残総額は、特定の期間までの全ての期間における受注総額の合計額のうち、当該特定の期間の末日までに収益計上がなされていない金額をいいます。当社グループの技術開発の進捗その他当該契約において定められた条件が実現に至らない場合、サービス提供に応じて支払われるマイルストーン収入の一部が支払われない可能性があり、そのため、上記の受注残総額の全てにつき、収益認識に至らない可能性があります。
2.上記受注残総額のほか、当中間連結会計期間末において、契約の締結には至っていないものの、当社が現時点で競合の存在を認識していないことから、当社グループによる受注が期待できると認識する既存ミッションの後続フェーズ(ISSA-J1(旧SBIR)フェーズ2及びフェーズ3)に係る想定受注残総額としては、9,310百万円(当中間連結会計期間末時点)を見込んでおります。なお、当中間連結会計期間後、2024年11月に、フェーズ1の交付金額を812百万円減額し、同額につきフェーズ2において事前に部分交付申請を行うことが決定しました。後続フェーズについては契約の締結に至っていないため、当社グループが受注できず、又は、実際の受注金額が当社の想定と異なる可能性があります。
3.参考までに、当中間連結会計期間末時点における受注残総額に、(注)2.の当中間連結会計期間末時点における想定受注残総額を単純合算した金額は、27,648,269千円となりますが、(注)1.乃至2.記載の理由により、当該金額の全てにつき、収益認識に至らない可能性があります。
4.当中間連結会計期間において、軌道上サービス事業セグメントの受注総額及び受注残総額に著しい変動がありました。これは主に、ELSA-Mフェーズ4をEutelsat OneWeb社より受注したこと(契約金額:13.95百万ユーロ)及びCRD2フェーズⅡをJAXAより受注したこと(契約金額:12,000百万円)による増加であります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は5,898,756千円であります。
なお、中間連結会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
スペースデブリ(以下、デブリ)増加による宇宙環境の悪化は世界各国にとって喫緊の課題であす。その数は年々増加し続けており、大きさが10cm以上のデブリの数は40,500個を超えると推定されています(2024年6月、欧州宇宙機関(ESA)公表)。また、当中間連結会計期間に軌道上で少なくとも5回の破砕が観測されており、その深刻度が増しています。
当社グループを取り巻く軌道上サービス市場においては、技術の進展とともに、国際機関、業界団体の取り組みや各国政府等の各種政策の推進が加速しております。国際的宇宙機関等における協議の活発化や発表等を受けて、デブリの脅威に対する認知度、デブリ除去を促進する仕組み作りへの機運、Space Sustainabilityに関するイニシアティブや軌道上サービスの事業化に対するニーズは加速度的に高まっております。2024年6月にG7プーリアサミットで発表されたG7首脳宣言では、2023年5月のG7広島サミットのG7首脳宣言で初めて言及されたスペースデブリへの課題認識を踏襲して、デブリの低減及び改善に関する技術の更なる研究開発、並びに宇宙の持続可能性に関する基準や規制の策定を含め、デブリの低減と改善のための更なる解決策を進展させる各国の取組を歓迎することが示されました。米国連邦通信委員会(FCC)は、2004年に作成した周波数の許可に際して考慮されるデブリ低減ガイドラインを見直し、宇宙機の運用終了から5年以内の軌道離脱を必要とする命令(5年ルール)を2022年9月に発布していましたが、この5年ルールが2年の猶予期間を経て、2024年9月30日以降に打ち上げられる衛星について適用が開始されました。また、同月に開催された国際連合の未来サミットにおいて、「未来のための協定(Pact for the Future)」が全193か国の加盟国が参加する国連総会で決議されました。協定の行動目標56番に、宇宙の探査と利用に関する国際協力を強化することが規定されており、具体的には、宇宙の安全で持続可能な利用は、SDGs 2030年アジェンダの達成において重要な役割を果たすとし、スペースデブリ等に関する新たな枠組みの確立について、国連宇宙空間平和利用委員会(UN COPUOS:United Nations Committee on the Peaceful Uses of Outer Space)で議論すること、関係する民間セクターを含め利害関係者が宇宙の安全性と持続可能性の向上に関する政府間プロセスに貢献できるように関与を求めること等が決定されました。
2024年7月の非営利団体Space Foundationの発表によると、2023年の世界の宇宙経済は、7.4%の成長を遂げ、商業収益は宇宙経済の78%を占め、政府支出は3年連続で2桁%の成長を維持しました。日本では、総額1兆円規模とされているJAXA宇宙戦略基金について、2024年7月より複数のテーマについて公募が開始されました。上記のような取り組みを受けて、宇宙経済の更なる拡大が期待されると考えております。
このように、世界的に宇宙関連支出や軌道上サービスに関する政府需要及び民間需要に繋がる政策推進等の機運が高まる中、当社グループは、2024年7月にESAの通信システム先端研究ARTESプログラムの一部であるSunriseプログラムにおいてELSA-M最終フェーズ(フェーズ4)の契約を、2024年8月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)と商業デブリ除去実証(CRD2)フェーズⅡの契約を、2024年9月には、英国宇宙庁(UKSA)とCOSMICフェーズ2の契約を締結しました。当社グループでは、これらの契約を今後軌道上サービスの開発及び商業化に貢献する重要なミッションと位置付けております。このように、当社グループは各国で複数の案件の契約を締結し、受注実績において世界でリードしております。コアRPO技術の実証を2度成功させている当社グループが、軌道上サービスの担い手としての先駆的なポジションを引き続き堅持しております。
当社グループは「軌道上サービス事業」の単一セグメントであるため、セグメント毎の経営成績については記載を省略しておりますが、このような経営環境の中で、技術開発、事業開発及び各国政策への提言等レギュレーションに関する活動等を推進した結果、当中間連結会計期間の当社グループの取り組む4つの軌道上サービス(注)における事業進捗は以下の通りです。
(注)4つの軌道上サービス
・End-of-Life Services (EOL):衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去サービス
・Active Debris Removal (ADR):既存デブリの除去サービス
・Life Extension Services (LEX):寿命延長サービス
・In-situ Space Situational Awareness (ISSA):故障機や物体の観測・点検サービス
当中間連結会計期間の当社グループの主要なミッションパイプラインの進捗は以下の通りです。
プロジェクト | カテゴリ | 主な進捗 |
ADRAS-J | ISSA | 当社の日本連結子会社である株式会社アストロスケールが取り組むJAXAのCRD2フェーズⅠにおいて、2024年2月にサービサー衛星である「ADRAS-J」の打上げに成功しました。 ・2024年4月 デブリの後方数百mの距離にまで接近することに成功し、接近する過程でデブリの撮影を実施しました。 ・2024年6月~7月 デブリから約50mの距離への接近に成功し、さらにその距離において定点観測を実施しました。その後、約50mの距離を維持したまま周回観測を実施し、デブリの周囲の画像を連続して撮影しました。周回観測とは、一定の距離を保ちながら物体の周りを飛行することであり、RPO(ランデブ・近傍運用)の中でも非常に高度な技術です。 当社の認識では、軌道上で直接デブリを観測し、最も近い距離で撮像した世界初の事例になります。 |
ELSA-M | EOL | 当社の英国連結子会社であるAstroscale Ltdは、グローバルに衛星通信サービスを提供するNetwork Access Associates Limited(Eutelsat OneWeb社)をパートナーとして、「ELSA-d」の機能拡張版であり複数デブリの除去が可能な衛星「ELSA-M」の開発を推進しました。ELSA-Mフェーズ3(契約金額:14.79百万ユーロ(注))を推進するとともに、2024年7月に最終フェーズであるフェーズ4(契約金額:13.95百万ユーロ(注))の契約を締結しました。本フェーズでは、衛星の製造から軌道上実証までが含まれます。 将来の商業化に向けて、ドッキングプレート搭載に関して、複数の企業や政府と交渉を継続しています。 |
COSMIC | ADR | Astroscale Ltdがイギリス宇宙庁(UKSA)のデブリ除去プログラムCOSMICフェーズB(契約金額:約2.0百万英ポンド(注))を完了した後、後続フェーズについて入札しており、2024年9月5日付で、COSMICフェーズ2の契約を締結いたしました(契約金額:1.95百万英ポンド(注))。なお、COSMICフェーズ2は、従前COSMICフェーズCと呼称していた後続ミッションの初期段階を切り出したプロジェクトであり、主要技術の成熟とリスク低減に重点を置いています。実際のデブリ除去ミッションフェーズは改めて入札が行われると想定しています。 |
ISSA-J1 (旧SBIR) | ISSA | 株式会社アストロスケールが、文部科学省が実施するSBIR制度において、2023年9月に受注した宇宙分野(事業テーマ:デブリ低減に必要な技術開発・実証)を対象とした大規模技術実証事業であり、フェーズ1に係る開発を順調に推進しております。当中間連結会計期間後、2024年11月に、フェーズ1の交付金額を812百万円減額し、同額につきフェーズ2において事前に部分交付申請を行うことが決定しました。これは、補助金の交付金額対象範囲に関する一般社団法人低炭素投資促進機構との協議の結果、一般的にマイルストーン達成に応じてベンダーに都度支払いを行うマイルストーンペイメント方式において、マイルストーン成果物ではなく最終製品の納品をもって補助金を申請すべきとの結論となったためです。本変更後も、全3フェーズを通じて、補助金総額(最大12,000百万円(注))及び事業期間(2028年3月末まで)について変更はありません。 |
APS-R | LEX | 当社の米国連結子会社であるAstroscale U.S. Inc.は、2023年9月に米国宇宙軍から受注した軌道上で燃料補給を実施する衛星のプロトタイプの開発を行うプログラムにおいて、順調に開発を推進しております。なお、契約金額について、2024年6月17日付で従前25.5百万米ドルから26.9百万米ドルに増額、2024年9月26日付で29.4百万米ドルに増額されました(注)。 |
ADRAS-J2 | ADR | 株式会社アストロスケールが取り組むJAXAのCRD2フェーズⅡであり、実証中のADRAS-Jの後続ミッションとなります。軌道上にある日本由来のロケット上段への接近・近傍運用や撮像等に加え、捕獲や軌道離脱も行います。なお、2024年8月20日付でJAXAとCRD2フェーズⅡの契約を締結いたしました(契約金額:12,000百万円(注))。 |
LEXI-P | LEX | 商業サービス用衛星初号機「LEXI-P」については、ペイロード詳細設計審査(CDR)の完了に向け、順調に開発を推進しております。 なお、Astroscale U.S. Inc.は、2023年12月に法的拘束力を有しないタームシート(主要な契約条件を整理した文書)に合意・署名(想定契約金額:121百万米ドル(注))した特定の静止衛星運用者との間で、寿命延長サービスの提供に関する契約交渉を継続しております。 |
Project A | LEX | 入札済みです。 |
(注)技術開発の進捗やサービスの提供に応じ、当社グループに支払われることが合意又は予定されている収益の合計金額であり、契約において定められた条件が実現に至らない場合、マイルストーン収入の一部が支払われない可能性があります。また、当社グループが受注未了のフェーズについては、当社グループの想定通りに受注に至る保証はありません。
以上の結果、当中間連結会計期間の財政状態及び経営成績の状況は、以下の通りとなりました。
a.財政状態の状況
・資産
当中間連結会計期間末における流動資産は32,293,119千円となり、前連結会計年度末に比べ14,547,002千円増加しました。これは主に、現金及び現金同等物が13,568,219千円増加したことによるものです。非流動資産は7,209,875千円となり、前連結会計年度末に比べ34,817千円減少しました。これは主に、有形固定資産が39,310千円減少したことによるものです。
この結果、資産合計は39,502,994千円となり、前連結会計年度末に比べ14,512,184千円増加しました。
・負債
当中間連結会計期間末における流動負債は14,045,789千円となり、前連結会計年度末に比べ5,181,363千円増加しました。これは主に、顧客との契約に基づく前受金の受領により契約負債が5,893,256千円増加したことによるものです。非流動負債は12,465,935千円となり、前連結会計年度末に比べ1,740,908千円増加しました。これは主に、引当金が1,893,194千円増加したことによるものです。
この結果、負債合計は26,511,724千円となり、前連結会計年度末に比べ6,922,271千円増加しました。
・資本
当中間連結会計期間末における資本合計は、新株の発行による資本金及び資本剰余金のそれぞれ10,035,054千円の増加、中間損失の計上による利益剰余金の12,946,999千円の減少等により、前連結会計年度末と比べて7,589,913千円増加し、12,991,270千円となりました。
b.経営成績の状況
当社グループにおける事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況は以下のとおりであります。
当中間連結会計期間における売上収益は、ADRAS-JやELSA-M フェーズ3が完了間近にあることにより減少し、加えて受注損失引当金を繰り入れたことにより売上総損失が増加し、前年同期に引き続き、営業損失、税引前中間損失、親会社の所有者に帰属する中間損失を計上することとなりました。
以上の結果、当中間連結会計期間における当社グループの業績は、売上収益725,785千円(前年同期比40.9%減)、営業損失12,121,397千円(前年同期は営業損失4,579,860千円)、税引前中間損失12,946,324千円(前年同期は税引前中間損失2,929,004千円)、親会社の所有者に帰属する中間損失12,946,999千円(前年同期は親会社の所有者に帰属する中間損失2,929,679千円)となりました。
ご参考までに、当中間連結会計期間における当社グループのプロジェクト収益(注)は2,520,577千円(前年同期比101.2%増)となりました(うち、政府補助金収入は1,794,791千円)。なお、セグメント毎の経営成績については、当社グループは、「軌道上サービス事業」の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
(注)プロジェクト収益は、国際財務報告基準(IFRS)により規定された指標ではなく、投資家が当社グループの業績を評価する上で、当社が有用と考える財務指標です。プロジェクト収益は以下により算出しております。
「プロジェクト収益=売上収益+政府補助金収入」
なお、この数値は、当社グループが提供するサービスの対価として取得する政府補助金収入を売上収益に加算して算出しており、分析手段として重要な制限があることから、IFRSに準拠して表示された他の指標の代替的指標として考慮されるべきではありません。当社グループにおけるこの数値は、同業他社の同指標あるいは類似の指標とは算定方法が異なるために、他社における指標とは比較可能でない場合があり、その結果、有用性が減少する可能性があります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ13,568,219千円増加し、27,764,447千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、6,698,930千円の支出(前年同期は6,416,467千円の支出)となりました。これは主に、税引前中間損失12,946,324千円、営業債務及びその他の債務の増加額4,728,611千円及び引当金の増加額2,274,298千円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、338,576千円の支出(前年同期は920,478千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出286,707千円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、20,754,064千円の収入(前年同期は2,182,066千円の収入)となりました。これは主に、株式の発行による収入19,854,705千円及び短期借入金の純増加額942,000千円によるものであります。
(3) 受注実績
当社グループで行う事業は、軌道上サービス事業の単一セグメントであり、当中間連結会計期間における受注実績(受注総額及び受注残総額)(注1)は、次の通りです。
(単位:千円)
セグメントの名称 | 前連結会計年度 | 当中間連結会計期間 | |
受注残総額 | 受注総額 | 受注残総額 | |
軌道上サービス事業 | 5,411,832 | 15,481,646 | 18,338,269 |
合 計 | 5,411,832 | 15,481,646 | 18,338,269 |
(注) 1.受注総額は、特定の期間において締結された契約に基づき、当社グループが支払いを受けた又は受けることができる金額の総額をいいます。受注残総額は、特定の期間までの全ての期間における受注総額の合計額のうち、当該特定の期間の末日までに収益計上がなされていない金額をいいます。当社グループの技術開発の進捗その他当該契約において定められた条件が実現に至らない場合、サービス提供に応じて支払われるマイルストーン収入の一部が支払われない可能性があり、そのため、上記の受注残総額の全てにつき、収益認識に至らない可能性があります。
2.上記受注残総額のほか、当中間連結会計期間末において、契約の締結には至っていないものの、当社が現時点で競合の存在を認識していないことから、当社グループによる受注が期待できると認識する既存ミッションの後続フェーズ(ISSA-J1(旧SBIR)フェーズ2及びフェーズ3)に係る想定受注残総額としては、9,310百万円(当中間連結会計期間末時点)を見込んでおります。なお、当中間連結会計期間後、2024年11月に、フェーズ1の交付金額を812百万円減額し、同額につきフェーズ2において事前に部分交付申請を行うことが決定しました。後続フェーズについては契約の締結に至っていないため、当社グループが受注できず、又は、実際の受注金額が当社の想定と異なる可能性があります。
3.参考までに、当中間連結会計期間末時点における受注残総額に、(注)2.の当中間連結会計期間末時点における想定受注残総額を単純合算した金額は、27,648,269千円となりますが、(注)1.乃至2.記載の理由により、当該金額の全てにつき、収益認識に至らない可能性があります。
4.当中間連結会計期間において、軌道上サービス事業セグメントの受注総額及び受注残総額に著しい変動がありました。これは主に、ELSA-Mフェーズ4をEutelsat OneWeb社より受注したこと(契約金額:13.95百万ユーロ)及びCRD2フェーズⅡをJAXAより受注したこと(契約金額:12,000百万円)による増加であります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は5,898,756千円であります。
なお、中間連結会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。