有価証券届出書(新規公開時)

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2026/05/21 15:30
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有報資料

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
日本経済において労働人口減少問題が深刻化する中、当社は高度生産性社会の実現に向けて、金融領域をはじめとした重要な社会インフラであるミッション・クリティカル・システムのモダン化を支援しております。
(当社が提供する価値)
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また当社では、以下のとおり、ビジョン、ミッション、バリューを定めております。
・ビジョン: テクノロジーで、高度生産性社会のその先へ
・ミッション:エンジニアリングの力で、ミッション・クリティカル・システムをモダン化する
・バリュー: プロフェッショナリズム「全ての観点において『プロ』であること」
共感「他者に寄り添い共感すること」
チームワーク「個を尊重し、チームで成功を遂げること」
挑戦「常に挑戦し続け、そしてやり抜くこと」
当社事業がターゲットとするミッション・クリティカル・システムのモダン化においては、高い技術力が求められるため、当社事業の推進において、優秀なエンジニアを確保する必要があります。そのため、当社事業を推進するうえで、最も重要となる経営理念として「エンジニアリング・ファースト」を掲げております。
この「エンジニアリング・ファースト」のアプローチは、日本だけでなく、世界中から優秀なエンジニアを惹きつけており、エンジニアの才能と多様性が織りなすハイブリッドなカルチャーを育んでおります。当社は、このカルチャーを土台に複雑で重要な課題に立ち向かう卓越したエンジニアのチームを作り上げ、「エンジニアリング・ファースト」の理念に基づき、これまで力強い成長を遂げてまいりました。
また、当社では、開発を支援したプロジェクトで蓄積したAIの活用に関する知見や新機能に関する技術資産を活用し、当社技術の競争優位性を高める取組みを行っております。これにより、当社は顧客に対して持続的な付加価値を提供しながら、優秀なエンジニアの生産性をさらに高めることができます。このアプローチによって、持続的な競争優位性の確立と企業価値の向上を同時に実現しております。
今後も「エンジニアリング・ファースト」の理念を忠実に守り、実践しながら、金融業界だけではなく、社会インフラを支える他業界のミッション・クリティカルなシステムを複合的に結び付け、モダン化を実現する役割を担っていきたいと考えております。当社では、これらシステムのモダン化によって社会をより良い形へと変革することに挑戦していくことで、誰もがより生産的で豊かな生活を送れる高度生産性社会の実現に貢献していくことを目指してまいります。
(2)経営環境
国内景気は、雇用・所得環境の改善とともに、緩やかな回復が見られます。一方で、海外景気は、中東情勢の影響に加え、米国の通商政策動向等によって未だ不透明な状況が続いております。しかしながら、金融領域におけるDXのニーズは衰えることなく、当社が注力するシステムのモダン化ニーズもより一層高まっていると認識しております。
また、日本企業におけるソフトエンジニアをはじめとしたDX人材不足は、年々、深刻化しており、独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025(注1)」では、DXを推進する人材の「量」の確保状況について尋ねた結果、日本は「やや不足している」「大幅に不足している」の割合の合計が85.1%となっており、2023年度の同調査結果と同様、大半の企業でDX推進人材が不足している状態となっております。当社は、この状況が今後も継続するものと考えており、DX人材の不足を解決するためには、AI技術を活用して、効率的にシステムモダナイゼーションを推進する体制を構築することが重要になると考えております。
(DXを推進する人材の「量」の確保:経年変化・国別)
0202010_002.png(注)1:出所、独立行政法人情報処理推進機構、「DX動向2025」、2025年6月26日
金融庁「金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レポート」によると、当社がターゲットとする国内銀行の年間システム経費は、2021年度で1兆円を超えており、そのうちメガバンクは各行1,000億円以上、地域銀行は各行平均52億円、信用金庫は各庫平均6億円となっております(注2)。
また、同調査結果レポートによると、当社の主要ターゲットとなる地域銀行においては、勘定系システムが複雑化・肥大化しており、システム経費は預金量の0.16%となっております。シンプルなシステム構成である信用金庫のシステム経費が預金量の0.10%に留まっていることに鑑みると、地域銀行において、システム維持コストの圧縮や開発の効率化が大きな課題になっていると考えております。
(国内地域銀行及び信用金庫における「業態別のシステム経費/預金量」)
0202010_003.png(注)2:出所、金融庁、金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レポート、2022年6月30日
加えて、同調査結果レポートによると、10年後には一部機能のオープン化まで含めると約8割の地域銀行の勘定系システムがオープン化に移行(オンプレミスからクラウドサーバー環境へ移行)することを見込んでおります。同調査結果レポートでは、コスト削減に関しては、一部の地域銀行では勘定系システムの維持コストを30%削減可能と試算する事例も存在していることが報告されており、当社では、今後、地域銀行では、次世代勘定系システムの開発の流れが加速すると予想しております。
(当社が考える勘定系システムのモダン化プロセス)
0202010_004.png(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社事業の主たる収益源は、システム開発支援案件を顧客から受託するビジネスモデルであるため、当社では、毎年安定的に利益を生み出す営業活動によるキャッシュ・フローの拡充を目指しております。
また、財務的な指標としては、収益性の観点から営業利益率を重視しており、持続的かつ安定的な企業経営のために財務安全性も重視していることから、期末時点における手元流動性比率を注視しております。
当社では、上記の高い成長率と収益性を達成するために、「ハイエンド・エンジニア数(注1)」と「1名あたり年間平均売上高(注2)」を経営指標として重視しております。
・ハイエンド・エンジニア数
当社では、顧客プロジェクトにアサインして稼働対象となるハイエンド・エンジニアを最重要経営資源として位置付けております。顧客のニーズに応えたシステム開発支援を推進し、更なる事業の拡大を図るためには、ハイエンド・エンジニア数の確保が重要であると考えております。従って、ハイエンド・エンジニア数は、当社の経営資源の指標として、有用かつ必要であると考えております。
・1名あたり年間平均売上高
当社では、ハイエンド・エンジニア数の拡大に加え、より付加価値が高く、顧客にとって重要なシステム開発案件を受注することが、当社の成長には欠かせないと考えております。また、ハイエンド・エンジニア1名あたりの生産性向上やストック型収入の成長によって売上高を最大化することが重要であると考えております。従って、ハイエンド・エンジニア1名あたりの年間平均売上高の情報は、当社ハイエンド・エンジニアの品質評価や生産性に係る指標として、有用かつ必要であると考えております。
(注1)クラウドネイティブで世界標準のシステム設計が行える技術とAIを高次元で活用できる技術を有するエンジニアと、システムモダナイゼーションのプロジェクトマネジメントやDXコンサルティングを行うソリューション・コンサルタントで、当社独自のコーディングテスト等による厳格な採用選考を通過した顧客プロジェクトにアサインされる稼働対象人員の人数
(注2)1名あたり年間平均売上高=当社年間売上高(注3)÷期中平均ハイエンド・エンジニア数(注4)
(注3)ラボオートメーション事業を除くシステムモダナイゼーション事業の年間売上高
(注4)前四半期末と四半期末におけるハイエンド・エンジニア数を合計して2で除した数値を、当該事業年度における4四半期分を合計して4で除した数値
(4)経営戦略等
当社では、短期的には、主たる顧客である金融機関向けのシステム開発支援を着実に遂行しながら、AI技術を活用した開発の実践ノウハウを蓄積してまいります。中期的には、これらの知見を結実させたAI技術によるシステムモダナイゼーションサービスの提供や、開発支援を行ったシステムの保守・運用、さらには自動化技術等の開発ノウハウを基盤とした自社ソリューションの開発に注力してまいります。また、長期的には、金融業界で培った高い信頼を背景に、製造・ヘルスケア・物流・小売・公共・行政等の他業界のミッション・クリティカル・システム開発支援へと横展開し、事業ドメインを拡大していく方針です。なお、短期的及び中期的に実行する具体的なアクションは以下のとおりです。
①フロー型収入の安定と拡大
当社は、主に金融領域においてシステム開発支援の案件を新規で受注、あるいは既存の開発案件を継続・拡大しております。こうした案件を確実に遂行し、更なる案件拡大へとつなげるために、高品質なサービス提供を継続することに注力いたします。
②ストック型収入の拡大
更なる安定的収益基盤確保のため、当社が開発支援したシステムの保守・運用の受託や自社ソリューション提供及び他社クラウドサービス・SaaSプロダクトのリセールを強化してまいります。また、これまでの開発で培ったノウハウを活用し、AIを活用したレガシーシステムのモダナイゼーション、金融領域における新規サービスと勘定系システムを連携するためのAPIゲートウェイシステム等の自社ソリューションの開発・販売を進めてまいります。
③開発体制の強化及びAI活用によるエンジニアの生産性向上
当社の高い技術力を維持しながら、事業規模を拡大するためには、優秀なエンジニアの採用が必要不可欠です。当社は、「エンジニアリング・ファースト」の理念のもと、エンジニアが働きやすいフレキシブルな環境を整備し、国籍を問わない積極的かつ柔軟な採用活動を展開することで、組織体制の強化を進めてまいります。
また、エンジニア一人一人の生産性及び技術的な競争優位性を高めるため、AI駆動開発を推進し、顧客向けのプロジェクトや自社ソリューション開発にAIを積極的に活用してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の優先的に対処すべき事業上の課題は以下のとおりであります。なお、財務上の課題は、本書提出日現在において有利子負債はなく、当社の財務は安定しており、優先的に対処すべき課題がないため、記載しておりません。
①優秀なエンジニアの採用と定着・育成
当社は、エンジニアリング・カンパニーとして、金融領域を主としたミッション・クリティカルな社会インフラに関わるシステム開発の支援を行っており、これらのプロジェクトを実行する優秀なエンジニアの獲得が重要であると認識しております。特に、銀行向けの勘定系システムやAPIゲートウェイシステムの開発をはじめとした金融領域では、プロジェクトの遂行において高度な技術力が要求されています。そのため、最新のソフトウェア開発手法と革新的なモダンテクノロジーを活用して、グローバルスタンダードのアーキテクチャとベストプラクティスに基づき、最先端のエンジニアリング技術を統合可能な優秀なエンジニアを確保することが、結果として当社の成長に寄与すると考えております。当社では、通年での中途採用を実施しており、引き続き、採用プロセスの改善を継続しながら、優秀なエンジニアの獲得に努めてまいります。
また、「エンジニアリング・ファースト」の理念のもとで、エンジニアが安心して働きやすい環境・待遇の整備に注力し、高いモチベーションを維持したまま業務を遂行できるように努めております。当社では、エンジニア主体の組織・評価制度等の設計やテレワーク制度の導入等、会社としてエンジニアがパフォーマンスを発揮するための組織運営を行ってまいります。
②収益基盤の拡大
当社は、金融領域におけるシステム開発支援を主軸に事業を展開しております。ミッション・クリティカル・システムのモダナイゼーションには多くのエンジニアリソースを必要とすることから、現在、当社では勘定系システム開発支援のプロジェクトを集中的に支援しております。そのため、特定の顧客における依存度が高く、2025年6月期における販売先上位2社による売上高の構成比が71.6%を占めております。今後、当社顧客を取り巻く事業環境の変化等により、業界又は主要顧客の方針等が変更になった場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。当社では、主要な顧客への売上高の依存を低下するため、新規顧客の開拓及び新規受注プロジェクトの案件拡大に取組んでおります。
③収益基盤の安定化
昨今の顧客の経営環境は、システムの老朽化やDXの推進等によって、これらの課題を解決するための最先端の技術を活用したシステム開発支援に対する需要が高まっております。一方で、既存のシステム開発支援ビジネスは、顧客の経営環境等によってプロジェクトへの投資が大きく変更される可能性があり、一過性の需要に留まるリスクがあります。そのため、当社では、中長期的なプロジェクトとなることが見込めるミッション・クリティカル・システムの開発支援を優先的に受注することに加えて、開発を支援したシステムの保守・運用や新たなテクノロジーを活用したリカーリングビジネスの開発等を進めております。これらの中長期での収益が見込める案件を獲得することによって、当社収益基盤の安定化に取組んでおります。
④高度なAIの活用等によるエンジニアリング力の向上
当社は、今後の事業拡大に向けて、技術的な競争力を確保するため、エンジニアリング力の向上に取組んでおります。昨今のAI技術の進歩を踏まえ、AIの活用を高度なレベルで行うことでエンジニアの生産性を向上することが他社との競争優位を確立するうえで重要であると認識しております。そのため、システム開発案件におけるAI駆動開発の推進や、AI活用に向けた社内ガイドライン等の整備を行っております。また、生産性の向上に加えて、金融領域のシステム開発に対応可能なセキュリティレベルの向上及びエンジニアリング・保守・運用等のオペレーションの最適化にも取組んでおります。
⑤内部管理体制の更なる強化
当社は、事業の継続的な成長にあたって、顧客やパートナー企業等、外部のステークホルダーからの信頼を得ることが不可欠であると考えております。当社では、事業基盤の拡大のみならず、内部管理体制の構築も積極的に推進してまいりました。また、現在も株式上場を見据えた管理部門の人員増加を含め、管理面の強化を行っておりますが、今後更なる事業拡大を見据え、継続的な内部管理体制の強化、内部統制やコーポレート・ガバナンスの充実を図ってまいります。
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