有価証券報告書-第71期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/25 15:03
【資料】
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【項目】
135項目

業績等の概要

(1)業績
当期におけるわが国経済は、政府による経済政策の効果もあり、企業収益や雇用環境の改善傾向が続き、緩やかな回復基調となりました。その一方で、増税後に落ち込んだ消費の回復の遅れや天候不順の影響もあり、個人消費には低迷の動きも見られました。
水産・食品業界におきましては、急激な円安による原材料価格の高騰や、人材不足への懸念など、厳しい事業環境が続きました。
このような状況のもと、当社グループは、中期4ヵ年経営計画「Challenge toward 2017(2014-2017)」で掲げた信頼回復と成長戦略の遂行に向け、品質保証体制の強化及び危機管理体制の再構築に取り組む一方、豪州漁業会社の子会社化による水産資源アクセスの基盤強化を進めるなど、グローバル領域での収益拡大に取り組んでまいりました。
その結果、売上高は863,784百万円(前期比1.4%増)、営業利益は8,686百万円(前期比18.3%減)、経常利益は11,834百万円(前期比15.2%減)、当期純利益は7,219百万円(前期比126.2%増)となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
漁業・養殖事業
漁業・養殖事業は、国内外の水産資源の持続可能かつトレーサビリティの確保できる供給源として、効率的な操業により収益の確保に努めました。
漁業部門では、海外まき網事業が単価下落と不漁により不振となりましたが、養殖部門ではカンパチ・ブリの価格が堅調に推移した結果、漁業・養殖事業の売上高は35,109百万円(前期比2.9%増)、セグメント利益は964百万円(前期比1.3%減)となりました。
商事事業
商事事業は、国内外にわたる調達・販売ネットワークを持つ水産商事ユニット・畜産商事ユニット、市場流通の基幹を担う荷受ユニット、及び量販店、コンビニエンスストア、生協、外食、介護食、通販などの業態に特化した戦略販売ユニットから構成され、国内外の市場動向を注視しながらお客様のニーズに対応した的確な買付販売と水産加工事業の強化により、収益の確保に努めました。
水産商事ユニットは、円安や海外相場の上昇により各商材の高値が続いた結果、需要が落ち込んだものの、販売単価上昇により売上高は前年並みとなりましたが、仕入単価の上昇により減益となりました。
荷受ユニットは、市場内流通の縮小及び前期末の商事子会社の株式譲渡による連結除外等により減収となりましたが、鮮魚の歩率改善及び経費削減等により増益となりました。
畜産商事ユニットは、輸入冷凍豚肉・飼料原料・国産及び輸入鶏肉・輸入加工品等の販売数量の増加や、食肉全般における販売価格の引き上げにより、増収増益となりました。
戦略販売ユニットは、鮭鱒、エビ、貝類、凍魚等の主要魚種において原料価格の高値が続いたものの、量販店、外食業界、中食業界向け販売が順調に推移し、増収増益となりました。
以上の結果、商事事業の売上高は452,116百万円(前期比0.1%減)、セグメント利益は3,826百万円(前期比5.7%減)となりました。
海外事業
海外事業は、中国・タイにおける水産物・加工食品の販売に加え、オセアニアでの基盤を強化している海外ユニット(アジア・オセアニア地区)、すりみ等の生産を中心とした北米商材の日本・北米・欧州での販売を展開する北米ユニットから構成され、水産物と加工食品の世界的な需要拡大に対応し、グローバル市場における収益の確保に努めました。
海外ユニットは、タイで製造している欧米向けペットフード等の販売好調に加え、子会社化した豪州漁業会社の業績の貢献、更に水産原料の日本からの輸出増加により、大幅な増収増益となりました。
北米ユニットは、欧州水産物販売会社の堅調な販売、米国産助子の販売増加、すりみ販売の増加と価格上昇により増収となったものの、米国産鮭鱒缶詰の欧米市場での相場下落、鱒の卵の販売減少、鮭鱒の相場下落により減益となりました。
以上の結果、海外事業の売上高は146,510百万円(前期比19.6%増)、セグメント利益は3,469百万円(前期比92.5%増)となりました。
加工事業
加工事業は、市販用及び業務用冷凍食品の製造・販売を行う冷凍食品ユニット、缶詰・フィッシュソーセージ・ちくわ・デザート・ペットフード・調味料・フリーズドライ製品等の製造・販売を行う加工食品ユニット、及び化成品の製造・販売を行う化成ユニットから構成され、お客様のニーズにお応えする商品の開発・製造・販売を通じて収益の確保に努めました。
冷凍食品ユニットは、市販用冷凍食品の新商品の販売が好調に推移したものの、アクリフーズ農薬混入事件の影響及び円安による原材料や海外生産品のコスト増等により、大幅な減収減益となりました。
加工食品ユニットは、水産原料の高騰による生産コストの上昇、缶詰の売価引き上げによる売上数量の減少に加え、デザート類の商品回収及び販売不振等により、減収減益となりました。
化成ユニットは、医薬品原料及びDHA・EPAの販売が好調に推移したものの、円安による原料価格の高騰やコンドロイチン等健康食品の不振により、増収減益となりました。
以上の結果、加工事業の売上高は209,720百万円(前期比5.5%減)、セグメント損失は2,028百万円(前期比3,847百万円減)となりました。
物流事業
物流事業は、お客様の物流コスト削減志向による在庫圧縮の傾向が続くなか、水産物をはじめ畜産品や冷凍食品の集荷営業活動に努めました。
当期は、川崎市東扇島に新設した冷蔵倉庫の稼働等による償却費の増加や電力料金の値上げに伴う動力費の増加等の影響があったものの、入庫数量が出庫数量を上回ったことによる在庫の積み上げ、畜産品の搬入増加及び輸配送事業が伸長した結果、物流事業の売上高は15,169百万円(前期比3.5%増)、セグメント利益は1,170百万円(前期比33.6%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動の結果得られた資金を、主として設備投資に使用した結果、当連結会計年度末には13,951百万円と前連結会計年度末に比べ19百万円増加いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は17,889百万円となり、前期に比べ9,181百万円増加いたしました。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、主に設備投資によるもので、7,087百万円となり、前期に比べ5,384百万円減少いたしました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、主に借入金の返済によるもので、10,748百万円(前期は3,748百万円の収入)となりました。