有価証券報告書-第48期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/28 15:58
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、年度当初より住宅建設が弱含むなど一部に改善の遅れが見られたものの、企業収益や雇用情勢は年度を通して改善基調が続き、景気も緩やかに回復を続けています。
原油CIF価格は、年度当初の1バレル 50 ドル台前半徐々に下落し、7月には 40 ドル台後半まで低迷していたものの、11月のOPECの減産延長合意等の影響により、年度末には60ドル台後半まで達しています。
為替相場は、前連結会計年度当初より概ね110円台前半で推移し、9月には 100 円台後半まで円高が進みました。その後は円安傾向に転じ、 110 円台前半で推移したものの、2月より再び円高傾向となり、年度末にかけて 100 円台後半の水準となっています。この結果、当社グループの原油販売価格は、年度平均では前連結会計年度に比べ上昇しました。
一方、天然ガスについては、原油価格の上昇及び円安による石油製品等の価格上昇によって、競合エネルギーに対する競争力を打ち出しつつも、当社マーケット近傍での他社によるLNG受入基地や関連パイプライン等の供給インフラ整備を巡る動きが進行し競争が激化していることから、市場環境は当社グループにとって厳しい状況にありました。
このような状況のもとで、当社グループは、平成27年度から10年程度を見据えた長期経営ビジョン及びその達成に向けた平成27年度から平成31年度までの5年間を対象とした中期事業計画に基づき、鋭意事業を推進してまいりました。
当連結会計年度の売上高は230,629百万円と前連結会計年度に比べ23,499百万円の増収(+11.3%)となり、売上総利益は、39,263百万円と前連結会計年度に比べ7,090百万円の増益(+22.0%)となりました。前連結会計年度に比べ増収増益となった要因は、主に、原油及び天然ガスの販売価格の上昇によるものであります。
探鉱費は、主に海外での支出が大きく減少したことにより、1,324百万円と前連結会計年度に比べ188百万円減少(△12.4%)し、販売費及び一般管理費は29,173百万円と前連結会計年度に比べ801百万円減少(△2.7%)した結果、営業利益は8,764百万円と前連結会計年度に比べ8,079百万円の増益(+1,179.5%)となりました。
経常利益は、営業利益の大幅な増益があるものの、Japan Canada Oil Sands Limited(JACOS)において、カナダ・アルバータ州ハンギングストーン鉱区3.75セクション地域(DEMOエリア)でのSAGD法(*)によるビチューメン生産操業を終了したことに伴い、同エリアに係る有形固定資産を生産高比例法により償却し休止固定資産減価償却費として計上したことなどにより、3,828百万円と前連結会計年度に比べ1,606百万円の増益(+72.3%)に留まりました。
税金等調整前当期純損益は、JAPEX Montney Limited(JML)において、Pacific NorthWest LNGプロジェクト(PNW事業)の事業化取りやめ決定を受け、PNW事業を前提としないシェールガス開発・生産プロジェクト(上流事業)として開発計画を見直した結果、上流事業に係る事業用資産の減損損失を計上したことや、PNW事業に関連するパイプライン建設計画の解約費用を特別損失その他に計上したことなどにより、前連結会計年度に比べ72,596百万円減益の69,403百万円の税金等調整前当期純損失となり、親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ34,401百万円減益の30,958百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。
(*)地層内に水蒸気を圧入して、超重質油の流動性を増し、重力の効果を利用して回収する方法の一つ。
なお、売上高の内訳は次のとおりであります。
(イ)原油・天然ガス
原油・天然ガス(液化天然ガス(LNG)、ビチューメン及び希釈ビチューメンを含む)の売上高は、主に、原油及び天然ガスの販売価格の上昇、並びに国内天然ガス及びJACOSにおける希釈ビチューメンの販売数量が増加したことなどにより、176,051百万円と前連結会計年度に比べ18,345百万円の増収(+11.6%)となりました。
(ロ)請負
請負(掘さく工事及び地質調査の受注等)の売上高は、8,484百万円と前連結会計年度に比べ1,869百万円の減収(△18.1%)となりました。
(ハ)その他
液化石油ガス(LPG)・重油等の石油製品等の販売、天然ガス等の受託輸送及びその他業務受託等の売上高は、46,093百万円と前連結会計年度に比べ7,023百万円の増収(+18.0%)となりました。
主なセグメントごとの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりであります。
日本
日本セグメントの売上高は、主に原油・天然ガス(LNG含む)、請負、石油製品等により構成されております。当連結会計年度における売上高は、原油及び天然ガスの販売価格の上昇並びに天然ガスの販売数量が増加したことなどにより、219,566百万円と前連結会計年度に比べ20,060百万円の増収(+10.1%)となりました。セグメント利益は、販売費及び一般管理費が増加したものの前述の売上高の増収を受け、前連結会計年度に比べ1,972百万円増益(+9.6%)の22,497百万円となりました。
北米
北米セグメントの売上高は、主に原油・天然ガス(ビチューメン及び希釈ビチューメン含む)により構成されております。当連結会計年度における売上高は、主にJACOSにおける希釈ビチューメンの販売数量の増加により、9,250百万円と前連結会計年度に比べ3,561百万円の増収(+62.6%)となりました。セグメント損失は、販売費及び一般管理費の減少並びに前述の売上高の増収を受けて前連結会計年度に比べて損失幅を狭め、6,615百万円(前連結会計年度は8,620百万円のセグメント損失)となりました。
欧州
欧州セグメントにおいては、英領北海アバディーン沖合に位置する海上鉱区での探鉱活動を実施しております。当連結会計年度におけるセグメント損失は、探鉱費の減少等により74百万円(前連結会計年度は268百万円のセグメント損失)となりました。
中東
中東セグメントの売上高は、主に原油により構成されております。当連結会計年度における売上高は、販売数量は減少したものの販売価格の上昇を受け、32,189百万円と前連結会計年度に比べ5,010百万円の増収(+18.4%)となりました。セグメント損益は、売上原価が増加したものの前述の売上高の増収を受け、1,366百万円のセグメント利益(前連結会計年度は1,120百万円のセグメント損失)となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ47,200百万円減少し、699,539百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ7,943百万円の増加となりました。これは、現金及び預金や短期貸付金が増加したことなどによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ55,143百万円の減少となりました。これは、投資有価証券は時価の上昇などにより増加しましたが、有形固定資産において前述のJMLの事業用資産の減損損失計上、並びに投資その他の資産のその他に含めている生産物回収勘定において回収が進んだことにより減少したことなどによるものであります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ6,201百万円増加し、242,331百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ7,716百万円の増加となりました。これは、流動負債のその他に含めている短期借入金が増加したことなどによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ1,514百万円の減少となりました。これは、長期借入金において為替の影響や返済期限が1年以内の借入金を流動負債へ振替えたことなどにより減少しましたが、前述の投資有価証券の時価上昇により繰延税金負債が増加したことなどによるものであります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ53,402百万円減少し、457,207百万円となりました。
これは、その他有価証券評価差額金が増加したものの、非支配株主持分や利益剰余金が減少したことなどによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,737百万円減少し、99,892百万円となりました。主な内訳は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は52,881百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失△69,403百万円、減損損失67,721百万円、生産物回収勘定の回収額27,381百万円、減価償却費23,370百万円、相馬LNG基地建設事業に係る補助金の受取額5,000百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は54,218百万円となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入18,228百万円、利息及び配当金の受取額8,873百万円、貸付金の回収による収入4,456百万円などの資金を得ましたが、有形固定資産の取得による支出42,534百万円、定期預金の預入による支出28,458百万円、生産物回収勘定の支出15,091百万円などの資金を使用したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,196百万円となりました。これは主に、短期借入れによる収入5,455百万円などの資金を得ましたが、長期借入金の返済による支出4,760百万円、利息の支払額1,862百万円などの資金を使用したことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
・日本
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
原油・天然ガス原油(kl)294,301△3.9
天然ガス(千㎥)768,967△1.4
液化天然ガス(t)8,391△17.4
ビチューメン(kl)--

・北米
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
原油・天然ガス原油(kl)48,231△25.1
天然ガス(千㎥)494,680△17.7
液化天然ガス(t)--
ビチューメン(kl)143,15257.7

・中東
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
原油・天然ガス原油(kl)929,655△22.5
天然ガス(千㎥)--
液化天然ガス(t)--
ビチューメン(kl)--

(注)1.天然ガスの生産量の一部は、液化天然ガスの原料として使用しております。
2.ビチューメンとはオイルサンド層から採取される超重質油です。
b. 受注実績
当社及び連結子会社は受注生産を行っておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
・日本
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
数量金額
(百万円)
数量金額
原油・天然ガス原油(kl)2,296,15085,837△11.910.0
天然ガス(千㎥)1,284,36657,2151.510.6
液化天然ガス(t)380,95521,935△4.48.2
ビチューメン(kl)----
希釈ビチューメン(kl)----
小計164,9889.9
請負8,484△18.1
その他石油製品・商品40,16220.4
その他5,9303.8
小計46,09318.0
合計219,56610.1

・北米
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
数量金額
(百万円)
数量金額
原油・天然ガス原油(kl)50,1071,522△23.05.9
天然ガス(千㎥)488,6693,215△18.5△10.2
液化天然ガス(t)----
ビチューメン(kl)--△100.0△100.0
希釈ビチューメン(kl)160,2034,512--
小計9,25062.6
請負--
その他石油製品・商品--
その他--
小計--
合計9,25062.6

・中東
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
数量金額
(百万円)
数量金額
原油・天然ガス原油(kl)-1,812-△6.4
天然ガス(千㎥)----
液化天然ガス(t)----
ビチューメン(kl)----
希釈ビチューメン(kl)----
小計1,812△6.4
請負--
その他石油製品・商品--
その他--
小計--
合計1,812△6.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.「石油製品・商品」には、液化石油ガス(LPG)、重油、軽油、灯油等が、「その他」には天然ガス・石油製品の受託輸送及びその他業務受託等が含まれております。
3.希釈ビチューメンとはパイプライン輸送のために超軽質油で希釈したビチューメンです。
4.主要な販売先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。なお、当連結会計年度においては総販売実績の100分の10を占める販売先がないため、記載を省略しております。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
BP Singapore Pte.Ltd.25,52712.3--

5.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
④ 当社グループの埋蔵量
平成30年3月31日現在、提出会社及び連結子会社の保有する確認埋蔵量並びに持分法適用会社が保有する確認埋蔵量の当該会社に対する提出会社出資比率相当量は下表のとおりです。
確認埋蔵量連結対象会社持分法適用会社合計
国内海外小計
原油
千kl
ガス
百万㎥
原油
千kl
ビチューメン
千kl
ガス
百万㎥
原油
千kl
ビチューメン
千kl
ガス
百万㎥
原油
千kl
ガス
百万㎥
原油
千kl
ビチューメン
千kl
ガス
百万㎥
平成29年3月31日現在2,3749,7532,71722,07615,8115,09122,07625,5641,9042,1736,99522,07627,737
拡張及び発見等による増加--464--464----464--
前期評価の修正による増減720167△734△992△7,959△14△992△7,7932,9028862,888△992△6,907
買収・売却による増減-------------
生産による減少△291△815△835△132△495△1,126△132△1,309△456△561△1,583△132△1,871
平成30年3月31日現在2,8029,1051,61220,9527,3574,41520,95216,4624,3502,4988,76420,95218,960

(注)1.以下の連結子会社保有量には、非支配株主に帰属する数量を含んでおります。(括弧内は非支配株主比率)
国内:日本海洋石油資源開発㈱(29.39%)
海外:カナダオイルサンド㈱(5.42%)、JAPEX Montney Ltd.(55.00%)、㈱ジャペックスガラフ(45.00%)
2.連結子会社及び持分法適用会社のうち、決算日が連結決算日と異なる会社については、各社の事業年度における埋蔵量を計上しております。
3.連結子会社である㈱ジャペックスガラフは、平成23年1月19日に承認されたPreliminary Development Planに基づき開発作業に着手し、平成25年8月31日より初期生産を開始するとともに、最終的な目標である日量23万バレルへの段階的な増産に向けたFinal Development Plan(FDP)に関するイラク政府との協議を継続しておりました。
同社決算日である平成29年12月31日現在においては、当該FDPが未承認であったことから、当連結会計年度末においては、平成30年度生産予定量の当該会社取分相当量を埋蔵量として計上しております。
その後、平成30年2月にFDPがイラク政府により承認さたことを受け、翌連結会計年度において、FDPに基づく埋蔵量(平成31年度以降の生産予定量の当該会社取分相当量、平成30年3月31日現在の評価値は原油13,837千kl)を追加計上予定です。
上表における確認埋蔵量とは、評価時点において既知の油・ガス層から地質的、工学的データに基づき経済的にも操業面からも今後確実に採取可能であろうと予測された油・ガスの地上状態での数量であり、過去の生産量、未発見鉱床に係る資源量は含んでおりません。
埋蔵量の定義については、石油技術者協会(SPE)、世界石油会議(WPC)、米国石油地質技術者協会(AAPG)及び石油評価技術協会(SPEE)の4組織により策定されたPetroleum Resources Management System 2007(PRMS)が国際的な基準として知られています。
上表の確認埋蔵量は、PRMSにおける「確認埋蔵量(Proved Reserves)」の定義に準拠した当社自身による評価に基づく数値であり、PRMSにおいて確認埋蔵量よりも将来の採取可能性の不確実性が高いものとして区分されている「推定埋蔵量(Probable Reserves)」や「予想埋蔵量(Possible Reserves)」に該当する埋蔵量は含んでおりません。また、同定義においては、例えば、資源の賦存が確認されている鉱区であっても商業開発計画が未確定な段階のプロジェクト等については、埋蔵量(Reserves)とは区分して「条件付資源量(Contingent Resources)」に分類することとされており、当社グループにおいても、開発計画が未確定な地域の「条件付資源量」に該当する数量は、上表の数値に含めておりません。
なお、PRMS以外には、米国証券取引委員会(SEC)による確認埋蔵量の定義が米国の投資家を中心に広く知られており、SECによる確認埋蔵量の定義は、PRMSと基本的には類似しています。
当社は、従来よりPRMSによる「確認埋蔵量(Proved Reserves)」の定義に準拠して当社自身の判断に基づく値を開示しております。また、海外プロジェクト会社の保有埋蔵量については、各プロジェクト会社の現地政府等との契約による経済的取分に基づく数量を示しております。
また、当社は、当社自身による埋蔵量評価・判断の妥当性を検証するため、上表に示した平成30年3月31日現在の国内における当社及び連結対象会社の確認可採埋蔵量の約65%に相当する部分[1]について、Ryder Scott Company, L.P.へ第三者評価・鑑定を委託しております。また、海外については、JAPEX Montney Ltd.、Japex (U.S.) Corp.及びKangean Energy Indonesia Ltd.の埋蔵量について第三者評価を受けております。また、連結子会社であるJapan Canada Oil Sands Limitedが保有する鉱区エリアにおけるビチューメン埋蔵量について、当連結会計年度末においては、技術的回収可能量等の重要な要素に変更がないことから、前々連結会計年度に実施したGLJ Petroleum Consultants Ltd.による第三者評価[2]を踏まえた自社評価を行っており、これを含めると、上表の平成30年3月31日現在の確認埋蔵量総計のうち約79%に相当する部分[3]について第三者評価を受けております。当社自身による評価値と第三者評価の値は従来より近似しており、当社は、上表の当社自身の評価による確認埋蔵量の値は妥当であると判断しております。
埋蔵量は、元来、不確実性を内包した将来の生産可能量の見通しであり、当社は、現時点において入手可能な地質的・工学的データ等の科学的根拠に基づき正確な評価の実施に努めておりますが、今後新たに取得されるデータ等に基づく見直しや経済条件の変動及び国際的に認知された埋蔵量定義の変更等によって、上方にも下方にも修正される可能性があります。
[1] 原油・ビチューメン1kl=天然ガス1,033.1m3(1BOE=5.8Mscf)として計算しております。
[2] 石油評価技術者協会(Society of Petroleum Evaluation Engineers (Calgary Chapter))他による評価基準(Canadian Oil and Gas Evaluation Handbook)に基づく第三者評価。
[3] [1]と同様。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内において、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し継続評価しており、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためこれらとは異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、前連結会計年度に比べ売上高は23,499百万円増収(+11.3%)の230,629百万円、経常利益は1,606百万円増益(+72.3%)の3,828百万円となり、親会社株主に帰属する当期純損益は34,401百万円減益の親会社株主に帰属する当期純損失30,958百万円となりました。
(為替レートと油価)
当連結会計年度の1キロリットル当たりの原油販売価格につきまして、通年の平均販売価格では前連結会計年度に比べ7,515円上昇の38,007円/klとなりました。
国産原油の販売価格は、基本的に海外原油の本邦への円建輸入価格に連動して決定されます。
原油CIF価格に基づく油価は、1バレル当たり56.20米ドル(加重平均)と前連結会計年度に比べ10.59米ドルの上昇となりました。一方、為替レートは、111.67円/米ドル(加重平均)と前連結会計年度に比べ3.14円の円安となりました。
以上の米ドル建原油価格の上昇及び円安の影響により、原油販売価格は前連結会計年度に比べて上昇しております。
海外買入原油の販売につきましては仕入価格と連動するため、油価・為替の変動が損益に与える影響は軽微であります。
希釈ビチューメンの1バレル当たりの販売価格は、39.63米ドル(加重平均)であります。
(設備投資と減価償却費等)
当連結会計年度の設備投資額は41,802百万円(前連結会計年度比26,583百万円の減少)となりました。主なものは、カナダ国におけるオイルサンド開発に係る投資額等であります。減価償却費は23,370百万円(前連結会計年度比7,679百万円の増加)となりました。
また、当連結会計年度のイラク共和国ガラフ油田の開発等に係る生産物回収勘定への支出額は15,015百万円(前連結会計年度比6,441百万円の減少)となり、生産物回収勘定の回収額は27,381百万円(前連結会計年度比943百万円の増加)となりました。
(探鉱活動)
当連結会計年度の探鉱費は、前連結会計年度に比べ188百万円減少して1,324百万円となりました。
探鉱費の減少の主な要因は、海外において、主に英領北海における海上鉱区での探鉱作業の減少によるものであります。
(売上高の状況)
当連結会計年度の売上高の構成は、「原油・天然ガス」が176,051百万円(構成比76.3%)、「請負」が8,484百万円(構成比3.7%)、「その他」が46,093百万円(構成比20.0%)となっております。
以下、最も割合の大きい「原油・天然ガス」について分析いたします。
原油の販売数量は、主にイラク共和国ガラフ油田の販売数量が減少したことなどにより2,346千klと前連結会計年度に比べ324千kl減少(△12.1%)となった一方で、原油の販売価格が前述(為替レートと油価)の項目で述べましたとおり上昇したことにより、原油の売上高は89,173百万円と前連結会計年度に比べ7,744百万円増加(+9.5%)しております。
天然ガスの販売数量は、主にカナダ国ノースモントニー鉱区の天然ガス販売数量が減少したことなどにより、1,773百万㎥と前連結会計年度に比べ91百万㎥減少(△4.9%)しましたが、一方で天然ガスの販売価格は前連結会計年度に比べ4.41円/㎥上昇して34.08円/㎥となったことにより、天然ガスの売上高は60,431百万円と前連結会計年度に比べ5,101百万円増加(+9.2%)しております。
液化天然ガスは、前連結会計年度に比べ17千トン減少(△4.4%)の380千トンを販売し、売上高は21,935百万円と前連結会計年度に比べ1,656百万円増加(+8.2%)しました。
希釈ビチューメンは、JACOSハンギングストーン鉱区における拡張開発事業の生産操業開始に伴い、販売数量は160千klと前連結会計年度のDEMOエリアにおけるビチューメンと比べ68千kl増加(+74.8%)となり、売上高は4,512百万円と前連結会計年度に比べ3,842百万円増加(+573.8%)しております。
(営業費用)
売上原価は191,366百万円と前連結会計年度に比べ16,408百万円増加しております。これは主に、原油価格上昇の影響を受けたLNGのCIF価格上昇に伴うLNG仕入価格の上昇などによるものであります。
販売費及び一般管理費は29,173百万円と前連結会計年度に比べ801百万円減少しました。
探鉱費については、前述(探鉱活動)をご参照ください。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ8,079百万円増益の8,764百万円となりました。
(営業外損益)
営業外収益は、為替差益が減少となる一方、主に有価証券売却益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ792百万円増加の8,806百万円となりました。
営業外費用は、主にJACOSにおいて、DEMOエリアでのSAGD法によるビチューメン生産操業を終了したことに伴いDEMOエリアに係る有形固定資産を生産高比例法により償却し休止固定資産減価償却費として計上したことなどにより、前連結会計年度に比べ7,265百万円増加の13,743百万円となりました。
以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ1,606百万円増益の3,828百万円となりました。
(特別損益)
特別利益は、補助金収入の計上などにより、前連結会計年度に比べ3,701百万円増加の5,002百万円となりました。
特別損失は、JMLにおいてPNW事業の事業化取りやめ決定を受け、PNW事業を前提としない上流事業として開発計画を見直した結果、上流事業に係る事業用資産の減損損失を計上したことや、PNW事業に関連するパイプライン建設計画の解約費用を特別損失その他に計上したことなどにより、前連結会計年度に比べ77,903百万円増加の78,234百万円となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純損益は前連結会計年度に比べ72,596百万円減益の税金等調整前当期純損失69,403百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の「法人税、住民税及び事業税」に「法人税等調整額」を加えた法人税等の金額は239百万円(前連結会計年度に比べ1,402百万円減少)となり、非支配株主に帰属する当期純損失は38,683百万円(前連結会計年度は1,892百万円の非支配株主に帰属する当期純損失)となりました。
以上の結果、法人税等及び非支配株主に帰属する当期純損失を控除した後の親会社株主に帰属する当期純損益は前連結会計年度に比べ34,401百万円減益の30,958百万円の親会社株主に帰属する当期純損失となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの資金需要の主な内訳は、営業活動における運転資金と投資活動における設備投資や海外事業投資のための資金になります。
運転資金は、主に内部資金により調達しておりますが、資金効率の向上を図るためCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を用い当社グループ内で融通することで有利子負債を圧縮しており、また、効率的な資金調達を目的として当連結会計年度末において取引銀行7行と総額134,061百万円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。
設備投資や海外事業投資のための資金は、投資金額が多額な場合、手元流動性とのバランスやその投資の性質を勘案し、長期の借入を行うことがあります。当連結会計年度末の長期借入金(1年内返済予定を含む)の残高は、140,769百万円となっており、主な内訳は、インドネシアのカンゲアン鉱区の開発資金宛て借入が8,499百万円、カナダ国におけるオイルサンド開発資金及びシェールガス開発資金宛て借入がそれぞれ67,407百万円、61,052百万円であります。
この他、当社グループは偶発債務として、海外のプロジェクト会社の事業資金宛て銀行借入及び当社従業員の住宅ローン等に対する保証債務が、当連結会計年度末において18,076百万円ありますが、これらに対する支払準備は、預金及び市場性のある有価証券により流動性を確保しております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、前述のとおり当連結会計年度は大きな損失となりましたが、2030年に目指す姿を実現するために、油価60米ドル/バレルの前提のもとで、2022年度にROE≧5%の水準となることを目標に、収益改善を目指していきます。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。