有価証券報告書-第49期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/27 14:40
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、前年度に引き続き緩やかな回復基調が続いているものの、年度末には輸出や生産の一部に弱さがみられるとともに、米中間の通商問題や海外経済の不確実性に対する警戒感が高まっています。
原油CIF価格は、前連結会計年度からの回復傾向が続き、年度当初の1バレル60ドル台後半から、11月には80ドル台前半まで達したものの、米中間の通商問題等の影響により下落に転じ、年度末には60ドル台半ばの水準となっています。
為替相場は、年度当初は100円台半ばでしたが、その後円安傾向が強まり、12月には110円台半ばまで進行した後、年度末には110円前後で推移しています。この結果、当社グループの原油販売価格は、前連結会計年度に比べ、年度平均では上昇しました。
一方、天然ガスについては、原油価格の上昇により石油製品等の価格やLNG価格がともに上昇する中、当社マーケット近傍での他社によるLNG受入基地や関連パイプライン等の供給インフラ整備を巡る動きの活発化や、電力・ガス小売全面自由化を機にエネルギー業界全体で従来の供給エリア外への進出が進んだこと等で競争が激化し、市場環境は当社グループにとって引き続き厳しい状況にありました。
このような状況のもとで、当社グループは、2018年5月に公表した「長期ビジョン2030・中期事業計画2018-2022」に基づき、鋭意事業を推進しております。
当連結会計年度の売上高は267,980百万円と前連結会計年度に比べ37,350百万円の増収(+16.2%)となり、売上総利益は、34,846百万円と前連結会計年度に比べ4,416百万円の減益(△11.2%)となりました。前連結会計年度に比べ増収減益となった要因は、売上高は、主に原油及び天然ガスの販売価格の上昇に加え、2017年8月より本格生産操業を開始したJapan Canada Oil Sands Limited(JACOS)ハンギングストーン鉱区におけるビチューメンの販売により増収となった一方、売上総利益は、オイルサンド事業における重軽格差(カナダ産重質油と軽質油であるWTIとの価格差)の拡大による希釈ビチューメンの販売収支の悪化や、相馬LNG基地の通年操業(2018年3月より操業開始)に伴う操業費の増加などにより減益となりました。
探鉱費は、788百万円と前連結会計年度に比べ535百万円減少(△40.4%)し、販売費及び一般管理費は31,743百万円と前連結会計年度に比べ2,570百万円増加(+8.8%)した結果、営業利益は2,313百万円と前連結会計年度に比べ6,451百万円の減益(△73.6%)となりました。
経常利益は、為替差益が為替差損に転じたことによる減益要因がある一方、持分法による投資損失が持分法による投資利益に転じたことや、前連結会計年度における休止固定資産減価償却費(JACOSにおいて、ハンギングストーン鉱区3.75セクション地域(DEMOエリア)でのSAGD法(*)によるビチューメン生産操業を終了したことに伴い、同エリアに係る有形固定資産を生産高比例法により償却)が減少したことなどにより、12,523百万円と前連結会計年度に比べ8,695百万円の増益(+227.1%)となりました。
税金等調整前当期純損益は、前連結会計年度における減損損失(JAPEX Montney Limitedにおいて、Pacific NorthWest LNGプロジェクト(PNW事業)の事業化取りやめ決定を受け、PNW事業を前提としないシェールガス開発・生産プロジェクト(上流事業)として開発計画を見直した結果、上流事業に係る事業用資産の減損損失を計上)が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ82,477百万円増益の13,074百万円の税金等調整前当期純利益となり、親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ45,729百万円増益の14,770百万円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。
(*)地層内に水蒸気を圧入して、超重質油の流動性を増し、重力の効果を利用して回収する方法の一つ。
なお、売上高の内訳は次のとおりであります。
(イ)原油・天然ガス
原油・天然ガス(液化天然ガス(LNG)、希釈ビチューメンを含む)の売上高は、主に、原油及び天然ガスの販売価格の上昇に加え、JACOSにおける希釈ビチューメンの販売に伴い、215,429百万円と前連結会計年度に比べ39,377百万円の増収(+22.4%)となりました。
(ロ)請負
請負(掘さく工事及び地質調査の受注等)の売上高は、7,342百万円と前連結会計年度に比べ1,142百万円の減収(△13.5%)となりました。
(ハ)その他
液化石油ガス(LPG)・重油等の石油製品等の販売、天然ガス等の受託輸送及びその他業務受託等の売上高は、45,207百万円と前連結会計年度に比べ885百万円の減収(△1.9%)となりました。
主なセグメントごとの業績(セグメント間の内部取引消去前)は、次のとおりであります。
日本
日本セグメントの売上高は、主に原油・天然ガス(LNG含む)、請負、石油製品等により構成されております。当連結会計年度における売上高は、原油及び天然ガスの販売数量が減少したものの、原油及び天然ガスの販売価格が上昇したことなどにより、232,107百万円と前連結会計年度に比べ12,540百万円の増収(+5.7%)となりました。セグメント利益は、相馬LNG基地の通年操業(2018年3月より操業開始)に伴う操業費の増加などにより、前連結会計年度に比べ3,188百万円減益(△14.2%)の19,308百万円となりました。
北米
北米セグメントの売上高は、主に原油・天然ガス(希釈ビチューメン含む)により構成されております。当連結会計年度における売上高は、主にJACOSにおける希釈ビチューメンの販売により、34,270百万円と前連結会計年度に比べ25,019百万円の増収(+270.5%)となりました。セグメント損失は、オイルサンド事業における重軽格差の拡大による希釈ビチューメンの販売収支の悪化や、販売費及び一般管理費の増加などにより、9,751百万円(前連結会計年度は6,615百万円のセグメント損失)となりました。
欧州
欧州セグメントにおいては、英領北海アバディーン沖合に位置する海上鉱区での探鉱活動を実施しております。当連結会計年度におけるセグメント損失は、157百万円(前連結会計年度は74百万円のセグメント損失)となりました。
中東
中東セグメントの売上高は、主に原油により構成されております。当連結会計年度における売上高は、販売価格は上昇したものの販売数量の減少により、14,816百万円と前連結会計年度に比べ17,372百万円の減収(△54.0%)となりました。セグメント利益は、売上原価が減少したものの前述の売上高の減収により、955百万円と前連結会計年度に比べ410百万円の減益となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ44,248百万円減少し、655,288百万円となりまし
た。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ3,063百万円の減少となりました。これは、受取手形及び売掛金が減少し
たことなどによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ41,184百万円の減少となりました。これ
は、投資有価証券において保有有価証券の時価評価や、有形固定資産において為替の影響及び減価償却により、そ
れぞれ減少したことなどによるものであります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ35,150百万円減少し、205,131百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末と比べ11,236百万円の減少となりました。これは、支払手形及び買掛金や流動負
債その他に含まれている短期借入金が減少したことなどによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ23,913百万円の減少となりました。これは、前述の保有有価証券の時価評価により繰延税金負債が減少したことや、長期借入金において返済期限が1年以内の借入金を流動負債へ振替えたことなどによるものであります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ9,098百万円減少し、450,156百万円となりました。
これは、その他有価証券評価差額金が減少したものの、利益剰余金が増加したことなどによるものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ740百万円増加し、100,633百万円となりました。主な内訳は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は30,970百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益13,074百万円及び減価償却費23,296百万円の計上などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は13,969百万円となりました。これは主に、利息及び配当金の受取額16,126百万円、貸付金の回収による収入6,912百万円などの資金を得ましたが、生産物回収勘定の支出25,107百万円、有形固定資産の取得による支出12,955百万円などの資金を使用したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は15,493百万円となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出7,877百万円、長期借入金の返済による支出4,990百万円、利息の支払額3,865百万円などの資金を使用したことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
・日本
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
原油・天然ガス原油(kl)264,502△10.1
天然ガス(千㎥)682,021△11.3
液化天然ガス(t)5,600△33.3
ビチューメン(kl)--

・北米
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
原油・天然ガス原油(kl)46,031△4.6
天然ガス(千㎥)488,436△1.3
液化天然ガス(t)--
ビチューメン(kl)812,720467.7

・中東
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
原油・天然ガス原油(kl)846,503△8.9
天然ガス(千㎥)--
液化天然ガス(t)--
ビチューメン(kl)--

(注)1.天然ガスの生産量の一部は、液化天然ガスの原料として使用しております。
2.ビチューメンとはオイルサンド層から採取される超重質油です。
3.北米セグメントのビチューメンの生産数量が著しく増加しました。これは、JACOSハンギングストーン鉱区において2017年8月より生産操業を開始し、2018年6月に安定生産操業に移行したことによるものです。
b. 受注実績
当社及び連結子会社は受注生産を行っておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
・日本
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
数量金額
(百万円)
数量金額
原油・天然ガス原油(kl)1,840,13391,189△19.96.2
天然ガス(千㎥)1,243,65565,435△3.214.4
液化天然ガス(t)322,33122,913△15.44.5
希釈ビチューメン(kl)----
小計179,5388.8
請負7,342△13.5
その他石油製品・商品39,820△0.9
その他5,387△9.2
小計45,207△1.9
合計232,0895.7

・北米
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
数量金額
(百万円)
数量金額
原油・天然ガス原油(kl)48,5201,769△3.216.2
天然ガス(千㎥)487,4852,384△0.2△25.8
液化天然ガス(t)----
希釈ビチューメン(kl)1,176,09130,116634.1567.4
小計34,270270.5
請負--
その他石油製品・商品--
その他--
小計--
合計34,270270.5

・中東
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前年同期比(%)
数量金額
(百万円)
数量金額
原油・天然ガス原油(kl)-1,620-△10.6
天然ガス(千㎥)----
液化天然ガス(t)----
希釈ビチューメン(kl)----
小計1,620△10.6
請負--
その他石油製品・商品--
その他--
小計--
合計1,620△10.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.「石油製品・商品」には、液化石油ガス(LPG)、重油、軽油、灯油等が、「その他」には天然ガス・石油製品の受託輸送及びその他業務受託等が含まれております。
3.希釈ビチューメンとはパイプライン輸送のために超軽質油で希釈したビチューメンです。
4.北米セグメントの希釈ビチューメンの販売数量及び金額が著しく増加しました。これは、JACOSハンギングストーン鉱区において2017年8月より生産操業を開始し、2018年6月に安定生産操業に移行したことによるものです。
5.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
④ 当社グループの埋蔵量
2019年3月31日現在、提出会社及び連結子会社の保有する確認埋蔵量並びに持分法適用会社が保有する確認埋蔵量の当該会社に対する提出会社出資比率相当量は下表のとおりです。
確認埋蔵量連結対象会社持分法適用会社合計
国内海外小計
原油
千kl
ガス
百万㎥
原油
千kl
ビチューメン
千kl
ガス
百万㎥
原油
千kl
ビチューメン
千kl
ガス
百万㎥
原油
千kl
ガス
百万㎥
原油
千kl
ビチューメン
千kl
ガス
百万㎥
2018年3月31日現在2,8029,1051,61220,9527,3574,41520,95216,4624,3502,4988,76420,95218,960
拡張及び発見等による増加--15,000-81515,000-815--15,000-815
前期評価の修正による増減△30△51725497919223979△4971,174△7261,397979△1,223
買収・売却による増減--△1-4△1-41△1△1-3
生産による減少△264△726△363△778△466△627△778△1,192△538△493△1,165△778△1,685
2019年3月31日現在2,5087,86216,50221,1537,72919,00921,15315,5914,9861,27823,99521,15316,869

(注)1.以下の連結子会社保有量には、非支配株主に帰属する数量を含んでおります。(括弧内は非支配株主比率)
国内:日本海洋石油資源開発㈱(29.39%)
海外:カナダオイルサンド㈱(5.42%)、JAPEX Montney Ltd.(55.00%)、㈱ジャペックスガラフ(45.00%)
2.連結子会社及び持分法適用会社のうち、決算日が連結決算日と異なる会社については、各社の事業年度における埋蔵量を計上しております。
上表における確認埋蔵量とは、評価時点において既知の油・ガス層から地質的、工学的データに基づき経済的にも操業面からも今後確実に採取可能であろうと予測された油・ガスの地上状態での数量であり、過去の生産量、未発見鉱床に係る資源量は含んでおりません。
埋蔵量の定義については、石油技術者協会(SPE)、世界石油会議(WPC)、米国石油地質技術者協会(AAPG)及び石油評価技術協会(SPEE)の4組織により策定されたPetroleum Resources Management System(PRMS)が国際的な基準として知られています。
上表の確認埋蔵量は、2018年に改定されたPRMSにおける「確認埋蔵量(Proved Reserves)」の定義に準拠した当社自身による評価に基づく数値であり、PRMSにおいて確認埋蔵量よりも将来の採取可能性の不確実性が高いものとして区分されている「推定埋蔵量(Probable Reserves)」や「予想埋蔵量(Possible Reserves)」に該当する埋蔵量は含んでおりません。また、同定義においては、例えば、資源の賦存が確認されている鉱区であっても商業開発計画が未確定な段階のプロジェクト等については、埋蔵量(Reserves)とは区分して「条件付資源量(Contingent Resources)」に分類することとされており、当社グループにおいても、開発計画が未確定な地域の「条件付資源量」に該当する数量は、上表の数値に含めておりません。
なお、PRMS以外には、米国証券取引委員会(SEC)による確認埋蔵量の定義が米国の投資家を中心に広く知られており、SECによる確認埋蔵量の定義は、PRMSと基本的には類似しています。
当社は、従来よりPRMSによる「確認埋蔵量(Proved Reserves)」の定義に準拠して当社自身の判断に基づく値を開示しております。また、海外プロジェクト会社の保有埋蔵量については、各プロジェクト会社の現地政府等との契約による経済的取分に基づく数量を示しております。
また、当社は、当社自身による埋蔵量評価・判断の妥当性を検証するため、上表に示した2019年3月31日現在の国内における当社及び連結対象会社の確認可採埋蔵量の約66%に相当する部分[1]について、Ryder Scott Company, L.P.へ第三者評価・鑑定を委託しております。また、海外については、Japan Canada Oil Sands Limitedが保有する鉱区エリアにおけるビチューメン埋蔵量について、GLJ Petroleum Consultants Ltd.による第三者評価[2]を受けているほか、JAPEX Montney Ltd.、Japex (U.S.) Corp.及びKangean Energy Indonesia Ltd.の埋蔵量について第三者評価を受けており、上表の2019年3月31日現在の確認埋蔵量総計のうち約61%に相当する部分[3]について第三者評価を受けております。当社自身による評価値と第三者評価の値は従来より近似しており、当社は、上表の当社自身の評価による確認埋蔵量の値は妥当であると判断しております。
埋蔵量は、元来、不確実性を内包した将来の生産可能量の見通しであり、当社は、現時点において入手可能な地質的・工学的データ等の科学的根拠に基づき正確な評価の実施に努めておりますが、今後新たに取得されるデータ等に基づく見直しや経済条件の変動及び国際的に認知された埋蔵量定義の変更等によって、上方にも下方にも修正される可能性があります。
[1] 原油・ビチューメン1kl=天然ガス1,033.1m3(1BOE=5.8Mscf)として計算しております。
[2] 石油評価技術者協会(Society of Petroleum Evaluation Engineers (Calgary Chapter))他による評価基準(Canadian Oil and Gas Evaluation Handbook)に基づく第三者評価。
[3] [1]と同様。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内において、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し継続評価しており、必要に応じて見直しを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためこれらとは異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、前連結会計年度に比べ売上高は37,350百万円増収(+16.2%)の267,980百万円、経常利益は8,695百万円増益(+227.1%)の12,523百万円となり、親会社株主に帰属する当期純損益は45,729百万円増益の親会社株主に帰属する当期純利益14,770百万円となりました。
(為替レートと油価)
当連結会計年度の1キロリットル当たりの原油販売価格につきまして、通年の平均販売価格では前連結会計年度に比べ12,071円上昇の50,078円/klとなりました。
国産原油の販売価格は、基本的に海外原油の本邦への円建輸入価格に連動して決定されます。
原油CIF価格に基づく油価は、1バレル当たり71.94米ドル(加重平均)と前連結会計年度に比べ15.75米ドルの上昇となりました。一方、為替レートは、110.35円/米ドル(加重平均)と前連結会計年度に比べ1.31円の円高となりました。
以上の米ドル建原油価格の上昇が円高による原油価格の下落より影響が大きかったことにより、原油販売価格は前連結会計年度に比べて上昇しております。
海外買入原油の販売につきましては仕入価格と連動するため、油価・為替の変動が損益に与える影響は軽微であります。
希釈ビチューメンの1バレル当たりの販売価格は、前連結会計年度に比べ2.96米ドル下落の36.67米ドル(加重平均)となりました。
(設備投資と減価償却費等)
当連結会計年度の設備投資額は10,903百万円(前連結会計年度比30,898百万円の減少)となりました。主なものは、相馬LNG基地及び新潟県での採掘井の掘さく作業に係る投資額等であります。減価償却費は23,296百万円(前連結会計年度比73百万円の減少)となりました。
また、当連結会計年度のイラク共和国ガラフ油田の開発等に係る生産物回収勘定への支出額は25,107百万円(前連結会計年度比10,092百万円の増加)となり、生産物回収勘定の回収額は11,118百万円(前連結会計年度比16,263百万円の減少)となりました。
(探鉱活動)
当連結会計年度の探鉱費は、前連結会計年度に比べ535百万円減少して788百万円となりました。
探鉱費の減少の主な要因は、国内において、主に北海道における地熱事業に係る掘さく作業並びに地質調査作業等によるものであります。
(売上高の状況)
当連結会計年度の売上高の構成は、「原油・天然ガス」が215,429百万円(構成比80.4%)、「請負」が7,342百万円(構成比2.7%)、「その他」が45,207百万円(構成比16.9%)となっております。
以下、最も割合の大きい「原油・天然ガス」について分析いたします。
原油の販売数量は、主にイラク共和国ガラフ油田の販売数量が減少したことなどにより1,888千klと前連結会計年度に比べ457千kl減少(△19.5%)となった一方で、原油の販売価格が上昇したことにより、原油の売上高は94,579百万円と前連結会計年度に比べ5,406百万円増加(+6.1%)しております。
天然ガスの販売数量は、1,731百万㎥と前連結会計年度に比べ41百万㎥減少(△2.4%)となりましたが、販売価格は前連結会計年度に比べ5.09円/㎥上昇して39.17円/㎥となった結果、天然ガスの売上高は67,820百万円と前連結会計年度に比べ7,388百万円増加(+12.2%)しております。
数量減となった主な要因は、国内の一部需要家における一過性の需要減によるものであります。
液化天然ガスは、前連結会計年度に比べ58千トン減少(△15.4%)の322千トンを販売し、売上高は22,913百万円と前連結会計年度に比べ978百万円増加(+4.5%)しました。
希釈ビチューメンは、JACOSハンギングストーン鉱区において2017年8月より本格生産操業を開始したことに伴い、販売数量は1,176千klと前連結会計年度と比べ1,015千kl増加(+634.1%)となり、売上高は30,116百万円と前連結会計年度に比べ25,603百万円増加(+567.4%)しております。
(営業費用)
売上原価は233,133百万円と前連結会計年度に比べ41,766百万円増加しております。これは主に、ビチューメンの本格生産操業に伴う操業費の増加、相馬LNG基地の通年操業(2018年3月より操業開始)に伴う操業費の増加、海外買入原油の販売数量の増加並びに販売価格の上昇などによるものであります。
販売費及び一般管理費は31,743百万円と前連結会計年度に比べ2,570百万円増加しました。
探鉱費については、前述(探鉱活動)をご参照ください。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ6,451百万円減益の2,313百万円となりました。
(営業外損益)
営業外収益は、前連結会計年度における為替差益が為替差損に転じた一方、前連結会計年度における持分法による投資損失が持分法による投資利益へと転じ、また、JACOSのDEMOエリアの権益等の譲渡に伴う資産除去債務戻入益を計上したことなどにより、前連結会計年度に比べ11,997百万円増加の20,804百万円となりました。
営業外費用は、前述のとおり当連結会計年度においては、為替差損が計上されたものの、前連結会計年度における持分法による投資損失が持分法による投資利益へと転じ、また、前連結会計年度における休止固定資産減価償却費(JACOSにおいて、DEMOエリアでのSAGD法によるビチューメン生産操業を終了したことに伴い、同エリアに係る有形固定資産を生産高比例法により償却)が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ3,148百万円減少の10,594百万円となりました。
以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ8,695百万円増益の12,523百万円となりました。
(特別損益)
特別利益は、前連結会計年度における補助金収入が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ4,286百万円減少の716百万円となりました。
特別損失は、前連結会計年度における減損損失(JMLにおいてPNW事業の事業化取りやめ決定を受け、PNW事業を前提としない上流事業として開発計画を見直した結果、上流事業に係る事業用資産の減損損失を計上)が減少したことや、前連結会計年度における特別損失その他(PNW事業に関連するパイプライン建設計画の解約費用)が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ78,068百万円減少の165百万円となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純損益は前連結会計年度に比べ82,477百万円増益の税金等調整前当期純利益13,074百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の「法人税、住民税及び事業税」に「法人税等調整額」を加えた法人税等の金額は△1,254百万円(前連結会計年度に比べ1,494百万円減少)となり、非支配株主に帰属する当期純損失は441百万円(前連結会計年度に比べ38,242百万円増加)となりました。
以上の結果、法人税等及び非支配株主に帰属する当期純損失を控除した後の親会社株主に帰属する当期純損益は前連結会計年度に比べ45,729百万円増益の14,770百万円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの資金需要の主な内訳は、営業活動における運転資金と投資活動における設備投資や海外事業投資のための資金になります。
運転資金は、主に内部資金により調達しておりますが、資金効率の向上を図るためCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を用い当社グループ内で融通することで有利子負債を圧縮しており、また、効率的な資金調達を目的として当連結会計年度末において取引銀行6行と総額151,652百万円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。
設備投資や海外事業投資のための資金は、投資金額が多額な場合、手元流動性とのバランスやその投資の性質を勘案し、長期の借入を行うことがあります。当連結会計年度末の長期借入金(1年内返済予定を含む)の残高は、134,115百万円となっており、主な内訳は、インドネシアのカンゲアン鉱区の開発資金宛て借入が4,439百万円、カナダ国におけるオイルサンド開発資金及びシェールガス開発資金宛て借入がそれぞれ66,247百万円、60,178百万円であります。
この他、当社グループは偶発債務として、海外のプロジェクト会社の事業資金宛て銀行借入及び当社従業員の住宅ローン等に対する保証債務が、当連結会計年度末において11,638百万円ありますが、これらに対する支払準備は、預金及び市場性のある有価証券により流動性を確保しております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、2030年に目指す姿を実現するために、油価60米ドル/バレルの前提のもとで、2022年度にROE≧5%の水準となることを目標に、収益改善を目指していきます。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。