有価証券報告書-第19期(2024/01/01-2024/12/31)
3.重要性のある会計方針
連結財務諸表の作成にあたって採用した重要性のある会計方針は以下のとおりであります。これらの方針は、特段の記載がない限り、表示しているすべての連結会計年度に継続して適用しております。
(1)連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社が支配しているすべての企業を指します。当社が、企業への関与による変動リターンにさらされている、又は変動リターンに対する権利を有している場合で、その企業に対するパワーを通じてこれらの変動リターンに影響を与えることができる場合には、当社はその企業を支配しております。
子会社の会計方針が、当社グループが採用している会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を行っております。
子会社の包括利益については、非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者と非支配持分に帰属させております。
支配を喪失しない子会社に対する持分の変動は、資本取引として会計処理しております。非支配持分の調整額と支払対価又は受取対価の公正価値との差額を資本に直接認識し、親会社の所有者に帰属させております。
子会社の支配を喪失する場合、処分損益は受取対価の公正価値及び残存持分の公正価値の合計と子会社の資産(のれんを含む)、負債及び非支配持分の支配喪失時の帳簿価額との差額として算定し、純損益で認識しております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して、重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配していない企業を指します。
関連会社に対する投資は持分法で会計処理を行い、取得時に取得原価で認識しております。その後、関連会社の純損益及びその他の包括利益に対する当社グループの持分を認識し、投資額を修正しております。
関連会社の会計方針が、当社グループが採用している会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社の財務諸表に調整を行っております。
③ 共同支配の取決め
共同支配の取決めとは、関連性のある活動にかかる意思決定について支配を共有している当事者の全会一致の合意を必要とする取決めを指します。共同支配の取決めは、共同支配を有する当事者の権利及び義務に基づいて、共同支配企業又は共同支配事業のいずれかに分類されます。
共同支配企業とは、共同支配を有する当事者が純資産に対する権利を有している場合の共同支配の取決めを指します。共同支配企業については、持分法により処理しております。共同支配企業の会計方針は、当社グループが採用している会計方針と整合させるため、必要に応じて修正しております。
共同支配事業とは、共同支配の取決めのうち、共同支配を行う参加者が契約上の取決めに関連する資産に対する権利及び負債に係る義務を有するものを指します。共同支配事業に係る投資については、当該共同支配の資産、負債、収益及び費用のうち、当社グループの持分相当額のみを認識しております。重要な内部取引並びに債権債務は、持分比率に応じて相殺消去しております。
④ 企業結合及びのれん
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。
企業結合が生じた期の末日までに企業結合の当初の会計処理が完了していない場合には、暫定的な金額で会計処理を行い、取得日から1年以内の測定期間において、暫定的な金額の修正を行っております。
取得原価は、取得日の公正価値で測定された移転した対価及び被取得企業に対する非支配持分の金額の合計額として測定しております。
被取得企業に対する非支配持分は、企業結合ごとに、公正価値又は被取得企業の識別可能純資産の公正価値に対する非支配持分割合相当額のいずれかにより測定しております。
当社グループが事業を取得する場合、取得日における契約条件、経済状況及び関連する諸条件に基づき、取得資産及び引受負債の分類及び指定を行っております。また、取得した識別可能資産及び引受負債は、原則として、取得日の公正価値で測定しております。
のれんは、移転した対価と非支配持分として認識された金額の総額が識別可能取得資産及び引受負債の純額を超過した額として測定しております。
のれんは、減損テスト実施のために、企業結合のシナジーからの便益を得ることが期待される個々の資金生成単位又は資金生成単位グループに配分しております。
当初認識後、企業結合で取得したのれんは償却せず、取得原価から減損損失累計額を控除した金額で計上しております。また、減損テストについては、連結会計年度末又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、実施しております。
持分法で会計処理されている投資の帳簿価額に含まれる関連会社・共同支配企業に係るのれんは、当該投資とは区別せずに一体の資産として減損テストを行っております。当社グループは、関連会社・共同支配企業に対する投資が減損しているということを示す客観的な証拠があるか否かを評価しております。投資が減損していることを示す客観的証拠がある場合、投資の回収可能価額(使用価値と売却コスト控除後の公正価値のいずれか高い方)と帳簿価額を比較することにより、減損テストを行っております。過去の期間に認識された減損損失は、過去の減損損失計上後、投資の回収可能価額の決定に使用された見積りの変更があった場合にのみ、投資の回収可能価額がその後に増加した範囲で戻し入れております。
(2)外貨換算
① 外貨建取引の換算
機能通貨以外の通貨(外貨)での取引については、取引日の為替レートで機能通貨に換算しております。
外貨建貨幣性項目は、連結会計年度末の為替レートで機能通貨に再換算しております。外貨建非貨幣性項目は、取得原価で測定するものは取引日の為替レートで、公正価値で測定するものは当該公正価値の算定日の為替レートで機能通貨に換算しております。
換算又は決済により生じる為替換算差額は、純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定する金融資産及びキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる為替換算差額は、その他の包括利益として認識しております。
② 在外営業活動体の換算
在外営業活動体の資産及び負債は、連結会計年度末の為替レートで日本円に換算しております。収益及び費用は連結会計年度中の為替レートが著しく変動していない限り、連結会計年度の平均為替レートを用いて日本円に換算しております。在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しております。また、下記「(18)法人所得税」に記載のとおり、その他の包括利益で認識される項目に関する法人所得税費用は、その他の包括利益に認識しております。そのため、在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる換算差額に関する法人所得税費用は、その他の包括利益として認識しております。
これらのその他の包括利益は、在外営業活動体の全部又は一部を処分した時点で純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益として認識した法人所得税費用のうち、IFRS移行日にゼロとみなすことを選択した在外営業活動体の換算差額に関する部分は、その他の包括利益として認識した後に、在外営業活動体の全部又は一部を処分した時点で利益剰余金に直接振り替えております。
なお、支配の喪失を伴わない子会社に対する持分の変動取引については、当該子会社の為替換算差額を親会社の所有者に帰属する持分と非支配持分との間で、資本を通じて再配分しております。
(3)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(4)金融商品
① 金融資産(デリバティブを除く)
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、金融商品の契約の当事者となった取引日に金融資産を認識しております。
当初認識時において、すべての金融資産は公正価値で測定しておりますが、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類されない場合は、当該公正価値に金融資産の取得に直接帰属する取引費用を加算した金額で測定しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取得に直接帰属する取引費用は、純損益に認識しております。
(ⅱ)分類
(a)負債性金融資産
償却原価で測定する金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記のいずれにも分類されないものについて、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(b)資本性金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当初認識時に、公正価値の変動をその他の包括利益を通じて認識すると指定したものについては、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産以外の金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(ⅲ)事後測定
(a)償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価で測定しております。
(b)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る公正価値の変動額は、減損損失の戻入益又は減損損失及び為替差損益を除き、当該金融資産の認識の中止が行われるまで、その他の包括利益として認識しております。当該金融資産の認識の中止が行われる場合、過去に認識したその他の包括利益は純損益に振り替えております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品に係る公正価値の変動額は、その他の包括利益として認識しております。当該金融資産の認識の中止が行われる場合、過去に認識したその他の包括利益は利益剰余金に直接振り替えております。なお、当該金融資産からの配当金については明らかに投資原価の一部回収である場合を除き純損益として認識しております。
(c)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産については、当初認識後は公正価値で測定し、その変動額は純損益として認識しております。
(ⅳ)金融資産の減損
当社グループは、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産及び償却原価で測定する金融資産に係る予想信用損失に対して、貸倒引当金を認識しております。
当社グループは、連結会計年度末ごとに、当該資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大したかどうかを評価しております。金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、当該金融商品に係る貸倒引当金を12ヶ月の予想信用損失と同額で測定しております。一方で、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融商品に係る貸倒引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。
ただし、営業債権に係る貸倒引当金については、上記に関わらず、常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。なお、債務者の財務状況の著しい悪化、債務者による支払不履行又は延滞等の契約違反等、金融資産が信用減損している証拠がある場合、算定した貸倒引当金を控除後の償却原価に対して、実効金利法を適用しております。
予想信用損失は、次のものを反映する方法で見積っております。
・一定範囲の生じ得る結果を評価することにより算定される、偏りのない確率加重金額
・貨幣の時間価値
・過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測についての、報告日において過大な費用や労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報
金融資産に係る貸倒引当金の繰入額又は貸倒引当金を減額する場合における貸倒引当金の戻入額は、連結損益計算書上「金融費用」又は「金融収益」に含めて純損益で認識しております。
(ⅴ)認識の中止
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は当社グループが金融資産を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合に金融資産の認識を中止しております。
② 金融負債(デリバティブを除く)
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、金融商品の契約の当事者となった取引日に金融負債を認識しております。
すべての金融負債は当初認識時に公正価値で測定しておりますが、償却原価で測定する金融負債については、公正価値から直接帰属する取引費用を控除した額で測定しております。
(ⅱ)分類
償却原価で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債以外の金融負債については、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
(ⅲ)事後測定
償却原価で測定する金融負債は、実効金利法により測定しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、公正価値で測定し、その変動額を純損益として認識しております。
(ⅳ)認識の中止
金融負債は、契約上の義務が免責、取消又は失効した場合に認識を中止しております。
③ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは、為替リスク、金利リスク及び商品価格変動リスクをヘッジする目的で、為替予約、金利通貨スワップ、商品スワップ及び商品オプションを利用しております。また、下記「(15)引当金」及び注記「31.金融商品 (1)財務上のリスク管理 ③市場リスク (ⅱ)金利リスク」に記載のとおり、資産除去債務の変動によって生じる連結損益計算書への影響を低減する目的で、金利スワップ等のデリバティブ取引等を利用しております。
これらのデリバティブの当初認識はデリバティブ契約を締結した日の公正価値で行い、関連する取引費用は発生時に費用として認識しております。当初認識後の再測定も公正価値で行い、キャッシュ・フロー・ヘッジ(認識されている資産または負債、もしくは可能性の非常に高い予定取引に関連する特定のリスクに起因し、かつ、純損益に影響する可能性があるキャッシュ・フローの変動のエクスポージャーに対するヘッジ)のヘッジ手段として指定する場合を除き、公正価値の変動額を純損益として認識しております。
ヘッジ会計を適用する取引については、以下のように分類し、会計処理を行っております。
(ⅰ)公正価値ヘッジ
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動は純損益として認識しております。ヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象の公正価値変動については、ヘッジ対象の帳簿価額を修正し、純損益として認識しております。
(ⅱ)キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ手段に係る利得又は損失のうち有効部分はその他の包括利益として認識し、非有効部分は直ちに純損益として認識しております。その他の包括利益に計上されたヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振替えております。ヘッジ対象が非金融資産又は非金融負債の認識を生じさせるものである場合に、その他の包括利益として認識されている金額は、非金融資産又は非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しております。
ヘッジ手段がヘッジ会計の要件を満たさない場合、失効、売却、終了又は行使された場合、又はヘッジ指定が取り消された場合には、ヘッジ会計の適用を将来に向けて中止しております。
④ 金融商品の公正価値
公正価値で測定する金融商品は、様々な評価技法やインプットを使用して算定しております。公正価値の測定に用いた評価技法へのインプットの観察可能性に応じて算定した公正価値を以下の3つのレベルに分類しております。
レベル1:活発な市場における同一の資産又は負債の市場価格
レベル2:レベル1以外の直接又は間接的に観察可能なインプットを使用して測定した公正価値
レベル3:観察不能なインプットを含む評価技法を用いて測定した公正価値
⑤ 金融収益及び金融費用
金融収益は、受取利息、受取配当金及びデリバティブ利益(その他の包括利益として認識されるヘッジ手段に係る利益を除く)等から構成されております。受取利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。
金融費用は、支払利息及びデリバティブ損失(その他の包括利益として認識されるヘッジ手段に係る損失を除く)等から構成されております。
(5)棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で評価しております。取得原価は主として総平均法に基づいて算定され、購入原価、加工費及び現在の場所及び状態に至るまでに要したすべての費用を含んでおります。正味実現可能価額は、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び見積販売費用を控除した額であります。
(6)石油・ガス資産
① 探鉱・評価・開発費
当社グループは、石油及び天然ガスの探査及び評価に係る支出について、成功成果法(サクセスフル・エフォート・メソッド)を用いて会計処理しております。権益取得費、探査井及び評価井に直接関連するすべての支出は、石油・ガス資産(探鉱・評価資産)として認識し、その後ドライホールと判断された場合には探鉱費を計上し、商業採算性を確保する見込みが損なわれた場合には減損損失を計上しております。地質調査及び地球物理探査費用、並びに探査井及び評価井に関連しない支出等のその他の探鉱段階において発生する支出は、発生時に探鉱費に計上しております。
石油及び天然ガスの採掘の技術的可能性及び実行可能性が立証可能となった時点で、減損テストを実施した上で石油・ガス資産(探鉱・評価資産)から石油・ガス資産(開発・生産資産)へ振替えております。なお、採掘の技術的可能性及び実行可能性が立証可能となった時点は、最終投資意思決定がなされた時点か開発計画が産油国政府により承認された時点のいずれか遅い方としております。
開発井及び関連する生産設備に係る支出は石油・ガス資産(開発・生産資産)として認識し、生産開始後、確認埋蔵量及び推定埋蔵量の合計数量に基づいて、生産高比例法により減価償却しております。生産高比例法に用いる埋蔵量はPRMS(Petroleum Resource Management System)に基づいて算定し、生産高比例法の償却率の算定の際に対象となる石油・ガス資産の取得原価には確認未開発埋蔵量又は推定埋蔵量へアクセスするため予定されている資本的支出を含めております。なお、当該埋蔵量の算定に用いる将来の油価見通しについては、米国証券取引委員会規則S-X Rule 4-10(a)と同様の、期中の月初油価・ガス価平均価格を使用しております。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体、撤去及び原状回復費用並びに長期プロジェクトのための借入コストで資産計上の要件を満たすものが含まれます。
大規模な保守や修繕に係る支出には、再取得資産や資産の一部の取替えに係る費用、調査費用及びオーバーホール(詳細検査)の費用が含まれます。大規模検査費用のうち、有形固定資産の認識基準が満たされるものについては資産計上され、次の調査までの期間にわたり減価償却されます。
② 販売用資産
石油・ガス資産(販売用資産)として認識されているのは、主に需要家へ天然ガスを供給するために使用されている国内パイプラインであり、見積耐用年数にわたり、定額法に基づいて減価償却しております。
定額法で減価償却する主な資産の耐用年数は以下のとおりであります。
・天然ガスパイプライン 30年
石油・ガス資産(販売用資産)の減価償却方法、見積耐用年数及び残存価額は、連結会計年度の末日ごとに見直しを行っております。
(7)その他の有形固定資産
有形固定資産の認識後の測定には原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で表示しております。
取得後に追加的に発生した支出については、その支出により将来の経済的便益が当社グループに流入する可能性が高く、金額を信頼性をもって測定することができる場合にのみ、当該取得資産の帳簿価額に算入するか個別の資産として認識するかのいずれかにより会計処理しております。取得原価に算入しない追加的な支出は、発生時に純損益で認識しております。
土地以外の有形固定資産の減価償却は、取得原価から残存価額を控除した償却可能価額について、有形固定資産の各構成要素の見積耐用年数にわたり、主として定額法に基づいて行っております。
主な有形固定資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
・建物及び構築物 2年~60年
・機械装置及び運搬具 2年~22年
有形固定資産の減価償却方法、見積耐用年数及び残存価額は、連結会計年度の末日ごとに見直しを行っております。
(8)のれん及び無形資産
① のれん
当初認識時におけるのれんの測定は、「(1)連結の基礎 ④ 企業結合及びのれん」に記載しております。のれんは、取得原価から減損損失累計額を控除した額で計上しております。
② 無形資産
無形資産の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で計上しております。
耐用年数を確定できる無形資産は、主としてそれぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却しております。
主な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
・ソフトウェア 5年
見積耐用年数及び償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行っております。
(9)リース
当社グループは、主として石油・ガスの開発・生産及び販売を行うための掘削リグ、鉱場・事業所用の定期借地、国内幹線パイプライン用の土地賃借、原材料や商品の運搬のための定期傭船、オフィス等をリースしております。
リース取引におけるリース負債は、リース開始日におけるリース料総額の未決済分の割引現在価値として測定を行っております。変動リース料のうち、指数又はレートに応じて決定される金額以外はリース負債の測定に含められるリース料を構成していませんが、実質的に固定リース料と判断されるリース料についてはリース負債の測定に含めております。
使用権資産については、リース負債の当初測定額に当初直接コスト、前払リース料等を調整し、リース契約に基づき要求される原状回復義務等の費用を加えた額で当初の測定を行っております。使用権資産は、リース期間にわたって定額法で減価償却しております。リース期間は、リースの解約不能期間にリースを延長するオプションを行使すること又はリースを解約するオプションを行使しないことが合理的に確実な期間を加味したものとして決定しております。
支払リース料は、リース負債残高に対して一定の利子率となるように、金融費用とリース負債残高の返済部分に配分しております。金融費用は連結損益計算書上、使用権資産に係る減価償却費と区分して表示しております。
契約がリースであるか否か、又は契約にリースが含まれているか否かについては、法的にはリースの形態をとらないものであっても、リース開始日における契約の実質、すなわち契約の履行が特定資産又は資産グループの使用に依存しているかどうか、及び契約により当該資産の使用権が移転するかどうかの判断に基づき決定しております。
当社グループがオペレーターかつ原資産の使用方法及び使用目的を指図する権利を単独で有していると判断される場合には、使用権資産とリース負債を100%認識しております。当社グループがオペレーターかつ共同事業(その契約のすべての当事者を含む)に特定の資産の使用を管理する権利があり、すべての当事者が第三者供給業者に支払いをする法的義務を負っていると判断される場合には、持分比率に応じた使用権資産とリース負債を認識しております。当社グループがオペレーターではない場合は、共同操業協定における主たる債務者としての責任関係を踏まえ個々の状況に応じて使用権資産とリース負債を認識しております。
なお、リース期間が12ヶ月以内に終了するリースについて、当該リースに関連したリース料を、リース期間にわたり定額法又は他の規則的な基礎のいずれかにより費用として認識しております。また、契約の構成部分に関して、一部のリースについては、非リース構成部分をリース構成部分と区別せずに、各リース構成部分及び関連する非リース構成部分を単一のリース構成部分として会計処理する実務上の便法を適用しております。対象としては、建物、船舶(輸送目的)、施設(FPSO(※1)及びFSO(※2))、並びに掘削リグを原資産としないリースになります。
(※1)沖合生産・貯油出荷施設。洋上で原油・天然ガスを生産し、生産した原油をFPSO内のタンクに貯蔵して、原油タンカーに直接原油の積み出しを行う船型の施設のこと。
(※2)沖合貯油出荷施設。石油・天然ガスの生産設備を持たず、貯蔵・積出のみを洋上で行う施設のこと。
(10)非金融資産の減損
棚卸資産及び繰延税金資産を除く当社グループの非金融資産について、連結会計年度末ごとに各資産又は資産が属する資金生成単位(又はそのグループ)の減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、減損テストを実施しております。のれんの減損テストについては、連結会計年度末又は減損の兆候が存在する場合はその都度、実施しております。
回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割引いております。個々の資産について回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を算定しております。
のれん以外の資産の資金生成単位については、他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループとしております。のれんの資金生成単位又は資金生成単位グループは、のれんが内部報告目的で管理される単位に基づき決定しております。
資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、純損益として減損損失を認識しております。
過去に認識したのれん以外の資産の減損損失は、連結会計年度末ごとに、損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を判断しております。減損の戻入れの兆候があり、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化し、回収可能価額が帳簿価額を超える場合には、減損損失を戻し入れております。減損損失の戻入れは、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却費を控除した後の帳簿価額を上限として行っております。のれんに関連する減損損失は戻し入れておりません。
(11)石油・天然ガス埋蔵量の見積りの決定
減価償却、減損の検討、閉鎖・原状回復コストや浄化コストの支払時期の予測のために使用する石油・天然ガス埋蔵量は、適格な専門家によって作成された情報に基づき見積りを行っております。当該見積りの詳細は、注記「4.重要な会計上の見積り及び判断 (埋蔵量)」に記載しております。
(12)売却目的で保有する非流動資産又は処分グループ及び非継続事業
非流動資産又は処分グループについては、継続的な使用ではなく、主として売却取引により回収が見込まれるものであり、1年以内に売却する可能性が非常に高く、かつ、現在の状態で即時に売却可能で、経営者が売却を確約している場合には、売却目的で保有する非流動資産又は処分グループとして分類しております。
売却目的で保有する非流動資産又は処分グループは、減価償却又は償却は行わず、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定しております。
既に処分された又は売却目的で保有する非流動資産又は処分グループが、独立の主要な事業分野又は営業地域を示す場合、独立の主要な事業分野又は営業地域を処分する統一された計画の一部である場合、転売のみを目的に取得した子会社である場合のいずれかに該当した場合、非継続事業として認識しております。
(13)従業員給付
① 退職後給付
(ⅰ)確定給付型制度
確定給付型制度は、確定拠出型制度以外の退職後給付制度であります。確定給付型制度に関連する当社グループの純債務は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を現在価値に割引くことによって算定しております。制度資産の公正価値は当該算定結果から控除しております。
確定給付負債(資産)の純額に係る純利息費用は、確定給付負債(資産)の純額に割引率を乗じて算定し、従業員給付費用として計上しております。割引率は、当社グループの債務と概ね同じ満期日を有する優良社債の連結会計年度末時点の市場利回りを参照しております。
制度が改訂又は縮小された場合、従業員による過去の勤務に関連する給付の増減による確定給付債務の現在価値の変動は、即時に純損益として認識しております。
当社グループは、確定給付型制度から生じるすべての再測定による調整額を即時にその他の包括利益として認識し、直ちに利益剰余金に振替えております。
(ⅱ)確定拠出型制度
確定拠出型制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払いについて当社グループが法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度であります。確定拠出型制度の拠出は、従業員がサービスを提供した期間に純損益として認識しております。
② 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で純損益として認識しております。
賞与及び有給休暇費用については、それらを支払う法的もしくは推定的な債務を有し、信頼性のある見積りが可能な場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
(14)株式報酬
当社は、当社取締役及び執行役員(社外取締役及び国内非居住者を除く。以下「取締役等」と言う。)を対象とする株式報酬制度として、持分決済型の役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託を採用しております。受領したサービスの対価は付与日における当社株式の公正価値で測定しており、権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。
(15)引当金
引当金は、過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高く、その金額を信頼性をもって見積ることができる場合に認識しております。
引当金は、債務の決済に必要とされると見込まれる支出に、貨幣の時間価値の現在の市場評価と当該債務に特有なリスクを反映した税引前の割引率を用いて、現在価値で測定しております。時間の経過による引当金の増加は利息費用として認識しております。
割引率の変更等に起因して連結会計年度末に発生した資産除去債務の増減額のうち対応する資産の帳簿価額がゼロの場合には、増減額を即時に純損益に認識し、連結損益計算書において売上原価として表示しております。なお、上記「(4)金融商品 ③デリバティブ及びヘッジ会計」及び注記「31.金融商品 (1)財務上のリスク管理 ③市場リスク (ⅱ)金利リスク」に記載のとおり、当社グループは、資産除去債務の変動によって生じる連結損益計算書への影響を低減する目的で、金利スワップ等のデリバティブ取引等を行っております。
また、当社グループが引当金を決済するために必要な支出の一部又は全部の補填を期待できる時には、補填の受取りがほぼ確実な場合に限り、補填は別個の資産として認識しております。
なお、引当金の繰入と外部からの補填を同一の連結会計年度において認識した場合には、連結損益計算書においては、両者を純額で表示しております。
国内石油天然ガス生産施設等に関する資産除去債務の場合は、鉱山保安法が規定する採掘終了後の坑井掘採跡の鉱害防止等の義務を有し、かつ操業終了後に負担する費用を合理的に見積ることができる場合に認識しております。また、海外石油天然ガス生産施設等の場合は、産油国政府との石油契約や現地法令等に基づく当該生産設備等の撤去等の廃鉱義務を有し、かつ操業終了後に負担する費用を合理的に見積ることができる場合に資産除去債務を認識しております。
連結会計年度末現在において発生可能性のある債務を有しているが、それが連結会計年度末現在の債務であるか否か確認ができないもの、又は引当金の認識基準を満たさないものについては、偶発債務として、注記「21.資産除去債務」及び注記「38.偶発債務」に記載しております。
(16)資本
当社が発行した普通株式は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は資本剰余金から控除しております。
自己株式を取得した場合は、直接取引費用を含む税効果考慮後の支払対価を、資本の控除項目として認識しております。自己株式を売却した場合は、帳簿価額と受取対価の差額を資本剰余金として認識しております。
(17)収益認識
当社グループは、IFRS第9号「金融商品」に基づく利息及び配当収益等を除き、顧客との契約について次の5つのステップを適用することにより収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務が充足されたときに(又は充足するにつれて)収益を認識する
当社グループでは、原油・天然ガス(LPG含む。以下同じ)の探鉱、開発、生産及び販売を行っております。
これらの販売は、主として製品の支配が顧客に移転したとき、すなわち原油・天然ガスについては顧客に製品を引き渡した時点又はインコタームズ等で定められた貿易条件を参考として支配が顧客に移転した時点で、製品の法的所有権、物的占有権又は製品の所有に伴う重要なリスク及び経済価値が移転し、顧客から製品の対価を受ける権利を得ると判断しているため、その時点で収益を認識しております。また、収益は顧客との契約による取引価格に基づき認識しており、取引の対価は製品の引き渡し後1年以内に受け取るため、重大な金融要素を含んでおりません。
当社グループが他社と権益を共有している原油・天然ガスの生産による収益において、配船等の都合上、実際に引き渡された数量と当社グループの権益持分に相当する数量が一致しないことがあります。この場合、当社グループは実際に引き渡された数量に基づいて収益を認識し、実際に引き渡された数量と当社グループの権益持分に相当する数量の差は、権益を共有する他社との間で、翌期以降に引き渡される原油・天然ガスの現物によって精算されます。当社グループの権益持分を超える引き渡しを受けた場合、権益相当を超過する数量に対応する売上原価も収益を認識した連結会計年度に繰り入れられ、同時に権益を共有する他社に対する負債を計上しております。当社グループの権益持分を下回る引き渡しを受けた場合、権益相当を下回る数量に対応する売上原価は、実際に引き渡しが行われる連結会計年度まで繰延べられ、同時に権益を共有する他社に対する資産を計上しております。
(18)法人所得税
当社グループの法人所得税費用には、法人税の他に石油資源税等の課税当局の定めたルールにより算出した当期の利益に対して課される税金が含まれております。生産量をベースとしたロイヤリティの支払いは法人所得税費用に含めておりません。
法人所得税費用は、当期法人所得税費用と繰延法人所得税費用から構成されております。これらは、企業結合に関連するもの及び直接資本の部又はその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益として認識しております。
当期法人所得税費用は、連結会計年度末時点において制定又は実質的に制定されている税率を使用して、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付がされる金額で算定しております。
繰延法人所得税費用は、連結会計年度末における会計上の資産及び負債の帳簿価額と、関連する税務基準額との差額により生じる一時差異に基づいて算定しております。
繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除に対して、それらを回収できる課税所得が生じる可能性が高い範囲で認識しております。
子会社、関連会社及び共同支配企業に対する投資に係る将来減算一時差異については、当該一時差異からの便益を利用するのに十分な課税所得が稼得される可能性が高く、かつ予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が高い場合のみ、繰延税金資産を認識しております。
なお、繰延税金資産は毎期見直され、税務便益の実現が見込めないと判断される部分については減額しております。
繰延税金負債は、以下の例外の場合を除いて、すべての将来加算一時差異について認識しております。
・のれんの当初認識により生じる将来加算一時差異
・企業結合取引を除く会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えず、かつ取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異を生じさせない取引によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
・子会社、関連会社及び共同支配企業に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、解消時期をコントロールでき、かつ予見可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産及び負債は、連結会計年度末において制定、又は実質的に制定されている税率に基づいて、資産が実現する期間又は負債が決済される期間に適用されると予想される税率によって測定しております。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産及び負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合又は別々の納税主体であるものの当期税金負債と当期税金資産とを純額で決済するか、あるいは資産の実現と負債の決済を同時に行うことを意図している場合に相殺しております。また、単一の取引から資産と負債の両方を同額で認識する特定の取引については、認識される資産に係る将来加算一時差異に対し繰延税金負債を、認識される負債に関する将来減算一時差異に対し繰延税金資産を、それぞれ認識しております。
当社及び一部の子会社は、グループ通算制度を適用しております。
(19)借入コスト
意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を必要とする資産、つまり適格資産の取得、建設又は生産に直接帰属する借入コストは、その資産が実質的に意図した使用又は販売を可能にする時まで、それらの資産の取得原価に加算しております。
上記以外のすべての借入コストは、それが発生した期間に純損益として認識しております。
(20)1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有する潜在株式の影響を調整して計算しております。
連結財務諸表の作成にあたって採用した重要性のある会計方針は以下のとおりであります。これらの方針は、特段の記載がない限り、表示しているすべての連結会計年度に継続して適用しております。
(1)連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社が支配しているすべての企業を指します。当社が、企業への関与による変動リターンにさらされている、又は変動リターンに対する権利を有している場合で、その企業に対するパワーを通じてこれらの変動リターンに影響を与えることができる場合には、当社はその企業を支配しております。
子会社の会計方針が、当社グループが採用している会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を行っております。
子会社の包括利益については、非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者と非支配持分に帰属させております。
支配を喪失しない子会社に対する持分の変動は、資本取引として会計処理しております。非支配持分の調整額と支払対価又は受取対価の公正価値との差額を資本に直接認識し、親会社の所有者に帰属させております。
子会社の支配を喪失する場合、処分損益は受取対価の公正価値及び残存持分の公正価値の合計と子会社の資産(のれんを含む)、負債及び非支配持分の支配喪失時の帳簿価額との差額として算定し、純損益で認識しております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して、重要な影響力を有しているものの、支配又は共同支配していない企業を指します。
関連会社に対する投資は持分法で会計処理を行い、取得時に取得原価で認識しております。その後、関連会社の純損益及びその他の包括利益に対する当社グループの持分を認識し、投資額を修正しております。
関連会社の会計方針が、当社グループが採用している会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該関連会社の財務諸表に調整を行っております。
③ 共同支配の取決め
共同支配の取決めとは、関連性のある活動にかかる意思決定について支配を共有している当事者の全会一致の合意を必要とする取決めを指します。共同支配の取決めは、共同支配を有する当事者の権利及び義務に基づいて、共同支配企業又は共同支配事業のいずれかに分類されます。
共同支配企業とは、共同支配を有する当事者が純資産に対する権利を有している場合の共同支配の取決めを指します。共同支配企業については、持分法により処理しております。共同支配企業の会計方針は、当社グループが採用している会計方針と整合させるため、必要に応じて修正しております。
共同支配事業とは、共同支配の取決めのうち、共同支配を行う参加者が契約上の取決めに関連する資産に対する権利及び負債に係る義務を有するものを指します。共同支配事業に係る投資については、当該共同支配の資産、負債、収益及び費用のうち、当社グループの持分相当額のみを認識しております。重要な内部取引並びに債権債務は、持分比率に応じて相殺消去しております。
④ 企業結合及びのれん
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。
企業結合が生じた期の末日までに企業結合の当初の会計処理が完了していない場合には、暫定的な金額で会計処理を行い、取得日から1年以内の測定期間において、暫定的な金額の修正を行っております。
取得原価は、取得日の公正価値で測定された移転した対価及び被取得企業に対する非支配持分の金額の合計額として測定しております。
被取得企業に対する非支配持分は、企業結合ごとに、公正価値又は被取得企業の識別可能純資産の公正価値に対する非支配持分割合相当額のいずれかにより測定しております。
当社グループが事業を取得する場合、取得日における契約条件、経済状況及び関連する諸条件に基づき、取得資産及び引受負債の分類及び指定を行っております。また、取得した識別可能資産及び引受負債は、原則として、取得日の公正価値で測定しております。
のれんは、移転した対価と非支配持分として認識された金額の総額が識別可能取得資産及び引受負債の純額を超過した額として測定しております。
のれんは、減損テスト実施のために、企業結合のシナジーからの便益を得ることが期待される個々の資金生成単位又は資金生成単位グループに配分しております。
当初認識後、企業結合で取得したのれんは償却せず、取得原価から減損損失累計額を控除した金額で計上しております。また、減損テストについては、連結会計年度末又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、実施しております。
持分法で会計処理されている投資の帳簿価額に含まれる関連会社・共同支配企業に係るのれんは、当該投資とは区別せずに一体の資産として減損テストを行っております。当社グループは、関連会社・共同支配企業に対する投資が減損しているということを示す客観的な証拠があるか否かを評価しております。投資が減損していることを示す客観的証拠がある場合、投資の回収可能価額(使用価値と売却コスト控除後の公正価値のいずれか高い方)と帳簿価額を比較することにより、減損テストを行っております。過去の期間に認識された減損損失は、過去の減損損失計上後、投資の回収可能価額の決定に使用された見積りの変更があった場合にのみ、投資の回収可能価額がその後に増加した範囲で戻し入れております。
(2)外貨換算
① 外貨建取引の換算
機能通貨以外の通貨(外貨)での取引については、取引日の為替レートで機能通貨に換算しております。
外貨建貨幣性項目は、連結会計年度末の為替レートで機能通貨に再換算しております。外貨建非貨幣性項目は、取得原価で測定するものは取引日の為替レートで、公正価値で測定するものは当該公正価値の算定日の為替レートで機能通貨に換算しております。
換算又は決済により生じる為替換算差額は、純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定する金融資産及びキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる為替換算差額は、その他の包括利益として認識しております。
② 在外営業活動体の換算
在外営業活動体の資産及び負債は、連結会計年度末の為替レートで日本円に換算しております。収益及び費用は連結会計年度中の為替レートが著しく変動していない限り、連結会計年度の平均為替レートを用いて日本円に換算しております。在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しております。また、下記「(18)法人所得税」に記載のとおり、その他の包括利益で認識される項目に関する法人所得税費用は、その他の包括利益に認識しております。そのため、在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる換算差額に関する法人所得税費用は、その他の包括利益として認識しております。
これらのその他の包括利益は、在外営業活動体の全部又は一部を処分した時点で純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益として認識した法人所得税費用のうち、IFRS移行日にゼロとみなすことを選択した在外営業活動体の換算差額に関する部分は、その他の包括利益として認識した後に、在外営業活動体の全部又は一部を処分した時点で利益剰余金に直接振り替えております。
なお、支配の喪失を伴わない子会社に対する持分の変動取引については、当該子会社の為替換算差額を親会社の所有者に帰属する持分と非支配持分との間で、資本を通じて再配分しております。
(3)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(4)金融商品
① 金融資産(デリバティブを除く)
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、金融商品の契約の当事者となった取引日に金融資産を認識しております。
当初認識時において、すべての金融資産は公正価値で測定しておりますが、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類されない場合は、当該公正価値に金融資産の取得に直接帰属する取引費用を加算した金額で測定しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取得に直接帰属する取引費用は、純損益に認識しております。
(ⅱ)分類
(a)負債性金融資産
償却原価で測定する金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
以下の要件をともに満たす場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
・当該金融資産が、契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルの中で保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記のいずれにも分類されないものについて、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(b)資本性金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当初認識時に、公正価値の変動をその他の包括利益を通じて認識すると指定したものについては、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産以外の金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(ⅲ)事後測定
(a)償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価で測定しております。
(b)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る公正価値の変動額は、減損損失の戻入益又は減損損失及び為替差損益を除き、当該金融資産の認識の中止が行われるまで、その他の包括利益として認識しております。当該金融資産の認識の中止が行われる場合、過去に認識したその他の包括利益は純損益に振り替えております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品に係る公正価値の変動額は、その他の包括利益として認識しております。当該金融資産の認識の中止が行われる場合、過去に認識したその他の包括利益は利益剰余金に直接振り替えております。なお、当該金融資産からの配当金については明らかに投資原価の一部回収である場合を除き純損益として認識しております。
(c)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産については、当初認識後は公正価値で測定し、その変動額は純損益として認識しております。
(ⅳ)金融資産の減損
当社グループは、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産及び償却原価で測定する金融資産に係る予想信用損失に対して、貸倒引当金を認識しております。
当社グループは、連結会計年度末ごとに、当該資産に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大したかどうかを評価しております。金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、当該金融商品に係る貸倒引当金を12ヶ月の予想信用損失と同額で測定しております。一方で、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融商品に係る貸倒引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。
ただし、営業債権に係る貸倒引当金については、上記に関わらず、常に貸倒引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。なお、債務者の財務状況の著しい悪化、債務者による支払不履行又は延滞等の契約違反等、金融資産が信用減損している証拠がある場合、算定した貸倒引当金を控除後の償却原価に対して、実効金利法を適用しております。
予想信用損失は、次のものを反映する方法で見積っております。
・一定範囲の生じ得る結果を評価することにより算定される、偏りのない確率加重金額
・貨幣の時間価値
・過去の事象、現在の状況及び将来の経済状況の予測についての、報告日において過大な費用や労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報
金融資産に係る貸倒引当金の繰入額又は貸倒引当金を減額する場合における貸倒引当金の戻入額は、連結損益計算書上「金融費用」又は「金融収益」に含めて純損益で認識しております。
(ⅴ)認識の中止
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は当社グループが金融資産を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてを移転する場合に金融資産の認識を中止しております。
② 金融負債(デリバティブを除く)
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、金融商品の契約の当事者となった取引日に金融負債を認識しております。
すべての金融負債は当初認識時に公正価値で測定しておりますが、償却原価で測定する金融負債については、公正価値から直接帰属する取引費用を控除した額で測定しております。
(ⅱ)分類
償却原価で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債以外の金融負債については、償却原価で測定する金融負債に分類しております。
(ⅲ)事後測定
償却原価で測定する金融負債は、実効金利法により測定しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、公正価値で測定し、その変動額を純損益として認識しております。
(ⅳ)認識の中止
金融負債は、契約上の義務が免責、取消又は失効した場合に認識を中止しております。
③ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは、為替リスク、金利リスク及び商品価格変動リスクをヘッジする目的で、為替予約、金利通貨スワップ、商品スワップ及び商品オプションを利用しております。また、下記「(15)引当金」及び注記「31.金融商品 (1)財務上のリスク管理 ③市場リスク (ⅱ)金利リスク」に記載のとおり、資産除去債務の変動によって生じる連結損益計算書への影響を低減する目的で、金利スワップ等のデリバティブ取引等を利用しております。
これらのデリバティブの当初認識はデリバティブ契約を締結した日の公正価値で行い、関連する取引費用は発生時に費用として認識しております。当初認識後の再測定も公正価値で行い、キャッシュ・フロー・ヘッジ(認識されている資産または負債、もしくは可能性の非常に高い予定取引に関連する特定のリスクに起因し、かつ、純損益に影響する可能性があるキャッシュ・フローの変動のエクスポージャーに対するヘッジ)のヘッジ手段として指定する場合を除き、公正価値の変動額を純損益として認識しております。
ヘッジ会計を適用する取引については、以下のように分類し、会計処理を行っております。
(ⅰ)公正価値ヘッジ
ヘッジ手段であるデリバティブの公正価値の変動は純損益として認識しております。ヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象の公正価値変動については、ヘッジ対象の帳簿価額を修正し、純損益として認識しております。
(ⅱ)キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ手段に係る利得又は損失のうち有効部分はその他の包括利益として認識し、非有効部分は直ちに純損益として認識しております。その他の包括利益に計上されたヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振替えております。ヘッジ対象が非金融資産又は非金融負債の認識を生じさせるものである場合に、その他の包括利益として認識されている金額は、非金融資産又は非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しております。
ヘッジ手段がヘッジ会計の要件を満たさない場合、失効、売却、終了又は行使された場合、又はヘッジ指定が取り消された場合には、ヘッジ会計の適用を将来に向けて中止しております。
④ 金融商品の公正価値
公正価値で測定する金融商品は、様々な評価技法やインプットを使用して算定しております。公正価値の測定に用いた評価技法へのインプットの観察可能性に応じて算定した公正価値を以下の3つのレベルに分類しております。
レベル1:活発な市場における同一の資産又は負債の市場価格
レベル2:レベル1以外の直接又は間接的に観察可能なインプットを使用して測定した公正価値
レベル3:観察不能なインプットを含む評価技法を用いて測定した公正価値
⑤ 金融収益及び金融費用
金融収益は、受取利息、受取配当金及びデリバティブ利益(その他の包括利益として認識されるヘッジ手段に係る利益を除く)等から構成されております。受取利息は、実効金利法を用いて発生時に認識しております。
金融費用は、支払利息及びデリバティブ損失(その他の包括利益として認識されるヘッジ手段に係る損失を除く)等から構成されております。
(5)棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で評価しております。取得原価は主として総平均法に基づいて算定され、購入原価、加工費及び現在の場所及び状態に至るまでに要したすべての費用を含んでおります。正味実現可能価額は、通常の事業の過程における見積売価から、完成までに要する見積原価及び見積販売費用を控除した額であります。
(6)石油・ガス資産
① 探鉱・評価・開発費
当社グループは、石油及び天然ガスの探査及び評価に係る支出について、成功成果法(サクセスフル・エフォート・メソッド)を用いて会計処理しております。権益取得費、探査井及び評価井に直接関連するすべての支出は、石油・ガス資産(探鉱・評価資産)として認識し、その後ドライホールと判断された場合には探鉱費を計上し、商業採算性を確保する見込みが損なわれた場合には減損損失を計上しております。地質調査及び地球物理探査費用、並びに探査井及び評価井に関連しない支出等のその他の探鉱段階において発生する支出は、発生時に探鉱費に計上しております。
石油及び天然ガスの採掘の技術的可能性及び実行可能性が立証可能となった時点で、減損テストを実施した上で石油・ガス資産(探鉱・評価資産)から石油・ガス資産(開発・生産資産)へ振替えております。なお、採掘の技術的可能性及び実行可能性が立証可能となった時点は、最終投資意思決定がなされた時点か開発計画が産油国政府により承認された時点のいずれか遅い方としております。
開発井及び関連する生産設備に係る支出は石油・ガス資産(開発・生産資産)として認識し、生産開始後、確認埋蔵量及び推定埋蔵量の合計数量に基づいて、生産高比例法により減価償却しております。生産高比例法に用いる埋蔵量はPRMS(Petroleum Resource Management System)に基づいて算定し、生産高比例法の償却率の算定の際に対象となる石油・ガス資産の取得原価には確認未開発埋蔵量又は推定埋蔵量へアクセスするため予定されている資本的支出を含めております。なお、当該埋蔵量の算定に用いる将来の油価見通しについては、米国証券取引委員会規則S-X Rule 4-10(a)と同様の、期中の月初油価・ガス価平均価格を使用しております。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体、撤去及び原状回復費用並びに長期プロジェクトのための借入コストで資産計上の要件を満たすものが含まれます。
大規模な保守や修繕に係る支出には、再取得資産や資産の一部の取替えに係る費用、調査費用及びオーバーホール(詳細検査)の費用が含まれます。大規模検査費用のうち、有形固定資産の認識基準が満たされるものについては資産計上され、次の調査までの期間にわたり減価償却されます。
② 販売用資産
石油・ガス資産(販売用資産)として認識されているのは、主に需要家へ天然ガスを供給するために使用されている国内パイプラインであり、見積耐用年数にわたり、定額法に基づいて減価償却しております。
定額法で減価償却する主な資産の耐用年数は以下のとおりであります。
・天然ガスパイプライン 30年
石油・ガス資産(販売用資産)の減価償却方法、見積耐用年数及び残存価額は、連結会計年度の末日ごとに見直しを行っております。
(7)その他の有形固定資産
有形固定資産の認識後の測定には原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で表示しております。
取得後に追加的に発生した支出については、その支出により将来の経済的便益が当社グループに流入する可能性が高く、金額を信頼性をもって測定することができる場合にのみ、当該取得資産の帳簿価額に算入するか個別の資産として認識するかのいずれかにより会計処理しております。取得原価に算入しない追加的な支出は、発生時に純損益で認識しております。
土地以外の有形固定資産の減価償却は、取得原価から残存価額を控除した償却可能価額について、有形固定資産の各構成要素の見積耐用年数にわたり、主として定額法に基づいて行っております。
主な有形固定資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
・建物及び構築物 2年~60年
・機械装置及び運搬具 2年~22年
有形固定資産の減価償却方法、見積耐用年数及び残存価額は、連結会計年度の末日ごとに見直しを行っております。
(8)のれん及び無形資産
① のれん
当初認識時におけるのれんの測定は、「(1)連結の基礎 ④ 企業結合及びのれん」に記載しております。のれんは、取得原価から減損損失累計額を控除した額で計上しております。
② 無形資産
無形資産の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で計上しております。
耐用年数を確定できる無形資産は、主としてそれぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却しております。
主な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりであります。
・ソフトウェア 5年
見積耐用年数及び償却方法は、各連結会計年度末に見直しを行っております。
(9)リース
当社グループは、主として石油・ガスの開発・生産及び販売を行うための掘削リグ、鉱場・事業所用の定期借地、国内幹線パイプライン用の土地賃借、原材料や商品の運搬のための定期傭船、オフィス等をリースしております。
リース取引におけるリース負債は、リース開始日におけるリース料総額の未決済分の割引現在価値として測定を行っております。変動リース料のうち、指数又はレートに応じて決定される金額以外はリース負債の測定に含められるリース料を構成していませんが、実質的に固定リース料と判断されるリース料についてはリース負債の測定に含めております。
使用権資産については、リース負債の当初測定額に当初直接コスト、前払リース料等を調整し、リース契約に基づき要求される原状回復義務等の費用を加えた額で当初の測定を行っております。使用権資産は、リース期間にわたって定額法で減価償却しております。リース期間は、リースの解約不能期間にリースを延長するオプションを行使すること又はリースを解約するオプションを行使しないことが合理的に確実な期間を加味したものとして決定しております。
支払リース料は、リース負債残高に対して一定の利子率となるように、金融費用とリース負債残高の返済部分に配分しております。金融費用は連結損益計算書上、使用権資産に係る減価償却費と区分して表示しております。
契約がリースであるか否か、又は契約にリースが含まれているか否かについては、法的にはリースの形態をとらないものであっても、リース開始日における契約の実質、すなわち契約の履行が特定資産又は資産グループの使用に依存しているかどうか、及び契約により当該資産の使用権が移転するかどうかの判断に基づき決定しております。
当社グループがオペレーターかつ原資産の使用方法及び使用目的を指図する権利を単独で有していると判断される場合には、使用権資産とリース負債を100%認識しております。当社グループがオペレーターかつ共同事業(その契約のすべての当事者を含む)に特定の資産の使用を管理する権利があり、すべての当事者が第三者供給業者に支払いをする法的義務を負っていると判断される場合には、持分比率に応じた使用権資産とリース負債を認識しております。当社グループがオペレーターではない場合は、共同操業協定における主たる債務者としての責任関係を踏まえ個々の状況に応じて使用権資産とリース負債を認識しております。
なお、リース期間が12ヶ月以内に終了するリースについて、当該リースに関連したリース料を、リース期間にわたり定額法又は他の規則的な基礎のいずれかにより費用として認識しております。また、契約の構成部分に関して、一部のリースについては、非リース構成部分をリース構成部分と区別せずに、各リース構成部分及び関連する非リース構成部分を単一のリース構成部分として会計処理する実務上の便法を適用しております。対象としては、建物、船舶(輸送目的)、施設(FPSO(※1)及びFSO(※2))、並びに掘削リグを原資産としないリースになります。
(※1)沖合生産・貯油出荷施設。洋上で原油・天然ガスを生産し、生産した原油をFPSO内のタンクに貯蔵して、原油タンカーに直接原油の積み出しを行う船型の施設のこと。
(※2)沖合貯油出荷施設。石油・天然ガスの生産設備を持たず、貯蔵・積出のみを洋上で行う施設のこと。
(10)非金融資産の減損
棚卸資産及び繰延税金資産を除く当社グループの非金融資産について、連結会計年度末ごとに各資産又は資産が属する資金生成単位(又はそのグループ)の減損の兆候の有無を判断しております。減損の兆候が存在する場合は、減損テストを実施しております。のれんの減損テストについては、連結会計年度末又は減損の兆候が存在する場合はその都度、実施しております。
回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割引いております。個々の資産について回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額を算定しております。
のれん以外の資産の資金生成単位については、他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループとしております。のれんの資金生成単位又は資金生成単位グループは、のれんが内部報告目的で管理される単位に基づき決定しております。
資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、純損益として減損損失を認識しております。
過去に認識したのれん以外の資産の減損損失は、連結会計年度末ごとに、損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を判断しております。減損の戻入れの兆候があり、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化し、回収可能価額が帳簿価額を超える場合には、減損損失を戻し入れております。減損損失の戻入れは、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却費を控除した後の帳簿価額を上限として行っております。のれんに関連する減損損失は戻し入れておりません。
(11)石油・天然ガス埋蔵量の見積りの決定
減価償却、減損の検討、閉鎖・原状回復コストや浄化コストの支払時期の予測のために使用する石油・天然ガス埋蔵量は、適格な専門家によって作成された情報に基づき見積りを行っております。当該見積りの詳細は、注記「4.重要な会計上の見積り及び判断 (埋蔵量)」に記載しております。
(12)売却目的で保有する非流動資産又は処分グループ及び非継続事業
非流動資産又は処分グループについては、継続的な使用ではなく、主として売却取引により回収が見込まれるものであり、1年以内に売却する可能性が非常に高く、かつ、現在の状態で即時に売却可能で、経営者が売却を確約している場合には、売却目的で保有する非流動資産又は処分グループとして分類しております。
売却目的で保有する非流動資産又は処分グループは、減価償却又は償却は行わず、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定しております。
既に処分された又は売却目的で保有する非流動資産又は処分グループが、独立の主要な事業分野又は営業地域を示す場合、独立の主要な事業分野又は営業地域を処分する統一された計画の一部である場合、転売のみを目的に取得した子会社である場合のいずれかに該当した場合、非継続事業として認識しております。
(13)従業員給付
① 退職後給付
(ⅰ)確定給付型制度
確定給付型制度は、確定拠出型制度以外の退職後給付制度であります。確定給付型制度に関連する当社グループの純債務は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を現在価値に割引くことによって算定しております。制度資産の公正価値は当該算定結果から控除しております。
確定給付負債(資産)の純額に係る純利息費用は、確定給付負債(資産)の純額に割引率を乗じて算定し、従業員給付費用として計上しております。割引率は、当社グループの債務と概ね同じ満期日を有する優良社債の連結会計年度末時点の市場利回りを参照しております。
制度が改訂又は縮小された場合、従業員による過去の勤務に関連する給付の増減による確定給付債務の現在価値の変動は、即時に純損益として認識しております。
当社グループは、確定給付型制度から生じるすべての再測定による調整額を即時にその他の包括利益として認識し、直ちに利益剰余金に振替えております。
(ⅱ)確定拠出型制度
確定拠出型制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払いについて当社グループが法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度であります。確定拠出型制度の拠出は、従業員がサービスを提供した期間に純損益として認識しております。
② 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で純損益として認識しております。
賞与及び有給休暇費用については、それらを支払う法的もしくは推定的な債務を有し、信頼性のある見積りが可能な場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
(14)株式報酬
当社は、当社取締役及び執行役員(社外取締役及び国内非居住者を除く。以下「取締役等」と言う。)を対象とする株式報酬制度として、持分決済型の役員報酬BIP(Board Incentive Plan)信託を採用しております。受領したサービスの対価は付与日における当社株式の公正価値で測定しており、権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。
(15)引当金
引当金は、過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高く、その金額を信頼性をもって見積ることができる場合に認識しております。
引当金は、債務の決済に必要とされると見込まれる支出に、貨幣の時間価値の現在の市場評価と当該債務に特有なリスクを反映した税引前の割引率を用いて、現在価値で測定しております。時間の経過による引当金の増加は利息費用として認識しております。
割引率の変更等に起因して連結会計年度末に発生した資産除去債務の増減額のうち対応する資産の帳簿価額がゼロの場合には、増減額を即時に純損益に認識し、連結損益計算書において売上原価として表示しております。なお、上記「(4)金融商品 ③デリバティブ及びヘッジ会計」及び注記「31.金融商品 (1)財務上のリスク管理 ③市場リスク (ⅱ)金利リスク」に記載のとおり、当社グループは、資産除去債務の変動によって生じる連結損益計算書への影響を低減する目的で、金利スワップ等のデリバティブ取引等を行っております。
また、当社グループが引当金を決済するために必要な支出の一部又は全部の補填を期待できる時には、補填の受取りがほぼ確実な場合に限り、補填は別個の資産として認識しております。
なお、引当金の繰入と外部からの補填を同一の連結会計年度において認識した場合には、連結損益計算書においては、両者を純額で表示しております。
国内石油天然ガス生産施設等に関する資産除去債務の場合は、鉱山保安法が規定する採掘終了後の坑井掘採跡の鉱害防止等の義務を有し、かつ操業終了後に負担する費用を合理的に見積ることができる場合に認識しております。また、海外石油天然ガス生産施設等の場合は、産油国政府との石油契約や現地法令等に基づく当該生産設備等の撤去等の廃鉱義務を有し、かつ操業終了後に負担する費用を合理的に見積ることができる場合に資産除去債務を認識しております。
連結会計年度末現在において発生可能性のある債務を有しているが、それが連結会計年度末現在の債務であるか否か確認ができないもの、又は引当金の認識基準を満たさないものについては、偶発債務として、注記「21.資産除去債務」及び注記「38.偶発債務」に記載しております。
(16)資本
当社が発行した普通株式は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は資本剰余金から控除しております。
自己株式を取得した場合は、直接取引費用を含む税効果考慮後の支払対価を、資本の控除項目として認識しております。自己株式を売却した場合は、帳簿価額と受取対価の差額を資本剰余金として認識しております。
(17)収益認識
当社グループは、IFRS第9号「金融商品」に基づく利息及び配当収益等を除き、顧客との契約について次の5つのステップを適用することにより収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務が充足されたときに(又は充足するにつれて)収益を認識する
当社グループでは、原油・天然ガス(LPG含む。以下同じ)の探鉱、開発、生産及び販売を行っております。
これらの販売は、主として製品の支配が顧客に移転したとき、すなわち原油・天然ガスについては顧客に製品を引き渡した時点又はインコタームズ等で定められた貿易条件を参考として支配が顧客に移転した時点で、製品の法的所有権、物的占有権又は製品の所有に伴う重要なリスク及び経済価値が移転し、顧客から製品の対価を受ける権利を得ると判断しているため、その時点で収益を認識しております。また、収益は顧客との契約による取引価格に基づき認識しており、取引の対価は製品の引き渡し後1年以内に受け取るため、重大な金融要素を含んでおりません。
当社グループが他社と権益を共有している原油・天然ガスの生産による収益において、配船等の都合上、実際に引き渡された数量と当社グループの権益持分に相当する数量が一致しないことがあります。この場合、当社グループは実際に引き渡された数量に基づいて収益を認識し、実際に引き渡された数量と当社グループの権益持分に相当する数量の差は、権益を共有する他社との間で、翌期以降に引き渡される原油・天然ガスの現物によって精算されます。当社グループの権益持分を超える引き渡しを受けた場合、権益相当を超過する数量に対応する売上原価も収益を認識した連結会計年度に繰り入れられ、同時に権益を共有する他社に対する負債を計上しております。当社グループの権益持分を下回る引き渡しを受けた場合、権益相当を下回る数量に対応する売上原価は、実際に引き渡しが行われる連結会計年度まで繰延べられ、同時に権益を共有する他社に対する資産を計上しております。
(18)法人所得税
当社グループの法人所得税費用には、法人税の他に石油資源税等の課税当局の定めたルールにより算出した当期の利益に対して課される税金が含まれております。生産量をベースとしたロイヤリティの支払いは法人所得税費用に含めておりません。
法人所得税費用は、当期法人所得税費用と繰延法人所得税費用から構成されております。これらは、企業結合に関連するもの及び直接資本の部又はその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益として認識しております。
当期法人所得税費用は、連結会計年度末時点において制定又は実質的に制定されている税率を使用して、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付がされる金額で算定しております。
繰延法人所得税費用は、連結会計年度末における会計上の資産及び負債の帳簿価額と、関連する税務基準額との差額により生じる一時差異に基づいて算定しております。
繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除に対して、それらを回収できる課税所得が生じる可能性が高い範囲で認識しております。
子会社、関連会社及び共同支配企業に対する投資に係る将来減算一時差異については、当該一時差異からの便益を利用するのに十分な課税所得が稼得される可能性が高く、かつ予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が高い場合のみ、繰延税金資産を認識しております。
なお、繰延税金資産は毎期見直され、税務便益の実現が見込めないと判断される部分については減額しております。
繰延税金負債は、以下の例外の場合を除いて、すべての将来加算一時差異について認識しております。
・のれんの当初認識により生じる将来加算一時差異
・企業結合取引を除く会計上の利益にも税務上の課税所得にも影響を与えず、かつ取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異を生じさせない取引によって発生する資産及び負債の当初認識により生じる一時差異
・子会社、関連会社及び共同支配企業に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、解消時期をコントロールでき、かつ予見可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産及び負債は、連結会計年度末において制定、又は実質的に制定されている税率に基づいて、資産が実現する期間又は負債が決済される期間に適用されると予想される税率によって測定しております。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産及び負債を相殺する法律上強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合又は別々の納税主体であるものの当期税金負債と当期税金資産とを純額で決済するか、あるいは資産の実現と負債の決済を同時に行うことを意図している場合に相殺しております。また、単一の取引から資産と負債の両方を同額で認識する特定の取引については、認識される資産に係る将来加算一時差異に対し繰延税金負債を、認識される負債に関する将来減算一時差異に対し繰延税金資産を、それぞれ認識しております。
当社及び一部の子会社は、グループ通算制度を適用しております。
(19)借入コスト
意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を必要とする資産、つまり適格資産の取得、建設又は生産に直接帰属する借入コストは、その資産が実質的に意図した使用又は販売を可能にする時まで、それらの資産の取得原価に加算しております。
上記以外のすべての借入コストは、それが発生した期間に純損益として認識しております。
(20)1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有する潜在株式の影響を調整して計算しております。