有価証券報告書-第19期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2025/03/31 14:18
【資料】
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【項目】
159項目
②戦略(人的資本に関する取り組み)
(a)人材戦略
当社グループの経営理念を実現するためには、「現場力」と「技術力」そして「国際性」という強みを一層磨き、激変する事業環境においても柔軟に対応できる組織と人材が必要と考えています。目指す組織文化として「既成概念に縛られず自由闊達に意見を出しあい、新たなことに挑戦し続け、イノベーションを起こせる組織文化」、求める人材として「多様性の受容、成長意欲、自律的行動をもとに、ビジネス現場で価値を創出する人材」と定義し、これを実現するために人材戦略基本方針に基づき、各種重点施策に取り組んでいます。
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(b)INPEX HR VISION
当社グループがグローバル企業として責任ある経営を持続的に実施していくためには、働く人材の多様化とグローバルに価値観を共有できる人材の育成が重要であると考えております。その実現に向けて人事部門では、各国の人事部門責任者と協議を重ね策定した、4つの柱からなる「INPEX HR VISION」を当社グループ人事部門共通のビジョンとして制定しております。この4つの柱を中核として、各種人事施策をグローバルな視点で推進し、従業員の能力向上とチームとしての成果の実現へとつなげることで、高い国際競争力を有する組織づくりに取り組んでおります。0102010_017.jpg

(c)人的資本に関する取り組みにおけるリスクと機会
当社グループでは、求める人材像と組織文化の実現に向けてリスクと機会を以下のとおり評価しています。
区分リスク機会
人材の確保、適所適材への配置・必要な人員の質・量を確保できないことによる、事業遂行上の障害の発生、採用コストの増加
・適所適材配置ができないことによる従業員のモチベーションの低下、労働生産性の低下
・ビジネスチャンスの逸失
・優秀な人材の確保、定着化による競争力の向上
・適所適材配置による従業員のモチベーション・エンゲージメントの向上、労働生産性向上
・強化領域(成長領域や新領域等)への人材の重点投入、最適配置による事業成長、加速化
人材の育成強化・学びの意欲や成長への期待に応えられないことによる従業員のモチベーションの低下、優秀な人材の流出
・必要な能力・スキルを獲得し、変化に対応できる人材を育成できないことによる事業遂行への障害、ビジネスチャンス逸失
・従業員がやりがいや成長を実感できる研修や業務の機会提供によるモチベーション・エンゲージメントの向上、優秀な人材の定着化
・事業環境の変化やビジネスチャンスへの対応力強化による企業価値向上
組織活性化・従業員のモラルやモチベーションの低下による業務効率低下、コンプライアンス違反の発生、倫理観の欠如等による社会的信頼力の低下
・ハラスメントの発生、心身の健康への悪影響等によるモチベーション低下、組織内における人権侵害のリスク
・事故発生等による従業員の安全侵害、不安定な操業、追加コスト発生
・多様な人材の発想・創造力によるイノベーションが起きやすい職場環境の醸成
・多様な人材が働きやすい環境を整備することによるモチベーション、エンゲージメントの向上、労働安全性と生産性向上

(d)各種重点施策への取組み
イ)INPEXバリューの展開と「Employer of Choice」に向けて
当社グループでは、役員及び従業員が共通に大切にする価値観として2014年に制定した「INPEXバリュー」を実践することが重要と認識しており、グループ全体でのバリューアワードや過年度の受賞者を対象にしたカンファレンス開催など、その浸透活動に取り組んでいます。
また、心理的安全性セミナーの定期的な開催、オープン社長室やタウンホールミーティングを開催のほか、チームビルディングなどを通じてコミュニケーションを活性化させることで、自由闊達に意見を出しあい、イノベーションを起こせる組織文化を作り上げ、グローバルレベルでの「最高に働きがいのある会社“Employer of Choice”」を目指しています。
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ロ)グループ連携の強化
当社グループが激変するビジネス環境下において永続的に成長していくためには、従業員の約40%を占める外国籍従業員が、これまで培った知識や経験を活かし、それぞれの良さ・強みを融合していくことで成長・イノベーションを実現させるため協働していくことが重要と考えています。具体的には、個別のプロジェクト推進にあたり当社従業員と海外子会社従業員が混在する組織構築や、様々な部門でグローバルワークショップ会議、技術交流のための会議などを定期的に開催し、当社グループ全体で知見や経験を共有し、ベストプラクティスを追求する取り組みを継続して実施しています。
また、人材育成においては、各国の事情に合わせたリーダーシッププログラムやスキル系研修を実施して人材の育成を支援しているほか、海外現地法人等の従業員で将来を担う人材を対象として視野拡大やグループの一体感醸成を目的に本社研修プログラムを設けており、コロナ禍後の2023年に再開し、2024年は豪州より5名、アブダビより1名の従業員を受け入れました。
ハ)「最高に働きがいのある会社」になるために注力している主な取り組み
・自律的な働き方
当社では、従業員の意欲を引き出しつつ適切な人材配置と任用につなげていくため、ラインマネジメント職の任期制、社内公募制度、社内副業制度等を導入しているほか、年齢や職歴ではなく、就いている職責・役割に応じて処遇が決まる人事制度を採用しています。また、階層別の研修のほか、社員が自律的に学び、成長する機会を提供することを目的として、各種育成制度を実施しています。
・多様性の推進
・当社グループは、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進が「最高に働きがいのある会社“Employer of choice”」を目指すうえで欠かせない重要な要素であると考えており、INPEX LGBT ALLYによる活動など様々な施策を推進して従業員が安心して働ける職場環境づくりに取り組んでいます。なお、当社では、この継続的取り組みが評価され、職場におけるLGBTQ+などの性的マイノリティへの取り組みの評価指標「PRIDE 指標」において、2019年度からゴールド又はシルバーを受賞しています。
・当社グループでは、同一労働同一賃金を原則とし、全ての職種において女性が活躍しているものの、依然として職種による偏在及び女性管理職割合が低いことが課題であると認識しています。この課題解決に向け、当社では2024年に女性社員有志で構成する「女性活躍推進タスクフォース」を立ち上げ、当社を女性にとって日本で最も働きがいが感じられる会社にしていくこと、女性の働きがい向上が男性等も含めた全社員にとっても最も働きがいが感じられ、高い幸福度を感じながら仕事に取り組むことができる環境にしていくことを目指し、寄せられた課題に対する解決にむけて各種施策の取り組みを進めています。また、新卒採用における女性学生対象のイベント開催などの女性母集団形成に向けた施策の継続実施、キャリア採用を含む毎年の新規採用者に占める女性割合が30%以上になるようにすることを通じ、女性管理職となり得る人材を一層積極的に確保していくとともに、学びの機会等を提供し、成長を支援することで、女性管理職比率向上に取り組んでいきます。なお、育児休業取得率について、男性の育児休業取得率は目標達成に向けて取得率向上に向けた支援を継続し、育児や介護などの事情に応じた両立支援に引き続き取り組んでいきます。
・健康経営
当社グループは、従業員一人ひとりの心身の健康管理を経営課題として捉え、2018年9月に「INPEXグループ健康宣言」を社内外に発信すると共に、従業員の一層の健康保持・増進に向けた取り組みを進めています。具体的にはメンタルヘルス対策強化を世界共通の課題として認識し、eラーニング、医師との連携、職場復帰フォローなどの取り組みを強化しているほか、各国または各グループ会社の文化や慣習等の実情を踏まえながら、当社グループ全体において、より一層の健康保持・推進、Well-beingへのニーズに応える職場づくりに向けた取り組みを進めています。なお、当社では、女性特有の健康課題に対する施策として「女性がん検診」受診キャンペーン実施のほか、がん等の難病に罹患した従業員の業務との両立支援、麻しん・風しん感染症予防対策の取り組みも行っており、健康経営推進委員会において健康課題の把握や各施策の効果検証を行いながら毎年の重点施策などを審議し、全社一体となって戦略的に健康経営を推進している取り組みにより、これまで「健康経営銘柄(4回)」、「健康経営優良法人(大規模法人部門)(ホワイト500)(5回)」などの健康経営優良法人に選定されています。
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