有価証券報告書-第19期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2025/03/31 14:18
【資料】
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【項目】
159項目
②戦略
当社は、2003年11月に「環境・安全方針」を発行し、数年おきに内容を見直しの上、更新しています。2025年1月には「HSE方針」として改定しました。
HSE方針
私たち株式会社INPEXグループは、取締役会決議のもと本HSE方針を策定し、当社のサステナビリティ憲章に基づいて、従業員の参画と協議のもと以下に定めた項目を実行します。
・HSEが、あらゆる意思決定において必要不可欠な要素であるとみなされ、日々そのことが追求されるHSE文化を醸成します。
・信頼、行動、ビジョン、説明責任、コミュニケーション、協働そしてフィードバックと評価に象徴されるHSEリーダーシップを発揮し、責任を持って業務を遂行します。
・事業を展開するすべての地域で、適用される法令・規則を遵守するとともに、当社の事業すべてにHSEマネジメントシステムを一貫した方法で活用します。
・監査、レビュー、事故調査等から得られた教訓を活用し、HSE活動を効果ある形で実践するとともに、継続的に改善します。
・HSEパフォーマンスを継続的に改善するため、HSE目標を定量的・定性的に定め、優先順位を考慮し計画を策定します。HSE目標達成のために計画的に経営資源を投入し、特に人材については、十分な力量を確保するために教育訓練を実施します。
・HSE上の危険要因を管理し、事故発生の予防に努めると同時に、健康、環境そして地域社会への負の影響を回避、低減することで、従業員、協力会社をはじめとするすべての人々の健康と安全を確保するとともに、社会との信頼関係を維持します。
・プロセスセーフティ管理に重点的に取り組み、当社事業のすべてのフェーズにおいて、HSEリスクを「現実的な範囲で最小限のレベル(ALARP※1)」まで低減し、安全操業・管理を徹底します。
・万が一、重大事故が発生した場合に、迅速かつ効果的な対応ができるよう、緊急時・危機管理対応プロセスを定期的に検証します。
・当社の気候変動対応の基本方針に基づき、温室効果ガス排出量の管理及び削減に努めます。
・生物多様性、水資源等の自然環境に関するリスクと機会を特定し、環境価値の創造に取り組むとともに、廃棄物の適正管理、資源の効率的利用等に取り組み、循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行を推進します。
・強靭なセキュリティ管理プロセスに基づき、要員、操業そして資産を悪意ある行為から守ります。
以上の活動にあわせて、ステークホルダーに広くHSE関連情報を開示し、HSEパフォーマンスの改善に取り組んでいる会社と認められるよう日々努力します。

※1 As Low As Reasonably Practicableの略
(a)HSEマネジメントシステム(HSEMS)
当社の事業活動における「HSE方針」の実行を確実にするため、国際標準であるISO9001、14001及び45001を参照し、IOGP※2のOMS510※3に基づいたHSEマネジメントシステム(HSEMS)を導入しています。OMS510は、リーダーシップ、リスク管理、継続的改善を基本原則とし、HSEMSのパフォーマンスと有効性を向上させるための基礎となっています。
これらの基本原則に基づき、必要なHSE関連文書(規則、要領、指針など)の作成、HSE組織の整備、各事業本部へのHSE技術支援、HSE教育訓練、各種のHSEコミュニケーション活動、定期的なHSE監査やHSEレビューなど、HSEMSを実施する上で必要不可欠な構成要件をHSEMS要領に定めています。
0102010_015.png※2 IOGP:国際石油・天然ガス生産者協会
※3 IOGPの報告書No.510 “System Framework for controlling risk and delivering high performance in the oil and gas industry”
(b)リスクと機会
近年の地政学リスクを背景に、ネットゼロへの移行過程においても「エネルギーの安定供給」の戦略的重要性が再認識されています。全社的なHSE管理を推進することで、「エネルギーの安定供給」に応え、企業価値を向上させ、持続可能な総合エネルギー供給企業として成長していきたいと考えています。そのような中で、セーフティの観点から想定されるリスク及び機会は以下のとおりです。
リスク:掘削や生産施設における火災や爆発による人的被害、生産停止、工事遅延
機会:リスク管理プロセスによる重大事故の未然防止を実施することで安定的な供給体制の構築
(c)各種重点施策への取組み
職場で働く誰もが皆、負傷することなく無事に家に帰ること、これが当社のセーフティの基本です。当社は、プロジェクトに関わる従業員や協力会社の安全を最重要課題と捉え、HSEMSの運用を通じてセーフティリスクの管理を実施しています。2025年度のセーフティの重点施策をまとめたHSE重点目標は以下のとおりです。
イ)重大な事故ゼロにむけた全社的な事故削減への取組み強化
・各所でライフセービングルールの徹底と安全施策を実施します。
・過去に発生した事故傾向を分析して、特定のリスクに対する対策を強化します。
・メンタルヘルスを含む健康管理を各所で実践し、健康で安全な職場環境を維持します。
ロ)全社的なプロセスセーフティ管理の強化
・プロセスセーフティ管理の力量向上に係る仕組みを構築し、全社的な展開に向けた準備に取り組みます。
・プロセスセーフティ管理に関する要求事項の見直し、ネットゼロ分野におけるプロセスセーフティ管理の導入等、プロセスセーフティ管理の強化に取り組みます。
ハ)全ての事業分野におけるHSE管理の確立と実践
・事業領域の多様化に対応するため、HSEマネジメントシステム文書の再構成にむけたロードマップを策定します。また、アシュアランス活動を計画し、HSEマネジメントシステムの有効性を確認します。
ニ)マネジメント主導のHSEコミュニケーションの強化
・マネジメント・リーダー層による現場におけるHSEコミュニケーションの場を継続的に確保します。
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