有価証券報告書-第103期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 13:17
【資料】
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【項目】
127項目

研究開発活動

当社グループは蓄積された発酵技術を基礎に、バイオテクノロジーの技術を応用し、主に宝酒造グループ、タカラバイオグループの各部門で幅広い研究活動を展開しております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は3,376百万円(セグメント間の取引消去後)であり、各セグメントにおける研究内容等は次のとおりであります。
(宝酒造グループ)
宝酒造グループにおいては、宝酒造㈱の蒸留技術部、醸造技術部および研究開発センターを中心に、機能や成分で差異化された付加価値の高い製品の開発を目的に、微生物の育種、原料・素材の解析、生産技術の研究開発を行っております。
焼酎では、全量芋焼酎「一刻者」シリーズとして、原料に紅さつまや金時芋などの赤芋を使用し、甘み豊かな香りとまろやかですっきりとした味わいが特長の「一刻者<赤>」を発売いたしました。また、「よかいち」ブランドの展開として、「赤よかいち<芋>」を発売いたしました。赤芋などを使用し、フルーティで豊かな香りと、コクのある甘い味わいを実現いたしました。
清酒では、「特撰松竹梅<大吟醸>」を発売いたしました。精米歩合50%の米を用い、高吟醸香酵母で醸すことにより、華やかでフルーティな吟醸香と、すっきりとした味わいを実現いたしました。また、冬の料理とともに冷やでも燗でも楽しめる“旨辛”酒質の「松竹梅<鍋と楽しむ冬の旨辛酒>2Lパック」を冬期限定で発売いたしました。
ソフトアルコール関連では、「南高梅のおいしい梅酒」<パウチ>を発売いたしました。南高梅を使用し完熟感と青梅の香りが感じられるしっかりとした味わいを実現いたしました。また、果実入りの果汁感とすっきりとしたおいしさを特長としたTaKaRa CAN CHU-HI「すりおろし」のシリーズ展開として「ピーチ」、「洋梨」、「マンゴー」を発売いたしました。さらに、独自の製造方法により実現した柔らかな食感をもつジュレのお酒「果莉那-Carina-」に新フレーバーとして「マスカット」、「カシス」を発売するとともに、料飲店向け専用商品としてジュレのお酒「果莉那-Carina-」900mlペット 業務用を発売いたしました。
調味料では、花かつお感を高めたかつお節の粉末調味料「だししるべK粉末-1」、こうじの風味を付与する調味料として「こうじ風味―Ⅰ」、こうじの酵素の力を利用して肉の食感を柔らかくする調味料として「お肉柔らか上手」を、それぞれ発売いたしました。
なお、当セグメントに係る研究開発費は341百万円であります。
(タカラバイオグループ)
タカラバイオグループにおいては、研究用試薬をはじめ、遺伝子解析、遺伝子治療、細胞医療、機能性食品素材ならびにキノコなど、広範囲の分野における幅広い研究開発活動を、タカラバイオ㈱のバイオ研究所、細胞・遺伝子治療センター、ドラゴンジェノミクスセンター、米国のClontech Laboratories, Inc.を中心に展開しております。
遺伝子工学研究事業においては、日本国内でトップシェアを有する遺伝子増幅法関連試薬などの遺伝子工学研究用試薬をはじめ、ゲノム解析、遺伝子機能解析および遺伝子検査などに関する研究開発活動を行っております。
当期においては、ES細胞/iPS細胞等の多能性幹細胞から肝臓細胞への分化状態を評価する研究用試薬、細胞への遺伝子導入時に用いるアデノ随伴ウイルスベクター関連研究用試薬および次世代シーケンサー向けの遺伝子発現解析用研究用試薬を開発いたしました。
遺伝子医療事業においては、伊国MolMed S.p.A.、米国ベリカム・ファーマシューティカルズ社などに、タカラバイオ㈱が開発した血球系細胞への高効率遺伝子導入技術レトロネクチン法をライセンスアウトし、これらの企業がレトロネクチン法を用いた遺伝子治療の臨床開発を進めるとともに、同社自身も国内にて臨床開発を進めております。また、がん免疫細胞療法に有用なレトロネクチン拡大培養法を開発し、タカラバイオ㈱が医療機関と提携して臨床開発を進めております。
当期においては、遺伝子治療事業に関して、タカラバイオ㈱が開発したレトロネクチン法および三重大学と共同開発したTCR遺伝子導入用レトロウイルスベクターを使用した国内初のがん免疫遺伝子治療(MAGE-A4・TCR遺伝子治療)の医師主導治験が、三重大学のグループによって開始されました。また、自治医科大学附属病院と共同で、非ホジキンリンパ腫に対するCD19抗原特異的キメラ抗原受容体遺伝子治療の臨床研究を開始いたしました。
細胞医療事業に関しては、タカラバイオ㈱の協力のもと、京都府立医科大学が実施している臨床研究において、レトロネクチン拡大培養法の有用性を示唆する成果が得られました。
医食品バイオ事業においては、「医食同源」をコンセプトに、ガゴメ昆布フコイダン、ボタンボウフウイソサミジン、寒天アガロオリゴ糖、明日葉カルコン、ヤムイモヤムスゲニン、きのこテルペン等の生理活性物質の探索を行っており、これらの研究成果をもとに健康食品分野での事業展開を積極的に推進しております。
当期においては、屋久島原産のボタンボウフウの健康成分イソサミジンが排尿機能を改善する作用を持つことをヒト試験で明らかにし、また、寒天アガロオリゴ糖に小腸潰瘍を予防する効果があることを動物実験で明らかにいたしました。
また、上記の3事業に分類しきれない事業横断的な研究、あるいは、どの事業の研究開発の推進にもその成果が利用できる基礎的な研究も推進しております。当グループとしては、各研究開発プロジェクトの相互作用・フィードバック効果を利用して、戦略的な研究開発の推進を目指しております。
なお、当セグメントに係る研究開発費は3,026百万円であります。