有価証券報告書-第19期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績
① 事業環境
当社グループの主力事業である油脂事業は、主原料である大豆、菜種ともに海外の相場変動及び為替相場の影響を受けます。当連結会計年度は、米国シカゴの大豆相場は、4月に1ブッシェルあたり8ドル台前半まで下落しましたが、その後は南米の天候悪化・あるいは乾燥や米国産大豆の需給逼迫等から14ドル台まで上昇傾向が続き前年同期と比較して高位での推移となりました。カナダの菜種相場は、4月に1トン当たり450加ドル付近まで下落しましたが、その後は大豆やパーム油の高騰に伴う植物油価格の上昇やカナダ産菜種の需給逼迫予想等から800加ドル台まで上昇し前年同期と比較して高位での推移となりました。為替相場は、4月に109円台を付けた後は新型コロナウイルス感染症の感染再拡大懸念と経済活動再開に伴う景気回復期待が交錯する中、緩やかな円高ドル安傾向が続き、12月には102円台まで進行しました。その後は、米国の経済回復期待や長期金利の上昇を受けてドル高傾向へ転換しましたが、前年同期と比較して円高での推移となりました。
また、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛と内食需要の高まりから、当社グループ事業におきましても、さまざまな影響を受けました。油脂事業においては、家庭用市場が前年を上回るものの、業務用市場では外食向けを中心に厳しい状況となりました。油脂加工品事業においても、インバウンド需要の減少や外出自粛により、土産用菓子に使用される業務用マーガリンが影響を受けました。一方で食品・ファイン事業においては、中食・テイクアウト需要の高まりにより、経時劣化抑制、食感改善機能のある高付価値スターチが伸長しました。このような環境の中、当社グループはステークホルダーに対する責任を果たすべく各種取り組みを実施しました。従業員とその家族の安全確保の観点では、IT環境を整備し、在宅勤務の可能な部署においてはフルリモートワークを実施、出社の際もフリーアドレスや出社日・時間の分散によるリスク低減を図っております。お客様に対しては、食の安定供給・製品価値提供の観点より、衛生管理を徹底し生産・受注・物流・営業を継続するとともに、テイクアウト・デリバリー需要の増加に応じた当社独自技術での提案を行っております。また、株主・投資家の皆様には適時適格な情報開示を継続するとともに、財務健全性を確保し配当方針を継続すべく、安定資金の確保にも努めました。
⦅新型コロナウイルス感染拡大による業績影響⦆

⦅新型コロナウイルスへの対応策⦆

② 経営成績の状況
(売上高)
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、主に外食向け業務用商品の需要減退により販売数量が大幅に減少したことや、搾油量減少によりミールの販売量が減少したことにより、売上高は1,648億16百万円(前年同期比7.5%減)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度は、原材料コストが増加しているものの、製造費用のコストダウンや販売数量減少の影響により、売上原価は1,308億28百万円(前年同期比7.7%減)となりました。販売費及び一般管理費は、販売数量減少に伴い物流費が減少したこと、広告費の減少および各種経費の抑制に取り組んだことにより、273億円(前年同期比8.3%減)となりました。
(営業利益)
売上高の減少をコスト改善や各種経費の抑制で補うことにより、営業利益は66億87百万円(前年同期比0.4%増)となりました。
(経常利益)
受取配当金や持分法による投資利益の増加等が、期中において手元資金を厚くしたことによる支払利息増加の影響を上回ったこと等により、経常利益は73億74百万円(前年同期比1.0%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
投資有価証券売却益、東北の物流拠点で発生した火災による受取損害賠償金を特別利益へ計上し、同火災による災害損失を特別損失に計上いたしました。ケミカル事業の譲渡契約締結に伴い、留保利益にかかる税効果を認識し、法人税等調整額を計上した影響により法人税等は増加しました。以上により、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は52億53百万円(前年同期比1.0%増)となりました。
③ セグメントの概況
(油脂事業)
油脂部門においては、家庭用油脂は、新型コロナウイルス感染症の影響により家庭での調理機会が回復・定着傾向にある事から、売上高は堅調に推移しました。その中でも、使用頻度が高いキャノーラ油が伸長し、風味付けの用途の広がりにより、ごま油が堅調に推移しました。オリーブオイルは小容量品種が大きく伸長しましたが、輸入大容量の拡大が継続したことで中容量品種が苦戦し、前年同期を下回りました。健康価値の高い、「健康サララ®」、えごま油・アマニ油・こめ油などの高付加価値品の売上高は大きく前年同期を上回りました。業務用油脂は、新型コロナウイルス感染症による外食産業の市場減退の影響が大きく、販売数量は前年同期を大きく下回りました。コロナ禍において、デリバリー・テイクアウト需要の拡大等といった同感染症の影響に対する得意先の変化に対応し、経時劣化を抑制する製品やお客様のオペレーション改善に貢献する製品(「麺のための油」や「ごはんのための米油(炊飯用)」「J-OILPRO®」など)の提案を強化するとともに、コストダウンや省資源化、作業軽減化にも寄与する、長く使えるフライ油「長調得徳®」の提案を強化いたしました。
油糧部門においては、油糧製品の主たる需要先である配混合飼料の国内生産量は前年同期と同程度で推移しました。大豆ミールの販売数量は新型コロナウイルス感染症の影響により搾油量が減少したこともあり前年同期を大きく下回り、販売価格はシカゴ相場の上昇により前年同期をやや上回りました。菜種ミールの販売数量は前年同期をやや下回り、販売価格は大豆ミールに連動して前年同期を上回りました。この結果、油糧部門の売上高は前年同期を下回りました。
(油脂加工品事業)
マーガリン部門においては、家庭用では、主力商品の「ラーマバターの風味」増量セールを実施するとともに、「ラーマバター好きのためのマーガリン」「ラーマお菓子作りのためのマーガリン」の料理動画を配信し、親子で出来る簡単なお料理やお菓子を紹介することでパンに塗るだけでなく料理への訴求も行いました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響による内食需要が一巡した結果、家庭用マーガリンの売上高は前年同期と同程度となりました。業務用では、主力製品のグランマスターシリーズにアイルランド産発酵バターを配合した製品をラインナップに加え、新製品の中でも「グランマスター®アイリッシュ」を基幹商品に据えて高付加価値品の拡販に努めましたが、新型コロナウイルス感染症拡大によるインバウンド需要の低下、緊急事態宣言等による外出自粛の影響を受けて、販売数量、売上高はともに前年同期を下回りました。
粉末油脂部門においては、新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であり、当社が受託している粉末油脂の需要は堅調に推移しましたが、工場稼働日数の減少を補えず、販売数量、売上高はともに前年同期を下回りました。
(食品・ファイン事業)
テクスチャーデザイン部門(旧スターチ部門)においては、コーンスターチは食品用途および工業用途ともに不採算品の収益改善と拡販に継続した取組みを行い、売上高は堅調に推移しました。食品用加工澱粉は業務用向け販売の回復が遅れ、売上高は前年同期をやや下回りましたが、当社の独自の技術を活用した「ネオトラスト®」は品質・食感改良材として中食・外食向けに新規採用が継続したことから前年同期を大きく上回りました。
ファイン部門においては、機能性素材への新型コロナウイルス感染症の影響は軽微であり、売上高は順調に推移しました。成長事業として位置付けているビタミンK2の売上高は、国内外で新規採用が増加したことにより前年同期を大きく上回りました。大豆たん白をベースとしたシート状大豆食品「まめのりさん®」の販売は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け売上高は前年同期を大きく下回りましたが、主要販売先である北米をはじめとする海外各地の外食店の営業制限が継続する中でもデリバリー用途などの新たな需要が創出されたこと等により、下期は前年同期を大きく上回りました。
ケミカル部門においては、2019年10月の消費税増税前の駆け込み需要反動と新型コロナウイルス感染症の影響により新設住宅着工戸数が前年同期を下回り、直近では一部持ち直しの傾向が見られたものの、主たる需要家である木質建材産業の業績も同様に低調に推移しました。また、第3四半期までの原材料価格は低位で推移し、需要家からの値下げ要求が強まった状況下で、木質建材用接着剤の販売数量と販売価格の維持に努めましたが、販売数量および売上高は前年同期を大きく下回りました。
(その他)
その他の事業につきましては、売上高10億1百万円(前年同期比22.5%減)、セグメント利益1億53百万円(前年同期比32.0%減)、セグメント資産17億89百万円(前期末比52百万円減)となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりになります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 金額は製造原価によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当社グループは受注生産を行っておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりになります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
a.経営戦略
当社グループは、2017年度~2020年度を第五期中期経営計画の期間とし、企業理念「Joy for Life 生きるをおいしく、うれしくしたい。」のもと、コーポレートビジョン ‘Joy for Life’を掲げ、私たちの独自の技術とサービスでお客様の「Joy」の創造を目指して、日々の企業活動に取り組んできました。
第五期中期経営計画における戦略課題は以下のとおりです。

第五期中期経営計画期間中は、上記の成長戦略、構造改革、経営基盤強化の戦略課題に取り組みました。その達成の状況と取り組みの結果は以下のとおりです。

《成長戦略》
油脂および育成領域の高付加価値品の拡大を課題として掲げ、家庭用市場におけるオリーブオイルの用途拡大提案、業務用市場においては長持ち油「長調得徳®」、様々な調味・調理機能を有する「J-OILPRO®」の提案を強化しました。法人向けの営業形態であるソリューション事業においては、当社グループが従前より持つ素材(油脂、スターチ、マーガリン、粉末油脂等)に製菓製パン素材となるミックス粉も加えて、「おいしさデザイン®」の実現に向けた提案を行っています。さらに2019年12月にはマレーシアの油脂加工品製造会社であるPremium Fats Sdn Bhd及びPremium Vegetable Oils Sdn Bhdへ資本参加し、製菓製パン素材市場を中心に、アジアにおける事業展開を加速してまいりました。
《構造改革》
持続的成長を確実なものとするため、2019年度は配合飼料事業の再構築、坂出事業の事業譲渡、生産子会社および販売子会社の統合、SKU(販売品種数)の削減など構造改革に取り組みました。また、日清オイリオグループ株式会社との業務提携を通じて、搾油事業の国際競争力の強化、製油産業の発展及び食品の安定供給を通じた社会貢献ならびに中長期的な企業価値向上を図ってまいります。2021年3月に、ケミカル事業の三菱ガス化学株式会社への譲渡を決定し、2021年5月31日に譲渡が完了しております。
《経営基盤強化》
人財の育成と働きがいの向上に資する働き方改革を事業基盤強化の柱と位置づけ、企業理念「Joy for Life」の実現につながるよう、人事制度の改訂に加え、在宅勤務制度の導入、有給休暇の取得促進などを進めています。さらに、女性の活躍機会の創出、シニア再雇用制度を改訂・導入することで人財の多様化を図っています。
また2019年度より、社内取締役を5名から4名とする一方で、社外取締役を4名から5名とすることにより取締役会の監督機能をさらに強化し、統制の取れた経営を推進してまいります。
当社グループはこれまで培った資産と独自の強みを活かし、SDGs(国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた持続可能な開発目標)で挙げられている様々な課題に対して、事業を通じて解決に貢献し、さらには新たな価値を提供することで当社グループも成長を目指すCSV(共通価値の創造)経営を推進します。またESG(環境、社会、企業統治)に配慮した経営を同時に進めてまいります。
b.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、第五期中期経営計画において、株主資本の最適活用による、当社の企業価値向上に不可欠な持続的利益成長について評価することが可能な指標として、経営数値目標を掲げております。
第五期中期経営計画を推進しており、その達成・進捗状況は以下のとおりであります。
中期経営計画の最終年度である2020年度において、高付加価値品の粗利構成比増加や油脂製品の粗利益率改善の取り組みにより利益率が改善され、売上高営業利益率およびROEは目標を達成しております。一方で、売上高については、新型コロナウイルス感染拡大の影響による販売数量減少の影響等により目標に対して大幅未達となり、営業利益については売上高が伸びない中、経費の抑制等に取り組みましたが目標に対しては未達となりました。一方、営業利益率につきましては、収益性の改善に努めた結果、目標を上回りました。ROE、一株当たり当期純利益はともに売上高当期純利益率が改善し、目標水準を上回りました。
第五期中期経営計画における戦略目標、定量目標の達成状況を精査するともに、課題を抽出し、第六期中期経営計画を策定、2021年5月に公表いたしました。新たな中期経営計画においては、2030年の目指すべき姿を描き、2021年度から始まる4ケ年で成長基盤を強固なものとし、構造改革を一層推し進め、長期成長を実現する所存です。
(2) 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は826億86百万円で、前連結会計年度末に比べ87億77百万円増加しました。主な増加は、受取手形及び売掛金が20億3百万円、たな卸資産が71億79百万円、主な減少は、現金及び預金5億80百万円であります。固定資産は737億78百万円で、前連結会計年度末に比べ1億98百万円増加しました。主な増加は、投資有価証券が10億1百万円、退職給付に係る資産が4億41百万円であります。主な減少は、有形固定資産13億20百万円であります。これにより、総資産は1,565億9百万円(前期末比89億68百万円増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は346億5百万円で、前連結会計年度末に比べ43億99百万円増加しました。主な増加は、支払手形及び買掛金61億83百万円であります。主な減少は、未払法人税等が4億47百万円、流動負債その他が14億93百万円であります。固定負債の残高は274億28百万円で、前連結会計年度末に比べ2億22百万円減少しました。主な増加は、繰延税金負債9億63百万円であります。主な減少は長期借入金が6億50百万円、役員株式給付引当金が1億97百万円、長期預り敷金保証金が1億43百万円であります。これにより、負債は620億33百万円(前期末比41億76百万円増)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は944億75百万円で、前連結会計年度末に比べ47億92百万円増加しております。主な増加は、利益剰余金が35億86百万円、その他有価証券評価差額金が6億25百万円であります。
(3) キャッシュ・フロー
① キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物は、前年同期と比べ6億17百万円減少し、77億78百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ103億77百万円減少し、42億70百万円となりました。この主な要因は、原材料コストの上昇に伴いたな卸資産が増加したことや売上債権が増加したことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ17億96百万円増加し、△24億38百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が減少したことによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ19億19百万円増加し、△24億76百万円となりました。この主な要因は、借入金の返済が減少したことによります。

② キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③ 資本の財源
主要な資金需要は、製造及び販売活動に必要な運転資金、有利子負債の返済、配当金の支払い、法人税等の支払い、事業基盤整備のための設備投資、新規事業への投資であり、これらの資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び内部留保資金、社債発行、金融機関からの借入により資金調達しております。
④ 資金の流動性
当社グループは、現金及び現金同等物において、グループ各社の余剰資金を一元管理することによって資金の効率化と金融費用の極小化を図っております。また、当座貸越枠契約、コミットメントライン契約、売掛債権の流動化による機動的な資金調達手段を備えており、十分な資金の流動性を確保しております。
⑤ 財務政策
当社グループは、資本効率性と格付を考慮した財務健全性の最適バランスを取りながら、営業活動によるキャッシュ・フロー創出力を強化し、持続的な企業価値の向上を追求していく方針です。これにより、事業活動の維持に必要な手許資金の水準を確保するとともに、安定した株主還元と、企業体質の強化や積極的な事業展開のためへの成長投資など、長期的視野に立った安定的かつ適正な利益配分を行うこととしております。2020年度までの第五期中期経営計画においては、加重平均資本コスト(WACC)等を用いて資産効率向上を進めてROA等の改善を図ることとし、ROE5.0%以上、連結配当性向30%以上の維持を経営目標に掲げ、着実に成果を上げております。
なお、第五期中期経営計画期間におけるキャッシュ・フローの推移実績は以下のとおりです。
(注)フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー
※借入金残高は、社債を含みます。
2021年度から2024年度までの第六期中期経営計画においては、キャッシュ・インとキャッシュ・アウトから成る調達、投資、成長、還元のサイクルを実現してまいります。この4年間のキャッシュ・イン合計を900億円とし、成長投資350億円、設備投資260億円、配当による株主還元90億円に充当、残りの200億円については不透明な外部環境に適時対応するための待機資金等とする計画です。なお、キャッシュ・イン900億円の内訳は、営業キャッシュ・フロー400億円のほか、外部調達400億円と政策保有株式削減および棚卸資産の圧縮による100億円としております。

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを用いることが必要となりますが、これらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
退職給付債務の算定
当社グループは確定給付制度を採用しております。退職給付債務及び勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、期待運用収益率等の様々な計算基礎があり、当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、投資有価証券の評価については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に、新型コロナウイルス感染拡大の影響については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績
① 事業環境
当社グループの主力事業である油脂事業は、主原料である大豆、菜種ともに海外の相場変動及び為替相場の影響を受けます。当連結会計年度は、米国シカゴの大豆相場は、4月に1ブッシェルあたり8ドル台前半まで下落しましたが、その後は南米の天候悪化・あるいは乾燥や米国産大豆の需給逼迫等から14ドル台まで上昇傾向が続き前年同期と比較して高位での推移となりました。カナダの菜種相場は、4月に1トン当たり450加ドル付近まで下落しましたが、その後は大豆やパーム油の高騰に伴う植物油価格の上昇やカナダ産菜種の需給逼迫予想等から800加ドル台まで上昇し前年同期と比較して高位での推移となりました。為替相場は、4月に109円台を付けた後は新型コロナウイルス感染症の感染再拡大懸念と経済活動再開に伴う景気回復期待が交錯する中、緩やかな円高ドル安傾向が続き、12月には102円台まで進行しました。その後は、米国の経済回復期待や長期金利の上昇を受けてドル高傾向へ転換しましたが、前年同期と比較して円高での推移となりました。
また、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛と内食需要の高まりから、当社グループ事業におきましても、さまざまな影響を受けました。油脂事業においては、家庭用市場が前年を上回るものの、業務用市場では外食向けを中心に厳しい状況となりました。油脂加工品事業においても、インバウンド需要の減少や外出自粛により、土産用菓子に使用される業務用マーガリンが影響を受けました。一方で食品・ファイン事業においては、中食・テイクアウト需要の高まりにより、経時劣化抑制、食感改善機能のある高付価値スターチが伸長しました。このような環境の中、当社グループはステークホルダーに対する責任を果たすべく各種取り組みを実施しました。従業員とその家族の安全確保の観点では、IT環境を整備し、在宅勤務の可能な部署においてはフルリモートワークを実施、出社の際もフリーアドレスや出社日・時間の分散によるリスク低減を図っております。お客様に対しては、食の安定供給・製品価値提供の観点より、衛生管理を徹底し生産・受注・物流・営業を継続するとともに、テイクアウト・デリバリー需要の増加に応じた当社独自技術での提案を行っております。また、株主・投資家の皆様には適時適格な情報開示を継続するとともに、財務健全性を確保し配当方針を継続すべく、安定資金の確保にも努めました。
⦅新型コロナウイルス感染拡大による業績影響⦆

⦅新型コロナウイルスへの対応策⦆

② 経営成績の状況
| 連結損益計算書 | 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) |
| 売上高 | 178,196 | 164,816 |
| 売上原価 | 141,762 | 130,828 |
| 販売費及び一般管理費 | 29,772 | 27,300 |
| 営業利益 | 6,661 | 6,687 |
| 経常利益 | 7,302 | 7,374 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5,203 | 5,253 |
(売上高)
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、主に外食向け業務用商品の需要減退により販売数量が大幅に減少したことや、搾油量減少によりミールの販売量が減少したことにより、売上高は1,648億16百万円(前年同期比7.5%減)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度は、原材料コストが増加しているものの、製造費用のコストダウンや販売数量減少の影響により、売上原価は1,308億28百万円(前年同期比7.7%減)となりました。販売費及び一般管理費は、販売数量減少に伴い物流費が減少したこと、広告費の減少および各種経費の抑制に取り組んだことにより、273億円(前年同期比8.3%減)となりました。
(営業利益)
売上高の減少をコスト改善や各種経費の抑制で補うことにより、営業利益は66億87百万円(前年同期比0.4%増)となりました。
(経常利益)
受取配当金や持分法による投資利益の増加等が、期中において手元資金を厚くしたことによる支払利息増加の影響を上回ったこと等により、経常利益は73億74百万円(前年同期比1.0%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
投資有価証券売却益、東北の物流拠点で発生した火災による受取損害賠償金を特別利益へ計上し、同火災による災害損失を特別損失に計上いたしました。ケミカル事業の譲渡契約締結に伴い、留保利益にかかる税効果を認識し、法人税等調整額を計上した影響により法人税等は増加しました。以上により、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は52億53百万円(前年同期比1.0%増)となりました。
③ セグメントの概況
| セグメントの名称 | 売上高(百万円) | セグメント利益(百万円) | セグメント資産(百万円) | |||
| 前年同期比(%) | 前年同期比(%) | 前期末比(百万円) | ||||
| 油脂事業 | 138,899 | △7.7 | 6,223 | 2.7 | 115,725 | 8,769 |
| 油脂加工品事業 | 12,128 | △4.9 | △443 | - | 9,457 | △406 |
| 食品・ファイン事業 | 12,786 | △6.4 | 754 | △2.2 | 11,146 | △658 |
| その他 | 1,001 | △22.5 | 153 | △32.0 | 1,789 | △52 |
| 全社資産 | - | - | - | - | 18,391 | 1,317 |
| 合計 | 164,816 | △7.5 | 6,687 | 0.4 | 156,509 | 8,968 |
(油脂事業)
油脂部門においては、家庭用油脂は、新型コロナウイルス感染症の影響により家庭での調理機会が回復・定着傾向にある事から、売上高は堅調に推移しました。その中でも、使用頻度が高いキャノーラ油が伸長し、風味付けの用途の広がりにより、ごま油が堅調に推移しました。オリーブオイルは小容量品種が大きく伸長しましたが、輸入大容量の拡大が継続したことで中容量品種が苦戦し、前年同期を下回りました。健康価値の高い、「健康サララ®」、えごま油・アマニ油・こめ油などの高付加価値品の売上高は大きく前年同期を上回りました。業務用油脂は、新型コロナウイルス感染症による外食産業の市場減退の影響が大きく、販売数量は前年同期を大きく下回りました。コロナ禍において、デリバリー・テイクアウト需要の拡大等といった同感染症の影響に対する得意先の変化に対応し、経時劣化を抑制する製品やお客様のオペレーション改善に貢献する製品(「麺のための油」や「ごはんのための米油(炊飯用)」「J-OILPRO®」など)の提案を強化するとともに、コストダウンや省資源化、作業軽減化にも寄与する、長く使えるフライ油「長調得徳®」の提案を強化いたしました。
油糧部門においては、油糧製品の主たる需要先である配混合飼料の国内生産量は前年同期と同程度で推移しました。大豆ミールの販売数量は新型コロナウイルス感染症の影響により搾油量が減少したこともあり前年同期を大きく下回り、販売価格はシカゴ相場の上昇により前年同期をやや上回りました。菜種ミールの販売数量は前年同期をやや下回り、販売価格は大豆ミールに連動して前年同期を上回りました。この結果、油糧部門の売上高は前年同期を下回りました。
| 以上の結果、当事業は、売上高1,388億99百万円(前年同期比7.7%減)、セグメント利益62億23百万円(前年同期比2.7%増)、セグメント資産1,157億25百万円(前期末比87億69百万円増)となりました。 | ![]() |
(油脂加工品事業)
マーガリン部門においては、家庭用では、主力商品の「ラーマバターの風味」増量セールを実施するとともに、「ラーマバター好きのためのマーガリン」「ラーマお菓子作りのためのマーガリン」の料理動画を配信し、親子で出来る簡単なお料理やお菓子を紹介することでパンに塗るだけでなく料理への訴求も行いました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響による内食需要が一巡した結果、家庭用マーガリンの売上高は前年同期と同程度となりました。業務用では、主力製品のグランマスターシリーズにアイルランド産発酵バターを配合した製品をラインナップに加え、新製品の中でも「グランマスター®アイリッシュ」を基幹商品に据えて高付加価値品の拡販に努めましたが、新型コロナウイルス感染症拡大によるインバウンド需要の低下、緊急事態宣言等による外出自粛の影響を受けて、販売数量、売上高はともに前年同期を下回りました。
粉末油脂部門においては、新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であり、当社が受託している粉末油脂の需要は堅調に推移しましたが、工場稼働日数の減少を補えず、販売数量、売上高はともに前年同期を下回りました。
| 以上の結果、当事業は売上高121億28百万円(前年同期比4.9%減)、セグメント損失4億43百万円(前年同期はセグメント損失3億96百万円)、セグメント資産94億57百万円(前期末比4億6百万円減)となりました。 | ![]() |
(食品・ファイン事業)
テクスチャーデザイン部門(旧スターチ部門)においては、コーンスターチは食品用途および工業用途ともに不採算品の収益改善と拡販に継続した取組みを行い、売上高は堅調に推移しました。食品用加工澱粉は業務用向け販売の回復が遅れ、売上高は前年同期をやや下回りましたが、当社の独自の技術を活用した「ネオトラスト®」は品質・食感改良材として中食・外食向けに新規採用が継続したことから前年同期を大きく上回りました。
ファイン部門においては、機能性素材への新型コロナウイルス感染症の影響は軽微であり、売上高は順調に推移しました。成長事業として位置付けているビタミンK2の売上高は、国内外で新規採用が増加したことにより前年同期を大きく上回りました。大豆たん白をベースとしたシート状大豆食品「まめのりさん®」の販売は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け売上高は前年同期を大きく下回りましたが、主要販売先である北米をはじめとする海外各地の外食店の営業制限が継続する中でもデリバリー用途などの新たな需要が創出されたこと等により、下期は前年同期を大きく上回りました。
ケミカル部門においては、2019年10月の消費税増税前の駆け込み需要反動と新型コロナウイルス感染症の影響により新設住宅着工戸数が前年同期を下回り、直近では一部持ち直しの傾向が見られたものの、主たる需要家である木質建材産業の業績も同様に低調に推移しました。また、第3四半期までの原材料価格は低位で推移し、需要家からの値下げ要求が強まった状況下で、木質建材用接着剤の販売数量と販売価格の維持に努めましたが、販売数量および売上高は前年同期を大きく下回りました。
| 以上の結果、当事業は売上高127億86百万円(前年同期比6.4%減)、過年度に実施した棚卸資産評価減の影響もあり、セグメント利益7億54百万円(前年同期比2.2%減)、セグメント資産111億46百万円(前期末比6億58百万円減)となりました。 | ![]() |
(その他)
その他の事業につきましては、売上高10億1百万円(前年同期比22.5%減)、セグメント利益1億53百万円(前年同期比32.0%減)、セグメント資産17億89百万円(前期末比52百万円減)となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりになります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 油脂事業 | 106,662 | △8.2 |
| 油脂加工品事業 | 9,231 | △5.2 |
| 食品・ファイン事業 | 3,936 | △0.6 |
| 合計 | 119,831 | △7.7 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 金額は製造原価によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当社グループは受注生産を行っておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりになります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
| 油脂事業 | 138,899 | △7.7 |
| 油脂加工品事業 | 12,128 | △4.9 |
| 食品・ファイン事業 | 12,786 | △6.4 |
| その他 | 1,001 | △22.5 |
| 合計 | 164,816 | △7.5 |
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
| 味の素株式会社 | 47,264 | 26.5 | 46,998 | 28.5 |
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
a.経営戦略
当社グループは、2017年度~2020年度を第五期中期経営計画の期間とし、企業理念「Joy for Life 生きるをおいしく、うれしくしたい。」のもと、コーポレートビジョン ‘Joy for Life’を掲げ、私たちの独自の技術とサービスでお客様の「Joy」の創造を目指して、日々の企業活動に取り組んできました。
第五期中期経営計画における戦略課題は以下のとおりです。

第五期中期経営計画期間中は、上記の成長戦略、構造改革、経営基盤強化の戦略課題に取り組みました。その達成の状況と取り組みの結果は以下のとおりです。

《成長戦略》
油脂および育成領域の高付加価値品の拡大を課題として掲げ、家庭用市場におけるオリーブオイルの用途拡大提案、業務用市場においては長持ち油「長調得徳®」、様々な調味・調理機能を有する「J-OILPRO®」の提案を強化しました。法人向けの営業形態であるソリューション事業においては、当社グループが従前より持つ素材(油脂、スターチ、マーガリン、粉末油脂等)に製菓製パン素材となるミックス粉も加えて、「おいしさデザイン®」の実現に向けた提案を行っています。さらに2019年12月にはマレーシアの油脂加工品製造会社であるPremium Fats Sdn Bhd及びPremium Vegetable Oils Sdn Bhdへ資本参加し、製菓製パン素材市場を中心に、アジアにおける事業展開を加速してまいりました。
《構造改革》
持続的成長を確実なものとするため、2019年度は配合飼料事業の再構築、坂出事業の事業譲渡、生産子会社および販売子会社の統合、SKU(販売品種数)の削減など構造改革に取り組みました。また、日清オイリオグループ株式会社との業務提携を通じて、搾油事業の国際競争力の強化、製油産業の発展及び食品の安定供給を通じた社会貢献ならびに中長期的な企業価値向上を図ってまいります。2021年3月に、ケミカル事業の三菱ガス化学株式会社への譲渡を決定し、2021年5月31日に譲渡が完了しております。
《経営基盤強化》
人財の育成と働きがいの向上に資する働き方改革を事業基盤強化の柱と位置づけ、企業理念「Joy for Life」の実現につながるよう、人事制度の改訂に加え、在宅勤務制度の導入、有給休暇の取得促進などを進めています。さらに、女性の活躍機会の創出、シニア再雇用制度を改訂・導入することで人財の多様化を図っています。
また2019年度より、社内取締役を5名から4名とする一方で、社外取締役を4名から5名とすることにより取締役会の監督機能をさらに強化し、統制の取れた経営を推進してまいります。
当社グループはこれまで培った資産と独自の強みを活かし、SDGs(国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた持続可能な開発目標)で挙げられている様々な課題に対して、事業を通じて解決に貢献し、さらには新たな価値を提供することで当社グループも成長を目指すCSV(共通価値の創造)経営を推進します。またESG(環境、社会、企業統治)に配慮した経営を同時に進めてまいります。
b.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、第五期中期経営計画において、株主資本の最適活用による、当社の企業価値向上に不可欠な持続的利益成長について評価することが可能な指標として、経営数値目標を掲げております。
第五期中期経営計画を推進しており、その達成・進捗状況は以下のとおりであります。
| 経営指標 | 2017年度実績 | 2018年度実績 | 2019年度実績 | 2020年度実績 | 2020年度目標 |
| 連結売上高 | 1,833億円 | 1,867億円 | 1,781億円 | 1,648億円 | 2,150億円以上 |
| 連結営業利益 | 40億円 | 56億円 | 66億円 | 66億円 | 80億円以上 |
| 売上高営業利益率 | 2.2% | 3.0% | 3.7% | 4.1% | 3.5%以上 |
| ROE(株主資本利益率) | 4.9% | 5.6% | 5.9% | 5.7% | 5.0%以上 |
中期経営計画の最終年度である2020年度において、高付加価値品の粗利構成比増加や油脂製品の粗利益率改善の取り組みにより利益率が改善され、売上高営業利益率およびROEは目標を達成しております。一方で、売上高については、新型コロナウイルス感染拡大の影響による販売数量減少の影響等により目標に対して大幅未達となり、営業利益については売上高が伸びない中、経費の抑制等に取り組みましたが目標に対しては未達となりました。一方、営業利益率につきましては、収益性の改善に努めた結果、目標を上回りました。ROE、一株当たり当期純利益はともに売上高当期純利益率が改善し、目標水準を上回りました。
第五期中期経営計画における戦略目標、定量目標の達成状況を精査するともに、課題を抽出し、第六期中期経営計画を策定、2021年5月に公表いたしました。新たな中期経営計画においては、2030年の目指すべき姿を描き、2021年度から始まる4ケ年で成長基盤を強固なものとし、構造改革を一層推し進め、長期成長を実現する所存です。
(2) 財政状態
| 連結貸借対照表 | 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) |
| 流動資産 | 73,908 | 82,686 |
| 固定資産 | 73,579 | 73,778 |
| 繰延資産 | 52 | 45 |
| 資産合計 | 147,541 | 156,509 |
| 流動負債 | 30,205 | 34,605 |
| 固定負債 | 27,651 | 27,428 |
| 負債合計 | 57,857 | 62,033 |
| 純資産 | 89,683 | 94,475 |
| 負債純資産合計 | 147,541 | 156,509 |
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は826億86百万円で、前連結会計年度末に比べ87億77百万円増加しました。主な増加は、受取手形及び売掛金が20億3百万円、たな卸資産が71億79百万円、主な減少は、現金及び預金5億80百万円であります。固定資産は737億78百万円で、前連結会計年度末に比べ1億98百万円増加しました。主な増加は、投資有価証券が10億1百万円、退職給付に係る資産が4億41百万円であります。主な減少は、有形固定資産13億20百万円であります。これにより、総資産は1,565億9百万円(前期末比89億68百万円増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は346億5百万円で、前連結会計年度末に比べ43億99百万円増加しました。主な増加は、支払手形及び買掛金61億83百万円であります。主な減少は、未払法人税等が4億47百万円、流動負債その他が14億93百万円であります。固定負債の残高は274億28百万円で、前連結会計年度末に比べ2億22百万円減少しました。主な増加は、繰延税金負債9億63百万円であります。主な減少は長期借入金が6億50百万円、役員株式給付引当金が1億97百万円、長期預り敷金保証金が1億43百万円であります。これにより、負債は620億33百万円(前期末比41億76百万円増)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は944億75百万円で、前連結会計年度末に比べ47億92百万円増加しております。主な増加は、利益剰余金が35億86百万円、その他有価証券評価差額金が6億25百万円であります。
(3) キャッシュ・フロー
① キャッシュ・フローの状況
| 連結キャッシュ・フロー計算書 | 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 14,647 | 4,270 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △4,235 | △2,438 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △4,396 | △2,476 |
| 現金及び現金同等物の増減額 | 5,988 | △617 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 8,396 | 7,778 |
当連結会計年度の現金及び現金同等物は、前年同期と比べ6億17百万円減少し、77億78百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ103億77百万円減少し、42億70百万円となりました。この主な要因は、原材料コストの上昇に伴いたな卸資産が増加したことや売上債権が増加したことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ17億96百万円増加し、△24億38百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が減少したことによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ19億19百万円増加し、△24億76百万円となりました。この主な要因は、借入金の返済が減少したことによります。

② キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
| 自己資本比率(%) | 50.6 | 54.7 | 58.8 | 60.6 | 60.1 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 42.4 | 38.9 | 45.9 | 51.0 | 42.0 |
| キャッシュ・フロー対有利子 負債比率(年) | 6.4 | 5.4 | 2.0 | 1.6 | 5.2 |
| インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) | 46.6 | 50.4 | 127.5 | 172.7 | 36.3 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③ 資本の財源
主要な資金需要は、製造及び販売活動に必要な運転資金、有利子負債の返済、配当金の支払い、法人税等の支払い、事業基盤整備のための設備投資、新規事業への投資であり、これらの資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び内部留保資金、社債発行、金融機関からの借入により資金調達しております。
④ 資金の流動性
当社グループは、現金及び現金同等物において、グループ各社の余剰資金を一元管理することによって資金の効率化と金融費用の極小化を図っております。また、当座貸越枠契約、コミットメントライン契約、売掛債権の流動化による機動的な資金調達手段を備えており、十分な資金の流動性を確保しております。
⑤ 財務政策
当社グループは、資本効率性と格付を考慮した財務健全性の最適バランスを取りながら、営業活動によるキャッシュ・フロー創出力を強化し、持続的な企業価値の向上を追求していく方針です。これにより、事業活動の維持に必要な手許資金の水準を確保するとともに、安定した株主還元と、企業体質の強化や積極的な事業展開のためへの成長投資など、長期的視野に立った安定的かつ適正な利益配分を行うこととしております。2020年度までの第五期中期経営計画においては、加重平均資本コスト(WACC)等を用いて資産効率向上を進めてROA等の改善を図ることとし、ROE5.0%以上、連結配当性向30%以上の維持を経営目標に掲げ、着実に成果を上げております。
なお、第五期中期経営計画期間におけるキャッシュ・フローの推移実績は以下のとおりです。
| 項目(億円) | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
| キャッシュ・イン | |||||
| 営業活動キャッシュ・フロー | 65 | 130 | 146 | 42 | |
| 資産売却 | 43 | 22 | 20 | 12 | |
| 借入金残高 | 308 | 215 | 189 | 183 | |
| キャッシュ・アウト | |||||
| 成長投資等 | 80 | 48 | 63 | 36 | |
| 株主還元 | 15 | 15 | 15 | 16 | |
| 有利子負債返済 | 34 | 95 | 25 | 7 | |
| フリー・キャッシュ・フロー | 28 | 104 | 104 | 18 | |
(注)フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー
※借入金残高は、社債を含みます。
2021年度から2024年度までの第六期中期経営計画においては、キャッシュ・インとキャッシュ・アウトから成る調達、投資、成長、還元のサイクルを実現してまいります。この4年間のキャッシュ・イン合計を900億円とし、成長投資350億円、設備投資260億円、配当による株主還元90億円に充当、残りの200億円については不透明な外部環境に適時対応するための待機資金等とする計画です。なお、キャッシュ・イン900億円の内訳は、営業キャッシュ・フロー400億円のほか、外部調達400億円と政策保有株式削減および棚卸資産の圧縮による100億円としております。

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを用いることが必要となりますが、これらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
退職給付債務の算定
当社グループは確定給付制度を採用しております。退職給付債務及び勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、期待運用収益率等の様々な計算基礎があり、当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、投資有価証券の評価については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に、新型コロナウイルス感染拡大の影響については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。


