有価証券報告書-第108期(2024/04/01-2025/03/31)
② 戦略
[キッコーマングループの気候変動への対応]
世界各地で高温による健康被害、深刻な干ばつによる水不足、豪雨や洪水による住居、道路交通網、水や電気等のインフラへの甚大な被害とその発生頻度の増加が顕在化しています。こうした異常気象には気候変動が大きく関わっており、地球規模で生命、財産、経済活動を脅かす社会問題となっています。このような背景から当社グループでは2030年度までに2018年度の比でCO2排出量を50%以上削減することで気候変動に取り組みます。
[気候変動のシミュレーションとリスク評価]
キッコーマングループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明し、TCFD提言に基づき、気候変動が事業に与えるリスク及び機会を評価し、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標について開示をすすめています。特に気候変動におけるリスクの評価では、2030年、2050年、2080年で気候変動が一層進んだ場合(4℃上昇RCP8.5シナリオなど)において、各拠点での洪水、高潮による浸水深リスクはどう変化し、それによって事業活動が中断する場合、中断期間や施設の損壊による被害はどれほどになるのか定量的なシミュレーションをAqueductやハザードマップなどを参考に実施しました。これは各拠点におけるBCPにインプットとして活用しています。大雨や台風による被害を過去経験した拠点においては、非常用発電機の設置、浸水対応のための揚水ポンプの設置、新設倉庫のフロアレベルを高くすることなどを実施しました。また当社グループの主要原料について、世界各地で気候変動から受ける収量変化の影響についてもシミュレーションを実施しています。近年、適切でタイムリーな情報開示の要請が、非財務情報の分野に関しても高まってきています。また国際的なイニシアチブへの対応や認証取得なども一層重要性を増し、これらが企業を評価する指標となってきています。キッコーマンではCDPの2024年度回答で気候変動、水セキュリティ、フォレストに対応回答しました。また2030年度に向けた当社グループの温室効果ガス削減目標が、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えるための科学的根拠に基づいた目標であるとして、国際的な共同団体であるSBT(Science Based Targets)イニシアチブより認定を取得しています。
[CO2削減の推進]
キッコーマングループ全体として温室効果ガス排出量は、2024年度は2018年度比で37.3%削減し目標を達成しました。その取り組みとして国内・海外各拠点で電力の再生可能エネルギー活用を積極的に進め再生可能エネルギー100%電力活用の拠点数は21です。また全体での再生可能エネルギー電力使用率は2025年3月末時点で73%に伸長しました。省エネルギーについては、熱回収によるガス使用量の削減、ボイラー送気方法変更などの運用改善、蒸気パイプラインの放熱防止策、クラウドを活用した空調室外機の制御などを当社グループ各社で実施しています。いずれも事業運営の中に環境負荷低減の施策を組み込んで活動しています。今後も再生可能エネルギー活用と省エネ活動をさらに推進してまいります。
2024年度のCO2温室効果ガス排出量実績は下記のとおりです。

CO2排出量中長期目標、各年のCO2排出量実績、TCFD提言に基づく開示等は、次のURLで公開しています。
https://www.kikkoman.com/jp/csr/environment/climate-change.html
[水環境の保全]
水の管理として水使用原単位削減をグループ各社の生産拠点を対象に取り組んでいます。洗浄工程における用水使用方法の見直し、洗浄機器の変更、メンテナンスの強化など地道な活動を中心に削減してきて2024年度は2011年度比で26.7%削減しました。また排水処理場がある事業所においては、排水の原水受入から調整、処理、放流に至るまでの運転管理を徹底し、法規制よりも厳しい環境自主基準をBOD数値に設定し、該当する12事業所全てで目標を達成しました。
[資源の活用]
事業所から排出される廃棄物や副産物の再資源化率は99.3%で高水準を維持しています。
食品ロス削減は、生産、出荷後それぞれの段階で規格外品の削減、生産計画と在庫の適正化などの削減施策を推進し、2024年度は2018年度比で17.0%の削減になりました。環境配慮型商品の展開においては、しょうゆのいつでも新鮮シリーズの容器において再生プラスチックの一部使用開始、豆乳製品のストローの植物由来プラスチックへの切り替えなどを実施しました。
[生物多様性の保全]
生物多様性は自然環境を支える重要な役割を果たしており、生物多様性が生み出す生態系サービス(資源の供給、気候の緩和、文化的な価値、水循環など)は私たちの生活に欠かすことはできません。当社グループの商品には水資源を使用することから、特に水環境への配慮と地域との共生を主にその活動の軸として取り組んでいます。今後は、バリューチェーン全体を通じた生物多様性を中心とした自然資本への影響や自然関連リスクの把握と生物多様性保全に向けた活動を推進します。当社グループはLEAPアプローチ ※1 を用いて事業及びバリューチェーンに関連する生物多様性との影響・依存についての全体像を把握するプロジェクトを実施しました。本プロジェクトでは外部専門家の意見を踏まえ、当社グループの事業内容や取り扱う主要な原材料(大豆、小麦、トマトなど)をもとにENCORE ※2 による評価をベースに、自社事業・バリューチェーンに当てはめて影響・依存関係を調査しました。その結果、「水資源の利用」「原材料調達」「地域の環境保全」の分野の取り組みが特に重要という結論を得ました。今後、詳しい情報開示に向け活動を進めます。
地域の生物多様性保全の取り組みの1つとして、北海道キッコーマン(株)の工場敷地内の樹林地を環境省「自然共生サイト」に申請し2025年3月に認定を受けました。「自然共生サイト」とは、民間の取り組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域を国が認定する制度です。北海道キッコーマン(株)敷地内の樹林地(25,640㎡)には落葉広葉樹が約80年前から残存しており、希少種を含む多様な動植物が生息・生育する貴重な緑地帯となっていることが認定において評価されました。今後も生態系豊かな樹林地を維持するとともに、確認された希少な野生動植物などの保全に努めてまいります。
※1 LEAPアプローチ:民間企業が自然への依存と影響を評価するためのガイダンス。自然資本や生物多様性に関するリスクや機会を民間企業や金融機関が評価・開示するための枠組みを構築する国際的な組織であるTaskforce on Nature-related Financial disclosures(TNFD)が提示。
※2 ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure):民間企業の自然への影響や依存度の大きさを把握することを目的に、国際的な金融機関のネットワーク「自然資本金融同盟(Natural Capital Finance Alliance(NCFA))」及び「国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)」などが共同で開発したツール。
[キッコーマングループの気候変動への対応]
世界各地で高温による健康被害、深刻な干ばつによる水不足、豪雨や洪水による住居、道路交通網、水や電気等のインフラへの甚大な被害とその発生頻度の増加が顕在化しています。こうした異常気象には気候変動が大きく関わっており、地球規模で生命、財産、経済活動を脅かす社会問題となっています。このような背景から当社グループでは2030年度までに2018年度の比でCO2排出量を50%以上削減することで気候変動に取り組みます。
[気候変動のシミュレーションとリスク評価]
キッコーマングループは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明し、TCFD提言に基づき、気候変動が事業に与えるリスク及び機会を評価し、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標について開示をすすめています。特に気候変動におけるリスクの評価では、2030年、2050年、2080年で気候変動が一層進んだ場合(4℃上昇RCP8.5シナリオなど)において、各拠点での洪水、高潮による浸水深リスクはどう変化し、それによって事業活動が中断する場合、中断期間や施設の損壊による被害はどれほどになるのか定量的なシミュレーションをAqueductやハザードマップなどを参考に実施しました。これは各拠点におけるBCPにインプットとして活用しています。大雨や台風による被害を過去経験した拠点においては、非常用発電機の設置、浸水対応のための揚水ポンプの設置、新設倉庫のフロアレベルを高くすることなどを実施しました。また当社グループの主要原料について、世界各地で気候変動から受ける収量変化の影響についてもシミュレーションを実施しています。近年、適切でタイムリーな情報開示の要請が、非財務情報の分野に関しても高まってきています。また国際的なイニシアチブへの対応や認証取得なども一層重要性を増し、これらが企業を評価する指標となってきています。キッコーマンではCDPの2024年度回答で気候変動、水セキュリティ、フォレストに対応回答しました。また2030年度に向けた当社グループの温室効果ガス削減目標が、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えるための科学的根拠に基づいた目標であるとして、国際的な共同団体であるSBT(Science Based Targets)イニシアチブより認定を取得しています。
[CO2削減の推進]
キッコーマングループ全体として温室効果ガス排出量は、2024年度は2018年度比で37.3%削減し目標を達成しました。その取り組みとして国内・海外各拠点で電力の再生可能エネルギー活用を積極的に進め再生可能エネルギー100%電力活用の拠点数は21です。また全体での再生可能エネルギー電力使用率は2025年3月末時点で73%に伸長しました。省エネルギーについては、熱回収によるガス使用量の削減、ボイラー送気方法変更などの運用改善、蒸気パイプラインの放熱防止策、クラウドを活用した空調室外機の制御などを当社グループ各社で実施しています。いずれも事業運営の中に環境負荷低減の施策を組み込んで活動しています。今後も再生可能エネルギー活用と省エネ活動をさらに推進してまいります。
2024年度のCO2温室効果ガス排出量実績は下記のとおりです。

CO2排出量中長期目標、各年のCO2排出量実績、TCFD提言に基づく開示等は、次のURLで公開しています。
https://www.kikkoman.com/jp/csr/environment/climate-change.html
[水環境の保全]
水の管理として水使用原単位削減をグループ各社の生産拠点を対象に取り組んでいます。洗浄工程における用水使用方法の見直し、洗浄機器の変更、メンテナンスの強化など地道な活動を中心に削減してきて2024年度は2011年度比で26.7%削減しました。また排水処理場がある事業所においては、排水の原水受入から調整、処理、放流に至るまでの運転管理を徹底し、法規制よりも厳しい環境自主基準をBOD数値に設定し、該当する12事業所全てで目標を達成しました。
[資源の活用]
事業所から排出される廃棄物や副産物の再資源化率は99.3%で高水準を維持しています。
食品ロス削減は、生産、出荷後それぞれの段階で規格外品の削減、生産計画と在庫の適正化などの削減施策を推進し、2024年度は2018年度比で17.0%の削減になりました。環境配慮型商品の展開においては、しょうゆのいつでも新鮮シリーズの容器において再生プラスチックの一部使用開始、豆乳製品のストローの植物由来プラスチックへの切り替えなどを実施しました。
[生物多様性の保全]
生物多様性は自然環境を支える重要な役割を果たしており、生物多様性が生み出す生態系サービス(資源の供給、気候の緩和、文化的な価値、水循環など)は私たちの生活に欠かすことはできません。当社グループの商品には水資源を使用することから、特に水環境への配慮と地域との共生を主にその活動の軸として取り組んでいます。今後は、バリューチェーン全体を通じた生物多様性を中心とした自然資本への影響や自然関連リスクの把握と生物多様性保全に向けた活動を推進します。当社グループはLEAPアプローチ ※1 を用いて事業及びバリューチェーンに関連する生物多様性との影響・依存についての全体像を把握するプロジェクトを実施しました。本プロジェクトでは外部専門家の意見を踏まえ、当社グループの事業内容や取り扱う主要な原材料(大豆、小麦、トマトなど)をもとにENCORE ※2 による評価をベースに、自社事業・バリューチェーンに当てはめて影響・依存関係を調査しました。その結果、「水資源の利用」「原材料調達」「地域の環境保全」の分野の取り組みが特に重要という結論を得ました。今後、詳しい情報開示に向け活動を進めます。
地域の生物多様性保全の取り組みの1つとして、北海道キッコーマン(株)の工場敷地内の樹林地を環境省「自然共生サイト」に申請し2025年3月に認定を受けました。「自然共生サイト」とは、民間の取り組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域を国が認定する制度です。北海道キッコーマン(株)敷地内の樹林地(25,640㎡)には落葉広葉樹が約80年前から残存しており、希少種を含む多様な動植物が生息・生育する貴重な緑地帯となっていることが認定において評価されました。今後も生態系豊かな樹林地を維持するとともに、確認された希少な野生動植物などの保全に努めてまいります。
※1 LEAPアプローチ:民間企業が自然への依存と影響を評価するためのガイダンス。自然資本や生物多様性に関するリスクや機会を民間企業や金融機関が評価・開示するための枠組みを構築する国際的な組織であるTaskforce on Nature-related Financial disclosures(TNFD)が提示。
※2 ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure):民間企業の自然への影響や依存度の大きさを把握することを目的に、国際的な金融機関のネットワーク「自然資本金融同盟(Natural Capital Finance Alliance(NCFA))」及び「国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)」などが共同で開発したツール。