有価証券報告書-第146期(2023/04/01-2024/03/31)
(2)戦略
当社グループは、食品事業について調味料・食品から冷凍食品まで幅広い商品領域を持ち、またヘルスケア等の分野にも事業を展開していることから、当社事業は、農、畜、水産資源や遺伝子資源、水や土壌、昆虫等による花粉媒介などのさまざまな自然の恵み、つまり生態系サービスに大きく依存しています。これら自然の恵みは、多様な生物とそれらのつながりによって形作られる健やかな生物多様性によって提供されています。
しかし、生物多様性は現在、過去に類を見ない速度で失われており、生物多様性の保全が世界的に喫緊の課題となっています。味の素グループは事業を継続させながら生物多様性への影響を低減し、そして地球環境を守っていくことの重要性を認識しており、2023年7月に生物多様性ガイドラインを制定しました。生物多様性に関する課題は、気候変動、水や土壌、廃棄物、人権等の環境や社会課題とも密接に関わっているため、相互が効果的になるように課題解決に向けた取組みを進めていきます。
①LEAPアプローチ
2023年度は、TNFDガイダンスのLEAPアプローチに沿って味の素グループの調味料・食品、冷凍食品およびヘルスケア等一部において調達原料のうち評価対象として選定した原料に関して、依存・影響の分析に基づいてリスク・機会評価を実施しました。LEAPアプローチは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提唱するガイダンスで、企業および金融機関内の自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づいて体系的に評価をするためのプロセスを示しています。
(ⅰ)対象原料の選定
売上高カバレッジ8割となる原料を対象に、Science Based Target Network(SBTN)により作成されたガイダンスであるSBTs for Natureが提供するHigh Impact Commodity List(HICL)に該当かつ調達量が多い12の原料を選定しました。選定原料は、サトウキビ、キャッサバ、トウモロコシ、生乳、大豆、菜種、米、牛、コーヒー、パーム、銅、原油です。なお、HICLに該当しているが包装資材である紙については対象外としました。
(ⅱ)分析結果
原料、製造、販売、消費の4工程について、LEAの3ステップを分析。
*7 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)議長に呼応して新シナリオ作成を目的として立ち上げられたコミュニティである統合評価モデルコンソーシアムが開発した共通社会経済経路(SSP:Shared Socioeconomic Pathways)。SSP1:自然保全と経済発展が両立されるシナリオ。SSP3:自然劣化・経済停滞となるシナリオ。
②分析結果の戦略への反映
(ⅰ)事業戦略への反映
2024年度は、原料に関してその原産国ではなく可能な限り地域に絞り込んで分析精度を向上させます。それを踏まえた生物多様性に関する課題は、気候変動、水や土壌、廃棄物、人権等の環境や社会課題とも密接に関わっているため、相互が効果的になるように課題解決に向けた取組みを進めていきます。また、サステナビリティに対する取組みが製品の付加価値向上につながる「ASV」の実現に向けて、新たな事業戦略の策定に取り組んでまいります。
(ⅱ)資金調達戦略への反映
当社は、各種取組みに対して必要な資金については、<味の素グループの気候変動に対する考え方>(ⅱ)資金調達戦略への反映に記載している内容と同様に進めてまいります。
当社グループは、食品事業について調味料・食品から冷凍食品まで幅広い商品領域を持ち、またヘルスケア等の分野にも事業を展開していることから、当社事業は、農、畜、水産資源や遺伝子資源、水や土壌、昆虫等による花粉媒介などのさまざまな自然の恵み、つまり生態系サービスに大きく依存しています。これら自然の恵みは、多様な生物とそれらのつながりによって形作られる健やかな生物多様性によって提供されています。
しかし、生物多様性は現在、過去に類を見ない速度で失われており、生物多様性の保全が世界的に喫緊の課題となっています。味の素グループは事業を継続させながら生物多様性への影響を低減し、そして地球環境を守っていくことの重要性を認識しており、2023年7月に生物多様性ガイドラインを制定しました。生物多様性に関する課題は、気候変動、水や土壌、廃棄物、人権等の環境や社会課題とも密接に関わっているため、相互が効果的になるように課題解決に向けた取組みを進めていきます。
①LEAPアプローチ
2023年度は、TNFDガイダンスのLEAPアプローチに沿って味の素グループの調味料・食品、冷凍食品およびヘルスケア等一部において調達原料のうち評価対象として選定した原料に関して、依存・影響の分析に基づいてリスク・機会評価を実施しました。LEAPアプローチは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提唱するガイダンスで、企業および金融機関内の自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づいて体系的に評価をするためのプロセスを示しています。
(ⅰ)対象原料の選定
売上高カバレッジ8割となる原料を対象に、Science Based Target Network(SBTN)により作成されたガイダンスであるSBTs for Natureが提供するHigh Impact Commodity List(HICL)に該当かつ調達量が多い12の原料を選定しました。選定原料は、サトウキビ、キャッサバ、トウモロコシ、生乳、大豆、菜種、米、牛、コーヒー、パーム、銅、原油です。なお、HICLに該当しているが包装資材である紙については対象外としました。
(ⅱ)分析結果
原料、製造、販売、消費の4工程について、LEAの3ステップを分析。
| Locate(発見) | Evaluate(診断) | Assess(評価) | |
| 分析概要 | 対象事業について、当社グループ事業のサプライチェーンにおける、生物多様性損失の危機が大きい地域を把握した。 | 当社グループ事業のサプライチェーンにおける自然への依存と影響の因子を特定した。それら因子に対する指標と閾値を設定して依存・影響の将来状態(2050年)を定量的に診断した。 | 将来状態で劣化が進む依存と影響の因子に関して、シナリオにてリスクを特定した。それらの結果に対して、当社グループの対応状況を踏まえた財務影響を試算し、リスク・機会の大きさを評価した。 |
| ツール | 以下のツールを各ステップで組み合わせて分析した。 (ENCORE、SBT’s High Impact Commodity List、SBTN Materiality Screening Tool、Geographic Information System、World Database Protected Area、IUCN Red List、GLOBIO、Aqueduct、Aqueduct Water Atlas、Nature Map Explore、Aqueduct Global Maps、Past and future trends in grey water footprints of anthropogenic nitrogen and phosphorus inputs to major world rivers、International Institute for Applied Systems Analysis、What a Waste) | ||
| 結果 | 対象原料について、25km-50kmの格子単位での当社グループ事業のサプライチェーンにおける自然との接点を特定・評価し、自然劣化を踏まえて詳細分析すべき格子を特定した。全対象2.4万格子のうちLocateでは、生物多様性の重要性エリア・急速劣化エリア・棄損可能性エリア・高い水ストレスのエリア・先住民居住エリアのいずれかに該当する格子は2万格子と特定した。 | Locateで特定した2万格子において、当社グループ事業のサプライチェーンにおける各段階(原材料、生産、消費など)での自然への依存と影響の因子について、2050年時点での自然劣化状態を想定して特定した。それら因子に対する指標と閾値を設定して依存・影響度を分析した。自然毎に劣化傾向は異なり、森・大気は全世界で劣化するが、水・土は特定地域に偏重することを確認した。特にサトウキビ・トウモロコシ・菜種の調達国では、それらの生産地で土質が劣化する可能性があることを確認した。 | Evaluateでは、2050年時点で一定程度劣化する可能性があると特定した自然に関して、自然保全と経済発展が両立されるシナリオ(SSP1(*7))と自然劣化・経済停滞となるシナリオ(SSP3(*7))の二つのシナリオにおいて、どのようなリスクが発生しうるか予想した。共に自然の劣化により多種リスクが生じ得るが、特に財務面の影響が大きいと確認したものは、慢性的な物理リスクによる原料調達価格の高騰であった。調達額の高騰が大きい原料は、トウモロコシ・サトウキビであった。サトウキビはタイ、トウモロコシはアメリカでの土壌の劣化が原因であった。 |
*7 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)議長に呼応して新シナリオ作成を目的として立ち上げられたコミュニティである統合評価モデルコンソーシアムが開発した共通社会経済経路(SSP:Shared Socioeconomic Pathways)。SSP1:自然保全と経済発展が両立されるシナリオ。SSP3:自然劣化・経済停滞となるシナリオ。
②分析結果の戦略への反映
(ⅰ)事業戦略への反映
2024年度は、原料に関してその原産国ではなく可能な限り地域に絞り込んで分析精度を向上させます。それを踏まえた生物多様性に関する課題は、気候変動、水や土壌、廃棄物、人権等の環境や社会課題とも密接に関わっているため、相互が効果的になるように課題解決に向けた取組みを進めていきます。また、サステナビリティに対する取組みが製品の付加価値向上につながる「ASV」の実現に向けて、新たな事業戦略の策定に取り組んでまいります。
(ⅱ)資金調達戦略への反映
当社は、各種取組みに対して必要な資金については、<味の素グループの気候変動に対する考え方>(ⅱ)資金調達戦略への反映に記載している内容と同様に進めてまいります。