有価証券報告書-第147期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/18 9:39
【資料】
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【項目】
220項目
(2)戦略
味の素グループは、食品事業について調味料・食品から冷凍食品まで幅広い商品領域を持ち、またヘルスケア等の分野にも事業を展開していることから、当社事業は、農、畜、水産資源や遺伝子資源、水や土壌、昆虫等による花粉媒介などのさまざまな自然の恵みに大きく依存しています。これら自然の恵みは、多様な生物とそれらのつながりによって形作られる健やかな生物多様性によって提供されていますが、生物多様性は現在、過去に類を見ない速度で失われており、生物多様性の保全が世界的に喫緊の課題となっています。当社グループは、2023年7月に生物多様性ガイドラインを制定し、生物多様性の保全においては、気候変動、水や土壌、廃棄物、人権等の環境や社会課題とも密接に関わっているため、相互が効果的になるように課題解決に向けた取組みを進めていきます。
①LEAPアプローチ
LEAPアプローチは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提唱するガイダンスで、企業および金融機関内の自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づいて体系的に評価をするためのプロセスを示しています。
2023年度は、当社グループ事業のうち評価対象に関して、LEAPアプローチによる依存・影響の分析からリスク・機会の評価を実施しました。2024年度は、Assess(評価)において、物理リスクの財務影響が大きいサトウキビの詳細分析を行いました。
(ⅰ)対象原料の選定
売上高カバレッジ8割となる事業における原料を対象に、Science Based Target Network(SBTN)により作成されたガイダンスであるSBTs for Natureが提供するHigh Impact Commodity(HIC)に該当もしくはHigh Impact Commodity List(HICL)に収載されかつ調達量が多い12の原料を選定しました。選定原料は、サトウキビ、キャッサバ、トウモロコシ、生乳、大豆、菜種、米、牛、コーヒー、パーム、銅、原油です。なお、HICLに該当しているが包装資材である紙については対象外としました。
(ⅱ)分析結果
原料、製造、販売、消費の4工程について、LEAの3ステップを分析。
Locate(発見)Evaluate(診断)Assess(評価)
分析概要対象事業について、味の素グループ事業のサプライチェーン上下流における、生物多様性損失の危機が大きいエリアを把握した。味の素グループ事業のサプライチェーンにおける自然への依存と影響の因子を特定した。それら因子に対する指標と閾値を設定して依存・影響の将来状態(2050年)を定量的に診断した。将来状態で劣化が進む依存と影響の因子に関して、シナリオにてリスクを予想した。それらの結果に対して、味の素グループの対応状況を踏まえた財務影響を試算し、リスク・機会の大きさを評価した。
ツール以下のツールを各ステップで組み合わせて分析した。
(ENCORE、SBT’s High Impact Commodity List、SBTN Materiality Screening Tool、Geographic Information System、World Database Protected Area、IUCN Red List、GLOBIO、Aqueduct、Aqueduct Water Atlas、Nature Map Explore、Aqueduct Global Maps、Past and future trends in grey water footprints of anthropogenic nitrogen and phosphorus inputs to major world rivers、International Institute for Applied Systems Analysis、What a Waste)
結果味の素グループ事業のサプライチェーン(上流、自社、下流)における自然(水、土壌、生態系など)との接点を特定するため、全球を評価単位エリア(25km-50km四方)に区分けし、自然劣化を踏まえて詳細分析すべき評価単位エリアを特定した。全対象2.4万評価単位エリアのうちLocateでは、生物多様性の重要性エリア・急速劣化エリア・棄損可能性エリア・高い水ストレスのエリア・先住民居住エリアのいずれかに該当するエリアは2万評価単位エリアと特定した。Locateで特定した2万評価単位エリアにおいて、味の素グループ事業のサプライチェーンにおける各段階(上流、自社、下流)での自然への依存と影響の因子について、指標と閾値を設定して2050年時点での依存・影響度を想定分析した。自然毎に劣化傾向は異なり、森・大気は全世界で劣化するが、水・土は特定地域に偏重することを確認した。特に、菜種の調達国では、それらの生産地で土質が劣化する可能性があることを確認した。Evaluateにおいて2050年時点で一定程度劣化する可能性があると特定した自然に関して、自然保全と経済発展が両立されるシナリオ(SSP1(*7))と自然劣化・経済停滞となるシナリオ(SSP3(*7))の二つのシナリオにて、どのようなリスクが発生しうるか予想した。共に自然の劣化により多種リスクが生じ得るが、特に財務面の影響が大きいと確認したものは、慢性的な物理リスクによる原料調達価格の高騰であった。調達額の高騰が大きい原料は、トウモロコシ・サトウキビであった。サトウキビはタイ、トウモロコシはアメリカでの土壌の劣化が原因であった。

*7 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)議長に呼応して新シナリオ作成を目的として立ち上げられたコミュニティである統合評価モデルコンソーシアムが開発した共通社会経済経路(SSP:Shared Socioeconomic Pathways)。SSP1:自然保全と経済発展が両立されるシナリオ。SSP3:自然劣化・経済停滞となるシナリオ。
(ⅲ)サトウキビの詳細分析結果
上記LEAの3ステップ分析にて最もリスクが高い原料の一つであるサトウキビにおいて、2050年に自然劣化が特に大きいと予想した国であるタイ・インドネシア・ブラジルの詳細分析を行った。詳細分析内容は、全調達ミルを対象として各ミルを中心としたサトウキビ調達圏内の任意の4農地における、水リスク・森林減少リスク・土壌劣化リスクをデータベース分析した。分析の結果、相対的にリスクの高い(森林減少)ミルの所在地域は、インドネシア/バニャンギ・ジェンベル・ペカロンガラン・ぺマラン、タイ/スコータイであった。
②分析結果の戦略への反映
(ⅰ)事業戦略への反映
2025年度は、サトウキビ農地における水リスク・森林減少リスク・土壌劣化リスクの実地調査を行います。それを踏まえた生物多様性に関する課題は、気候変動、水や土壌、廃棄物、人権等の環境や社会課題とも密接に関わっているため、相互が効果的になるように課題解決に向けた取組みを進めていきます。また、サステナビリティに対する取組みが製品の付加価値向上につながる「ASV」の実現に向けて、新たな事業戦略の策定に取り組んでまいります。
(ⅱ)資金調達戦略への反映
当社は、各種取組みに対して必要な資金については、<味の素グループの気候変動に対する考え方>に記載している内容と同様に進めてまいります。

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