有価証券報告書-第99期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 16:05
【資料】
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【項目】
113項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言発出以降も、食品など生活必需品を製造する企業として安定的事業運営と製品供給を第一の使命として事業継続に努めております。提出日現在の販売状況について、外出自粛、屋外イベント中止などから、飲料向けの販売数量が減少しておりますが想定の範囲内に留まっております。かかる状況が長引く場合に備え固定費の削減等、より一層の効率的な経営に努めてまいります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社では、株主価値の向上、顧客満足の向上並びに財務体質の強化を経営の基本方針と位置づけており、それを実現するために企業競争力の強化、収益力の向上並びに社員の能力向上を図ることに努力いたしております。
当社は業界内で数少ない2工場体制で操業しており、主力工場である富士工場(静岡県富士市)と水島工場(岡山県倉敷市)を基盤に、日本全国のお客様に対し安心で安定した製品供給の継続に努めております。
市場環境が劇的に変化している今日においては、その変化を成長の糧とし得る事業体制の強化に努め、経営参画意識の高揚、組織間の連帯強化、人材の育成などの改革を強力に推進してまいります。
(2) 経営環境
世界的に拡がる新型コロナウイルスの感染拡大は、世界中の経済・社会活動に大きな影響を及ぼしており、国内外の経営環境は厳しさを増していくことが予想されます。
当社は、社員への感染防止対策を実行することで感染リスクの軽減を図っておりますが、国内の感染拡大が長引くことにより、特に製造従事者への感染が広まると、一定期間操業を停止するリスクがあります。さらに販売面では、外出自粛の長期化、屋外イベント中止の増加などにより、飲料の消費が減少して販売数量が減少するリスクがあります。
また、中長期的なリスクとして少子高齢化と人口減少という構造的な問題から、飲料・食料品市場における総需要が減少することで製品の需要に対する業界の供給力が相対的に上回る状況が継続し、業界内での過当競争に拍車がかかると予想されます。一方、消費者価値観の多様化により小規模ながら更なる味質向上や利便性・健康志向などの特定の価値訴求を図ることのできる財へのニーズは増加すると考えられます。
(3) 目標とする経営指標
当社の主製品である糖化製品は清涼飲料や酒類、食品、調味料など幅広く利用されており、また、澱粉製品は製紙を中心とした一般工業分野と食品用途で多く利用されております。人口減少・高齢化・甘味離れ・ペーパーレス化等を背景に、本邦では市場規模の拡大が望み難い状況であることに加え、需要の低迷、販売価格の値下げ圧力等、大変厳しい状況にあります。当社では収益力を示す指標として経常利益・配当性向を重視し、連結ベース経常利益20億円(2021年度目標)、配当性向35%を目安に配当することを目指して高付加価値製品の開発と市場の創出、差別化戦略の推進に取り組んでまいります。また、収益基盤をより確たるものとするため、社員一人ひとりの努力による生産効率の改善やコスト削減を追求してまいります。
(4) 中長期的な会社の経営戦略
当社では、教育の充実による人材育成を図る一方で、製造コストの削減、製品物流の改善、各種在庫水準の適正化及び小口取引の見直しなど各部門におけるコスト削減を行い業績の安定拡大に努めております。それらの取り組みを通じたコスト競争力強化と、新機能・新需要を創出する技術開発力の強化、これら二つの両立に加え海外事業投資先を通じた海外事業を含めての成長を経営戦略としております。コスト競争力と技術開発力を基盤に差別化の図れる機能性を有する製品の提供・市場開拓を継続的に進め、より豊かな社会づくりに貢献することを目指します。また、品質を重視し、安全・安心な製品を安定的に、且つ競争力のある価格で提供することにより、より良い消費者生活を、お客様と共に実現するよう努めてまいります。
また、海外では既に活発な取り組みが先行されており、日本国内でも徐々に広がりつつあるSDGs推進に沿った健全な会社経営及び製品開発・提供に努めてまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社を取り巻く環境が厳しさを増している事を踏まえ、2019-2021年度を実行期間とする中期経営計画にて、対処すべき課題とその具体的各種施策を明確にし、確実に実行してまいります。
生産面では、主原料のとうもろこしの安定調達及びコスト削減を目的に、主要調達先である米国以外の供給先を確保し、また工場の最適操業を追求し製造費用のさらなる削減を目指します。
また、当社が供給可能なさまざまな市場に対し、新機能、新用途を持つ高付加価値製品の開発、拡販を課題とし、加工食品用途向けの各種製品開発に一層注力するとともに、販売面では、食品・飲料素材に対する技術力を積極的に活用し、お客さまに対する提案型営業を推進しております。積極的に推進を図る製品開発においては、健康志向製品、環境配慮型製品を中心に外部との協業も含め推進を図り、お客さまにとって付加価値を高める製品提供を継続することに努めてまいります。澱粉関連では、一般工業分野、食品分野さらに医療分野において用途開発の可能性が大きく、今後ともお客さまにとって付加価値を高める製品の開発を積極的に行い、対面業界への貢献を期してまいります。
さらに、市場のグローバル化に応えるため、求められる品質や海外法令に対しスピード感のある対応をすべく柔軟性を持って組織的に取り組んでまいります。
加えて、国内での自社製品の安定供給だけでなく、海外での生産及び流通基盤の強化、信頼できる輸入製品の供給源確保など国際的な仕組みづくりに取り組み、海外市場の拡大を目指します。その一つとして、タイ国の関連会社AMSCO社のタピオカ澱粉製品の充実、品質・生産管理体制の強化を図り、お客様のニーズにお応えできる体制づくりを進めてまいります。