有価証券報告書-第103期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/22 16:09
【資料】
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【項目】
149項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
《ミッション(使命・存在意義)》
くらしを見つめ、人々に心の満足を提供する
《ビジョン(目指す姿)》
私たちは地球の恵みを活かしたものづくりと、卓越した物流サービスを通じて、豊かな食生活と健康を支えつづけます。
《ニチレイが大切にする価値観~日々の行動や意思決定の規準~》
① お客様第一、安全第一、品質第一を貫く
お客様本位に徹するとはお客様との長期的な信頼の構築に努めることであり、その実現過程では安全第一、品質第一を貫かなくてはならない。この価値観は、ニチレイグループにおけるすべての事業活動の根幹である。
② 健全な利益を追求する
不公正・不当な利益は一切評価しない。コンプライアンスに違反する行為は、いとも簡単に事業継続を困難にし、企業の存続そのものを危うくする。ひとたび信頼を失えば、回復には途方もない時間がかかることを胸に深く刻み、フェアな競争に徹しなければならない。
③ 透明性の高い経営を推進する
すべてのステークホルダーから信頼されるため、誠実かつ公平な情報開示により説明責任を十分に果たして透明性の高い経営を推進し、企業価値を継続的に高めていく。
④ 持続可能な社会の実現に取り組む
食と健康を支える企業として、常に人々のくらしと未来を見据えて社会課題の解決に貢献するとともに、経済的・社会的・環境的側面に配慮しながら事業活動に取り組み、持続可能な社会の実現を目指していく。
⑤ 変革と創造に挑戦する
自由闊達な組織風土の中で失敗を恐れることなく、自己変革と新たな価値の創造に挑戦していく。
CSR基本方針“ニチレイの約束”~持続可能な社会の実現に向けて~
ニチレイグループは、食と健康を支える企業として事業活動を通じて新たな顧客価値を創造し、社会課題の解決に貢献します。また、経済的・社会的・環境的側面に配慮しながら事業活動に取り組み、その活動をステークホルダーの皆様に広く公表し、理解と対話を深めてまいります。
新たな顧客価値の創造新たな商品やサービスを創り出し、事業を通じてお客様及び社会の課題を解決します
安全な商品とサービスの提供高い品質と安全性を実現し、お客様の信頼を獲得します
持続可能なサプライチェーンの構築持続可能なサプライチェーンの構築に努めます
環境負荷の低減地球環境に配慮し、環境負荷を低減します
社会との共生社会と地域コミュニティの一員として共に考え、行動します
働きがいの向上働く人の多様性を尊重するとともに、個々の能力を最大限に発揮し活き活きと働ける環境を実現します
コーポレートガバナンスの充実適切な資源配分や意思決定の迅速化に努め、公正かつ透明性の高い経営を推進します
コンプライアンスの徹底ニチレイグループが事業を展開する各国の法令と社会規範を遵守し、倫理性を高めます

(2) 中期的な経営戦略、目標とする経営指標、経営環境及び対処すべき課題
グループ中期経営計画「WeWill 2021」(2019年度~2021年度)の2年目にあたる2020年度は、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るった年となりました。外食向け販売の減少などにより売上高は減収となりましたが、巣ごもり消費に関連した商品・サービスの提供やコストマネジメントの徹底などにより営業利益は増益となりました。一方、海外事業の規模拡大や水産事業の収益力向上に引き続き課題を残しました。
計画最終年度にあたる2021年度は、コロナ禍の影響継続に加え、原材料費や労働力不足に伴う人件費や物流費などのコスト上昇の影響もあり、厳しい事業環境となることが想定されますが、変化に対応した経営施策の着実な遂行により、「持続的な利益成長」と「豊かな食生活と健康を支える新たな価値の創造」の実現を目指してまいります。
2021年度の連結業績は、売上高6,000億円、営業利益350億円を目指します。
① 全体戦略、財務戦略及びセグメント別の事業計画
《全体戦略》
コロナ禍によって生じた人々の生活様式や価値観の変化に対応し、伸長する業態や新たな市場の開拓に経営資源を振り向けるとともに、加工食品事業と低温物流事業を中心に成長及び基盤強化に向けた設備投資を実施してまいります。
新型コロナウイルス感染症への対応については、従業員の安全と健康を確保した上で事業を継続し、食のインフラを担う当社グループとしての責務を果たしてまいります。
・国内では経営基盤の強化や事業構造変革により収益力を向上する。
・海外では事業規模拡大を加速する。
・中長期を見据えた新規事業開発・研究開発への取組みを強化する。
・デジタル技術やデータ活用により、業務プロセスの変革や新たな価値の創造に取り組む。
・事業を通じて社会課題を解決し持続可能な社会の実現に貢献する。
・働き方改革・健康経営や多様な人材の活躍推進に注力する。
《財務戦略》
営業キャッシュ・フローと資産流動化により創出された資金は、企業価値の維持向上のための投資と配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けます。
株主還元については、連結自己資本配当率(DOE)を基準として安定的な配当を継続するとともに、資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得を機動的に実施することを基本方針とします。
・連結自己資本当期純利益率(ROE)は10%以上を維持する。
・連結自己資本配当率(DOE)3.0%を目安に配当を実施する。

《セグメント別の事業計画》
(イ)加工食品事業
・部門横断のマーケティング機能の強化などを通じて業態ごとの変化するニーズを捉え、伸長する需要を取り込むとともに、新たな事業機会を創出
・技術差別化と新たな価値の提供の実現に向けて、カテゴリーごとの商品開発力・研究開発力を強化
・北米を中心とした海外事業の規模拡大
(ロ)水産・畜産事業
・水産事業では加工品の取扱拡大や業態ごとのニーズを捉えた販売の強化など、畜産事業では需給バランスに沿った調達と販売や差別化商品の販売強化などを通じた、市況変動の影響を受けにくい収益体制の構築
(ハ)低温物流事業
・大都市圏の主要保管拠点及び地方での運送機能の最大活用による収益拡大
・庫内作業のデジタル化や省力化・省人化の推進及び適正料金の収受などを通じた各種コスト上昇への対応
・新設キョクレイ本牧物流センターの早期安定稼働及び自動運転フォークリフトなどの先端技術の活用推進
・オランダロッテルダム新拠点の立ち上げによる港湾地区の事業基盤強化などを通じ、欧州を中心とした海外事業の規模拡大
(ニ)不動産事業
・既存賃貸ビルのリニューアルによる安定収益の確保
(ホ)バイオサイエンス事業
・次世代の診断薬・診断装置の開発と海外事業の基盤構築
② 品質保証力の向上
「食の安全・信頼」の実現のため、国際規格の導入、品質・安全性評価に関する技術の高度化などの取組みを強化し、グループ全体の品質保証力の向上を図ります。
③ 社会課題解決への取組み
長期経営目標「2030年の姿」を実現していくにあたり、社会課題の解決を軸とした持続的成長と、ESG課題への対応を両立すべく、重点的に取り組むべき5項目をグループ重要事項(マテリアリティ)として2020年に設定しました。グループ重要事項の5項目「食と健康における新たな価値の創造」「食品加工・生産技術力の強化と低温物流サービスの高度化」「持続可能な食の調達と資源循環の実現」「気候変動への取り組み」「多様な人財の確保と育成」を軸に、今後測定可能な目標を設定の上、施策を遂行しながら、当社グループの経営を推進してまいります。