四半期報告書-第157期第3四半期(平成26年10月1日-平成26年12月31日)

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2015/02/13 9:31
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では当第3四半期まで継続された金融緩和政策の中、景気の回復基調が続きましたが、中国をはじめとするアジア新興国では、景気の停滞感が続きました。一方、国内においては、政府の経済・金融政策を受けて緩やかに回復してきた景気も、円安環境のもと、消費増税後の消費者心理の冷え込みの影響を受けて、低調に推移しました。
このような環境のもと、当社グループは、「環境、ライフサイエンス、高機能で、社会に貢献する価値を、創りつづけるカテゴリー・リーダー」をめざし、特長のある製品を、国内外の市場へ展開し、成長を実現するための事業活動を進めております。当第3四半期連結累計期間においても、平成30年3月期までの中期計画で掲げたアクションプランである、「海外展開の加速」、「新製品の拡大・新事業の創出」、「国内事業の競争力強化」、「資産効率の改善」、「グローバル経営機能の強化」の5つのプランに沿って、事業活動を進めました。
「海外展開の加速」としては、エアバッグ用基布事業において、ドイツの原糸メーカーを他社と共同で買収したことを背景に、米国など海外の生産拠点の体制強化を進めるとともに、従来の国内自動車部品メーカーに加えて海外メーカーへの販売を拡大すべく、営業活動を強化しました。また、エンジニアリングプラスチック事業においては、今後、自動車部品用樹脂市場の拡大が期待される中米における販売を加速すべく、メキシコに新会社を設立しました。
「新製品の拡大・新事業の創出」としては、液晶偏光子保護フィルムとして展開する“コスモシャイン SRF”や、国内初の神経再生誘導チューブ“ナーブリッジ”の拡販に注力しました。“コスモシャイン SRF”については、テレビ向け用途で海外ユーザーを中心に販売を伸ばし、前年同期比で大幅な増収となりました。また、“ナーブリッジ”については、国内では適用症例数を着実に積み上げながら、米国における販売を開始するための準備を進めました。
一方、このように将来の成長拡大のための布石となるアクションを実行する中、新製品の市場展開や新設備の稼動に伴う試作などにより、一時的な費用が先行して発生しております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比21億円(0.8%)減の2,554億円となり、営業利益は同28億円(18.3%)減の125億円、経常利益は同59億円(41.0%)減の85億円、四半期純利益は同6億円(9.0%)減の59億円となりました。
セグメント別の概況は次のとおりです。
(フィルム・機能樹脂事業)
当事業は、フィルム事業では新設備への移管および新製品拡大に伴う費用増の影響があり、機能樹脂事業では自動車関連を中心に堅調に推移したものの、全体として前年同期に比べて増収減益となりました。
フィルム事業では、包装用フィルムは、消費増税後の消費の反動減や天候不順などの影響を受けたものの、前年同期に比べて増収となりました。工業用フィルムは、輸出の拡大と国内のスマートフォン市場への販売加速により、前年同期に比べて増収となりましたが、新設備の稼動による固定費増を新製品の販売で吸収できず、大幅な減益となりました。
機能樹脂事業では、エンジニアリングプラスチックは、自動車関連が海外を中心に堅調に推移しました。また、ファインケミカルも自動車関連が好調に推移し、工業用接着剤“バイロン”は、電子・情報関連が堅調に推移しました。
この結果、当事業の売上高は前年同期比2億円(0.2%)増の1,118億円、営業利益は同12億円(19.0%)減の50億円となりました。
(産業マテリアル事業)
当事業は、生活・産業資材とスパンボンドが好調に推移しましたが、エアバッグ用基布が苦戦し、前年度にタイヤコード事業から撤退したことの影響も受けて、全体として前年同期に比べて減収減益となりました。
エアバッグ用基布は、原料高および国内自動車市場の低迷の影響を受けました。スーパー繊維では、“ダイニーマ”は、耐切創手袋などが苦戦しましたが、“ザイロン”は、耐熱用途が堅調に推移しました。機能フィルターでは、主力の自動車用途の販売が落ち込みましたが、事務機器・家電などの用途が伸びました。また、VOC処理装置は、停滞していた海外向けが一部で回復しました。生活・産業資材では、機能性クッション材“ブレスエアー”が堅調に推移し、スパンボンドは、土木・建築用途を中心に拡大し、それぞれ前年同期に比べて増収となりました。
この結果、当事業の売上高は前年同期比25億円(4.9%)減の489億円、営業利益は同0億円(0.1%)減の37億円となりました。
(ライフサイエンス事業)
当事業は、バイオ事業が堅調に推移しましたが、医薬品製造受託や医用膜が苦戦し、前年同期に比べて増収減益となりました。
バイオ事業では、バイオケミカルは、主力の診断薬酵素が国内外ともに堅調に推移し、診断システム事業は、国内外向けの診断薬機器や海外向けの試薬が伸びました。医薬品製造受託は、新規案件の獲得が進む一方で、一部の受託案件延期の影響を受けました。医療機器は、主力の“ナーブリッジ”が適用症例数を順調に伸ばしました。機能膜事業では、医用膜が海外向けで回復傾向にあり、海水淡水化用逆浸透膜は、既存プラント向け交換膜が堅調に推移しました。
この結果、当事業の売上高は前年同期比10億円(5.0%)増の205億円、営業利益は同5億円(12.7%)減の33億円となりました。
(衣料繊維事業)
当事業は、テキスタイルは堅調に推移したものの、アクリル繊維が苦戦し、前年同期に比べて減収減益となりました。
スポーツ衣料製品は、大手アパレル向けで販売が順調に推移しました。ユニフォーム用途は、全般に堅調に推移しました。テキスタイルは、中東向け特化生地販売が回復基調にあり、堅調に推移しました。アクリル繊維は原料高の影響を受けるとともに、市況の悪化もあり、前年同期に比べて減収となりました。
この結果、当事業の売上高は前年同期比27億円(4.7%)減の541億円、営業利益は同12億円(55.2%)減の10億円となりました。
(不動産事業・その他事業)
当事業では、不動産、エンジニアリング、情報処理サービス、物流サービスなどのインフラ事業は、それぞれ概ね計画どおりに推移しました。
この結果、当事業の売上高は前年同期比20億円(10.9%)増の201億円、営業利益は同3億円(13.3%)減の17億円となりました。
資産、負債及び純資産の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前年度末比103億円(2.3%)増の4,666億円となりました。これは、主として、商品及び製品が増加したことによります。
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前年度末比35億円(1.1%)増の3,147億円となりました。これは、主として、長期借入金が増加したことによります。
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、利益剰余金およびその他有価証券評価差額金が増加したことなどから、前年度末比68億円(4.7%)増の1,519億円となりました。
(2)事業上および財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
当社は、平成26年5月8日に開催された取締役会において、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を改定するとともに、「当社株式の大量買付行為への対応策(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)の更新を決定しました。本プランは、平成26年6月27日開催の当社定時株主総会において、出席株主の議決権の過半数の賛同を得て可決されております。
1)当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要
当社は、上場会社として、株主の皆様による当社株券等の自由な売買を認める以上、当社の支配権の移転を伴う大量買付行為に応じるべきか否かのご判断は、最終的には株主の皆様の意思に基づき行われるべきだと考えております。
しかしながら、最近の我が国の資本市場における株券等の大量買付行為の中には、現経営陣の賛同を得ず一方的に行為を強行する動きも見受けられ、①対象会社に対し高値買取の要求を狙う買収である場合や、重要な資産・技術情報等を廉価に取得するなどして会社の犠牲の下に大量買付者の利益実現を狙う買収である場合、②株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれがある買収である場合、③株主の皆様に十分な検討時間を与えず、また対象会社の経営陣との十分な協議や合意等のプロセスを経ることなく行われる買収である場合、④対
象会社の企業価値向上のために必要な従業員、取引先、お客様等の利害関係者との関係を損なうおそれのある買収である場合等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく毀損するおそれがあるものも少なくありません。
当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社の財務および基本理念、事業内容、コアテクノロジーを十分理解し長期的視野に立って企業価値ひいては株主共同の利益を高めることを目的とする
者であるべきだと考えます。したがいまして、当社は、上記のような当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大量買付行為またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適切ではなく、このような行為を抑止するための枠組みが必要不可欠であると考えております。
2)基本方針の実現に資する特別な取組みの内容の概要
当社は、明治15年に紡績会社として創立され、昭和2年に化学繊維事業を開始し、昭和30年代に合成繊維市場に参入しました。昭和40年代からは現在のスペシャルティ事業の中核であるフィルム、機能樹脂、スーパー繊維、機能膜、診断薬用酵素等へ事業を展開・拡大してきました。130余年の歴史を通じて、当社は、「重合・変性」「加工」「バイオ」のコア技術を育むとともに、販売、開発、生産が一体となって、顧客の要請にきめ細かく応えていくビジネスモデルをつくり上げてきました。これらの特長こそが当社の強みであり、その源泉は、人材にあると考えています。今後の成長、企業価値向上においては、引き続き「技術力強化と人材育成」を基本に据えたマネジメントを進めます。
当社は、企業価値を「利益、キャッシュフロー、資産効率等の経済的価値」と「利害関係者からの信用・評価を含めた社会的価値」の両方で構成されると考えており、これら両面から企業価値を高めていきます。
3)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容の概要
①本プランの概要
本プランは、大量買付者が大量買付行為を行うにあたり、所定の手続に従うことを要請するとともに、かかる手続に従わない大量買付行為が行われる場合や、かかる手続に従った場合であっても当該大量買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく毀損するものであると判断される場合には、かかる大量買付行為に対する対抗措置として、原則として新株予約権を株主の皆様に無償で割り当てるものです。また、会社法その他の法律および当社の定款上認められるその他の対抗措置を発動することが適切と判断された場合には当該その他の対抗措置が用いられることもあります。
本プランに従って割り当てられる新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)には、大量買付者およびその関係者による行使を禁止する行使条件や、当社が本新株予約権の取得と引換えに大量買付者およびその関係者以外の株主の皆様に当社普通株式を交付する取得条項等を付すことが予定されております。
本新株予約権の無償割当てが実施された場合、かかる行使条件や取得条項により、当該大量買付者およびその関係者の有する議決権の当社の総議決権に占める割合は、大幅に希釈化される可能性があります。
②本プランの有効期間
本プランの有効期間は、平成26年6月27日開催の定時株主総会の終結の時から平成29年3月期に関する定時株主総会の終結の時までとします。
4)本プランが基本方針に沿い、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないことおよびその理由
本プランは、以下の理由により、上記1)の基本方針の実現に沿うものであり、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えております。
①買収防衛策に関する指針(経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」)の要件等を完全に充足していること
②企業価値ひいては株主共同の利益の確保または向上を目的として更新されていること
③株主意思を重視するものであること
④独立性の高い社外者(独立委員会)の判断の重視
⑤対抗措置発動に係る合理的な客観的要件の設定
⑥独立した地位にある第三者専門家の助言の取得
⑦デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと
なお、本プランの詳細につきましては、インターネット上の当社のホームページ(http://www.toyobo.co.jp/news/2014/)に掲載されている平成26年5月8日付「会社の支配に関する基本方針の改定および当社株式の大量買付行為への対応策(買収防衛策)の更新に関するお知らせ」をご参照ください。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は8,147百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。