有価証券報告書-第213期(2025/04/01-2026/03/31)
② 戦略
2025年度は、全事業を対象範囲とし、TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動が及ぼすリスク・機会に関して、1.5℃~2℃未満シナリオ及び4℃シナリオにおいて分析を行いました。
1.5℃~2℃未満シナリオにおいては、脱炭素社会への移行に伴い、炭素税の導入や再生可能エネルギーへの転換などの施策・規制が進むことによる事業への影響を想定しております。4℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行が進まず、異常気象の激甚化による洪水被害などの物理的な面での影響を想定しております。
(A)リスク及び機会の影響度と対応策
気候変動シナリオをもとに、当社グループの全事業に与えるリスク・機会に関して、以下の項目を抽出しました。抽出したリスク・機会の項目が、事業に与える影響を定性・定量評価し、その対応策を検討し、リスクの最小化及び機会の最大化に努めております。
当社グループとしては、気候変動リスクの時間軸を短期(~1年)、中期(1年~3年)、長期(3年~25年)とし、リスク・機会が当社グループに与える影響度合としては、財務影響額(大:損益15億円以上、中:損益15億円未満5千万円以上、小:損益5千万円未満)に、人的被害、レピュテーションリスク等を加味して総合的に判断しております。

(B)主要なリスク及び機会の影響度と対応策
洗い出したリスク及び機会に関しては、それぞれにおいて影響度合いを評価しておりますが、主要項目については、より掘り下げた分析を行い、その対応策を検討しております。
(a)移行リスク:炭素税等の導入・強化
■リスク・機会の認識
1.5℃~2℃未満シナリオにおいては、CO2排出規制強化が進み、自社Scope1、2に対しての炭素税等(カーボンプライシング)の負担増加が想定されます。当リスクについて、以下のとおり財務影響額を試算しました。
■対応策
将来の炭素税リスクに対応すべく、自家消費型太陽光発電設備の設置等による再生可能エネルギーの導入拡大、省エネルギー・生産効率向上施策の推進、原燃料の低炭素化等のGHG排出量削減の取組みを進めていきます。
また、省エネルギーに貢献する製品・加工技術の開発や提供等、多様な視点から取組みを進めていきます。
(b)移行リスク:プラスチック製品や梱包材の調達・製造・販売コストの増加
■リスク・機会の認識
1.5℃~2℃未満シナリオにおいては、プラスチック廃棄物削減に向けた規制強化が進み、プラスチックの使用制限やリサイクル義務化の導入・強化により、プラスチックを使用した製品や梱包材の調達・製造・販売に関するコスト増加や市場制約が想定されます。
■対応策
プラスチック製品に対する規制強化に対応するため、環境に配慮した原材料の活用や廃棄時の環境負荷低減に貢献する商材の開発、展開を推進しています。具体的にはリサイクルプラスチックやバイオプラスチック(バイオマスプラスチック・生分解性プラスチック等)を活用した製品の開発、展開を進め、資源循環の促進や廃棄時の環境負荷低減に取り組んでおります。また、製品の軽量化を進め、プラスチック消費量の削減にも取り組んでおります。
プラスチックフィルム等の梱包材についても、リサイクル可能な素材の採用や軽量化を進め、取引先との連携による梱包方法の効率化及び簡素化にも取り組んでおります。
(c)移行リスク:ステークホルダーからの気候変動対策と情報開示の要求
■リスク・機会の認識
1.5℃~2℃シナリオにおいては、企業が気候変動に伴うリスク・機会をいかに認識し、対応しているかが一層重視されるようになり、当社グループの企業価値評価に反映されることが想定されます。
■対応策
気候変動対策として、GHG排出量削減目標達成に向け、再生可能エネルギーの導入拡大、省エネルギー・生産効率向上施策の推進、原燃料の低炭素化等の取組みを着実に進めていきます。
また、TCFD提言の枠組みに沿った情報開示の充実、その他気候変動に関する取組みについての情報開示の拡大を進めていきます。併せて、各種イニシアチブへも積極的に参加していきます。2025年11月には、「サステナブルファッション・プラットフォーム協議会」に参画し、繊維業界が課題とする環境負荷低減に向けた取組みを進めております。
(d)物理リスク:洪水による設備損壊、操業停止
■リスク・機会の認識
4℃シナリオにおける環境下においては、異常気象の激甚化により、洪水発生確率が最大になることが想定されます。全事業を対象範囲とし、国内及び海外の主要生産拠点におけるリスク評価を実施した結果、国内では、㈱シキボウ江南、シキボウリネン㈱本社工場及び岩出第二工場、Jリネンサービス㈱の4拠点、海外では、㈱マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシア、湖州敷島福紡織品有限公司の2拠点に浸水リスクがあることが判明しました。浸水により、工場の在庫及び償却資産への被害、工場の操業停止による売上機会損失が想定されます。当リスクについて、以下のとおり財務影響額を試算しました。
■対応策
気候変動による物理リスクに対して、ハザードマップを活用した洪水リスクの調査や被害予想額の算定を実施し、リスク回避、軽減のために次のような対応策を実施しております。
・防災・減災対策の情報収集強化
・海外拠点や外注先も含めた生産拠点の分散化の検討
・生産拠点における水害対策の強化
・保険への加入
今後は、洪水発生時の被害軽減と迅速な事業復旧のために、BCP対策の更なる強化を進めていきます。
(e)機会:CO2排出量削減等に貢献する商材の販売機会の増加
■リスク・機会の認識
脱炭素社会への移行が加速する中で、CO2排出量削減や資源循環に貢献する商材の需要が増大することが想定されます。また、環境規制の強化や企業のサプライチェーン全体での脱炭素化要求の高まりにより、環境配慮型商材を提供することが、競争優位性の向上につながる可能性があります。
■対応策
当社グループでは、環境負荷の少ない原材料を用いることや、製造・使用・廃棄時のCO2排出・エネルギー消費の削減等により、環境負荷低減に貢献する環境配慮型商材の開発及び販売拡大に取り組んでおります。
繊維事業では、栽培時の環境負荷低減(一般品と比べ水消費・CO2排出量・エネルギー使用量を削減)に貢献する「オーガニックコットン」をはじめ、サトウキビ精製時の廃糖蜜を使った植物由来原料配合繊維「グリーンナチュレ®」やマイクロプラスチックによる海洋汚染を軽減する生分解性ポリエステル「ビオグランデ®」といった素材を使用した商材を開発し、販売しております。また、2024年には、コットン廃材や廃棄衣類を再利用したバイオマス原料を配合したプラスチックペレット「コットレジン®」を開発し、プラスチックが使用される幅広い用途への展開を想定し、取組みを進めております。
産業資材事業の主力商材の一つである「フィルタークロス」は、家庭や工場からの排水の懸濁・有害物質を除去するための水処理用として、また大気中のダスト集塵用として、長年、水や大気の環境改善に貢献してきました。同商材の主原料はプラスチックですが、リサイクルポリエステルを使用したフィルタークロスを開発し、販売しております。
化成品事業の主力商材の一つである「タマリンドシードガム」は、タマリンド(亜熱帯から熱帯にかけて広く生息するマメ科の高木)の種子を原料とする食品用増粘安定剤です。果肉を食用に加工した際に残る種子を粉砕し、精製して製造するアップサイクル商材です。また、同商材の製造工場では、太陽光発電設備の設置や製造プロセスの改善による低炭素化を進めております。
今後も、規制動向や市場ニーズを踏まえながら、上記の商材を含む多様な環境配慮型商材の開発及び販売拡大と生産体制の整備を進めていきます。
2025年度は、全事業を対象範囲とし、TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動が及ぼすリスク・機会に関して、1.5℃~2℃未満シナリオ及び4℃シナリオにおいて分析を行いました。
1.5℃~2℃未満シナリオにおいては、脱炭素社会への移行に伴い、炭素税の導入や再生可能エネルギーへの転換などの施策・規制が進むことによる事業への影響を想定しております。4℃シナリオにおいては、脱炭素社会への移行が進まず、異常気象の激甚化による洪水被害などの物理的な面での影響を想定しております。
| 1.5℃~2℃未満シナリオ | 4℃シナリオ | |
| 社会像 | 2100年までの平均気温上昇を2℃未満に抑えるため、脱炭素社会を実現する施策・規制が実施される世界 | 2100年までの平均気温が約4℃上昇することにより、気候変動による異常気象の激甚化が進行し、物理的影響が生じやすい世界 |
| 参照シナリオ | ・IPCC SSP1-1.9・IEA WEO2024 Net Zero Emissions by 2050 Scenario | ・IPCC SSP5-8.5 |
| 対象 | 全事業 | |
(A)リスク及び機会の影響度と対応策
気候変動シナリオをもとに、当社グループの全事業に与えるリスク・機会に関して、以下の項目を抽出しました。抽出したリスク・機会の項目が、事業に与える影響を定性・定量評価し、その対応策を検討し、リスクの最小化及び機会の最大化に努めております。
当社グループとしては、気候変動リスクの時間軸を短期(~1年)、中期(1年~3年)、長期(3年~25年)とし、リスク・機会が当社グループに与える影響度合としては、財務影響額(大:損益15億円以上、中:損益15億円未満5千万円以上、小:損益5千万円未満)に、人的被害、レピュテーションリスク等を加味して総合的に判断しております。

(B)主要なリスク及び機会の影響度と対応策
洗い出したリスク及び機会に関しては、それぞれにおいて影響度合いを評価しておりますが、主要項目については、より掘り下げた分析を行い、その対応策を検討しております。
(a)移行リスク:炭素税等の導入・強化
■リスク・機会の認識
1.5℃~2℃未満シナリオにおいては、CO2排出規制強化が進み、自社Scope1、2に対しての炭素税等(カーボンプライシング)の負担増加が想定されます。当リスクについて、以下のとおり財務影響額を試算しました。
| 財務影響額試算 | ||||||||
| (A)2025年と同水準の場合 | [財務影響額算定における前提条件] | |||||||
| 2030年時点:約14億円 | 2030年、2050年のGHG排出量を(A)2025年度と同水準と | |||||||
| 2050年時点:約25億円 | した場合と(B)削減目標を達成した場合の2パターンで算定 | |||||||
| (B)削減目標達成の場合 | ■排出量 2025年:65.3千t-CO2e | |||||||
| 2030年時点:約12億円 | 2030年目標:53.8千t-CO2e、2050年目標:0t-CO2e | |||||||
| 2050年時点:0円 | ■炭素税 2030年:$140/t-CO2e、2050年:$250/t-CO2e | |||||||
| 為替レート:$1=155円 | ||||||||
| ※「IEA WEO2024 Net Zero Emissions by 2050 Scenario」参照 | ||||||||
■対応策
将来の炭素税リスクに対応すべく、自家消費型太陽光発電設備の設置等による再生可能エネルギーの導入拡大、省エネルギー・生産効率向上施策の推進、原燃料の低炭素化等のGHG排出量削減の取組みを進めていきます。
また、省エネルギーに貢献する製品・加工技術の開発や提供等、多様な視点から取組みを進めていきます。
(b)移行リスク:プラスチック製品や梱包材の調達・製造・販売コストの増加
■リスク・機会の認識
1.5℃~2℃未満シナリオにおいては、プラスチック廃棄物削減に向けた規制強化が進み、プラスチックの使用制限やリサイクル義務化の導入・強化により、プラスチックを使用した製品や梱包材の調達・製造・販売に関するコスト増加や市場制約が想定されます。
■対応策
プラスチック製品に対する規制強化に対応するため、環境に配慮した原材料の活用や廃棄時の環境負荷低減に貢献する商材の開発、展開を推進しています。具体的にはリサイクルプラスチックやバイオプラスチック(バイオマスプラスチック・生分解性プラスチック等)を活用した製品の開発、展開を進め、資源循環の促進や廃棄時の環境負荷低減に取り組んでおります。また、製品の軽量化を進め、プラスチック消費量の削減にも取り組んでおります。
プラスチックフィルム等の梱包材についても、リサイクル可能な素材の採用や軽量化を進め、取引先との連携による梱包方法の効率化及び簡素化にも取り組んでおります。
(c)移行リスク:ステークホルダーからの気候変動対策と情報開示の要求
■リスク・機会の認識
1.5℃~2℃シナリオにおいては、企業が気候変動に伴うリスク・機会をいかに認識し、対応しているかが一層重視されるようになり、当社グループの企業価値評価に反映されることが想定されます。
■対応策
気候変動対策として、GHG排出量削減目標達成に向け、再生可能エネルギーの導入拡大、省エネルギー・生産効率向上施策の推進、原燃料の低炭素化等の取組みを着実に進めていきます。
また、TCFD提言の枠組みに沿った情報開示の充実、その他気候変動に関する取組みについての情報開示の拡大を進めていきます。併せて、各種イニシアチブへも積極的に参加していきます。2025年11月には、「サステナブルファッション・プラットフォーム協議会」に参画し、繊維業界が課題とする環境負荷低減に向けた取組みを進めております。
(d)物理リスク:洪水による設備損壊、操業停止
■リスク・機会の認識
4℃シナリオにおける環境下においては、異常気象の激甚化により、洪水発生確率が最大になることが想定されます。全事業を対象範囲とし、国内及び海外の主要生産拠点におけるリスク評価を実施した結果、国内では、㈱シキボウ江南、シキボウリネン㈱本社工場及び岩出第二工場、Jリネンサービス㈱の4拠点、海外では、㈱マーメイドテキスタイルインダストリーインドネシア、湖州敷島福紡織品有限公司の2拠点に浸水リスクがあることが判明しました。浸水により、工場の在庫及び償却資産への被害、工場の操業停止による売上機会損失が想定されます。当リスクについて、以下のとおり財務影響額を試算しました。
| 財務影響額試算 | ||||||
| 約43億円 | ・国内拠点のリスク評価は、「浸水ナビ」(国土交通省)を使用し検証 | |||||
| (国内27億円、 海外16億円) | ・海外拠点のリスク評価は、「Aqueduct」(WRI)を使用し検証 | |||||
| ・財務影響額は、在庫及び償却資産への被害額を算定 | ||||||
■対応策
気候変動による物理リスクに対して、ハザードマップを活用した洪水リスクの調査や被害予想額の算定を実施し、リスク回避、軽減のために次のような対応策を実施しております。
・防災・減災対策の情報収集強化
・海外拠点や外注先も含めた生産拠点の分散化の検討
・生産拠点における水害対策の強化
・保険への加入
今後は、洪水発生時の被害軽減と迅速な事業復旧のために、BCP対策の更なる強化を進めていきます。
(e)機会:CO2排出量削減等に貢献する商材の販売機会の増加
■リスク・機会の認識
脱炭素社会への移行が加速する中で、CO2排出量削減や資源循環に貢献する商材の需要が増大することが想定されます。また、環境規制の強化や企業のサプライチェーン全体での脱炭素化要求の高まりにより、環境配慮型商材を提供することが、競争優位性の向上につながる可能性があります。
■対応策
当社グループでは、環境負荷の少ない原材料を用いることや、製造・使用・廃棄時のCO2排出・エネルギー消費の削減等により、環境負荷低減に貢献する環境配慮型商材の開発及び販売拡大に取り組んでおります。
繊維事業では、栽培時の環境負荷低減(一般品と比べ水消費・CO2排出量・エネルギー使用量を削減)に貢献する「オーガニックコットン」をはじめ、サトウキビ精製時の廃糖蜜を使った植物由来原料配合繊維「グリーンナチュレ®」やマイクロプラスチックによる海洋汚染を軽減する生分解性ポリエステル「ビオグランデ®」といった素材を使用した商材を開発し、販売しております。また、2024年には、コットン廃材や廃棄衣類を再利用したバイオマス原料を配合したプラスチックペレット「コットレジン®」を開発し、プラスチックが使用される幅広い用途への展開を想定し、取組みを進めております。
産業資材事業の主力商材の一つである「フィルタークロス」は、家庭や工場からの排水の懸濁・有害物質を除去するための水処理用として、また大気中のダスト集塵用として、長年、水や大気の環境改善に貢献してきました。同商材の主原料はプラスチックですが、リサイクルポリエステルを使用したフィルタークロスを開発し、販売しております。
化成品事業の主力商材の一つである「タマリンドシードガム」は、タマリンド(亜熱帯から熱帯にかけて広く生息するマメ科の高木)の種子を原料とする食品用増粘安定剤です。果肉を食用に加工した際に残る種子を粉砕し、精製して製造するアップサイクル商材です。また、同商材の製造工場では、太陽光発電設備の設置や製造プロセスの改善による低炭素化を進めております。
今後も、規制動向や市場ニーズを踏まえながら、上記の商材を含む多様な環境配慮型商材の開発及び販売拡大と生産体制の整備を進めていきます。