有価証券報告書-第80期(2022/03/01-2023/02/28)

【提出】
2023/05/30 14:08
【資料】
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【項目】
153項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、創業以来一貫して、アパレルの原点である品質を重視した商品づくりと消費者満足を基本に業績向上を目指し、ファッションを通じ美しく豊かな生活文化を創造し、社会の発展に貢献することを基本方針としております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは紳士服・婦人服及び装飾品の製造販売を収益源とし、営業利益の拡大を目指して売上総利益率、販売費及び一般管理費率及び営業利益率を重視しております。更に、株主持分に対する投資収益の向上を目指して、ROE(自己資本利益率)を重視しております。又、株主還元の向上を目指して、DOE(株主資本配当率)を重視しております。
(3)経営環境
足元の経営環境については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。また、今後の見通しにつきましては、資源高や海外経済の減速、ウクライナ情勢等の地政学リスクの影響を受けるものの、新型コロナウイルス感染症の影響緩和やインバウンド需要の増加による消費の本格回復が期待され、国内経済は中期的に回復基調が続くものと期待しております。
2024年2月期につきましては「中期経営計画(2023年2月期 ~2025年2月期)」の2年目として売上・利益計画の必達を期し、最終年度目標達成に向けた基礎固めを行います。2024年2月期通期連結業績予想につきましては、売上高595億円、営業利益24億円、経常利益25億円、親会社株主に帰属する当期純利益22億円といたします。
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(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは2022年4月14日に2025年2月期を最終年度とする「中期経営計画(2023年2月期 ~2025年2月期)」を公表しております。その概要及び進捗状況は以下のとおりです。
<中期経営計画(2023年2月期~2025年2月期)>
Mission(=経営理念)
ファッションを通じ、美しく豊かな生活文化を創造し、社会の発展に貢献する
Vision
高い価値創造力と強靭な収益力を併せ持った、またサステナブルな社会の実現に
貢献することができる、エクセレント・カンパニーを目指す
Values
高品質・高品位・高付加価値商品を生み出すスキル
優良なブランドポートフォリオとブランドビジネス遂行能力
クリエイティブでかつ高い倫理観を持った社員
優れた統治能力を持った経営者及び経営体制

① 中期経営計画(2023年2月期~2025年2月期)の全体像
最終年度である2025年2月期に売上高625億円、売上総利益率63%、販売費及び一般管理費率56%、営業利益率7%、DOE(株主資本配当率)2%の配当実施を数値目標とし、構造改革の推進による確固たる収益基盤の構築と、会社を成長軌道に乗せるための施策として、ブランド戦略、チャネル戦略、マーケティング戦略、EC戦略を掲げています。
0102010_002.png② 中期経営計画の進捗状況
初年度の2023年2月期は主販路である百貨店や直営店の集客が回復したことや、外出機会の増加に伴いオケージョンアイテムや主力のコート・ダウンジャケット等防寒衣料が稼働したことにより計画を上回る売上高を確保することができました。また、調達原価率の低減やインベントリーコントロールの強化等の施策を継続推進したことにより売上総利益も計画を上回る一方、販売費及び一般管理費については、引き続き管理体制を強化し抑制に努めたことで、売上高増加に伴う変動費の増加を除けばほぼ計画通りとなり営業利益も計画を上回る推移となりました。本中期経営計画2年目にあたる2024年2月期につきましては売上・利益計画を上方修正し、最終年度目標達成に向けた基礎固めを行います。
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③ 構造改革の進捗状況
イ.粗利率改善の為の施策
調達原価率抑制、インベントリーコントロール強化、プロパー販売比率改善に継続して取り組むことにより2025年2月期に売上総利益率63.0%達成を目指してまいります。
2023年2月期は2022年4月14日に公表いたしました計画値62.0%を達成し、2024年2月期については主要仕入先との取り組み強化によるSCM最適化、仕入プール運用による過剰仕入の抑制、売れ筋商材のQR対応、MDサイクルの短期化等に取り組むことにより、更に0.5ポイント改善し62.5%を目標としています。
0102010_004.pngロ.販売費及び一般管理費のコントロール
売上拡大に伴う変動費増加及び店舗/システム/人材への投資を盛り込み、2025年2月期の販売費及び一般管理費は350億円、販売費及び一般管理費率は56.0%を計画しております。
2023年2月期は売上連動の販売手数料、宣伝販促費、社員還元と年金制度改定による人件費増額を除き抑制基調を継続し、販売費及び一般管理費率は前期差3.5ポイント改善し58.1%となりました(※)。2024年2月期も固定性経費抑制方針を堅持しつつ、店舗/システム/人材への投資を推進してまいります。
※販売費及び一般管理費率の前期差は前連結会計年度の実績値を「収益認識会計基準」に簡易的に置き換えた参考値
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④ 成長戦略の進捗状況
イ.ブランド戦略
2023年2月期において7つの基幹ブランドにおいては全ブランドが営業黒字を達成し、収益力を備えた安定したブランドポートフォリオを構築しております。ブランディング強化及び事業拡大に向けた積極投資により、各基幹ブランドの売上高100億円体制を早期に構築することで、ターゲット市場であるアッパーミドル市場で確固たるプレゼンスを構築し、強固な事業・収益基盤の確立を目指しております。
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ロ.チャネル戦略
主力販路である百貨店は、新型コロナウイルス感染症の沈静化に伴い集客が回復し、想定を上回る拡大基調で推移しております。2025年2月期に向けては複合ショップ化による運営効率改善、主力店の環境改善を進めてまいります。
直営店、アウトレットは一部ブランドにおいて不採算店舗撤退を行いましたが、既存店は回復基調にあります。2025年2月期に向けては基幹ブランドの旗艦店出店、有力施設への出店等により継続的な拡大を計画しています。ECは2023年9月にECプラットフォームを刷新し、機能・サービスの拡充、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)精度向上により会員売上の拡大を進めてまいります。
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ハ.マーケティング戦略
CRM強化のため、顧客基盤の整備とデータ活用を推進しております。顧客タッチポイントの強化として、ECと連動した総合カタログの発刊や、SNS/アプリ活用による双方向コミュニケーションの強化を進めています。
ニ.EC戦略
2025年2月期にEC売上高91億円を目指してまいります。2023年9月のECプラットフォーム刷新に伴い、ブランドサイトとECサイトを統合しメディアコマース化を進めてまいります。これによりブランディング強化とお客様の利便性を両立させたサイト運営体制を構築するとともに、機能・サービスの拡充、OMO(オンラインとオフラインの統合)推進によるECと実店舗の相互補完体制の確立を目指しております。
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⑤ 資本戦略
強固な財務基盤の確立を目指し、収益拡大による資本の積み上げ、資産流動化等を進めることで、2025年2月期には自己資本400億円超、ROE(自己資本利益率)8.5%を達成することを目指しております。また、強固な財務基盤を背景として将来成長に向けた投資、社員還元、株主還元を積極的に推進いたします。
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⑥ サステナビリティ
サステナブルな社会の実現に寄与することは、当社における最重要経営課題の一つと認識しております。この課題に取り組むことは、当社のCSRそのものを変革し、当社の企業価値を向上させるための不可欠なプロセスと捉えております。
2023年2月期におきましてはファッション産業が抱える社会課題に取り組むべく、ステークホルダーからの期待を踏まえて4つのマテリアリティを特定いたしました。
当社はGHG(温室効果ガス)排出量の長期削減目標として、SCOPE1・2の排出量を2050年までにネットゼロとすることを定めておりますが、目標達成に向けたアクションプランを確実に実行するべく、経営会議直轄のサステナビリティ委員会において2022年3月に新設いたしましたサステナビリティ推進室が主導となり在庫削減/仕入管理による廃棄削減、環境配慮型素材への段階的な置き換え、サプライチェーン全体での取り組み推進等について議論を行っております。ESG開示の充実化にも取り組み、国際NGOのCDPによる気候変動対応に関する2022年調査において、8段階中3番目のB評価に認定されました。
2024年2月期計画及び『中期経営計画(2023年2月期~2025年2月期)』の進捗状況につきましては、当社ホームページ→企業情報→投資家情報→決算短信に掲載しておりますのでご確認ください。
(https://www.sanyo-shokai.co.jp/company/ir/statement.html)