有価証券報告書-第71期(平成25年1月1日-平成25年12月31日)

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2014/03/27 14:19
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123項目

対処すべき課題

当社グループは、平成24年度を起点とする「中期経営戦略」のなかで、下記の経営方針を掲げており、その実現を当面の経営課題としております。
① 事業ポートフォリオの再構築による事業領域の拡大
・販路の多角化の推進(消費者視点)
・バーバリー以外のビジネスの強化・拡大(次期主力事業の確立)
・新たな消費者(F1層、M1層、ファミリー層)へのアクセス強化
・海外事業の強化(上海三陽時装商貿有限公司の業容拡大)
② 新たなビジネスモデルの運営を支える社内基盤の整備と強化
・消費者志向の「価値創造」と「価値提供」
・サプライチェーンの高効率化
・店頭起点の組織運営の構築
・組織体制・人事制度の整備
その実現のために、次期主力事業への経営資源の集中投資、新規事業開発、消費者志向の新しい価値創造と価値提供を実現する企業への変革、サプライチェーンの高効率化の推進からなる「事業戦略」、新たなビジネスモデルに対応できる組織体制の整備、従業員満足度の向上を目指した人事制度の整備からなる「組織・モチベーション戦略」を二つの重点戦略としております。
なお「中期経営戦略」の詳細については、当社ホームページ(http://www.sanyo-shokai.co.jp/)に掲載しておりますのでご覧ください。
今後の見通しにつきましては、わが国経済は、緩やかに回復しておりますが、平成26年4月の消費増税による家計の実質所得減少の個人消費への影響や、新興国経済の減速懸念などの不安要素もあり、経営環境は注意を要する状況が続くものと予想されます。
このような情勢のなかで、当社グループは適切な商品企画、強固な販売体制の確立、情報システムの刷新、物流の合理化、保有資産の見直し、財務体質の改善強化など経営全般にわたる一層の効率化を追求するとともに、事業の選択と集中を基本方針に、ブランドの開発・育成および新販路の展開にも積極的に取り組み、業績の向上を図ってまいります。
会社の支配に関する基本方針及び当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)
(注)経営ビジョンにつきましては、平成24年度を起点とする「中期経営戦略」に沿った内容になっております。
(1) 会社の支配に関する基本方針の内容について
① 当社の企業理念、CSR基本方針及び経営ビジョン
当社は、当社の企業理念、CSR基本方針及び経営ビジョンについて、以下のとおりに考えております。
(企業理念)
「真・善・美」を社是とし、ファッションを通じ、美しく豊かな生活文化を創造し、社会の発展に貢献することを経営理念としています。
(CSR基本方針)
ファッション製品を製造販売する事業活動を通じ、三陽商会の社会的存在意義を常に考えつつ、社会に有用な製品・サービスを提供することで、企業価値の持続的向上を追求することが、当社の社会に対する責任の基本であると考えます。
事業活動の遂行においては、株主、顧客、社員、仕入先、得意先、地域社会、その他の当社に関連する全ての方々の満足と信頼を獲得することを念頭に、誠実で健全な、社会的に正しい行動をとることを基本に考えます。
(経営ビジョン)
「HAPPY創造企業」をめざして
アパレルメーカーとして培った高品質・高感度なものづくりをベースに消費者が求める様々な付加価値を複合的に提供することで「HAPPY」を創造し続ける「オンリーワン企業」をめざします。
当社が創造する「HAPPY」とは、すべてのステイクホルダーとともに歩み、それぞれの夢を実現していくことと考えます。
・お客様とともに 「品質」と「サービス」の向上による「顧客満足」
・お取引先とともに 信頼関係の構築と「Win-Win」の関係
・従業員とともに 一人ひとりが感じる「やりがい」
・株主の皆様とともに 透明性と安定性が高い経営
・社会とともに 地域社会への貢献と環境への配慮
そしてこの考え方に立脚して以下の方針を「中期経営戦略」に盛り込んでおります。
1.事業ポートフォリオの再構築による事業領域の拡大
販路の多角化の推進をし、バーバリー以外のビジネスの強化・拡大(次期主力事業の確立)、新たな消費者(F1層・M1層、ファミリー層)へのアクセスを強化いたします。また、海外事業の強化をいたします。
2.新たなビジネスモデルの運営を支える社内基盤の整備と強化
消費者志向の「価値創造」と「価値提供」をいたします。また、サプライチェーンの高効率化を実現いたします。そのために店頭起点の組織運営の構築と組織体制・人事制度の整備をいたします。
当社はこのような企業理念、CSR基本方針及び経営ビジョンこそが当社の企業価値及び株主共同の利益の源泉に他ならないと考えております。
② 基本方針の内容
当社は、昭和46年7月より、株式を東京証券取引所へ上場、市場に公開しております。上場会社である以上、当社取締役会が、当社株主の皆様及び投資家の皆様による当社株式の売買を妨げることはありません。当社取締役会といたしましては、上記①「当社の企業理念、CSR基本方針及び経営ビジョン」で述べた当社の企業理念、CSR基本方針及び経営ビジョンを背景に、中長期的視点から当社の企業価値及び株主共同の利益の向上をめざし、これによって当社株主の皆様に長期的かつ継続的に当社の経営方針に賛同し、当社への投資を継続していただくために邁進いたしますが、大規模買付者が出現した場合、当該大規模買付者が当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適切であるか否かの判断につきましては、最終的には当社株主の皆様の意思に委ねられるべきであると考えております。
しかしながら、株式の大規模買付行為又はこれに類する行為の中には、その目的・態様等から見て企業価値及び株主共同の利益を毀損するもの、大規模買付行為又はこれに類する行為に応じることを対象会社の株主に強要して不利益を与えるおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主に対し大規模買付行為又はこれに類する行為の内容や大規模買付者についての十分な情報を提供せず、取締役会や株主による買付条件等の検討や対象会社の取締役会の代替案の提案に要する十分な時間を提供しないもの等、対象会社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上を妨げ、個々の株主の皆様の判断に委ねるべき前提を欠くものも少なくありません。
当社は、このように当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上を妨げるような大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えており、このような大規模買付行為に対しては、当社株主の皆様の事前の承認や、当社株主の皆様の意思決定に基づき、当社取締役会が、法令及び定款によって許容される限度において当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上のための相当な措置を講じるべきであると考え、これを、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針といたします。
(2) 会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組みについて
当社では、上記(1) ①「当社の企業理念、CSR基本方針及び経営ビジョン」で述べた、当社の企業理念、CSR基本方針及び経営ビジョンの下、当社の企業価値及び株主共同の利益の向上に努めております。「中期経営戦略」においては、次期主力事業への経営資源の集中投資、新規事業開発、消費者志向の新しい価値創造と価値提供を実現する企業への変革、サプライチェーンの高効率化の推進からなる「事業戦略」、新たなビジネスモデルに対応できる組織体制の整備、従業員満足度の向上を目指した人事制度の整備からなる「組織・モチベーション戦略」を二つの重点戦略としており、この「中期経営戦略」を着実に実行していくことが当社の企業価値を向上させ、ひいては株主共同の利益の最大化に資すると考えております。
また、当社は、コーポレート・ガバナンス体制の充実に向けた取組みを経営上の最重要課題の一つと認識しております。かかる観点から、取締役会については、取締役9名、内社外取締役3名の体制により、取締役会における迅速な意思決定と業務監督機能の一層の充実・強化を図っております。また、監査役につきましても常勤監査役2名、社外監査役3名の体制により、経営監督機能の強化を担っております。
内部統制体制の整備・強化につきましては、内部統制委員会及び内部統制推進室を設置し、また監査役、内部監査室とも連携し、会社法及び金融商品取引法への対応にとどまらず、業務改革の視点からも整備を強力に進めております。
(3) 会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みについて
当社は、平成26年2月14日開催の取締役会において、上記(1) 「会社の支配に関する基本方針の内容について」で述べたような会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの一つとして、平成20年3月28日開催の当社定時株主総会の決議に基づき導入し、平成23年3月30日開催の当社定時株主総会決議に基づき一部改定した上で継続しておりました、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針の内容を、平成26年3月開催の当社定時株主総会の承認を得ることを条件に継続することを全取締役の賛成により決定しました(以下、「本対応方針」といいます。)。本対応方針は平成26年3月27日開催の当社定時株主総会において承認の決議を得ております。
その具体的内容は以下のとおりです。
大規模買付行為に関する基本的考え方
もとより、当社取締役会は、あらゆる大規模買付行為に対して否定的な見解を有するものではありません。しかし、株式の大規模買付行為の中には、必ずしも対象会社の企業価値、ひいては、株主共同の利益を確保し、向上させることにはならないと思われるものも少なくありません。そのような大規模買付行為に対しては、当社として、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上が妨げられるような事態が生ずることのないように、上記(1)「会社の支配に関する基本方針の内容について」で述べたような基本方針に基づき、予め何らかの対応方法を用意する必要があると考えます。もっとも、当社の企業価値を毀損し、会社の利益ひいては株主共同の利益を害する大規模買付行為以外の大規模買付行為については、それを受け入れるべきか否かの最終的な判断は、当社取締役会ではなく当社株主の皆様に委ねられるべきものと考えております。
上記のように、大規模買付行為に対する最終的な判断が当社株主の皆様に委ねられるべき場合において、これに対して当社株主の皆様が適切な判断を行うためには、当社株主の皆様に十分な情報提供がなされ、かつ、熟慮に必要となる十分な時間が与えられる必要があります。このような観点から、本対応方針は、大規模買付者に対して、以下に述べるような情報提供を行うこと、及び、当社株主の皆様のための熟慮に必要な時間が経過するまでは大規模買付行為を開始しないことを求めることを基本としております。
なお、上記(2) 「会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組みについて」で述べた当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上のための取組みに鑑みれば、大規模買付者からのみならず、当社取締役会からも適切な情報提供がなされることが、当社株主の皆様が大規模買付行為の買付対価をはじめとした諸条件の妥当性等を判断する上で、役立つものと考えられます。このような観点から、当社取締役会としては、当社株主の皆様がより適切な判断を下せるよう、大規模買付者に対して大規模買付行為に関する情報提供を求め、かかる情報提供がなされた後、当社取締役会においてこれを評価・検討し、当社取締役会としての意見を取りまとめて公表いたします。そして、当社取締役会が必要と判断した場合には、当社取締役会は大規模買付者との交渉や当社株主の皆様への代替案の提示を行うこととします。
当社取締役会は、大規模買付行為が、上記の基本的な考え方を具体化した一定の合理的なルールに従って進められることが、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に資すると考え、当社株式の大規模買付行為に関するルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を設定し、大規模買付者に対して大規模買付ルールの遵守を求めます。そして、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、当社取締役会は、当該ルールの違反のみをもって、一定の対抗措置を講じることができることといたします。上記の基本的な考え方に照らし、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しないこと自体が、当社株主の皆様が適切な判断をするために必要な情報と時間の確保に対する脅威であり、当社株主共同の利益を損なうものと考えられるからです。また、当該ルールを予め設定し透明性を図ることは、当該ルールを設定していない場合に比して、大規模買付者の予見可能性を確保し、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に適うような大規模買付行為に対してまで萎縮的効果を及ぼしこれを制限してしまう事態を、未然に防止できることにもなると考えております。
なお、大規模買付ルールの詳細については、当社ホームページ(http://www.sanyo-shokai.co.jp/)に掲載している平成26年2月14日付「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の継続について」をご覧下さい。
(4) 本対応方針が会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の役員の地位の維持を目的とするものでないことについて
本対応方針は、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に公表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(①企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、②事前開示・株主意思の原則、③必要性・相当性確保の原則)を以下のとおり充足するとともに、買収防衛策の在り方その他の買収防衛策に関する実務・議論を踏まえた内容であり、高度な合理性を有していると同時に、上記(1)「会社の支配に関する基本方針の内容について」で述べた基本方針に沿うものであり、当社の株主共同の利益を損なうものではなく、当社の役員の地位の維持を目的とするものでもありません。
また、本対応方針は、経済産業省に設置された企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の趣旨も踏まえた内容となっております。
① 当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本対応方針は、大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを当社株主の皆様が判断するために必要な情報や時間、あるいは当該大規模買付行為に対する当社取締役会の意見や当社取締役会による代替案の提示を受ける機会を確保すること等を可能にするものであり、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されるものです。
② 株主の合理的意思に依拠したものであること
当社は、平成26年3月27日開催の当社定時株主総会において、本対応方針を議案としてお諮りし、承認の決議を得ております。そのため、本対応方針の内容は、当社株主の皆様の合理的意思に依拠したものとなっております。
さらに、取締役会の選択により株主意思の確認手続として株主総会が開催される場合には、対抗措置の発動は、当社株主の皆様の直接の意思に依拠することになりますし、また、取締役会が独立委員会への諮問を選択した場合も、株主総会から授権された独立委員会が対抗措置発動の要否を取締役会に勧告するものです。
③ 独立性の高い社外者の判断の重視
当社は、本対応方針の運用に関し、対抗措置発動等の運用に際して、当社取締役会の恣意的判断を排除し、当社株主の皆様のために客観的かつ合理的な判断に基づき、当社取締役会に対し勧告を行う諮問機関として、株主総会から授権された独立委員会を設置します。
また、独立委員会の委員は3名以上6名以内とし、公正で中立的な判断を可能とするため、当社の業務執行を行う経営陣から独立し、当社及び当社の業務執行を行う経営陣との間に特別の利害関係を有していない社外取締役、社外監査役、弁護士、公認会計士、税理士、学識経験者、投資銀行業務又は当社の業務領域に精通している者、社外の経営者の中から、取締役会の決議により選任されます。
④ 合理的な客観的発動要件の設定
本対応方針は、予め定められた合理的かつ詳細な客観的発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを十分に確保しているものといえます。
⑤ 取締役の恣意的判断防止のための措置
本対応方針においては、取締役会は株主総会の意思を直接確認し、又は、株主総会から授権された独立委員会の勧告を最大限尊重するように設定されております。このように、大規模買付ルールが遵守された場合の対抗策の発動について、対抗措置の発動は当社株主の皆様の意思又は独立委員会の勧告に基づきなされるものであり、当社取締役会による恣意的な対抗措置の発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。
⑥ デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと
本対応方針は、当社の株主総会又は株主総会で選任された取締役で構成される取締役会によりいつでも廃止することができるものとされておりますので、いわゆるデッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、対抗措置の発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。
また、当社は期差任期制を採用していないため、本対応方針はスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、対抗措置の発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。