有価証券報告書-第141期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響で国内外の経済活動が大きく制限を受け、厳しい状況が続きました。感染症に対する各種政策の効果や海外経済の改善によって企業収益や景況感に持ち直しの動きがみられたものの、感染が再拡大する中、景気の先行きについて注意を要する状況が続いております。
印刷業界におきましても、競争激化による単価下落及び原材料価格や物流費の値上がりに加え、新型コロナウイルス感染症の影響でさまざまな企業・自治体において事業の中止や方針転換が相次いだことや、生活様式の変化に伴う個人消費の需要変動で一部製品・サービスが減少したことなどから、厳しい経営環境が続きました。
こうした状況の中、共同印刷グループは、中期経営方針「強みの育成・拡大と、事業基盤の改革に挑戦し、成長を続ける。」に基づき、各種施策に取り組みました。
情報系事業では、お客さまの潜在的な課題を解決するサービスやライフスタイルの変化に対応したサービスの提案推進に注力しました。情報コミュニケーション部門では、販促向けのソリューション提案に取り組むとともに、市場の変化に対応した生産体制の構築を進めました。情報セキュリティ部門では、高いセキュリティ環境を生かした提案や業務効率化に資するサービス提供などを推進してBPO事業の拡大に注力しました。
生活・産業資材系事業では、外出自粛で需要が拡大した食品・日用品向けのパッケージやラミネートチューブの受注拡大に加え、持続可能な社会の構築に貢献するため、環境対応パッケージの開発に取り組みました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は、910億3千1百万円(前期比9.7%減)となり、営業利益は6億4千8百万円(前期比58.7%減)、経常利益は13億4千5百万円(前期比37.8%減)となりました。また、特別利益に投資有価証券売却益7億1千3百万円を計上しました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は8億2千5百万円(前期比45.4%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
情報コミュニケーション部門
出版印刷では、デジタルコンテンツや知育・教育関連分野の受注拡大に取り組みました。コミックスや、小学校等の臨時休校などによる家庭内での教育需要の高まりを受けて児童・幼児向け図書や学習参考書、デジタル教材の制作が増加したほか、コミックの電子配信も増加しました。しかし、緊急事態宣言の発出により出版社の取材活動が制限される等で定期刊行物が大幅な減少となり、売上高は前期を下回りました。
一般商業印刷は、大型デジタルサイネージと販売什器が一体となったクラウド配信型の什器「デジタルゴンドラ」など、新しい接客の形を実現するソリューションの提案を推進しました。しかし、イベントの中止や外出の自粛による販促需要の減少に加え情報誌も減少したため、前期を下回りました。
また、グループ内再編による製造工程の合理化や柔軟な運用体制の構築など、収益性の向上に向けた取り組みを進めました。
以上の結果、部門全体の売上高は354億8千4百万円(前期比10.9%減)、営業利益は9千2百万円(前期比4.8%減)となりました。
情報セキュリティ部門
情報セキュリティ部門では、データプリントを核としたBPOの受注拡大をめざし、金融機関や官公庁・自治体への提案推進に取り組むとともに、法人決済ソリューション事業の拡大に向け「Bizプリカ」の拡販に注力しました。
ビジネスフォームは、新型コロナウイルス感染症の影響でヘルスケア関係や各種試験関係のBPOが減少したほか、企業のDM類も減少し、前期を下回りました。証券類は、外出自粛の長期化などで乗車券類の需要が回復せず、前期を下回りました。ICカードについても、インバウンド需要の減少などを受け、交通系カードを中心に減少しました。
以上の結果、部門全体での売上高は260億3千2百万円(前期比18.6%減)、営業利益は6億1千2百万円(前期比58.5%減)となりました。
生活・産業資材部門
チューブは、歯磨き向けやハンドクリーム向けが増加しましたが、外出自粛長期化の影響などからUVケア製品向けが大幅に減少したため、前期を下回りました。巣籠り需要の拡大により、紙器では食品関係の包材が、軟包装では即席麺のフィルム包材や蓋材などが増加しました。一方で、ティシューカートンや「Tパウチ」などの液体向け包材は減少しました。産業資材は、医薬品向けを中心に増加しました。ブローボトルは、家庭内喫食の拡大を背景に好調に推移しました。
以上の結果、部門全体での売上高は270億7千6百万円(前期比2.8%増)、営業損失は1億1千7百万円(前期は営業損失3億7千3百万円)となりました。
その他
売上高は、偽造防止関連製品の受注増などはあったものの物流業務の減少などで24億3千7百万円(前期比11.0%減)、営業利益は1億8千9百万円(前期比41.5%減)となりました。
(参考)新型コロナウイルス感染症の影響を受けた製品・サービス
| 部門 | プラスの影響 | マイナスの影響 |
| 情報コミュニケーション | ・幼児向け図書や学習参考書 (家庭内での教育需要の増加) | ・定期刊行物等(出版社の取材困難等による発行中止・延期) ・企業のプロモーション関連販促物 (中止・延期) |
| 情報セキュリティ | - | ・各種試験関連BPO(中止・延期) ・乗車券及び交通系ICカード (旅客需要の減少) |
| 生活・産業資材 | ・即席麺用をはじめとする食品用包材 (中食・内食需要の増加) ・ブローボトル(家庭内喫食の増加) | ・ラミネートチューブ (UVカット製品の需要減少) |
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億1千万円減少し127億6千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、56億3千9百万円(前期比47億7百万円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益17億3千5百万円、減価償却費54億5千万円の計上及び売上債権の減少16億1千6百万円と、仕入債務の減少26億2千万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、74億2百万円(前期比16億6百万円減)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出83億7千8百万円と、投資有価証券の売却による収入9億2千万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、15億2千9百万円(前期比3億3千1百万円増)となりました。これは主に、長期借入れによる収入40億円と、配当金の支払8億6千4百万円、自己株式の取得による支出10億円があったことによるものです。
生産、受注及び販売の状況
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション部門 | 35,404 | 88.8 |
| 情報セキュリティ部門 | 25,482 | 78.8 |
| 生活・産業資材部門 | 26,975 | 100.3 |
| その他 | 2,451 | 89.8 |
| 合計 | 90,314 | 88.7 |
(注)金額は販売価額によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション部門 | 34,539 | 81.5 | 6,392 | 87.1 |
| 情報セキュリティ部門 | 23,437 | 70.2 | 6,983 | 72.9 |
| 生活・産業資材部門 | 26,594 | 100.7 | 6,786 | 93.4 |
| その他 | 2,212 | 76.9 | 65 | 22.5 |
| 合計 | 86,784 | 82.6 | 20,228 | 82.6 |
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション部門 | 35,484 | 89.1 |
| 情報セキュリティ部門 | 26,032 | 81.4 |
| 生活・産業資材部門 | 27,076 | 102.8 |
| その他 | 2,437 | 89.0 |
| 合計 | 91,031 | 90.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.相手先別販売実績は、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(1) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①財政状態の分析
総資産は、1,290億7千7百万円(前連結会計年度末1,246億3千4百万円)となり、44億4千3百万円増加しました。これは主に、投資有価証券が50億1千8百万円増加したことと、受取手形及び売掛金が16億3千5百万円減少したことによるものです。負債は、661億3千3百万円(前連結会計年度末648億6千9百万円)となり、12億6千4百万円増加しました。これは主に、長期借入金が39億9千5百万円増加したことと、支払手形及び買掛金が26億3千3百万円減少したことによるものです。純資産は、629億4千4百万円(前連結会計年度末597億6千4百万円)となり、31億7千9百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益8億2千5百万円に加え、その他有価証券評価差額金が36億6千9百万円増加したことと、配当金の支払8億6千4百万円、自己株式の取得10億円があったことによるものです。
②経営成績の分析
当社グループは、情報コミュニケーション部門における出版印刷と商業印刷、情報セキュリティ部門におけるデータプリントやBPO受託、証券類やICカード製造、生活・産業資材部門におけるチューブ・軟包装・紙器等のパッケージ類と、産業資材等の製造を主な事業としております。
情報コミュニケーション部門及び情報セキュリティ部門においては、デジタル技術の発達と活用の広がりによる紙媒体の需要減少が続き、当社グループの経営にとって大きな課題となっております。一方、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、非対面・非接触のコミュニケーション促進やパーソナルデータの活用など新しい生活様式に対応したサービスへの需要も高まっており、アフターコロナの社会を見据えた新しい付加価値をお客さまに提案する機会が生まれております。生活・産業資材部門においては、外出自粛の長期化により家庭内喫食が拡大し、軟包装やブローボトルといった包材の需要が拡大しております。また、脱炭素社会の実現に向けた世界的な潮流や生活者の環境意識の高まりを受け、環境配慮製品の需要が高まっており、当社にとって受注拡大の機会が広がっております。
このような中、当社グループは当連結会計年度の計画を、売上高950億円、営業利益5億円、経常利益11億円、親会社株主に帰属する当期純利益6億円といたしました。計画達成をめざし、情報コミュニケーション部門においてはデジタルコンテンツや知育・教育関連分野の受注拡大とともに、新しい接客の形を実現するソリューション提案の推進に取り組むとともに、市場の変化に対応した生産体制の構築を進めました。情報セキュリティ部門では、豊富なノウハウ及び高いセキュリティ環境を武器に、金融機関や官公庁・自治体等へのデータプリントを核としたBPO提案を推進するとともに、法人決済ソリューション事業の拡大に注力しました。生活・産業資材部門においては、外出自粛で需要が拡大した食品・日用品向けのパッケージやブローボトル事業における受注拡大に取り組みました。また、持続可能な社会の構築に貢献するため、軟包装やチューブでは、環境配慮製品の開発を推進しました。
以上の結果、売上高についてはコミックスの受注増やブローボトル事業の貢献があったものの、定期刊行物や販促需要、各種乗車券、UVケア製品向けチューブなどで新型コロナウイルス感染症の影響長期化による大幅な減少があり、各部門で売上高が計画を下回り、910億3千1百万円となりました。利益については、生産工程の見直しや固定費削減による利益改善などにより、営業利益は6億4千8百万円、経常利益は13億4千5百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は8億2千5百万円となり、いずれも計画を上回りました。
当社グループは、このたび2021年度を初年度とする4ヵ年の中期経営計画を策定いたしました。グループ経営ビジョン「私たちは、誠実なコミュニケーションと市場をリードする技術力でお客さまの思いをカタチにし、新たな価値を創出し続ける企業グループをめざします。」の実現をめざし、計画達成に向けた各種施策を推進してまいります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、国内の経済活動が同感染症拡大以前の水準に戻る時期は翌連結会計年度の後半以降、また、それまでに発生した社会・経済環境における変化は一定程度定着すると予測しております。
(2) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。
当社グループは、運転資金及び設備資金については、安定的な資金調達、調達コスト抑制及び調達方法の分散・多様化を基本方針としております。
当連結会計年度は、設備投資としてシンジケート方式による40億円の借入を実行しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は283億6千8百万円、現金及び現金同等物の残高は127億6千万円となっております。また、複数の金融機関との間で合計50億円のコミットメントライン契約を締結しております(借入未実行残高50億円)。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りにつきましては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)に記載のとおりであります。