有価証券報告書-第140期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
業績等の概要
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益が堅調に推移し、雇用環境が改善する中で個人消費も持ち直しの動きをみせるなど、緩やかな回復傾向が続きました。しかしながら、景気の先行きについては、米中通商問題が世界経済に与える影響や消費増税後の消費者マインドの動向に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い国内外の経済活動が急速に悪化していることなどから、今後大幅に下振れすることが見込まれます。印刷業界におきましては、電子書籍市場やインターネット広告市場が拡大する一方で紙媒体需要は減少し、受注価格の下落や原材料価格の高騰など依然として厳しい経営環境が続きました。
このような状況の中、共同印刷グループは2018年度を初年度とする3カ年の中期経営方針「強みの育成・拡大と、事業基盤の改革に挑戦し、成長を続ける。」に基づいた取り組みを進めました。
情報系事業では、お客さまの課題解決に向けた販促支援サービスや業務支援サービスの提案拡大に注力しました。情報コミュニケーション部門では、デジタルコンテンツの受注拡大とデジタル領域を中心とした販促ソリューションの提案力強化に取り組むとともに、紙媒体の生産体制の最適化によるコスト削減に努めました。情報セキュリティ部門では、ヘルスケアなど新たな分野でのBPO事業の拡大と、法人向け決済ソリューション事業の立ち上げに注力しました。
生活・産業資材系事業では、株式会社クレハから承継したブローボトル事業が2019年11月から本格稼働を開始したほか、チューブ事業の生産能力増強に向け、和歌山工場の新棟とインドネシアのカラワン工場が竣工しました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は、1,008億5千8百万円(前期比3.1%増)となり、営業利益は15億6千9百万円(前期比52.8%増)、経常利益は21億6千3百万円(前期比23.7%増)となりました。特別利益に投資有価証券売却益15億6千4百万円、本社再開発に伴う固定資産解体費用引当金戻入額として6億1千4百万円、特別損失に環境対策引当金繰入額6億2千8百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は15億9百万円(前期比36.6%増)となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりであります。
情報コミュニケーション部門
出版印刷では、マンガを中心としたコンテンツをデジタル展開するデジタルソリューションを推進するとともに、デジタル教材やパーソナル教材の提案を通じて教育分野での受注拡大に取り組みました。電子コミックの配信やデジタルコンテンツの受注が増加したほか、コミックスの単行本や教育関連分野の受注増により書籍が増加しましたが、定期刊行物の減少が大きく、売上高は前期を下回りました。
一般商業印刷では、スマートフォン用アプリを活用したパーソナルマーケティングツール「CRooM+」や動画の制作・配信からレスポンスの分析までを行うワンストップ型ソリューション「OneDouga」など、企業と顧客をつなぐ販促ソリューションの提案を推進しました。2019年1月に共同日本写真印刷株式会社を連結子会社化したことにより、カタログ・POP・パンフレット等が増加したため、売上高は前期を上回りました。
以上の結果、部門全体の売上高は398億1千5百万円(前期比1.7%増)、営業利益は9千7百万円(前期は営業損失8億2千8百万円)となりました。
情報セキュリティ部門
情報セキュリティ部門では、データプリント及びBPOの受注拡大をめざし、金融機関や官公庁・自治体等への業務最適化・効率化提案を積極的に進めるとともに、医療やヘルスケアといった新たな市場の開拓に取り組みました。抽選券・乗車券などの証券類では、安定した受注量確保に努めるとともに、品質向上やコスト削減施策の取り組みを進めました。ICカードでは、金融関連での受注拡大を図るとともに、強みを持つ交通系ICカードを中心に発行業務の受託拡大に注力しました。
証券類は前期並みとなりましたが、金融機関及び官公庁・自治体等からデータプリント及びBPOの受注が増加したためビジネスフォームが増加し、ICカードも交通系カードが増加したため前期を上回りました。
以上の結果、部門全体での売上高は319億6千5百万円(前期比2.6%増)、営業利益は14億7千5百万円(前期比4.5%増)となりました。
生活・産業資材部門
生活・産業資材部門では、食品分野を中心に機能性の高い軟包装材を提供するため、守谷工場に建設した軟包装専用棟を安定稼働させるとともに、「パーシャルオープン」をはじめとするフタ材と「Tパウチ」などの液体向け包材の拡販に取り組みました。チューブでは、旺盛な需要を背景に和歌山工場に新棟を建設するなど生産体制の強化を図りました。「モイストキャッチ」をはじめとする高機能製品については、新規得意先の開拓や中国をはじめとする海外市場への拡販に取り組みました。紙器については、既存製品を中心に安定した収益確保をめざしました。
その結果、歯磨き向け・化粧品向けともにチューブが増加しました。軟包装では、フタ材が前期並みに推移したほか、液体向け包材が増加しました。紙器では、ラップカートンは減少しましたがティシューカートンが増加しました。産業資材は医薬品向け包材を中心に減少しました。なお、株式会社クレハから承継したブローボトル事業は、当セグメントに含めております。
以上の結果、部門全体での売上高は263億3千8百万円(前期比4.2%増)となりましたが、事業拡大に向けた投資の増加や紙器・軟包装事業の生産体制整備のためのコストが先行したことなどから、3億7千3百万円の営業損失(前期は営業利益2億8百万円)となりました。
その他
売上高は、偽造防止関連製品の受注増などにより27億3千9百万円(前期比25.7%増)となりましたが、物流拠点の新設による費用増などのため営業利益は3億2千4百万円(前期比12.3%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ26億3千8百万円増加し130億7千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、103億4千6百万円(前期比78億7千万円増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益30億4千5百万円、減価償却費53億8千8百万円の計上及び売上債権の減少11億9百万円があった一方、固定資産解体費用引当金の減少14億2千4百万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、90億8百万円(前期比10億1千4百万円減)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出91億7千8百万円及び事業譲受による支出16億7千7百万円があった一方、投資有価証券の売却による収入15億6千5百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、11億9千7百万円(前期比22億1千3百万円減)となりました。これは主に、長期借入れによる収入80億円があった一方、社債の償還による支出50億円、配当金の支払8億7千1百万円及び自己株式の取得による支出3億6千1百万円があったことによるものです。
生産、受注及び販売の状況
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は販売価額によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.相手先別販売実績は、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(1) 重要な会計方針及び見積り
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
新型コロナウイルス感染症の影響については、今後の広がり方や収束時期等を正確に予測することは困難な状況にありますが、期末日以降連結財務諸表作成時までに入手可能であった4月以降の売上高の実績等を考慮のうえ、当期末の見積りに大きな影響を与えるものではないと仮定し、会計処理を行っております。
なお、当グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(2) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①財政状態の分析
総資産は1,246億3千4百万円となり、前期比で7億5千6百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が23億7千2百万円、本社新社屋の建設や和歌山工場の生産設備増設により固定資産の建設仮勘定が14億5千3百万円増加した一方で、投資有価証券が52億5千万円減少したことによるものです。負債は、648億6千9百万円となり、前期比で28億6千3百万円増加しました。これは主に、設備投資や新株予約権付社債償還のための資金として銀行借り入れを実施したことにより長期借入金が80億1千2百万円増加した一方、1年内償還予定の新株予約権付社債50億円、固定資産解体費用引当金が14億2千4百万円減少したことによるものです。純資産は、597億6千4百万円となり、前期比で36億1千9百万円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益15億9百万円があった一方、配当金の支払8億7千1百万円、自己株式の取得3億6千1百万円があったことに加え、その他有価証券評価差額金が36億3千6百万円減少したことによるものです。
②経営成績の分析
当グループは、情報コミュニケーション部門における出版印刷と商業印刷、情報セキュリティ部門におけるデータプリントやBPO受託、証券類やICカード製造、生活・産業資材部門におけるチューブ・軟包装・紙器等のパッケージ類と、産業資材等の製造を主な事業としております。
情報コミュニケーション部門及び情報セキュリティ部門では、デジタル技術の発達と活用の広がりにより人と人、人と物との関係性が急激に変化する中で紙媒体需要が減少し、当グループの経営にとって大きな課題となっております。一方、ライフスタイルの変化により、新たなサービスに関する新事業・新市場への期待も高まっており、これまでになかった新しい付加価値をお客さまに提案するチャンスも生まれております。生活・産業資材部門では、中食・内食市場の広がりや個食化の進行により軟包装を中心に包材の需要が拡大しております。また、スキンケア、ヘアケアなどの化粧品用途においては、日本国内のみならず東南アジア市場においてもバリア性や美麗性の高い高品質のラミネートチューブの需要が高まっており、当社にとって受注拡大の機会が広がっております。
このような中、当グループは当連結会計年度の計画を、売上高1,040億円、営業利益17億円、経常利益24億円、親会社株主に帰属する当期純利益16億円といたしました。計画達成をめざし、情報コミュニケーション部門においてはデジタルコンテンツの受注拡大及び電子書籍事業の拡大を図るとともに、プロモーション分野におけるソリューション提案の推進に取り組みました。情報セキュリティ部門では、豊富なノウハウ及び高いセキュリティ環境を武器に金融機関や官公庁・自治体等からのBPOの受注拡大に取り組むとともに、新たな分野として健康診断等に関連するヘルスケア分野への取り組みを推進しました。ICカードでは、IC乗車券の受注量確保とともにクレジット機能等を搭載した多機能カードの受注拡大を図りました。生活・産業資材部門においては、軟包装の受注拡大と紙器の収益力向上に取り組みました。チューブでは、和歌山工場の新棟及びインドネシアのカラワン工場を建設し、国内外での生産力増強を図りました。また新しい分野として、株式会社クレハからブローボトル事業を買収し、2019年11月に本生産を開始しました。
以上の結果、売上高についてはBPOやICカードの受注増、ブローボトル事業の貢献があったものの、紙媒体需要の大幅な減少やプロモーション分野における進捗の遅れ、消費増税後の需要落ち込みやインバウンド需要の失速により情報コミュニケーション部門及び生活・産業資材部門の売上高が計画を下回ったため、1,008億5千8百万円となりました。利益につきましては、情報コミュニケーション部門では固定費削減による利益改善があったものの、生活・産業資材部門において収益性が低下したため、営業利益は15億6千9百万円、経常利益は21億6千3百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は15億9百万円と、いずれも計画を下回る結果となりました。
当グループは2020年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画を実行中であり、中期経営方針に基づき持続的な利益の創出に向けて抜本的な構造改革を進めながら、経営計画の達成に向けた各種施策に取り組んでおります。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、様々な企業・自治体において事業の中止・延期が相次いでいることや、外出自粛要請に伴う個人消費の減少等により、当グループにおいても各事業へ下記のような影響が予想されます。
現在公表している中期経営計画の目標数値にはこういった一連の影響を見込んでおりません。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
当グループの運転資金のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。
当グループは、運転資金及び設備資金については、安定的な資金調達、調達コスト抑制及び調達方法の分散・多様化を基本方針としております。
当連結会計年度は設備投資において、チューブ事業の生産能力増強に向けた和歌山工場新棟建設等に伴い、シンジケート方式による30億円の借入を実行しております。また、2019年満期円貨建転換社債型新株予約権付社債の償還資金として50億円の銀行借入を実行しております。
翌連結会計年度は、設備資金としてシンジケート方式による40億円の借入を予定しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は246億3千4百万円、現金及び現金同等物の残高は130億7千万円となっております。
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益が堅調に推移し、雇用環境が改善する中で個人消費も持ち直しの動きをみせるなど、緩やかな回復傾向が続きました。しかしながら、景気の先行きについては、米中通商問題が世界経済に与える影響や消費増税後の消費者マインドの動向に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い国内外の経済活動が急速に悪化していることなどから、今後大幅に下振れすることが見込まれます。印刷業界におきましては、電子書籍市場やインターネット広告市場が拡大する一方で紙媒体需要は減少し、受注価格の下落や原材料価格の高騰など依然として厳しい経営環境が続きました。
このような状況の中、共同印刷グループは2018年度を初年度とする3カ年の中期経営方針「強みの育成・拡大と、事業基盤の改革に挑戦し、成長を続ける。」に基づいた取り組みを進めました。
情報系事業では、お客さまの課題解決に向けた販促支援サービスや業務支援サービスの提案拡大に注力しました。情報コミュニケーション部門では、デジタルコンテンツの受注拡大とデジタル領域を中心とした販促ソリューションの提案力強化に取り組むとともに、紙媒体の生産体制の最適化によるコスト削減に努めました。情報セキュリティ部門では、ヘルスケアなど新たな分野でのBPO事業の拡大と、法人向け決済ソリューション事業の立ち上げに注力しました。
生活・産業資材系事業では、株式会社クレハから承継したブローボトル事業が2019年11月から本格稼働を開始したほか、チューブ事業の生産能力増強に向け、和歌山工場の新棟とインドネシアのカラワン工場が竣工しました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は、1,008億5千8百万円(前期比3.1%増)となり、営業利益は15億6千9百万円(前期比52.8%増)、経常利益は21億6千3百万円(前期比23.7%増)となりました。特別利益に投資有価証券売却益15億6千4百万円、本社再開発に伴う固定資産解体費用引当金戻入額として6億1千4百万円、特別損失に環境対策引当金繰入額6億2千8百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は15億9百万円(前期比36.6%増)となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりであります。
情報コミュニケーション部門
出版印刷では、マンガを中心としたコンテンツをデジタル展開するデジタルソリューションを推進するとともに、デジタル教材やパーソナル教材の提案を通じて教育分野での受注拡大に取り組みました。電子コミックの配信やデジタルコンテンツの受注が増加したほか、コミックスの単行本や教育関連分野の受注増により書籍が増加しましたが、定期刊行物の減少が大きく、売上高は前期を下回りました。
一般商業印刷では、スマートフォン用アプリを活用したパーソナルマーケティングツール「CRooM+」や動画の制作・配信からレスポンスの分析までを行うワンストップ型ソリューション「OneDouga」など、企業と顧客をつなぐ販促ソリューションの提案を推進しました。2019年1月に共同日本写真印刷株式会社を連結子会社化したことにより、カタログ・POP・パンフレット等が増加したため、売上高は前期を上回りました。
以上の結果、部門全体の売上高は398億1千5百万円(前期比1.7%増)、営業利益は9千7百万円(前期は営業損失8億2千8百万円)となりました。
情報セキュリティ部門
情報セキュリティ部門では、データプリント及びBPOの受注拡大をめざし、金融機関や官公庁・自治体等への業務最適化・効率化提案を積極的に進めるとともに、医療やヘルスケアといった新たな市場の開拓に取り組みました。抽選券・乗車券などの証券類では、安定した受注量確保に努めるとともに、品質向上やコスト削減施策の取り組みを進めました。ICカードでは、金融関連での受注拡大を図るとともに、強みを持つ交通系ICカードを中心に発行業務の受託拡大に注力しました。
証券類は前期並みとなりましたが、金融機関及び官公庁・自治体等からデータプリント及びBPOの受注が増加したためビジネスフォームが増加し、ICカードも交通系カードが増加したため前期を上回りました。
以上の結果、部門全体での売上高は319億6千5百万円(前期比2.6%増)、営業利益は14億7千5百万円(前期比4.5%増)となりました。
生活・産業資材部門
生活・産業資材部門では、食品分野を中心に機能性の高い軟包装材を提供するため、守谷工場に建設した軟包装専用棟を安定稼働させるとともに、「パーシャルオープン」をはじめとするフタ材と「Tパウチ」などの液体向け包材の拡販に取り組みました。チューブでは、旺盛な需要を背景に和歌山工場に新棟を建設するなど生産体制の強化を図りました。「モイストキャッチ」をはじめとする高機能製品については、新規得意先の開拓や中国をはじめとする海外市場への拡販に取り組みました。紙器については、既存製品を中心に安定した収益確保をめざしました。
その結果、歯磨き向け・化粧品向けともにチューブが増加しました。軟包装では、フタ材が前期並みに推移したほか、液体向け包材が増加しました。紙器では、ラップカートンは減少しましたがティシューカートンが増加しました。産業資材は医薬品向け包材を中心に減少しました。なお、株式会社クレハから承継したブローボトル事業は、当セグメントに含めております。
以上の結果、部門全体での売上高は263億3千8百万円(前期比4.2%増)となりましたが、事業拡大に向けた投資の増加や紙器・軟包装事業の生産体制整備のためのコストが先行したことなどから、3億7千3百万円の営業損失(前期は営業利益2億8百万円)となりました。
その他
売上高は、偽造防止関連製品の受注増などにより27億3千9百万円(前期比25.7%増)となりましたが、物流拠点の新設による費用増などのため営業利益は3億2千4百万円(前期比12.3%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ26億3千8百万円増加し130億7千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、103億4千6百万円(前期比78億7千万円増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益30億4千5百万円、減価償却費53億8千8百万円の計上及び売上債権の減少11億9百万円があった一方、固定資産解体費用引当金の減少14億2千4百万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、90億8百万円(前期比10億1千4百万円減)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出91億7千8百万円及び事業譲受による支出16億7千7百万円があった一方、投資有価証券の売却による収入15億6千5百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、11億9千7百万円(前期比22億1千3百万円減)となりました。これは主に、長期借入れによる収入80億円があった一方、社債の償還による支出50億円、配当金の支払8億7千1百万円及び自己株式の取得による支出3億6千1百万円があったことによるものです。
生産、受注及び販売の状況
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション部門 | 39,891 | 102.1 |
| 情報セキュリティ部門 | 32,344 | 103.2 |
| 生活・産業資材部門 | 26,887 | 105.2 |
| その他 | 2,729 | 125.3 |
| 合計 | 101,852 | 103.8 |
(注)金額は販売価額によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション部門 | 42,370 | 107.7 | 7,337 | 153.4 |
| 情報セキュリティ部門 | 33,397 | 108.3 | 9,578 | 117.6 |
| 生活・産業資材部門 | 26,414 | 102.8 | 7,268 | 101.1 |
| その他 | 2,877 | 123.4 | 290 | 190.9 |
| 合計 | 105,059 | 107.0 | 24,475 | 120.7 |
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション部門 | 39,815 | 101.7 |
| 情報セキュリティ部門 | 31,965 | 102.6 |
| 生活・産業資材部門 | 26,338 | 104.2 |
| その他 | 2,739 | 125.7 |
| 合計 | 100,858 | 103.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.相手先別販売実績は、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(1) 重要な会計方針及び見積り
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
新型コロナウイルス感染症の影響については、今後の広がり方や収束時期等を正確に予測することは困難な状況にありますが、期末日以降連結財務諸表作成時までに入手可能であった4月以降の売上高の実績等を考慮のうえ、当期末の見積りに大きな影響を与えるものではないと仮定し、会計処理を行っております。
なお、当グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(2) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①財政状態の分析
総資産は1,246億3千4百万円となり、前期比で7億5千6百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が23億7千2百万円、本社新社屋の建設や和歌山工場の生産設備増設により固定資産の建設仮勘定が14億5千3百万円増加した一方で、投資有価証券が52億5千万円減少したことによるものです。負債は、648億6千9百万円となり、前期比で28億6千3百万円増加しました。これは主に、設備投資や新株予約権付社債償還のための資金として銀行借り入れを実施したことにより長期借入金が80億1千2百万円増加した一方、1年内償還予定の新株予約権付社債50億円、固定資産解体費用引当金が14億2千4百万円減少したことによるものです。純資産は、597億6千4百万円となり、前期比で36億1千9百万円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益15億9百万円があった一方、配当金の支払8億7千1百万円、自己株式の取得3億6千1百万円があったことに加え、その他有価証券評価差額金が36億3千6百万円減少したことによるものです。
②経営成績の分析
当グループは、情報コミュニケーション部門における出版印刷と商業印刷、情報セキュリティ部門におけるデータプリントやBPO受託、証券類やICカード製造、生活・産業資材部門におけるチューブ・軟包装・紙器等のパッケージ類と、産業資材等の製造を主な事業としております。
情報コミュニケーション部門及び情報セキュリティ部門では、デジタル技術の発達と活用の広がりにより人と人、人と物との関係性が急激に変化する中で紙媒体需要が減少し、当グループの経営にとって大きな課題となっております。一方、ライフスタイルの変化により、新たなサービスに関する新事業・新市場への期待も高まっており、これまでになかった新しい付加価値をお客さまに提案するチャンスも生まれております。生活・産業資材部門では、中食・内食市場の広がりや個食化の進行により軟包装を中心に包材の需要が拡大しております。また、スキンケア、ヘアケアなどの化粧品用途においては、日本国内のみならず東南アジア市場においてもバリア性や美麗性の高い高品質のラミネートチューブの需要が高まっており、当社にとって受注拡大の機会が広がっております。
このような中、当グループは当連結会計年度の計画を、売上高1,040億円、営業利益17億円、経常利益24億円、親会社株主に帰属する当期純利益16億円といたしました。計画達成をめざし、情報コミュニケーション部門においてはデジタルコンテンツの受注拡大及び電子書籍事業の拡大を図るとともに、プロモーション分野におけるソリューション提案の推進に取り組みました。情報セキュリティ部門では、豊富なノウハウ及び高いセキュリティ環境を武器に金融機関や官公庁・自治体等からのBPOの受注拡大に取り組むとともに、新たな分野として健康診断等に関連するヘルスケア分野への取り組みを推進しました。ICカードでは、IC乗車券の受注量確保とともにクレジット機能等を搭載した多機能カードの受注拡大を図りました。生活・産業資材部門においては、軟包装の受注拡大と紙器の収益力向上に取り組みました。チューブでは、和歌山工場の新棟及びインドネシアのカラワン工場を建設し、国内外での生産力増強を図りました。また新しい分野として、株式会社クレハからブローボトル事業を買収し、2019年11月に本生産を開始しました。
以上の結果、売上高についてはBPOやICカードの受注増、ブローボトル事業の貢献があったものの、紙媒体需要の大幅な減少やプロモーション分野における進捗の遅れ、消費増税後の需要落ち込みやインバウンド需要の失速により情報コミュニケーション部門及び生活・産業資材部門の売上高が計画を下回ったため、1,008億5千8百万円となりました。利益につきましては、情報コミュニケーション部門では固定費削減による利益改善があったものの、生活・産業資材部門において収益性が低下したため、営業利益は15億6千9百万円、経常利益は21億6千3百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は15億9百万円と、いずれも計画を下回る結果となりました。
当グループは2020年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画を実行中であり、中期経営方針に基づき持続的な利益の創出に向けて抜本的な構造改革を進めながら、経営計画の達成に向けた各種施策に取り組んでおります。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、様々な企業・自治体において事業の中止・延期が相次いでいることや、外出自粛要請に伴う個人消費の減少等により、当グループにおいても各事業へ下記のような影響が予想されます。
| 情報コミュニケーション部門 | 情報セキュリティ部門 | 生活・産業資材部門 | |
| 増加が見込まれる 製品・サービス | - | - | ・即席麺用をはじめとする食品用包材(中食・内食需要の増加) |
| 減少が見込まれる 製品・サービス | ・企業のプロモーション関連販促物(中止・延期) ・女性誌、情報誌等(取材困難) | ・各種試験関連BPO (中止・延期) ・交通系ICカード及び乗車券(旅客需要の減少) | ・ラミネートチューブ (UVカット製品の需要減少) |
現在公表している中期経営計画の目標数値にはこういった一連の影響を見込んでおりません。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
当グループの運転資金のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。
当グループは、運転資金及び設備資金については、安定的な資金調達、調達コスト抑制及び調達方法の分散・多様化を基本方針としております。
当連結会計年度は設備投資において、チューブ事業の生産能力増強に向けた和歌山工場新棟建設等に伴い、シンジケート方式による30億円の借入を実行しております。また、2019年満期円貨建転換社債型新株予約権付社債の償還資金として50億円の銀行借入を実行しております。
翌連結会計年度は、設備資金としてシンジケート方式による40億円の借入を予定しております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は246億3千4百万円、現金及び現金同等物の残高は130億7千万円となっております。