有価証券報告書-第144期(2023/04/01-2024/03/31)
(1) 経営成績の状況
当期におけるわが国の経済は、経済社会活動の正常化が進む中で諸政策による効果もあり、景気回復の動きが緩やかに続きました。しかし、景気の先行きは、世界的な金融引き締めに伴う影響に加え、ウクライナや中東をめぐる情勢、金融資本市場の変動など、十分注意が必要な状況となっております。
共同印刷グループを取り巻く環境も、デジタルシフトの加速やコロナ禍を契機とする環境の変化、原材料費の高騰など、依然として厳しい状態が続きました。
このような状況の中で当社グループは、競争力のある事業領域の確立と高い利益率の実現を目指し、中期経営方針「豊かな社会と新たな価値を創造するために未来起点の変革に挑戦」に基づく各施策を推進しました。
情報系事業では、「印刷事業で培った強みを軸とし、新たな価値創出を実現」するため、既存事業のデジタルシフト対応やコンテンツを生かした事業機会の獲得、業務支援サービスの提案強化に取り組みました。
生活・産業資材系事業では、「パッケージソリューションベンダーの地位確立」に向け、環境配慮製品の開発や提案を強化するとともに、食品・日用品向けのパッケージやラミネートチューブ、機能性包材の受注拡大を図りました。
また、2024年3月に、サーキュラーエコノミーの実現に向けて経済産業省が立ち上げた産官学パートナーシップである「サーキュラーパートナーズ」に参画しました。当社グループはマテリアリティの一つに「循環型社会 ~革新的なパッケージとサービスで、サステナブルな未来をつくる」を掲げております。社会課題の解決に貢献する環境配慮製品や機能性包材の開発に取り組み、持続可能な社会の実現と事業領域拡大の両立を目指します。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高969億9千2百万円(前期比3.9%増)となり、営業利益は15億7千7百万円(前期比103.4%増)、経常利益は20億8千3百万円(前期比61.6%増)となりました。また、特別利益に投資有価証券売却益3億8千4百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は14億9千5百万円(前期比19.4%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
情報コミュニケーション部門
出版印刷は、教科書などの教育分野やデジタルコミックスなどは堅調でしたが、雑誌をはじめとする定期刊行物の部数減少が続いたほか、書籍もコミックスを中心にシリーズ作品の重版が減るなど全般的に低調となり、前期を下回りました。
一般商業印刷は、パンフレット・リーフレット類が好調に推移、また、Webサイトやコンテンツ制作に関する売上も伸長しました。しかし情報誌は部数やアイテム数の減少で伸び悩み、POPなどの店頭販促関連もキャンペーンの減少やEC加速による規模の縮小で前期を下回りました。
以上の結果、部門全体の売上高は347億1千4百万円(前期比1.2%減)、営業損失は2億8千6百万円(前期は営業損失1億9千7百万円)となりました。
情報セキュリティ部門
ビジネスフォームは、データプリントが地方自治体関連などの既存事業において堅調に推移しました。BPOは記述式試験の採点作業をWebブラウザ上に移行して業務を効率化する新サービスの提供などで需要拡大に取り組みましたが、金融系・医療系の新規受注が伸び悩み、前期を下回りました。証券類とカードは、行動制限解除を受けた旅客需要の増加により乗車券類や交通系カードが好調で、前期より大幅に伸長しました。
以上の結果、部門全体での売上高は286億9千7百万円(前期比10.6%増)、営業利益は13億4千7百万円(前期比77.5%増)となりました。
生活・産業資材部門
紙器は、業務用やPB商品用のラップカートンが伸長し、前期を上回りました。軟包装は、即席めんのフタ材が「パーシャルオープン」を中心に増加、リキッドパッケージも「Tパウチ」などが好調で前期を上回りました。
チューブは化粧品向けの復調もあり増収、ブローボトル・ブローチューブはPB商品用の好調により前期を上回りました。産業資材は「モイストキャッチ」など医薬品向けが好調で前期を上回りました。
以上の結果、部門全体での売上高は314億6千4百万円(前期比4.6%増)、営業利益は11億3千8百万円(前期比559.9%増)となりました。
その他
物流業務が低調となり、売上高は21億1千6百万円(前期比4.2%減)、営業利益は2億3百万円(前期比30.6%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4億4千3百万円増加し109億4千4百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、31億7百万円(前期比203億5百万円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益22億3千3百万円、減価償却費56億1千5百万円の計上があった一方、売上債権の増加16億9千2百万円と仕入債務の減少23億5百万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、29億8百万円(前期比15億1千2百万円減)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出33億6千1百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により得られた資金は、2億6千6百万円(前年は173億5千9百万円の使用)となりました。これは主に、社債の発行による収入49億8千7百万円、長期借入による収入30億9千9百万円があった一方、社債の償還による支出30億円、長期借入金の返済による支出24億6千5百万円、自己株式の取得による支出11億9千9百万円、配当金の支払7億9千万円があったことによるものです。
生産、受注及び販売の状況
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション部門 | 34,783 | 99.0 |
| 情報セキュリティ部門 | 28,811 | 109.6 |
| 生活・産業資材部門 | 31,044 | 102.8 |
| その他 | 2,118 | 96.5 |
| 合計 | 96,758 | 103.1 |
(注)金額は販売価額によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション部門 | 34,136 | 94.5 | 6,656 | 92.0 |
| 情報セキュリティ部門 | 30,322 | 111.3 | 9,462 | 120.7 |
| 生活・産業資材部門 | 30,783 | 99.7 | 7,519 | 91.7 |
| その他 | 2,126 | 98.5 | 32 | 146.4 |
| 合計 | 97,369 | 101.0 | 23,670 | 101.6 |
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前期比(%) |
| 情報コミュニケーション部門 | 34,714 | 98.8 |
| 情報セキュリティ部門 | 28,697 | 110.6 |
| 生活・産業資材部門 | 31,464 | 104.6 |
| その他 | 2,116 | 95.8 |
| 合計 | 96,992 | 103.9 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.相手先別販売実績は、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
(1) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①財政状態の分析
総資産は、1,318億1千5百万円(前連結会計年度末1,234億7千1百万円)となり、83億4千4百万円増加しました。これは主に、投資有価証券が77億4千7百万円増加したことによるものです。負債は、686億9千5百万円(前連結会計年度末657億5千1百万円)となり、29億4千3百万円増加しました。これは主に、社債が20億円増加した一方、支払手形及び買掛金が22億8千2百万円、独占禁止法関連損失引当金が8億3千8百万円減少したことによるものです。純資産は、631億2千万円(前連結会計年度末577億2千万円)となり、54億円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益14億9千5百万円、その他有価証券評価差額金55億円の増加と、配当金の支払7億9千万円、自己株式の取得11億9千9百万円があったことによるものです。
②経営成績の分析
当社グループは、情報コミュニケーション部門における出版印刷と商業印刷、情報セキュリティ部門におけるデータプリントやBPO受託、証券類やICカード製造、生活・産業資材部門におけるチューブ・軟包装・紙器等のパッケージ類と、産業資材等の製造を主な事業としております。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3.9%増の969億9千2百万円でした。行動制限解除を受けた旅客需要の増加による乗車券類の好調など市況回復の影響もあり、全体として前期を上回りました。
売上原価は前期比2.3%増の778億2千3百万円、対売上高比率は80.2%となり、前期の81.5%から1.3ポイント低下しました。
販売費及び一般管理費は前期比6.5%増の175億9千1百万円となりました。対売上高比率は18.1%で人件費の増加や竣工した本社社屋の不動産取得税納付による租税公課の増加などにより、前期の17.7%から0.4ポイント上昇しました。この結果、営業利益は前期比103.4%増の15億7千7百万円となり、売上高営業利益率は1.6%と、前期から0.8ポイント上昇しました。また、税金等調整前当期純利益は前期比11.6%増の22億3千3百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比19.4%増の14億9千5百万円となりました。また、自己資本利益率(ROE)は、前期の2.1%から2.5%へ0.4ポイント上昇しました。
なお、セグメントごとの経営成績については「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況 」に記載のとおりです。
(2) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものであります。
当社グループは、運転資金及び設備資金については、安定的な資金調達、調達コスト抑制及び調達方法の分散・多様化を基本方針としております。
当連結会計年度は、株式会社みずほ銀行などの金融機関から、運転資金として30億円の借入を実行し、さらに社債償還資金30億円(2023年10月償還)と設備投資資金20億円を目的とした50億円の社債の発行を行っております。
なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は155億8百万円、現金及び現金同等物の残高は109億4千4百万円となっております。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。