有価証券報告書-第116期(2023/12/01-2024/11/30)

【提出】
2025/02/27 12:01
【資料】
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【項目】
136項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は「私たちは公正に伝え、人をつなぎ、くらしの充実と地域の発展につくす。」を経営方針とし、その実現に努めております。
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は経常利益でありますが、安定的な黒字化を達成することを経営上の目標としておりますので、具体的な目標経常利益額の公表はいたしません。
社会のデジタル化は、生成AIなどの進化で加速し、ニュースや情報コンテンツをめぐる時代環境は激変期にあります。不確かな情報も飛び交うなか、地域に根差した正確な情報や報道は、今こそ存在価値がある―との原点を今一度見据え、デジタル展開をはじめとした、時代に合わせた情報発信で、利益を出す収支構造を強化し、資産活用も含めた紙媒体プラスアルファの収入源の開拓を、スピードアップさせなければなりません。
主力の新聞事業は、新3カ年経営計画を着実に前進させ、持続可能な経営基盤を整備します。黒字の収支をキープするとともに、新たな収益へのチャレンジに注力します。
他の新聞社が地方の取材網、販売網を整理し、本社に集中する経営にシフトするなか、地域密着の紙面づくりを徹底し、県内シェアアップの流れを圧倒的なものにするとともに、新聞協会賞で評価された報道力、ニュース力を強化します。
知事選を経てなお全国的な注目を集める兵庫県政の動きをていねいにフォローし、節目の阪神・淡路大震災30年報道では、被災地の新聞社ならではの視点で、教訓を総括し、南海トラフ巨大地震など今後の災害に備えます。
同時に県内では、神戸市長選をはじめ18の市長選・町長選が予定され、夏の参院選は衆院選とのダブル含みです。SNSをはじめ、不確かな情報も飛び交う中、新聞メディアの存在意義が問われる正念場と受け止め、紙とデジタルで新たな選挙報道に挑みます。
神戸空港の国際化や大阪・関西万博、戦後80年など、報道課題はたて続けで、メディアビジネスの分野でも、こうした動きを捉えた地元メディアならではの企画提案に取り組み、サイネージ事業など新たなPR媒体も収益につなげます。
デジタル展開では「神戸新聞NEXT」で、経済コンテンツの拡充などで法人契約でのサブスクリプションの増収を目指す一方、準備を進めてきたECサイトを開設し、ラインナップの充実を図ります。
デイリースポーツも、シニアや高齢者、受験世代などをターゲットにしたデジタル展開や、ネットで伸びるギャンブルでの収入増にチャレンジします。
好調なアート事業では、オランダからゴッホの名品を取り寄せた「大ゴッホ展」を神戸市立博物館で開催します。メインの「夜のカフェテラス」は20年ぶりの来日となります。
テレビ部門では、阪神タイガース関連のコンテンツを積極的にアピールして、増収につなげるとともに、中継局更新などの設備投資の効率化につとめ、ミント神戸では、JR駅ビルオープンや神戸空港国際化を念頭に、将来像の検討を本格化させます。
神戸デイリーでは、輪転機体制のあり方をはじめとした、大型投資の方向性など、中長期の経営判断が問われる時期となります。そうしたなかで、すでに公表している新たな取締役体制への移行を株主総会でご承認いただき、次の時代へ続く地域メディア、スポーツメディアへの転換をスピードアップさせ、株主の皆さまの負託に応えてまいります。