有価証券報告書-第56期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/30 9:19
【資料】
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【項目】
152項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(経営方針)
廣済堂グループは、1949年に印刷会社として創業以来、社名にある「廣済」(広く社会に貢献する)を経営理念として、印刷、IT、人材、出版、葬祭などの各事業を通じ、社会の発展と人々の豊かな暮らし創りの担い手として、信頼される企業グループを目指しております。
また、お客さまに必要とされる商品やサービスを提供すべく、お客さまや生活者のニーズの一歩先を読みながら、常に新しいものに挑戦する「進取の精神」で事業展開を進めてまいりました。
当社グループは、社会環境の変化、ライフスタイルや価値観の変化の中で、お客さまに真に必要とされる商品やサービスは何かを探り、提供していく「お客さま第一主義」を今後も追求し、社会から必要とされ、また社会的責任を果たせる企業集団となるよう努めてまいります。
(経営環境及び事業の内容)
当期におけるわが国経済は、雇用環境の改善が継続し緩やかな回復基調にあったものの、米中貿易の通商問題や英国のEU離脱問題等に加えて自然災害の増加、消費税増税に伴う消費等への影響、そして今年に入ってからの新型コロナウイルスの感染拡大等が国内外の消費動向や企業活動に大きく影響したことにより、足元で大幅に下押しされており、今後の景気の先行きは厳しい状況が見込まれます。
当社グループにおいても、新型コロナウイルス感染拡大による今後の事業及び業績への影響は、予断を許さない状況ではありますが、新中期経営計画「廣済堂 大改造計画2020」の基本方針及び事業戦略を着実に実行してまいります。なお、2021年3月期の業績予想につきましては、新型コロナウイルスの影響により現時点で合理的な業績予想の算定ができないことから公表しておりません。今後、予想が可能になった時点で速やかに公表いたします。
当社グループのセグメントごとの経営環境の認識は、次のとおりであります。
・情報セグメント
主に印刷関連事業、ビジネスイノベーション事業及び出版事業で構成されております。
印刷関連事業は、出版・商業印刷を始めとして新聞印刷、デジタル印刷、水性フレキソ印刷及びパッケージ印刷などの各種印刷事業のほか、デジタルアーカイブ等を手掛ける知財情報事業で構成されております。印刷関連事業では、出版市場の縮小や紙媒体の需要低下等の事業環境悪化が継続する中、新型コロナウイルスの影響により、商業印刷分野におけるプロモーションイベントの中止、旅行パンフレットやカタログ等の販促物の需要減少等の影響が出てきております。また、出版印刷分野では、一部、書籍では外出自粛による需要拡大もあるものの、書店休業や発刊物の制作遅延の影響もあり、発行部数減や発行延期等の影響が出てきております。当事業環境は今後も厳しい状況で推移するものと認識しております。
ビジネスイノベーション事業は、主にITサービスやBPOサービスを手掛けるソリューション事業で構成されております。ビジネスイノベーション事業は、官公庁向けの複合型サービスの受注やパッケージ型システムモデルへの転換及びその販促強化が効果を上げております。新型コロナウイルスの影響により、官公庁や広告代理店からの複合サービスの発注遅延が発生しており、新型コロナウイルスによる影響の収束状況によっては今後の事業環境に影響を与える可能性があります。
出版事業は、一般書籍の企画・出版と教科書・参考書等の教育図書の企画・出版を行っております。
・人材セグメント
人材セグメントは、人材事業及びエコビジネス事業で構成されております。
人材事業は、求人広告等の求人媒体事業を始めとして、主に人材紹介・人材派遣、人材育成・研修、ベトナムでの日本語学校等の事業を手掛けており、人材の発掘から採用、教育・研修までトータルな人材ソリューションを提供しております。人材事業では、人材派遣事業が堅調に推移しましたが、一方で主力の求人媒体事業では、紙の求人媒体の受注落込みに加え、ウェブ求人媒体市場における単価下落及び競争が激化しております。新型コロナウイルスの影響により、地方における人材派遣事業は前年並みを維持しているものの、就活イベントの中止、飲食業や宿泊業からの求人広告需要の大幅減少等の影響が出てきております。当事業環境は今後も厳しい状況で推移するものと認識しております。
エコビジネス事業は、LEDエスコシステム等のエコビジネス等のサービスを提供しております。エコビジネス事業では、冷ケースLED拡販が好調に推移し、またLEDの買取案件が増加しましたが、一方で新規LEDエスコ案件が伸び悩みました。
・葬祭セグメント
葬祭セグメントは、葬祭事業で構成されております。
葬祭事業は、当社子会社の東京博善株式会社により、火葬炉併設の総合斎場を都内6カ所で運営しております。公共性、継続性、安定性を念頭に堅実な経営を基本方針とし、葬儀文化の継承を図りつつ、時代のニーズを的確に捉え、式場や火葬炉等の設備の充実と、必要とされる葬儀サービスの創出に努めております。葬祭事業では、火葬取扱い件数は増加したものの、葬儀の簡素化傾向が続いております。新型コロナウイルスの影響により、葬祭事業では、葬儀への参列者の減少に伴う式場利用や菓子飲料等の売上高減少の傾向が出てきており、新型コロナウイルスによる影響の収束状況によっては今後の事業環境に影響を与える可能性があります。
(中期経営計画)
新中期経営計画(2020~2022年度)について
当社は新中期経営計画「廣済堂 大改造計画2020」を策定いたしました。これまでの第1次~第3次中期経営計画とは異なり、具体的かつ抜本的改革に挑戦し、確実な実行、成果を求めていく中期3ヵ年計画です。
現在、世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、市場環境も大きく変化しつつあります。
弊社を取り巻く環境もこれまで以上に変化すると共に、市場の価値観が変わることは間違いありません。
しかし、この時期に新中期経営計画を発表し、やるべきことを宣言した上で確実に実行し、市場の変化に柔軟に対応することが弊社グループの企業価値向上に資すると考えております。
新中期経営計画の基本方針及び事業戦略等は以下のとおりであります。
〈基本方針〉
1.収益構造の抜本的大改造
2.事業構成における大改造
3.経営基盤強化に向けた大改造
〈基本戦略〉
基本方針の下、5つの基本戦略を策定いたしました。
1.既存事業の収益性向上・印刷工場再編をはじめとした抜本的体制整備
・高付加価値事業への業態変革
2.事業創出の推進・事業開発子会社の新規設立
・廣済堂事業部の組織再編成
3.DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進・既存ビジネスにおけるDX
・効率経営のための社内DX
4.ガバナンス実効性向上・モニタリング機能強化と計画実施体制の確立
・迅速な意思決定を進める執行体制強化
5.財務健全性の向上・戦略的財務コントロール
・連結ベースでの資金マネジメント強化


〈定量目標〉
「廣済堂 大改造計画2020」を確実に実行し、「経営改革ロードマップ2020」で示した収益改善を目指します。
第3次中期経営計画新中期経営計画
(連結)2019年度実績2022年度計画2019年度比
売上高35,08840,000+14%
営業利益2,3283,100+33%
営業利益率6.6%7.7%+1.1pt

〈重点事業戦略〉
1.廣済堂の目指す姿
人生100年を様々な場面でサポートする廣済堂グループを目指してまいります。
2.情報ソリューション事業
祖業である印刷事業の強みを活かしたソリューション型営業への大改革と、工場再編・大胆な人員合理化で収益性の劇的な改善を目指してまいります。
重点戦略として、国内外5工場を3工場へ集約、市場ニーズに合致した競争力ある生産体制へ再編し、同時に人員合理化・主力工場改修・生産アライアンスにより生産性・収益性の飛躍的な向上を目指してまいります。
3.人材サービス事業
サブスクリプション型・新HR-Tech「Talent Clip」のリリースと自社求人サイトの強化、外国人採用サービスの本格的始動によりワンストップ人材サービス事業へ飛躍を目指してまいります。
4.エンディング関連事業
エンディング関連事業を改めて当社グループのコアビジネスと位置付け、エンディング産業の品質・生産性向上のため新事業開発、シニアマーケットへも事業領域の拡張を目指してまいります。
重点戦略として、東京博善の完全子会社化によるグループ企業価値向上を目指し、コア事業として経営資源の最適配置と事業創造を実現してまいります。
5.グループ改革の加速
事業開発・経営改革に特化した子会社を設立し、当社グループ全体のイノベーションを推進し、高収益体質への改革をもたらすことを目指してまいります。
顧客価値の向上、経営管理、働き方改革などを目的として全体でDXを推進し、IT開発リソースとガバナンスの強化により、データカンパニー化を目指してまいります。
ベトナムでの人材関連事業、中国での印刷事業に加え、海外人材の国内活用、海外拠点のオフショア活用、海外市場向けサービスなど、グローバル展開を加速してまいります。
〈財務・経営管理戦略〉
1.財務戦略
事業成長投資を積極的に実施すると共に、財務バランスを適切にコントロールし、財務基盤強化を進め、早期復配を目指してまいります。
2.経営管理戦略
全体最適の視点をもってグループ連結経営をマネジメントし、経営品質向上によって廣済堂グループ全体の企業価値最大化を目指してまいります。