有価証券報告書-第51期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

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2015/06/29 9:08
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対処すべき課題

<当社グループの課題>当社グループを取り巻く市場環境につきましては、企業業績が堅調に推移することが見込まれるものの、印刷業界におきましてはマス広告媒体における企業の広告宣伝費の見直し、出版市場の低迷など既存の印刷市場は依然として成熟傾向にあり、厳しい事業環境が予想されます。
このような環境の中で、当社グループは、成長戦略プランである中期経営計画「廣済堂パラダイムシフト」に基づき、既存事業の収益改善と長期的なスパンで成長性が見込める分野に新しい事業の種を蒔き、育成していくことで、成長エンジンを加速させ、事業領域の拡大に努めてまいります。
当社グループは、ターゲットイヤーである2020年(平成32年)を目標に、企業、生活者、社会の課題を解決する新しい製品やサービスを開発していくとともに、「情報」「人材」「健康・医療・福祉」「環境」「豊かで快適な暮らし」といった社会の課題をテーマに、当社グループの強みを生かしたサービスや商品、ソリューションなどを提供して、積極的な事業活動を推進していきます。また、事業基盤をより強固なものとするため、既存事業のさらなる生産性の向上に努めてまいります。
当社グループの主力事業である印刷事業は、メディア環境の変化に伴い、インターネット広告市場が拡大する一方、マス広告市場は縮小傾向にあり、IT化・ネットワーク化による構造的な変化に伴い、市場の成熟化が一段と進んでおります。こうした事業環境の中で、持続的な成長の実現に向けて、当社グループは第1次中期経営計画の基本方針である「株式会社廣済堂の業績回復によるグループ収益構造の安定化」と「基幹事業の印刷事業を情報コミュニケーション事業に本格転換」を継続して掲げ、「組織力の強化」「サービス・商品の差別化」「財務体質の強化」「社会から評価される企業」を課題として設定いたしました。この課題に対処すべく、「成長戦略の推進」「経営基盤の強化」を重点施策として、活動を進めてまいります。
① 成長戦略の推進
情報セグメントと葬祭セグメントそれぞれの事業基盤を強固にしてまいります。
イ 情報セグメント
(イ) 印刷事業の革新
印刷事業につきましては、「情報コミュニケーション事業への本格転換」を推し進め、既存事業の収益改善をベースに、印刷・ITS・イベントなどのリソースをフル活用したクロスセル戦略による受注拡大を強化してまいります。さらに株式会社金羊社との協業であるフレキソ印刷事業の拡大、DMやブックオンデマンドなどのデジタル印刷事業の強化とBPO需要の取り込みを推進してまいります。既に軌道に乗っている特許庁の先行技術調査事業も拡大に努め、遅延している医療機関向けデジタルサイネージ事業の採算化を図ってまいります。
また、利用者にとっての分かりやすさ、伝わりやすさを追求し、顧客のコミュニケーションや業務プロセスをより効率的、効果的に改善する企画提案力を強化することなどにより、市場シェアの拡大を図ってまいります。
(ロ) 人材事業の推進
人材事業につきましては、地域雇用への貢献を通じて、地域発展に寄与することを事業方針として、地域密着型のサービスを基本に取り組んでまいります。東北エリア、北陸エリア、関西エリアなどを中心に30年以上にわたる求人広告事業の実績を基に、今まで以上に地域密着型のサービスを強化し、かつ時代のニーズに即した商品開発を進め、政府が進める地方創生の一翼を担ってまいります。また、従来の首都圏での広告代理店事業を拡充し、首都圏の求人需要を積極的に取り込むと同時に、アジア拠点とも連携し、グローバル人材サービスの基盤を強化していきます。さらに高齢化社会による生産年齢人口の減少が進む中、女性、シニア、外国人などの労働市場への参加促進に向けて、就労支援団体とのアライアンスなども視野に入れ推進してまいります。
(ハ) 出版事業の強化
出版事業につきましては、一般図書部門では、コンテンツ強化とマーケティングに基づいた営業強化を促進していきます。企画を重視し、コンテンツに競争力をつけ、発刊点数の絞込みを行うことで、ラインナップのスリム化と強靭化を図り、プロモーションを強化してまいります。
教育図書部門では、従来の教材の売上拡大と平成27年4月から発刊しております徳育絵本のプロモーションならびに販売強化を図ってまいります。また、学習指導要領が一部改正され道徳の教科化が決定したことに伴い、平成30年度(※中学校は平成31年度)以降に使用される教科書の作成・発行に向け、準備を進めてまいります。
(ニ) 海外戦略
海外事業につきましては、中国市場におけるパッケージ印刷事業の強化を図るため、平成26年11月に北京京友日興貿易有限責任公司との合弁で威海廣済堂京友包装有限公司(山東省)として再スタートいたしました。高性能な印刷技術と加工技術で高品質パッケージを提供し、さらに特殊な製造方法である硬質パルプ製品の大量生産が可能になったことで、多種多様な商品開発を行ってまいります。
また人材事業では、平成26年にベトナムにKOSAIDO HR VIETNAM CO.,LTD.(ホーチミン市)を設立し、同年、ハノイオフィスを開設したのに続き、平成27年にインドネシアにPT. KOSAIDO HR INDONESIA(ジャカルタ市)を設立しました。日系企業向けに人材紹介から適性検査、そして人材教育など人材サービス領域のワンストッププロバイダーとして総合的なサービスを展開しています。今後は、欧米企業にも営業領域を拡大し、語学教育なども視野に入れ、業容の拡大を図りつつ、タイやフィリピンなどASEAN市場の開拓を強化してまいります。
ロ 葬祭セグメント
都内6カ所の斎場を運営し、東京都23区の死亡人口の70~80%の火葬を取り扱っています。その大きな責任とともに、ご遺族のご心情に配慮したきめ細やかなサービス、快適な設備、環境に配慮した安全な火葬システムなど、ソフト・ハードの両面でさらなる質の向上を目指し、積極的な取り組みを進めてまいります。
ハード面では、時代を見越した環境対策の強化を主眼にした新型火葬炉を開発しました。有害物質の削減はもとより、省エネと資源リサイクル、火葬時間の短縮、従業員の作業の省力化・軽減化などの課題もクリアしました。新型火葬炉に搭載した新技術は国内特許を取得いたしました。平成28年12月に営業を再開予定の四ツ木斎場には開発された新型火葬炉が設置され、今後はその他の斎場へも設置を進めていく予定です。
② 経営基盤の強化
当社グループの事業活動の根底にあるものは社名にもある「廣済」の精神です。「廣済」とは「広く社会に貢献する」という意味を持っています。私たちは、印刷・IT、人材、出版、葬祭などの各事業を通して、広く社会に貢献していくという創業の精神を大切にしながら、今後の事業展開に取り組んでまいります。
経営基盤の強化につきましては、基幹事業の管理システム「印刷統合管理システム」を刷新し、最適生産体制の確立を目指し、生産性の向上、製造コストのさらなる削減を推進し、収益力の強化を図ってまいります。
また、企業の社会的責任(CSR)につきましては、当社を取り巻く全てのステークホルダーに対して社会的責任を果たしていくという基本的な認識のもと、部門ごとのテーマを設定し、CSR活動を推進してまいります。
少子高齢化による人口減少や国内外のグローバル化の進展などに伴い、多様化する市場への対応も含め、ダイバーシティを生かす施策を推進し、女性ならびに外国人などの登用・活用にも積極的に取り組んでまいります。
さらに、個人情報取扱事業者として顧客からの信頼を揺るぎないものとするため、製品・サービスのさらなる品質向上を図るとともに、情報管理体制を一層強化してまいります。また、継続して進めておりますBCP(事業継続計画)の策定を当期中に完結させ、来期からの運用を目指し、安定して顧客業務が受託できる体制の構築を目指してまいります。
加えて、事業活動における環境負荷の低減を図るとともに、環境配慮型製品の開発・提供を通して環境保全に貢献してまいります。
コンプライアンス、内部統制の強化などの課題につきましては、法令の遵守はもとより、企業倫理を高める活動を継続的に推進してまいります。とくに内部統制においては、平成27年5月施行の改正会社法の改正内容に鑑み、内部統制の一層の充実を図り、子会社を含む企業集団全体の業務の適正を確保するために必要な体制を整備してまいります。
当社は、企業価値および株主共同の利益を維持・向上させるため、以下のとおり、買収防衛策としての情報開示ルールを導入しております。
① 情報開示ルールの内容
(a) 大規模買付行為の定義
当社株式等を買い付ける者のうち、情報開示ルールの対象となる者は、(イ)当事者を含む株主グループの議決権割合を25%以上とすることを目的とする買付行為を行おうとする者、または、(ロ)当該買付の結果、大規模買付者グループの議決権割合が25%以上となる買付行為を行おうとする者です。
(b) 大規模買付者による必要事項の提供
大規模買付者には、大規模買付行為を開始する前に、当社宛に、大規模買付者の名称、住所、設立準拠法、代表者の氏名、国内連絡先および大規模買付行為によって達成しようとする目的の概要を明示し、情報開示ルールを尊重する旨を記した意向表明書をご提出いただきます。当社取締役会は、大規模買付者から提出された意向表明書受領後10営業日以内に、大規模買付者に対し、以下の各事項を含み当社取締役会が大規模買付者の行為が当社の企業価値または株主共同の利益を低下させる買収に該当するか否かを判断するために必要と考える情報(以下これらを「必要情報」といいます。)の提供を要請する必要情報リストを交付します。当社取締役会は、大規模買付者から提供された情報が十分でないと考えた場合、大規模買付者に対して、再度、情報の提供を要請します。
当社取締役会は、大規模買付者から意向表明書が提出された事実および当社取締役会に必要情報が提出された場合にはその旨を開示します。また、必要情報について、当社株主の皆様の判断の為に必要であると認められる場合には、適切と判断される時期に、その全部または一部を開示します。
(イ)大規模買付者グループの概要
(ロ)大規模買付行為によって達成しようとする目的および内容
(ハ)買付対価の算定根拠および買付資金の裏付け
(ニ)大規模買付者が当社の経営に参画した後に想定している経営方針、事業計画、財務計画、資本政策、配当政策、資産活用策、人事政策等が当社企業価値または株主共同の利益を低下させるものではないかを判断するために必要かつ十分な情報
(c) 当社取締役会による分析・検討
当社取締役会は、大規模買付者から必要情報の提供を受けた日から起算して90日以内の期間(ただし、取締役会は、必要がある場合には、この期間を30日を上限として延長することができます。延長する場合は、延長期間と延長理由を開示します。)(以下「分析検討期間」といいます。)、外部専門家の助言を受けるなどしながら、必要情報の分析・検討を行い、当社取締役会としての意見を取りまとめ、公表します。当社が、分析検討期間を原則として90日と定めているのは、当社の営む事業が、ゴルフ場事業という多様なステークホルダーに大きな影響を与える事業であること、および葬祭事業(子会社)という公共性が高く、その動向が地域社会に大きな影響を与える事業であること等から、大規模買付行為の企業価値に与える影響を慎重に検討する必要があるためです。当社取締役会は、分析検討期間中、必要に応じて、大規模買付者と交渉し、また、株主の皆様に対する代替案の提示を行うことがあります。
(d) 大規模買付行為の開始可能時期
大規模買付行為者は、分析検討期間の経過後にのみ開始することができるものとします。
(e) 情報開示ルールの適用外
当社取締役会は、上記(c) の分析・検討の結果、あるいは、それ以前であっても、大規模買付者による大規模買付行為が当社の企業価値または株主共同の利益を低下させる買収には該当しないと判断した場合には、以後情報開示ルールを適用せず、また、対抗処置を発動しない旨を直ちに決議し、当社取締役会が適切と判断する時点で公表します。
② 大規模買付行為がなされた場合の対応方針
(a) 大規模買付者が情報開示ルールを遵守しなかった場合
大規模買付者が情報開示ルールを遵守しなかった場合、当社取締役会は、会社法その他の法律および定款のもとで可能な対抗措置のうちからそのときの状況に応じ最も適切と判断した手段を選択し対抗措置を発動することがあります。
(b) 大規模買付者が情報開示ルールを遵守している場合
当社取締役会は、大規模買付者が情報開示ルールを遵守している場合には、大規模買付行為に対する対抗措置を発動しません。ただし、当該大規模買付行為が当社の企業価値または株主共同の利益を著しく低下させると合理的に判断される場合(買収目的や経営方針・事業計画等からみて企業価値を著しく損なうことが明白であるもの、買収に応じることを株主に強要する仕組みをとるもの、従業員、顧客、取引先などのステークホルダーの利益を損なう結果企業価値を著しく損なうものなど。)には、前記(a)と同様の対抗措置を発動することがあります。
(c) 当社取締役会による意見表明
当社取締役会は、大規模買付行為に対して対抗措置を発動しない場合でも、大規模買付者による大規模買付行為後の経営方針および事業計画が不合理であると疑う場合、当社取締役会の経営方針および事業計画(大規模買付者による大規模買付行為後の経営方針および事業計画に対する代替案を含みます。)に劣ると疑う場合その他当社の企業価値または株主共同の利益の維持・向上に資するものではないと疑う場合には、その旨の意見表明を行い、前記方針および計画を適切な時期に開示し、株主の皆様のご判断を仰ぎます。
③ 対抗措置を発動する場合の手続き
当社取締役会は、大規模買付者に対して対抗措置を発動するのが適当か否かを判断する場合、その判断の公正性を確保するために必要があるときは、当社取締役会から独立した組織として設置される委員会に対抗措置の発動の適否を諮問し、勧告を受けます。
なお、当社取締役会が委員会に諮問して答申を受けるまでの期間は、①(c)に定める検討分析期間内に含まれます。