有価証券報告書-第57期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/30 9:14
【資料】
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【項目】
144項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(経営方針)
廣済堂グループは、1949年に印刷会社として創業以来、社名にある「廣済」(広く社会に貢献する)を経営理念として、印刷、ITサービス、人材サービス、葬祭などの各事業を通じ、“人生100年を様々な場面でサポートする廣済堂グループ”となることを目指しております。
また、お客さまに必要とされる商品やサービスを提供すべく、お客さまや生活者のニーズの一歩先を読みながら、常に新しいものに挑戦する「進取の精神」で事業展開を進めてまいりました。
当社グループは、社会環境の変化、ライフスタイルや価値観の変化の中で、お客さまに真に必要とされる商品やサービスは何かを探り、提供していく「お客さま第一主義」を今後も追求し、社会から必要とされ、また社会的責任を果たせる企業集団となるよう努めてまいります。
(経営環境及び事業の内容)
当連結会計年度の世界経済は、世界的な新型コロナウイルスの感染の拡大が継続したことにより、消費活動や企業活動に大きな影響を及ぼし、厳しい状況が継続しました。また、わが国経済では、5月の緊急事態宣言解除後の経済活動の回復により景気の持ち直しの動きが見られたものの、新型コロナウイルス感染の再拡大により経済の先行きの不透明感が強まり、当社グループの情報ソリューション、人材サービス及び葬祭の各事業に関連する業界においても、厳しい状況が継続しました。
当社グループにおきましては、新型コロナウイルスの感染予防対策として顧客、取引先及び従業員の安全確保を図りながら事業活動を行っております。具体的には、テレワークや時差出勤、オンライン会議の活用、職場におけるソーシャルディスタンスの確保や、継続稼働を要する工場、斎場のためのマスク・消毒液の確保などの感染防止策を実施し、事業活動を引き続き継続してまいりました。
当社グループのセグメントごとの経営環境の認識は、次のとおりであります。
・情報セグメント
情報セグメントは、主に情報ソリューション事業及び出版事業で構成されております。
情報ソリューション事業は、出版印刷・商業印刷を始めとする印刷関連ソリューションと、IT関連の受託開発やオリジナルのITサービスの提供、データ入力や処理などのデジタルソリューション、事務局代行やコールセンター業務などお客様の事業をサポートするBPOサービス、そして環境配慮型の商品・サービスの提案を行うプロダクト営業で構成されております。
情報ソリューション事業では、出版印刷分野で、外出自粛による一部書籍の需要の堅調な推移や、大型のBPO案件の受注増加等がありましたが、一方で、新型コロナウイルス感染症拡大による市況悪化の影響を大きく受けた商業印刷分野では、プロモーションやイベントの中止による印刷物の受注減少や、旅行パンフレットやカタログ等の販促物の需要減少等が継続し、事業全体では減収となりました。また、利益面では、工場再編に伴うコスト削減等により増益となりました。
出版事業は、教科書・補助教材等の教育図書の企画と出版で構成されております。
出版事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が継続し、学校教材の受注が低調に推移したこと等により、減収・減益となりました。
・人材セグメント
人材セグメントは、人材サービス事業で構成されております。
求人媒体・HRテック事業を始めとして、人材紹介・人材派遣、RPO(リクルートメントプロセスアウトソーシング)、海外(ベトナム等)における、人材紹介、人材育成・研修、日本語教育、留学サポート等の事業を手掛けており、人材の発掘から採用、教育・研修までトータルな人材ソリューションを提供しております。当連結会計年度は、人材派遣事業が健闘し、サブスクリプション型の採用管理システムを提供するHRテック事業が伸長しましたが、一方でこれまで主力だった求人媒体事業では、ウェブ求人媒体市場における単価下落及び競争激化に加え、新型コロナウイルス感染拡大による全国的な求人広告掲載件数の激減等の影響を受け、大幅な減収となりました。利益面では、求人媒体における紙媒体からWebへの移行やHRテック事業の伸長等により収益構造の改善を進めたものの、減収の影響から大幅な減益となりました。
・葬祭セグメント
葬祭セグメントは、葬祭事業で構成されております。
葬祭事業は、当社子会社の東京博善株式会社により、火葬炉併設の総合斎場を都内6カ所で運営しております。また、オンライン葬儀等火葬事業以外のシニア・エンディング事業も開始しております。
当連結会計年度は火葬取扱い件数は増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、従来からの葬儀の簡素化や来場者の減少傾向が顕著になり、式場利用の単価下落や火葬中の休憩室の利用率減少、菓子飲料などの売上減少等が継続しました。
(中期経営計画)
新中期経営計画(2020~2022年度)について
当社は、2020年度を1年目とする新中期経営計画「廣済堂大改造計画2020」を策定しております。これまでの第1次~第3次中期経営計画とは異なり、具体的かつ抜本的改革に挑戦し、確実な実行、成果を求めていく中期3ヵ年計画です。
世界的に流行する新型コロナウイルス感染症は経済活動へも重大な影響を与えており、景気は先行き不透明な状況が継続するものの、ワクチン接種が進むことで徐々に通常の経済活動への回復が進むものと予測されます。また、新型コロナウイルス感染症流行により新しい常識やライフスタイルの変化、いわゆる「ニューノーマル」が定着し、紙媒体の需要減少、多種多様なワークスタイルの変化、葬儀の小規模化等が進むことが予想され、当社グループの各事業セグメントにとってその影響は大きいものの、一方で新たな需要も発生するものと思われます。
このような状況のもと、次期は新中期経営計画「廣済堂大改造計画2020」の2年目であり、2022年度の定量目標である売上高400億円、営業利益31億円の達成に向け、「収益構造の大改造」、「事業構成における大改造」、「経営基盤強化に向けた大改造」に基づき、以下の取り組みを着実に実行してまいります。
1.各事業セグメントの取り組み
(1) 情報セグメント
①情報ソリューション領域の拡大
・印刷及びITソリューションに加えて、上流工程のプロモーションや下流工程の梱包・発送等の複合型商材の展開
②BPOソリューション事業の拡大
・BPO領域の拡大と大規模BPOへの対応
(2) 人材セグメント
①HRテック領域戦略の展開
・HRテックサービス「TalentClip」利用顧客のアカウントベースマーケティングの展開
・HRテックサービス及び従来型の求人媒体とのクロスセル戦略
②TalentAsia事業による海外人材事業拡大
・海外法人(ベトナム)を活用した海外人材の育成・供給から紹介までをワンストップで行うサービスの展開
・介護業界向けの海外人材の供給強化
③人材派遣・紹介業界の領域拡大
・TalentClipとの連動による新たな人材紹介(UIターン等)や新たな人材派遣(高収益のIT・BPO等)への拡大及び強化
(3) 葬祭セグメント
①火葬事業の経営・事業改革
・火葬事業を営む東京博善株式会社におけるサービス品質向上、新サービスの販促強化、コスト削減
②リアルとデジタルの融合による新規事業創出
・シニアエンディングプラットフォーム構想の実現
・東京博善の所有施設(東京23区内の6カ所の火葬炉併設の総合斎場)を活かした、デジタル事業の創出
③葬祭業界支援事業の展開
・人材(人材の派遣や紹介)、仕組み(葬祭DXの提供及び導入支援等)、経営ノウハウ等のサポート
2.持株会社体制への移行
新中期経営計画の達成及び中長期的な成長に向け、更なる成長加速と事業拡大、強固な収益基盤構築のため、以下に挙げる各事項を企図し、当社グループは持株会社体制へ移行いたします。
(1)個別事業の専鋭化と競争力強化
(2)グループシナジー追求と経営資源の最適化
(3)グループ経営機能の強化
(4)権限と責任の明確化による意思決定の迅速化