有価証券報告書-第53期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/29 13:50
【資料】
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【項目】
101項目

事業等のリスク

当社グループの経営成績、株価および財務状況に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の事項は当社グループに関する全てのリスクを列挙したものではありません。
1.当社グループの事業内容について
(1)経営上の重要な契約について
経営上の重要な契約として、下記に記載の契約があります。
①出版事業
当社は、当社の主要な事業である出版事業における電話帳の電話番号情報データに関して、下記のとおり西日本電信電話株式会社と「番号情報データベース利用に係る利用契約」を締結して、電話帳発行地区における最新の電話番号情報のオンラインによる提供を受けております。
契約会社名相手方の名称契約の内容契約年月日及び期間
株式会社
サイネックス
(当社)
西日本電信電話株式会社番号情報データベース
(TDIS)の利用契約(注)
平成13年7月18日契約
自 平成13年7月19日
至 平成14年3月31日
以降1年ごとの自動更新

(注)番号情報データベースシステム(TDIS=Telecom Directory Information Systemの略)とは、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、NTTコミュニケーションズ株式会社等の電気通信事業者が保有する電話番号情報を、電話帳発行事業者・番号案内事業者等が同一の条件で利用できるようにするために、各事業者の要望を踏まえ、西日本電信電話株式会社が設置・運営するものであります。
上記契約では、当社グループが情報流出防止のための措置を講ずること等「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(平成16年8月31日総務省告示第695号 最終改正 平成29年9月14日総務省告示第297号)」の遵守を義務付けられており、契約解約事由は下記のとおりであります。
イ.当社が、正当な理由によらないで本契約の全部もしくは一部を履行しないとき
ロ.当社の責に帰すべき理由により、当社が契約を履行する見込がないと認められるとき
ハ.当社が、第三者より差押え、仮差押え、仮処分、競売の申請、租税公課の滞納による差押えまたは支払いの停止処分を受けたとき
ニ.当社が、「個人情報保護ガイドライン等」(「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(平成10年郵政省告示第570号)」等の法令)に違反したまたは違反する恐れがあるとき
ホ.当社が利用する契約者の番号情報の取り扱いにあたって、以下に掲げる事項を遵守せず、または遵守しない恐れがある場合
・当社は、契約者の番号情報の提供を受けた場合には、当社の取得済の番号情報を遅滞なく修正すること
・当社は、登録事業者の契約者の権利利益を不当に害しないこと(50音別電話帳の掲載事項を電磁的記録その他の方法により調整したものを提供する場合にあっては、50音別電話帳と同等の態様(逆検索機能(契約者の氏名または名称(契約者回線番号の終端のある場所等を指定する場合を含む)を指定して契約者回線番号を検索する機能をいう)およびダウンロード機能(具体的な契約者の氏名または名称を指定することなく契約者回線番号等を抽出することをいう)を利用できないよう技術的に必要な措置を講ずること)とすること)
・当社は、自ら(他事業者に業務を委託する場合を含む)電話帳掲載または番号案内をおこなう目的のためだけにTDISに登録された番号情報を利用すること
・その他「個人情報保護ガイドライン等」を遵守すること
当社グループでは、情報漏えい防止策として、取扱作業マニュアルを定め作業従事者に対し教育を実施するとともに、指紋認証等による入退室管理、サーバの常時施錠をおこなっており、現時点までにおいて、情報管理に関する事故やトラブルは、発生しておりません。しかし、今後情報管理に関して何らかの問題が生じ、契約を解除された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
他方、当該データを利用して当社が発行する50音別電話帳に記載される個人データについては、個人情報の保護に関する法律についての法令解釈指針である経済産業省策定による「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン(平成26年12月12日厚生労働省・経済産業省告示第4号)」(平成29年5月30日より「個人情報の保護に関する法律施行令(平成15年政令第507号 最終改正 平成28年10月5日政令第324号)」)において、個人情報取扱事業者の義務は課されない旨明記されております。
②WEB・ソリューション事業
WEB・ソリューション事業におきまして、ヤフー株式会社と、代理店に関する契約を締結しております。本契約が解除された場合、ヤフー株式会社のサービスを取扱うことができなくなり、当社の業績に影響を与える可能性があります。現在の契約内容は次のとおりであります。
契約会社名相手方の名称契約の内容契約年月日及び期間
株式会社
サイネックス
(当社)
ヤフー株式会社ヤフー株式会社のサービスを取扱う代理店に関する契約平成21年11月27日契約
自 平成21年10月1日
至 平成21年12月31日
以後1年ごとの自動更新

③ロジスティクス事業
株式会社エルネットの郵便発送代行事業において、日本郵便株式会社と、株式会社エルネットの指定する荷受人への日本郵便株式会社のゆうメールとする荷物の運送業務の委託に関する契約を締結しております。本契約が解除された場合、顧客から受託したゆうメールとする荷物を発送することができなくなり、株式会社エルネットの経営や、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。現在の契約内容は次のとおりであります。
契約会社名相手方の名称契約の内容契約年月日及び期間
株式会社
エルネット
(連結子会社)
日本郵便株式会社株式会社エルネットの指定する荷受人への日本郵便株式会社のゆうメールとする荷物の運送業務の委託に関する契約平成30年3月30日契約
自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日

(2)知的財産権について
当社は提供する製品・サービスについて商標権を取得しております。また、他者の知的財産権を侵害しないよう社内のチェック体制整備に努めており、過去において、知的財産権侵害に係る損害賠償や使用差止め等の訴えを起こされた事実はありません。しかしながら、特許権、実用新案権、商標権、著作権等の知的財産権が、当社のおこなっている事業にどのように適用されるのか全てを正確に想定するのは困難であり、第三者の知的財産権を侵害した場合には、当社の事業展開および業績に影響が生じる可能性があります。
(3)官民協働事業における地方自治体との協定について
当社は、行政情報誌『わが街事典』をはじめとする地方自治体との官民協働事業を積極的に展開するにあたり、地方自治体と地域活性化に貢献することを目的として協定を締結しておりますが、協定に定めのない事態等の発生や、協定の目的とする事項が履行されない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.WEB・ソリューション事業等新規事業の取り組みについて
当社グループでは、インターネットの普及等経営環境の変化に対応すべく、各事業の収益性と将来性との兼ね合いを総合的に勘案・検討しながら、最適な事業ポートフォリオを構築するための取り組みを進めております。
出版事業の主力商材である50音別電話帳『テレパル50』の発行事業および官民協働型の行政情報誌『わが街事典』の発行事業に加えて、WEB・ソリューション事業をはじめとする新規事業の拡大に努めております。
しかしながら、出版事業に比べ収益性の低い、WEB・ソリューション事業等の新規事業が高い収益性を生み出すまでには時間を要する可能性があり、結果として当社グループ全体の利益率が低下し、業績に影響を与える可能性があります。
3.原材料の市況変動の影響について
当社の出版事業においては、印刷用紙を原材料として使用しております。従いまして、紙の市況が上昇する局面では取引業者からの価格引き上げ要請の可能性があります。当社では、随時市況価格を注視しながら取引業者との価格交渉にあたっておりますが、今後、市況が大幅に高騰した場合には、原材料費の上昇を押さえられず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.当社を取り巻く事業環境について
スマートフォンやタブレット等のデバイスの進化・多様化の追い風を受けて、検索連動型広告をはじめ、情報媒体としてインターネットの活用が急速に普及しており、当社もそのような環境変化に対応するために、インターネット上において地域情報サイト『CityDO!』における広告掲載や、行政情報誌『わが街事典』を電子書籍として閲覧できる体制をとっているほか、他社との提携により広告商材の提供や、SEO対策、ホームページ製作など、インターネット上のウェブプロモーションにも注力しております。しかしながら、スマートフォンやタブレット等の利用拡大により、出版事業において、紙媒体による出版物の利用頻度が減少し、当社の今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
5.法的規制について
(1)個人情報の保護に関する法律について
当社グループは、番号情報データベースシステム(TDIS)以外にWEB・ソリューション事業や、ロジスティクス事業の郵便発送代行事業において登録顧客情報や荷受人等の個人情報を取り扱っており、個人情報保護法が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。社内での個人情報の取扱い、管理についてルール化し、役職員の教育をおこない、その徹底をはかっております。
しかしながら、外部からの侵入者や当社関係者の故意または過失によりユーザーの個人情報が流出する等の問題が発生した場合には、当社への損害賠償請求や信用の低下により、当社の事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)その他法的規制について
当社グループの出版事業や、WEB・ソリューション事業における広告掲載やeコマースサイトにおいては、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(不正アクセス禁止法)、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(特定電子メール法)、「旅行業法」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)、「食品衛生法」、「健康増進法」、「医療法」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)等の各種法令や、監督官庁の指針、ガイドライン等による規制を受けております。
こうした法令の制定や改正、監督官庁による許認可の取消または処分、新たなガイドラインや自主的ルールの策定または改定等により、当社グループの事業が新たな制約を受け、または既存の規制が強化された場合には、当社グループの事業、業績に影響を及ぼす可能性があります。
6.システム障害について
WEB・ソリューション事業において、当社が提供するサービスに誤作動・バグ(瑕疵)等が生じた場合、損害賠償責任が発生する可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、そのような場合には、当社の信用が低下し、当社の事業および業績に影響を与える可能性があります。
7.電子データのセキュリティについて
(1)出版事業
出版事業におきましては、データ漏洩を防止するため、社員教育の徹底をおこなうとともに、システムアクセス時のパスワードの設定、サーバへのアクセスリストの履歴管理により、不正アクセスの防止と不正発見にも努め、またTDISデータ処理室に、指紋認証等による入退室管理システムを設置し、入退室管理並びに履歴管理を実施、さらに夜間・休日は警備会社と契約し、ビル全体の入退室管理をおこなっております。しかし、万一データの漏洩が発生した場合は、前掲(1.(1)経営上の重要な契約について)記載の「番号情報データベース(TDIS)の利用契約」により、データの提供を停止されるおそれがあるほか、当社の信用が低下し、今後の事業展開に大きな影響を与える可能性があります。
(2)WEB・ソリューション事業
『CityDO!』のサイト運営上、メールマガジンの発信等のため、個人情報のデータベースを構築しております。現在まで個人情報の流出による問題は発生しておりませんが、外部からの不正な手段により、当社システム内への侵入等の犯罪や、役職員の過誤等によって、当社システム内の重要なデータが消去される、あるいは、外部に流出する恐れがあります。これらの障害が発生した際には、当社に直接的・間接的な損害が生じる可能性があり、当社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)ロジスティクス事業
株式会社エルネットにおける郵便発送代行事業において、ダイレクトメールにかかる荷受人の個人情報を電子データにて保有しております。株式会社エルネットはプライバシーマークを取得して、個人情報が漏洩しない体制を整えておりますが、万一個人情報が漏洩した場合には、信用失墜により、株式会社エルネットの経営、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
8.大規模災害について
当社は、大阪市中央区に本社を、三重県松阪市に製造拠点を、また北海道から沖縄までの36都道府県に営業拠点を配置しております。いずれかの地域において大規模災害が発生した場合、当社設備の損害や停電、システム障害などにより、業務遂行上、多大な影響を受け、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
9.M&Aについて
当社グループは、M&Aにより既存事業や新規事業の積極的な拡大に取り組んでおります。M&Aにあたっては、対象企業の財務・法務・事業等について事前にデューデリジェンスをおこない、リスクを吟味し収益力を分析したうえで決定いたしますが、対象企業における偶発債務の発生や未確認債務の判明等、事前の調査によって把握できない問題が生じた場合や、事業計画が予定どおり進捗しない場合には、のれんの減損処理をおこなう必要が生じるなど、当社の業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
10.不動産価値の低下について
当社グループは、不動産事業において賃貸用不動産を保有しておりますが、不動産市況の悪化による賃料水準の低下や空室率の上昇などにより、事業用不動産に対する減損処理が必要となった場合、評価損等の発生によって、当社グループの業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。