有価証券報告書-第98期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/28 13:20
【資料】
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【項目】
147項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、企業活動において全構成員が共有すべき基本的・普遍的な価値観を表すものとして、基本理念と行動基準を定めております。
<基本理念>・「社会」、「生命」、「環境」に貢献する。
・株主、顧客・取引先、地域社会、従業員を大切にする。
・遵法精神を重んじ、透明な経営を行う。
<行動基準>・社会から信頼される事業活動を行うため、社会規範、法令、会社の諸規定を遵守し、高い倫理観と良識を持って行動する。
・ものづくりに際しては、地球環境との調和を図り、常に安全確保に万全を期し、無事故・無災害に努める。
・相互協力、相互理解により人権を尊重し、風通しのよい働きやすい職場をつくる。
・企業活動の透明性を保つため、企業市民としてコミュニケーションを重視し、企業情報を適時、的確に開示する。
(2) 目標とする経営指標、経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、このたび、長期ビジョン「Vision 2030」とそれに基づく新中期経営計画(2021~2023年度)「Vision 2030 StageⅠ」を策定いたしました。
① 長期ビジョン「Vision 2030」
当社グループは、創立100周年を機に、10年先の2030年にありたい姿を描き、2030年に向けた長期ビジョン「Vision 2030」として「独創・加速・グローバル。化学の力で暮らしを変える。」を制定し、2021年3月に発行した「統合報告書2020」において公表しました。このたび、この「Vision 2030」の経営目標や取組方針などを具体的に策定しました。
イ 存在意義
当社の企業理念の下に、当社の存在意義(パーパス)を「化学技術でより良い生活環境の実現に貢献し続ける」と定義づけます。
ロ 経営目標(2030年)
・連結売上高 2,000億円超、 連結営業利益率 15%以上、 ROE 10%以上
・株主還元 安定的な株主還元の継続
ハ 基本的な取組方針
・当社グループが企業理念の下に、長年にわたり培ってきた3つの強みを価値創造のコアとして「Vision 2030」の達成に取り組んでいきます。
<3つの強み>「社会、生命、環境にやさしい、安全・安心の“品質力”」
「多彩な人材が支える、最先端の“技術開発力”」
「高いコンプライアンス意識に基づく“経営推進力”」
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、カーボンニュートラル、急速なデジタル化等、当社グループを取り巻く事業環境の不確実性が一段と増す中で、サステナブルな社会の実現に向けて貢献するとともに、その事業活動を通じて企業価値の向上を両立します。
・ESG・SDGs視点での経営への取り組みを継続的に推進し、経営基盤を更に強化し、この強固な経営基盤の上で、無機化学・有機化学の各事業方針に基づき「Vision 2030」達成に向け当社グループが一丸となって取り組みます。
ニ 事業方針と重点施策
1) 無機化学事業
事業方針:「酸化チタンで培った技術をベースとした新たなる価値を創造し、環境ならびに情報化社会を支えてサステナブルな社会の実現に貢献する。」
重点施策:・酸化チタンの光学的特性を多様化させて、新たな価値創造を実現
・ICT普及や自動車EV化などの社会課題解決に機能性材料で貢献
・生産構造改革により環境負荷低減と生産効率化とを両立
2) 有機化学事業
事業方針:「顧客の価値向上に直結する独自製品を世界中に供給し、人々の食、健康、生命を支えてサステナブルな社会の実現に貢献する。」
重点施策:・バリューチェーンを意識した開発・商業化の推進
・自社技術の錬磨・進化による価値創造加速と成長路線復活
・主力製品の世界一低コスト製造と顧客への安定供給
② 新中期経営計画(2021~2023年度) 「Vision 2030 StageⅠ」
イ 基本方針
本中計は、長期ビジョン「Vision 2030」からバックキャストした3段階の最初の中期経営計画「Vision 2030 StageⅠ」として、特に、ESG・SDGs視点での経営の取り組み強化を推進することにより、サステナブルな企業価値創造を目指すことを基本方針とします。
ロ 2023年度経営目標など
・連結売上高 1,250億円超、 連結営業利益率 13%以上、 ROE 10%以上
・株主還元方針:安定的かつ連結業績を反映した配当の継続
2020年度
実績
2023年度
計画
増減率
売上高1,017億円1,250億円
営業利益51億円166億円2.2
経常利益59億円158億円1.7
親会社株主に帰属する当期純利益33億円124億円2.7
営業利益率5%13%
ROE4%10%以上

(注)2022年3月期の期首より「収益認識基準に関する会計基準」等を適用し、当該基準等に基づいた予想となっております。このため、2020年度実績値に対する売上高の増減率は記載しておりません。
ハ 重点施策
全社及び各事業レベルの取り組むべき重点施策は次の通りで、毎年事業計画を見直し、最終年度の業績目標の達成に向け取り組みます。
全社
□ ESG・SDGs視点でのサステナブルな経営の取り組みの強化
□ マテリアリティの特定と各マテリアリティに関連する取り組みの強化
□ DXの推進と業務効率化による働き方改革
□ コンプライアンス経営の継続・強化
□ リスクマネジメントの強化
□ トップラインの拡大
□ 新事業・新製品創出力の強化
□ 「Vision 2030」に向けた社内の構造・意識改革への継続的な取り組み
□ 資本コスト経営の徹底~キャッシュ・コンバージョン・サイクル全体の改善など~
無機化学事業
□ 高機能・高付加価値品の販売比率向上
□ 電子部品材料と導電性材料の拡販戦略の実行
□ 更なる成長ドライバとなる新製品の開発加速
□ 主原料鉱石の有利調達の実現
□ 廃棄物低減や製造及び業務プロセス改善による四日市工場のコスト削減の推進
□ 製造拠点の最適化に向けたマスタープランの始動
□ 温暖化ガス削減に向けたロードマップ作成
有機化学事業
□ 主力農薬原体の世界一低コスト製造と安定供給により当社世界市場占有率の拡大
□ 次期主力農薬の製造コスト低減と需要拡大
□ バイオラショナル分野の開発・商品化とIPM*深化
□ 農薬の販社複数起用など戦略的・革新的な営業施策の実行
□ 世界各国での農薬登録の取得・維持
□ 他社M&Aや提携推進による事業規模拡大
□ 化学合成技術の錬磨と伝承の基盤強化
□ 動物用医薬品のグローバル展開
*IPM(Integrated Pest Management 総合的病害虫・雑草管理)