有価証券報告書-第118期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 13:33
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【項目】
127項目

対処すべき課題


(1)会社の経営の基本方針
1 当事者意識に燃える人を経営の原点とし、企業の活力を生む人事を行う。
2 絶えず技術力を向上させ、優位な商品を生み出し続ける。
3 マーケティング・マインドをもって、すべての叡知を事業に活かす。
4 先駆的な研究開発によって、常に未踏領域を切り拓く。
5 世界に経営資源を求め、世界に市場を創造する。
(2)経営環境及び対処すべき課題
国内経済は雇用・所得環境の改善が続くなかで、緩やかな回復に向かうことが期待されます。しかし、日本を取り巻く海外の政治情勢・経済環境は様々な要素の不確実性を孕んでおり、景気回復の持続は楽観できないものと思われます。
当社グループを取り巻く事業環境につきましても、原燃料価格や海外製品市況の変動、アジアを中心とした新興国の景気動向等に注意が必要であり、環境の変化に対して、迅速かつ柔軟な対応が肝要であると考えております。
このような状況の下、当社グループは、「平成28年度~平成30年度 中期経営計画」を着実に実行することにより、外部環境の変化に耐えられる事業ポートフォリオの構築と安全・安定運転の持続を実現し、より戦略的かつ効率的なグループ経営を展開してまいります。
[平成28年度~平成30年度 中期経営計画の概要]
当社は、平成28年5月24日に、平成30年度を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画を公表いたしました。当該計画の概要につきましては以下のとおりです。
1. 経営方針
1.1 基本方針
□ ハイブリッド経営の深化
・ コモディティとスペシャリティの両軸をバランス良く強化
・ コモディティ : 現有能力で競争力・収益力を強化
・ スペシャリティ: 成長事業へ拡大投資、R&D・M&Aによる事業領域の拡充
□ 財務基盤の維持・強化
・ 成長投資を機動的に実行できる盤石な財務基盤を構築
□ 安全改革の推進
・ 安全・安定運転技術の確立
・ トラブル・異常現象の撲滅
1.2 事業の位置付け
□ コモディティ
・ 経営の基盤となるキャッシュフローと利益を確保
・ 競争力の高いユーティリティ・基礎原料を自社製品へ供給
・ 外部環境で損益変動も、基礎素材ゆえに需要は底堅い
□ スペシャリティ
・ 成長のドライバーとして利益拡大
・ 継続的開発により高利益率を維持
・ 開発から収益事業となるまでのリードタイムは10年以上

1.3 数値目標
(億円)
平成30年度目標
売上高7,500
営業利益
営業利益率
850
10%以上
ROE10%以上

注)売上高は下記前提での参考値
前提ドル110円/$
ユーロ120円/€
ナフサ40,000円/kl

2. 投資の方針
2.1 基本方針
□ コモディティ
・ 安定供給力と競争力の維持・強化のため、更新・効率化投資を集中的に実施
□ スペシャリティ
・ 成長事業へ拡大投資
・ R&D *1、M&A *2による事業領域の拡充
*1 大学・ベンチャー企業との連携含む *2特にバイオサイエンス事業
2.2 主な投資計画 (億円)
⦅主な設備投資⦆
・ ハイシリカゼオライト 能力増強
・ ジルコニア能力増強
・ トヨパール(分離精製剤)能力増強
・ フィリピン子会社でのPVC能力増強
・ 機能性ポリマー・機能性ウレタン能力増強
・ 発電設備の効率化
平成28年度~平成30年度累計計画
設備投資成長 5001,300
その他 800
M&A等300 *1
1,600

*1 M&A、研究ファンド投資など

3. 研究開発の方針
□ 重点3分野「ライフサイエンス」「電子材料」「環境・エネルギー」の研究開発を加速
・ 産学官連携の強化
・ 研究ファンド投資による技術情報収集力の強化
・ M&Aの実施

4. 財務基盤強化の方向性
□ 自己資本比率
・ 自己資本比率は50%以上を目標とする
□ 有利子負債
・ 有利子負債は引き続き圧縮に努める
5. 株主還元の方針
□ 安定配当の継続が基本
□ 配当は期間業績・フリーCF・将来の事業展開等を総合的に勘案して決定
□ 中長期的には、配当性向30%を目指す

≪注意事項≫
本計画は、公表時点で入手可能な情報に基づき策定したものです。従いまして、今後の国内外の経済情勢や予測不可能な要素等により、実際の業績は計画値と大幅に異なる可能性があります。
[中期経営計画の進捗]
3ヶ年中期経営計画の初年度にあたる平成28年度は、営業利益が1,112億円となり、平成30年度の利益目標850億円を大幅に上回る結果となりました。これは、コモディティ製品(石油化学及びクロル・アルカリ事業での取り扱い製品)の事業環境が、中期経営計画での想定に比べ大きく好転したことが要因となります。
中期経営計画では、コモディティ事業での最終年度の利益目標を380億円としておりますが、平成28年度は原料安・市況高という交易条件に恵まれ、営業利益が679億円まで拡大しました。良好な事業環境が継続すれば、コモディティ事業の利益目標は上振れることになりますが、仮に、中期経営計画で想定した交易条件になったとしても、成長戦略を着実に実行することにより、目標利益の達成を目指してまいります。
また、スペシャリティ事業(機能商品製品)につきましても、中期経営計画に基づき機能の差別化・高付加価値化を推進し、戦略製品の拡販を実現することにより、最終年度の利益目標400億円の達成に努めてまいります。
投資活動については、設備投資は中期経営計画に沿って実施しており、3ヶ年累計での投資額は、当初計画通り1,300億円程度になる見込みです。また、M&Aについては、現在、情報の収集・精査を進めておりますが、時間的な制約は設けることなく、リスクとシナジーを慎重に見極めた上で、実施の可否を判断いたします。
研究活動については、米国において技術及びベンチャー投資の専門家を起用し、併せて研究駐在員を派遣することにより、技術及びM&A情報の収集を強化しております。また、研究ファンドへの投資を通じて、ベンチャー技術に関する情報を幅広く集めてまいります。
営業利益及び営業利益率 (億円)
平成28年度実績平成30年度目標
コモディティ67915.4%3808.6%
スペシャリティ35320.1%40021.7%
その他786.2%705.6%
合計1,11215.0%85011.3%