訂正有価証券報告書-第17期(2020/04/01-2021/03/31)

【提出】
2023/05/31 12:10
【資料】
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【項目】
127項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営方針
当社グループは、企業理念として「進取と共創。ガスで未来を拓く。」を掲げております。「私たちは、革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献すると共に、人と社会と地球の心地よい未来の実現をめざします。」このような思いを企業活動の基本方針とし、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。
(2) 中長期的な経営戦略
当社グループは、2017年4月から2021年3月までの4ヶ年の中期経営計画「Ortus Stage 2」にこれまで取り組んでまいりました。「Ortus Stage 2」は、前中期経営計画である「Ortus Stage 1」の重点戦略「構造改革」、「イノベーション」、「グローバリゼーション」、「M&A」を引き継ぎ、特に「M&A」と「グローバリゼーション」のそれぞれの戦略において顕著な成果を上げました。当該中期経営計画の期間中には、海外での産業ガスメジャーであるリンデとプラックスエアの合併により、独占禁止法の下で売却対象となったプラックスエアの欧州事業を2018年12月に買収、リンデの米国HyCO事業を2019年2月に買収したことにより、グローバル産業ガス市場における独自性のあるポジションを確立することができました。上記2つのプロジェクト投資総額約6,800億円は、借入による資金調達とハイブリッドファイナンスによる資金調達にて賄われております。これらの大型買収を完了した2019年2月には、中期経営計画の数値目標を見直し、財務健全性をモニタリングする重要経営指標としてネットD/Eレシオを新たな目標として設定し、株主の皆様には、新たな目標とその達成に向けた道筋についての説明の機会も設けました。
残念ながら、前第4四半期連結会計期間後半から、新型コロナウイルス感染症が世界的に広がり、事業環境を劇的に変化させることになりました。このような複雑な世界的危機は発生したものの、当社グループは、「Ortus Stage 2」の期間を通じて今後の成長の基盤となるアクションを着実に実施してまいりました。具体的には、欧州事業と米国HyCO事業の買収によるグローバル化の拡大、米国での5つのオンサイトプラントの稼動による米国内での事業密度の向上、東アジアでのエレクトロニクス向け特殊ガス事業の強化、アジア・オセアニア地域での産業ガス供給基盤の強化・拡大に加え、2020年10月には、グループ総合力強化と迅速な意思決定の促進を目的とした純粋持株会社体制に移行いたしました。
新型コロナウイルス感染症が世界的に続き、事業環境の不確実性が極めて大きいことから、当社グループは次期中期経営計画の発表を1年延期いたしました。2022年3月期には、当年度の短期財務目標の達成に注力すると同時に、2022年4月から2026年3月までの次期中期経営計画の戦略、アクションプランについても今後策定していく予定です。
(3) 会社の対処すべき課題
新型コロナウイルス感染症の感染拡大から1年以上が経過しました。前期における新型コロナウイルス感染症の流行による影響は、急速かつ深刻でしたが、幸いにも、当社グループは事業を展開するほとんどすべての地域で必要不可欠な企業と判断されたことで、新型コロナウイルス感染症の流行の最も深刻な時期でも、重要なガス、人工呼吸器、在宅ケア用品、その他の必需品を提供することにより、事業を継続することができました。当期の事業活動が進むに伴い、当社グループが事業を行っているほとんどの国では、経済活動と新型コロナウイルス感染症との共存を学び経済活動を再開したため、当社グループの業績は急激に回復しました。
ワクチンが新型コロナウイルス感染症の感染拡大を抑えられるのか、また、新型コロナウイルス感染症変異株による感染拡大がワクチンを上回るのかを見通すことは難しく、先行きの不透明感が続くことになりますが、今後は、当期の第1四半期に経験したほど深刻な影響を受けることはないと予想しています。また、2020年10月1日、当社は日本酸素ホールディングス株式会社の下で新たな体制を構築しました。持株会社体制は、日本企業からグローバルに統合された産業ガスサプライヤーへの進化を象徴しています。持株会社体制に移行した狙いとしては、①権限委譲による意思決定スピードの向上と適切な経営資源の配分②事業執行責任、実績の明確化③各地域の強みや優位点を共有展開したグループ総合力の強化が挙げられます。当社グループは力強く経験豊富で才能のある人財・組織を有しており、世界中で組織をより効果的かつ効率的に運営するよう努めていきます。
当社グループは、消費電力の削減や走行距離の短縮など、持続可能な取り組みに注力してきました。今後は業界のリーダーとして、次期中期経営計画にESGやSDGsへの取り組み強化を反映し、生産性を高めることで、当社グループビジョンである「革新的なガスソリューションにより社会に新たな価値を提供し、あらゆる産業の発展に貢献すると共に、人と社会と地球の心地よい未来の実現をめざす」を推進し、企業価値の向上に取り組んでいきます。