有価証券報告書-第12期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/24 15:01
【資料】
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【項目】
129項目

対処すべき課題

(1)当社グループの対処すべき課題
本年度は、平成29年(2017年)度から平成32年(2020年)度までの4ヶ年にわたる次期中期経営計画「Ortus Stage 2」を策定いたします。次期中期経営計画では、更なる事業の効率化・事業規模の拡大を進めてまいります。
また、「ガスを売ることは安全を売ること」の精神に則り、大陽日酸グループ全社をあげた保安推進活動に真摯に取り組み、保安管理体制の徹底を図るほか、コンプライアンスの強化にも一層努めてまいります。
当社グループでは、これまでも内部統制システムの確立とコンプライアンスの確保に取り組んでまいりましたが、当社元従業員が、平成20年から平成26年にわたって実体のない工事代金を発注先に請求させたうえで、当社から支払われた工事代金の一部を還流させ、私的な遊興等に使用していたことが判明いたしました。当社は、本件の発生を受けて当該元従業員を懲戒解雇し、また外部の専門家を加えた調査委員会を発足させ、不正行為の発生原因の究明と再発防止策の策定を行うとともに、社内管理責任者に対する厳正な処分を行いました。当社グループは、今後はこのような不正行為が発生することのないように、更なる内部統制システムの運用管理の強化とコンプライアンス教育の徹底に取り組んでまいります。
※Ortusとは、ラテン語で誕生、始まりを意味しています。
(2)株式会社の支配に関する基本方針
①当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の経営理念、企業価値を生み出す源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係などを十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を長期的に確保、向上させる者でなければならないことを基本原則といたします。
また、上場会社である当社の株式は、株式市場を通じて多数の株主、投資家の皆さまによる自由な取引が認められているものであり、仮に当社株式の大規模な買付行為や買付提案がなされた場合であっても、当該当社株式の大規模買付が当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。
これら当社株式の大規模な買付等に応ずるか否かの最終判断は、株主の皆さまのご意思に基づいて行われるべきものと考えております。
②基本方針の実現に資する取組み
当社では、多くの投資家の皆さまに長期的に継続して当社に投資していただくため、また、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるために、次の取組みを実施しております。
これらの取組みは、前記当社における会社の支配に関する基本方針の実現に資するものと考えております。
②-1企業価値向上への取組み
当社は、平成26年度を初年度とする3ヶ年の中期経営計画「Ortus Stage 1」にもとづき、①構造改革、②イノベーション、③グローバリゼーション、④M&Aの4つを戦略の柱として企業価値向上に取り組んでおります。当期は、東南アジア有数の市場であるタイで産業ガスメーカーの買収を行うとともに、米国で2番目に経済規模の大きいテキサス州及び今後も持続的な産業ガス需要の拡大が見込まれる豪州でもガスディストリビューターの買収を行いました。また、高付加価値製品及び差異化製品の取り込みを目的として、米国及び中国のベンチャー企業への出資を行い、これらの企業の製品のグローバル市場での販売権を獲得いたしました。今後もこれらの4つの面から企業価値の向上に努めてまいります。
②-2コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化による企業価値向上への取組み
当社は、当社のコーポレート・ガバナンスの指針となるコーポレート・ガバナンス原則を取締役会で制定しております。当社は、当社グループの持続的な成長及び長期的な企業価値の向上を図る観点から、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、意思決定の透明性・公正性を確保するとともに、保有する経営資源を有効に活用し、迅速・果断な意思決定により経営の活力を増大させることがコーポレート・ガバナンスの要諦であると考え、次の基本的な考え方に沿って、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでおります。
(1)株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
(2)株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーと適切に協働する。
(3)会社情報を適時適切に開示し、透明性を確保する。
(4)監督と執行を分離することにより、取締役会による業務執行の監督機能を実効化する。
(5)当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主との間で建設的な対話を行う。
また、内部統制システムについては、当社は「大陽日酸グループ行動規範」を制定し、当社グループ全体の遵法精神と企業倫理の向上を目指すとともに、チーフコンプライアンスオフィサー(以下、CCO)を任命し、CCOがコンプライアンス委員会の委員長として、当社グループのコンプライアンスの確保に努めております。さらに当社グループのリスクを横断的に管理するリスクアセスメント委員会と、保安、安全、品質、環境及び知的財産に関する技術リスクを重点的に管理する技術リスクマネジメント委員会を設けて、当社事業に伴うリスクの管理を行っております。
当社は、前記の取組み等を通じて株主の皆さまをはじめ取引先や当社社員など当社のステークホルダーとの信頼関係をより強固なものにしながら、中長期的視野に立って企業価値の安定的な向上を目指してまいります。
②-3基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定を支配されることを防止するための取組み
当社は、大規模買付行為を行おうとする者に対しては、その是非を株主の皆さまが適切に判断するために必要かつ十分な情報を求め、併せて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆さまのご検討のための時間の確保に努める等、会社法及び金融商品取引法等関係法令の許容する範囲内で適切な措置を講じます。
②-4具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社取締役会は、上記②-1及び2に記載した各取組みが、①に記載した基本方針に従い、当社をはじめとする当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に沿うものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。