有価証券報告書-第105期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 15:00
【資料】
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【項目】
165項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「企業活動を通して社会に貢献する」を基本理念として掲げております。当社グループは将来にわたって社会からの信頼を高めるべく、企業の社会的責任を最重要視し、公明正大な事業活動を通して企業価値の向上及び持続的成長、株主利益の拡大を図ることを基本方針としております。
(2)経営環境及び経営戦略等
日本農業の衰退に歯止めをかけるべく政府は、対策の一つとして「農業競争力強化プログラム」を掲げ、その中で生産資材価格の引き下げや生産資材業界の再編を促すための措置を講じております。また、当社最大の取引先であります全国農業協同組合連合会においても肥料価格の引き下げを目的とした「集中購買方式」による購入を実施しており、縮小する肥料市場の価格競争が更に激しくなっております。さらに、昨年発生した自然災害は農業従事者に甚大な被害をもたらしており、復旧には未だ時間がかかると見込まれる状況から、更なる需要の減少が懸念されます。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
当社グループは、2018年度から2020年度までの3年間を対象とした中期経営計画を策定しております。最終年度である2021年3月期には売上高41,000百万円、営業利益2,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,400百万円の数値目標の達成を掲げております。一方で、主力の肥料事業では全国農業協同組合連合会が進める「集中購買方式」の受注増加はあるものの、肥料需要の減少に加え、想定以上に従来製品から集中購買品への切換えが進み、利益が出にくい構造となっております。また、化学品事業及び海外事業においては、新型コロナウイルスの流行による販売機会の喪失や事業進捗停滞の影響が懸念されます。
以上のことから、中期経営計画の方針・戦略に変更はないものの、数値目標の達成は困難であると判断いたしました。しかし、これまで実施した業務合理化やコスト削減に向けた取り組みを最大化していくと同時に、引き続き国内肥料のシェア拡大、価格競争力の強化、新たなビジネスフィールドの展開に注力し、次世代にふさわしい企業基盤の構築に努めてまいります。
(計数目標)(単位:百万円)
2019年度
(実績)
2020年度
(目標)
2020年度
(業績予想)
売上高37,56141,00038,000
営業利益1,4092,1001,200
当期純利益8771,400800

(事業戦略)
主力の肥料部門においては、価格競争力の強化に向けた生産効率の向上及びコストの削減に取り組んでまいります。また、昨年度実施した営業と技術、支店と本社の連携強化に向けた機構改革を最大限活用し、当社独自の特徴ある付加価値の高い製品を重点品目と位置づけ、引き続きシェアの拡大・収益の向上を図ってまいります。
化学品事業においては、化粧品原料では国際的なCSRパフォーマンス評価機関であるEcoVadis社のサスティナビリティ審査において、上位50%へ与えられるブロンズ評価を獲得しました。このCSR評価とHALAL認証を活用し、EU域内及び東南アジアへの展開に注力してまいります。無機素材では、欧州化学物質規制(REACH)に基づく登録において、輸出枠を拡大し、EU域内へのさらなる拡販に向けた展開を進めてまいります。
その他の事業においては、中国上海に設立した、CCIC(中国検験認証集団上海有限公司)との合弁企業「片倉(上海)農業科技有限公司」において、中国国内での本格的な微生物資材の製造・販売と土壌診断及び指導業務を行うべく、サンプル試験を継続し製品化に向けた取り組みを進めてまいります。
(資本政策の基本的な方針)
株主資本当期純利益率(ROE)を資本効率向上の重要な指標ととらえ、新規事業分野への投資、付加価値の高い製品の開発、効率的な生産・販売体制の構築を追求し、連結当期純利益の増大を図り、株主資本当期純利益率(ROE)の向上を図ってまいります。また、その向上に寄与すべく自己株式についても取得を進めており、2020年3月末時点で510千株、592百万円の自己株式を保有しております。2020年度においては、新たに最大800千株、900百万円の自己株式を取得する予定となっております。
また、株主に対する利益還元を経営の重要政策と位置づけ、安定的かつ継続的に業績に見合った成果の配当を行うことを基本とし、配当性向50%を目標とします。さらに、キャッシュ・フローの状況、投資動向、株価の状況を勘案し自己株式の取得も株主還元の選択肢として検討してまいります。