有価証券報告書-第106期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 16:03
【資料】
PDFをみる
【項目】
149項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「企業活動を通して社会に貢献する」を基本理念として掲げております。当社グループは将来にわたって社会からの信頼を高めるべく、企業の社会的責任を最重要視し、公明正大な事業活動を通して企業価値の向上及び持続的成長、株主利益の拡大を図ることを基本方針としております。
(2)経営環境及び経営戦略等
当社グループの主力である肥料事業を取り巻く環境は、世界的な人口増加や新興国の経済発展などを背景とした食料需要拡大からグローバルな肥料需要は拡大傾向にある一方、国内では、耕作放棄地の拡大、省力型肥料の普及、環境に配慮した施肥設計への変更等により肥料需要の減少に歯止めがかからない状況にあります。また、農地集約による大規模農家や農業法人の増加等の要因から、作業効率向上や高付加価値の農業資材の要求が高まる傾向が続いております。
更に、化学品事業及び海外事業においても、新型コロナウイルス感染症の流行による販売機会の喪失や事業進捗停滞の影響について注視していく必要があります。
(3)中長期的な会社の戦略
当社グループは2021年度から2023年度までの3年間を対象とした新たな中期経営計画を策定致しました。大きく変化する事業環境に柔軟に対応し、当社グループが「日本が誇る農業ソリューションカンパニー」へと成長するための事業基盤・収益基盤を固める3年間と致します。
(計数目標)
2021年度2022年度2023年度
親会社株主に帰属する
当期純利益
850百万円900百万円1,100百万円

なお、中期経営計画においては、不動産事業の渋谷駅前に有する賃貸物件の契約終了に伴う今後の運用方法及び新規投資について検討中であること、海外事業における中国の合弁会社での事業展開が、新型コロナウイルス感染症を背景とする事業進捗の遅れにより再構築中であることから、この2つの事業案件の収益については織り込んでおりませんが、早期実現を目標に取り組んでまいります。
(事業戦略)
[肥料事業]
① SDGsへの取り組み
(持続可能な農業の実現に向けた当社製品と技術の展開)
・気象変動の大きい環境下でも安定した生産性を確保する新たな水稲施肥技術として取り組みを開始した、デモ用田植機の活用によるペースト肥料拡販プロジェクトの全国展開
・灌漑水と同時に施用でき、従来は困難だった田植後でも基肥としても利用できる流し込み液肥等、施肥労力を軽減する水稲の全量液肥栽培体系の展開
・肥料法改正を踏まえた新たな環境循環型農業への取り組みとして、堆肥を活用した地産地消型肥料の展開
② 工場特性に合わせた全国ベースでの既存品目の生産最適工場への集約・見直し
③ 管理業務集約による業務効率化と最適人員化
[化学品事業]
① 化粧品原料では、HALAL認証を活かした東南アジアへの化粧品原料の拡販、天然物由来の素材を醗酵させた高機能化粧品原料の開発・販売
② 無機素材では、独自機能性を活かした合成雲母のEU域内向け拡販、新規顧客のニーズに対応する製品の開発・販売
③ 化成品では、従来からの流通ノウハウや配送拠点を活かしたリン酸、硫酸等の新規顧客の開拓
[不動産事業]
① 現状の賃貸物件による安定的収益の確保
② 賃貸契約が終了した渋谷駅前に有する物件については、事業拡大を図るべく新規投資も含めた運用方法の検討
[その他事業]
① 新型コロナウイルス感染症を背景に進捗が遅れている、中国上海に設立した「片倉(上海)農業科技有限公司」の中国国内における微生物資材の製造・販売と土壌診断及び指導事業については、早期収益化に向けた取り組みを継続
(資本政策の基本的な方針)
当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を図るため、資本効率の向上と財務健全性とのバランスを確保することを資本政策の基本方針といたします。
中期経営計画では不動産事業の渋谷駅前に有する賃貸物件、及び海外事業の中国の合弁会社での事業展開の収益を織り込まないため、具体的な数値目標は立てないものの、 株主資本当期純利益率(ROE)を資本効率向上の重要な指標ととらえ、新規事業分野への投資、付加価値の高い製品の開発、効率的な生産・販売体制の構築を追求し、連結当期純利益の増大を図り、株主資本当期純利益率(ROE)の向上を図ってまいります。
また、株主に対する利益還元を経営の重要政策と位置づけ、安定的かつ継続的に業績に見合った成果の配当を行うことを基本とし、引き続き配当性向50%を目標といたします。