有価証券報告書-第95期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 14:37
【資料】
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【項目】
102項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
平成29年度の経営環境につきましては、国内経済は緩やかな景気回復が期待されるものの、新興国の景気減速、米国新政権の政策動向や英国のEU離脱問題、中東や北朝鮮の地政学リスクの高まり等、海外における政治・経済の不確実性は一段と高まっており、これらが国内経済の下振れ要因となるリスクを抱えております。
当社グループは昨年4月に新中期経営計画(平成28年度~平成30年度・以下「本中計」という。)をスタートいたしました。本中計では、当社の基幹事業である無水フタル酸や可塑剤を中心とした汎用化学品事業を盤石な事業構造へと変革し、キノン系製品やマキシモール®に代表される機能化学品事業の更なる強化・拡大により、収益力の高い「機能化学品の川崎化成」を確立することを基本方針としております。
本中計では、当社グループがエア・ウォーターグループの一員となったことを転機として、その実現に向け更なる成長と収益力の強化を目指し、グループ資源を活用したシナジー効果の追求やM&Aを含む積極的な資源投入による拡大志向の事業展開に舵を切ってまいります。
具体的には、無水フタル酸事業におけるグループ内戦略共有化、グループ資源を活用した効率的な機能化学品の供給体制確立、原料調達、販売ルートやR&Dの相互活用等、エア・ウォーターグループにおけるシナジー効果を徹底追求してまいります。
また、世界のオンリーワン製品であるナフトキノン及びキノン誘導品は、従来から評価を得ている高い生理活性や機能性樹脂への耐熱性付与に加え、優れた重合禁止能や紫外線の長波長域での光吸収等ユニークな特徴を有する高機能材としても高く評価されており、今後も医農薬分野や電子情報材料分野での需要の伸びが見込まれております。更に、パルプ蒸解助剤SAQ®、脱硫触媒NQS®は、森林資源の保護や環境保全に寄与する製品であり、今後も更なる拡販を進めてまいります。その他の機能化学品についても、マーケットインによりお客様のニーズへの対応をより強化することで拡販を目指し、お客様の事業への貢献、ひいては「化学工業を通じ社会に貢献する」活動をこれまで以上に推進してまいります。
これら販売活動を支えるべく「安全・安定操業」、「生産効率の徹底的向上」、「製造・管理コストの削減」に取り組むと共に品質向上を含めた基盤強化活動並びに事業戦略に基づく工場革新活動を推進してまいります。
本中計初年度となる平成28年度につきましては、汎用化学品である無水フタル酸の損益悪化分をマキシモール®、ナフトキノン等に代表される機能化学品の増販等でリカバリーし、経常利益段階では前年度を上回る利益を確保しており、当社が目指す「機能化学品の川崎化成」の確立に向けた取り組みについては着実に進展いたしました。
今後につきましても、生・販・研が一体となって上記の諸施策に取り組むと共に本中計の実現を支えるエア・ウォーターグループとのシナジー効果をグループ各社との連携により徹底追求してまいります。