有価証券報告書-第95期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 14:37
【資料】
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【項目】
102項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の貸借対照表計上金額並びに当連結会計年度における収益・費用の損益計算書計上金額に影響する判断、見積りを実施する必要があります。経営者は上記の判断、見積りの実施において、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表において重要な影響を及ぼすと判断しております。
① 有価証券の減損会計
当社グループは、市場価格のある上場有価証券と市場価格のない有価証券を所有しております。市場価格のある上場有価証券については、当連結会計年度末日の終値が50%以上下落した場合と、30%以上50%未満下落した場合の各ケース毎に、一定期間の過去の平均株価の推移と、回復可能性に関する評価基準を指標とした減損処理基準を設けて評価減を実施しております。また、市場価格のない有価証券につきましては、実質価格が著しく低下し、回復可能性がないと判断した場合には評価減を実施しております。
② 退職給付関係
従業員の退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出しております。
なお、退職給付債務及び退職給付費用の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」中の「注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項 (4) 退職給付に係る会計処理の方法」及び「注記事項(退職給付関係)」に記載のとおりであります。
③ 税効果会計関係
当社グループは、繰延税金資産について、実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を検討するにあたっては、将来の課税所得及び慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しますが、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を取崩すと共に、法人税等調整額として税金費用の計上をいたします。逆に、将来の課税所得の獲得等の可能性が高いため繰延税金資産を今後回収できると判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産を計上すると共に、法人税等調整額として税金費用の減額をいたします。
なお、税効果会計関係の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」中の「注記事項(税効果会計関係)」に記載のとおりであります。
(2) 経営成績の分析
① 売上高及び営業損益
当連結会計年度における当社グループは新たな中期経営計画を昨年4月にスタートし、収益力の高い「機能化学品の川崎化成」の確立を目指し、生・販・研が一体となって汎用化学品事業の基盤強化と機能化学品事業の拡大に向けた事業活動に取り組むと共に、新中期経営計画の実現を支えるエア・ウォーターグループとのシナジー効果の発現についても、グループ各社との連携により着実に成果を積み重ねてまいりました。
しかしながら、当連結会計年度における売上高は13,884百万円(前年度比1,732百万円減収・11.1%減)となりました。
減収の主な要因は、売上高の大部分を占める化学品事業において、原油価格及び為替の影響による石油系製品の製品価格の下落並びに前年度に特需があった農薬原体アセキノシルの販売平準化及び可塑剤等の数量減によるものであります。
化学品事業のうち、有機酸製品につきましては、無水フタル酸は販売数量の減少及び原料価格の下落に応じた価格対応により減収となりました。また、その他の有機酸につきましても、コハク酸及びフマル酸は販売数量の減少及び原料価格の下落に応じた価格対応により減収となりました。
有機酸系誘導品につきましては、可塑剤は数量の減少及び原料価格の下落に応じた価格対応により減収となりましたが、マキシモール®は販売数量の増加により増収となりました。
キノン系製品につきましては、ナフトキノンは販売数量の増加により増収となりました。農薬原体アセキノシルは、販売数量の平準化により大幅な減収となりました。パルプ蒸解助剤SAQ®は海外向けの拡販により若干の増収となりました。アントラキノンは販売数量の減少に加え円高の影響もあり大幅な減収となりました。脱硫触媒NQS®は販売数量の増加により増収となりました。
以上の結果、化学品事業全体としての売上高は13,774百万円と前連結会計年度に比べ1,738百万円の減収となりました。
当連結会計年度における営業損益は、汎用化学品である無水フタル酸が市況悪化並びに設備トラブル等による減産とこれに伴う減販の影響により大きく減益となった一方、機能化学品については、農薬原体アセキノシルは減販となったものの、マキシモール®、ナフトキノン及びキノン誘導品が販売数量を伸ばし増益となり、加えて原油価格の下落及び円高に伴うエネルギーコスト等の低減並びに生産効率の向上等によるコストダウンに努めた結果、45百万円の営業利益(前年度比14百万円増益)となりました。
② 営業外損益及び経常損益
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ2百万円増加し、103百万円となりました。また、営業外費用は、前連結会計年度に比べ1百万円減少し、0百万円となりました。
この結果、当連結会計年度における営業外損益は、前連結会計年度に比べ4百万円増加し、102百万円の収益となり、経常損益は148百万円の経常利益(前連結会計年度比18百万円増益)となりました。
③ 特別利益、特別損失及び税金等調整前当期純損益
当連結会計年度における特別利益の計上はなく、投資有価証券売却益49百万円を計上した前連結会計年度に比べ同額減少しております。また、当連結会計年度の特別損失は、固定資産除却損の減少により、前連結会計年度に比べ30百万円減少し、19百万円となりました。
この結果、当連結会計年度における税金等調整前当期純損益は、前連結会計年度に比べ0百万円減少し、128百万円の税金等調整前当期純利益となりました。
④ 税金費用及び親会社株主に帰属する当期純損益
当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税は7百万円の計上であり、法人税等調整額を含めた税金費用の計上額としては30百万円(前連結会計年度は7百万円)となりました。
この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は97百万円(前連結会計年度比23百万円減益)となりました。
(3) 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は19,580百万円となり、前連結会計年度末に比べ516百万円減少いたしました。
流動資産は、主に受取手形及び売掛金は増加しましたが、有価証券、商品及び製品並びに短期貸付金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ882百万円減少し、8,758百万円となりました。
固定資産は、主に退職給付に係る資産及び保有株式の時価評価に伴う投資有価証券の増加により、前連結会計年度末に比べ366百万円増加し、10,822百万円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は5,731百万円となり、前連結会計年度末に比べ667百万円減少いたしました。
流動負債は、主に設備関係の未払金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ87百万円減少し、3,455百万円となりました。
固定負債は、主に退職給付に係る負債が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ579百万円減少し、2,275百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は13,849百万円となり、前連結会計年度末に比べ151百万円増加いたしました。
株主資本は、主に配当金の支払により、前連結会計年度末に比べ19百万円減少し、10,196百万円となりました。
その他の包括利益累計額は、主に保有株式の時価評価に伴うその他有価証券評価差額金の増加により、前連結会計年度末に比べ171百万円増加し、3,652百万円となりました。
(4) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1,235百万円減少し、2,082百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は189百万円(前連結会計年度は1,061百万円の収入)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益128百万円、減価償却費678百万円であり、支出の主な内訳は、退職給付に係る負債の減少648百万円、退職給付に係る資産の増加115百万円、売上債権の増加348百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は889百万円(前連結会計年度比25.7%増)となりました。
主な支出は有形固定資産の取得による支出853百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は156百万円(前連結会計年度比39.6%減)となりました。
主な支出は配当金の支払額115百万円であります。