有価証券報告書-第94期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 14:30
【資料】
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【項目】
105項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の貸借対照表計上金額並びに当連結会計年度における収益・費用の損益計算書計上金額に影響する判断、見積りを実施する必要があります。経営者は上記の判断、見積りの実施において、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表において重要な影響を及ぼすと判断しております。
① 有価証券の減損会計
当社グループは、市場価格のある上場有価証券と市場価格のない有価証券を所有しております。市場価格のある上場有価証券については、当連結会計年度末日の終値が50%以上下落した場合と、30%以上50%未満下落した場合の各ケース毎に、一定期間の過去の平均株価の推移と、回復可能性に関する評価基準を指標とした減損処理基準を設けて評価減を実施しております。また、市場価格のない有価証券につきましては、実質価格が著しく低下し、回復可能性がないと判断した場合には評価減を実施しております。
② 退職給付関係
従業員の退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出しております。
なお、退職給付債務及び退職給付費用の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」中の「注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項 (4) 退職給付に係る会計処理の方法」及び「注記事項(退職給付関係)」に記載のとおりであります。
③ 税効果会計関係
当社グループは、繰延税金資産について、実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を検討するにあたっては、将来の課税所得及び慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しますが、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を取崩すと共に、法人税等調整額として税金費用の計上をいたします。逆に、将来の課税所得の獲得等の可能性が高いため繰延税金資産を今後回収できると判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産を計上すると共に、法人税等調整額として税金費用の減額をいたします。
なお、税効果会計関係の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」中の「注記事項(税効果会計関係)」に記載のとおりであります。
(2) 経営成績の分析
① 売上高及び営業損益
当連結会計年度における当社グループは既存製品の拡販と安全・安定操業に注力することで設備稼働率の維持・向上に努めると共に自らの努力で実現できるロス・ムダの削減、業務改善、固定費削減等の積み重ねによる体質強化に注力してまいりました。加えて、中期経営計画のコンセプトである「機能化学品の川崎化成への進化」に向け、既存の機能化学品の拡販や新規用途分野への展開、新規機能化学品の本格展開等に取り組んでまいりました。
また、エア・ウォーター株式会社による当社普通株式に対する公開買付けの成立により、昨年6月24日をもちまして当社は同社の連結子会社となりましたが、今後の更なる成長と発展をめざし、エア・ウォーターグループ各社との連携により、コア技術、事業ノウハウ、経営資源等を相互に提供・活用するシナジー効果の発現に向けた具体的な検討を重ねてまいりました。
しかしながら、当連結会計年度における売上高は15,617百万円と、前連結会計年度に比べ3,012百万円の減収となりました。
減収の主な要因は、売上高の大部分を占める化学品事業において、主に可塑剤及びナフトキノンの減販並びに原油価格急落による石油系の原料価格の下落に応じた価格対応によるものであります。
化学品事業のうち、有機酸製品につきましては、無水フタル酸は、主に原料価格の下落に応じた価格対応により減収となりました。また、その他の有機酸につきましては、コハク酸は、原料価格の下落に応じた価格対応を行いましたが、販売数量の増加により若干の減収に止まったものの、フマル酸は販売数量の減少及び原料価格の下落に応じた価格対応により大幅な減収となりました。
有機酸系誘導品につきましては、可塑剤は原料価格の下落に応じた価格対応及び数量の減少により大幅な減収となりました。マキシモール®は、原料価格の下落に応じた価格対応を行いましたが、販売数量の増加により若干の減収に止まりました。
キノン系製品につきましては、ナフトキノンは、主に中国の環境規制の影響で取引先の操業が一時停止したこと等により大幅な減収となりましたが、農薬原体アセキノシルは需要が伸長し大幅な増収となりました。パルプ蒸解助剤SAQ®及び脱硫触媒NQS®は共に増収となり、アントラキノンは前年度並の売上となりました。
以上の結果、化学品事業全体としての売上高は15,513百万円と前連結会計年度に比べ3,031百万円の減収となりました。
当連結会計年度における営業損益は、機能化学品事業は新規を含むキノン系誘導品の拡販等により増益となりましたものの、石油化学品の市況の下落による汎用化学品事業の損益悪化並びに大規模定期修繕に伴う修繕費の増加等により、全体としては前連結会計年度に比べ損益は悪化し、30百万円の営業利益(前連結会計年度比105百万円減益)となりました。
② 営業外損益及び経常損益
当連結会計年度における営業外収益は、主に助成金収入の減少により前連結会計年度に比べ15百万円減少し、101百万円となりました。また、営業外費用は、主にたな卸資産処分損の減少により前連結会計年度に比べ3百万円減少し、2百万円となりました。
この結果、当連結会計年度における営業外損益は、前連結会計年度に比べ11百万円減少し、98百万円の収益となり、経常損益は129百万円の経常利益(前連結会計年度比116百万円減益)となりました。
③ 特別利益、特別損失及び税金等調整前当期純損益
当連結会計年度における特別利益は、投資有価証券売却益49百万円の計上により前連結会計年度に比べ同額増加しております。また、当連結会計年度より、従来、営業外費用として計上していた「固定資産処分損」及び「固定資産除却損」を、特別損失の「固定資産除却損」として計上したことに伴い、前連結会計年度の連結損益計算書の組み替えを行った結果、当連結会計年度の特別損失は前連結会計年度に比べ4百万円増加し、50百万円となりました。
この結果、当連結会計年度における税金等調整前当期純損益は、前連結会計年度に比べ71百万円減少し、128百万円の税金等調整前当期純利益となりました。
④ 税金費用及び親会社株主に帰属する当期純損益
当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税は11百万円の計上であり、法人税等調整額を含めた税金費用の計上額としては7百万円(前連結会計年度は4百万円)となりました。
この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損益は121百万円(前連結会計年度比74百万円減益)となりました。
(3) 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は20,096百万円となり、前連結会計年度末に比べ496百万円減少いたしました。
流動資産は、主に有価証券は増加しましたが、受取手形及び売掛金、並びに短期貸付金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ509百万円減少し、9,641百万円となりました。
固定資産は、主に保有株式の時価評価に伴い投資有価証券は減少しましたが、設備投資に伴う有形固定資産の増加により、前連結会計年度末に比べ12百万円増加し、10,455百万円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は6,398百万円となり、前連結会計年度末に比べ265百万円減少いたしました。
流動負債は、主に支払手形及び買掛金、並びに短期借入金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ258百万円減少し、3,543百万円となりました。
固定負債は、主に退職給付に係る負債は増加しましたが、税制改正による法定実効税率の変更に伴う繰延税金負債等の減少により、前連結会計年度末に比べ7百万円減少し、2,855百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産は13,697百万円となり、前連結会計年度末に比べ231百万円減少いたしました。
株主資本は、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、前連結会計年度末に比べ3百万円増加し、10,216百万円となりました。
その他の包括利益累計額は、主に退職給付に係る調整累計額及び保有株式の時価評価に伴うその他有価証券評価差額金の減少により、前連結会計年度末に比べ234百万円減少し、3,481百万円となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ94百万円増加し、3,317百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,061百万円(前連結会計年度比13.2%増)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益128百万円、減価償却費645百万円、売上債権の減少512百万円であり、支出の主な内訳は、仕入債務の減少123百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は707百万円(前連結会計年度比20.2%増)となりました。
主な支出は有形固定資産の取得による支出712百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は259百万円(前連結会計年度比120.2%増)となりました。
支出の主な内訳は、配当金の支払額115百万円、短期借入金の返済による支出100百万円であります。