有価証券報告書-第126期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 15:47
【資料】
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【項目】
116項目

業績等の概要

(1) 業績
単位:億円
前 期当 期増 減
金 額
連結売上高2,0701,982△88△4.2%
連結営業利益1021696664.8%
連結経常利益1061736763.5%
親会社株主に帰属する当期純利益3810668177.4%

退職給付会計の数理計算差異影響額(前期20億円の損失、当期13億円の利益)を除いたベースの実質の利益は以下のとおりです。
単位:億円
前 期当 期増 減
金 額
連結営業利益1221553427.5%
連結経常利益1251603427.4%
親会社株主に帰属する当期純利益52974587.1%

当期の世界経済は、米国は着実に景気回復が続きましたが、欧州では英国のEU離脱問題等政治的な不透明感が漂う中、緩やかな回復にとどまりました。また中国では道路、鉄道をはじめとするインフラ投資などにより景気の持ち直しが見られました。日本経済においても企業収益や雇用情勢が改善し、個人消費も上向いてきました。
当社グループを取り巻く経営環境は、半導体においては、パソコン向けで力強さに欠けたものの、中国をはじめ新興国を中心に多機能携帯端末や車載向けの需要に支えられ市場は堅調でした。自動車においては米国・欧州では新車販売が好調に推移し、中国でも小型車減税による需要増がありました。また国内でも普通車の新車投入効果などで出荷台数が増加しました。国内の住宅着工件数も増加傾向を維持しました。
当社グループはこのような経営環境の中、「CS(顧客満足)最優先」を事業活動の基本方針とし、社内外の連携・協業を積極的に行うことにより市場の真のニーズを掘り起こし、個人・組織・会社全体の力を結集して持続的成長を図ることを経営の方針としています。さらには次の基本戦略を掲げ、事業構造改革の実施による経営基盤の強化、中長期的な企業価値の向上に向けて取り組んでまいりました。
①新製品の早期立ち上げ、創生
②成長分野の収益力強化、規模拡大
③既存事業の再生、事業転換
この結果、当期の連結売上高は、販売数量は増加しましたが、円高による海外の売上高の減少や原料安に伴う売価値下げなどの影響により、1,981億99百万円と、前期比で4.2%、87億57百万円の減収となりました。損益につきましては、連結営業利益は、半導体関連材料や高機能プラスチック製品の販売数量増加、事業構造改革による不採算品の縮小や固定費削減効果の寄与、さらに退職給付会計の数理計算差異好転などにより、前期比で64.8%増の168億79百万円となり、連結経常利益も、前期比で63.5%増の173億24百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、希望退職者への特別退職金や生産拠点集約に伴う遊休土地建物の減損損失などの特別損失を計上したものの、前期比で177.4%増の106億22百万円となりました。
なお前述しました退職給付会計の数理計算差異影響額を除いた実質ベースの利益で比較しますと、連結営業利益は27.5%増、連結経常利益は27.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益は87.1%増のそれぞれ前期比増益となりました。
(セグメント別販売状況)
① 半導体関連材料
単位:億円
前 期当 期増 減
金 額
連結売上高459472132.8%
実質連結営業利益62751320.9%
数理計算差異△437
連結営業利益58782033.8%

半導体封止用エポキシ樹脂成形材料は円高による悪化影響はありましたが、スマートフォンなど多機能携帯端末向けにモールドアンダーフィル材が伸長し、また車載用途でも拡販が実り、売上高は増加しました。
半導体パッケージ基板材料の「LαZ®」は売上高は横ばいでしたが、アプリケーションプロセッサーやメモリー向けに新たな採用が決まり今後増加する見込みです。
② 高機能プラスチック
単位:億円
前 期当 期増 減
金 額
連結売上高915853△61△6.7%
実質連結営業利益52681631.7%
数理計算差異△538
連結営業利益47722552.4%

フェノール樹脂成形材料、工業用フェノール樹脂は、アジア地区での需要回復や欧州の自動車向けを中心に数量は伸びましたが、円高や原料安に伴う売価是正の影響により、売上高は減少しました。
航空機・自動車等成形品は、顧客の需要が伸びず、円高の影響も受けるなどで、売上高は減少しました。
銅張積層板は、フェノール樹脂銅張積層板の片面板事業縮小により売上高は減少しましたが、損益は改善しました。
③ クオリティオブライフ関連製品
単位:億円
前 期当 期増 減
金 額
連結売上高688649△39△5.7%
実質連結営業利益383913.3%
数理計算差異△9614
連結営業利益29451553.1%

医療機器製品は、既存製品の顧客での在庫調整があり売上高は減少しました。低侵襲治療分野向けを強化しており、戦略製品の血管内治療用デバイス「ステアリングマイクロカテーテル」は国内外ともに販売を伸ばしております。
ビニル樹脂シートおよび複合シートでは、医薬品包装用途がジェネリック薬向けを中心に好調に推移しましたが、リリースフィルムなどの産業用途が低調で売上高は減少しました。一方鮮度保持フィルム「P-プラス®」はカット野菜用途や産地野菜用途が増加しました。
ポリカーボネート樹脂板、塩化ビニル樹脂板のプレート製品は、建装材用途は堅調でしたが、サンレンズ用偏光板や電子機器用絶縁材が低調で、売上高は減少しました。またデコラ製品は、昨年3月末に不採算品目からの撤退で売上高は減少しましたが、事業構造改革の効果により損益は大幅に改善しました。引き続き鉄道車両用内装材や業界最薄の不燃メラミン化粧シート「デコライノベア®」などの高機能・高付加価値分野に特化した新たな事業展開に邁進してまいります。
防水関連製品は、新築住宅向けの好調により売上高は増加しました。
④ その他
連結売上高は7億円(前連結会計年度比1.5%減)となり、連結営業利益は2億円(同0.6%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金および現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ46億28百万円増加し、494億97百万円となりました。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は234億27百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益および減価償却費の計上による収入と、法人税等の支払による支出の結果であります。前連結会計年度と比べると41億94百万円の収入の増加となりました。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動に用いた資金は79億87百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出と、長期貸付金の回収による収入の結果であります。前連結会計年度と比べると10億25百万円の支出の増加となりました。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動に用いた資金は102億45百万円となりました。
これは主に、コマーシャル・ペーパーの減少、配当金の支払による支出の結果であります。前連結会計年度と比べると52億85百万円の支出の減少となりました。