有価証券報告書-第59期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/27 14:37
【資料】
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【項目】
108項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、世界的な景気回復が続く中で、設備投資が堅調に推移して内需の伸びを牽引しております。世界経済を見ましても、米国経済は個人消費を中心に力強く拡大を続けており、中国・インド・アセアン諸国も高いGDPを示しております。一方で、米国トランプ政権の政策動向、安定基盤を確立しつつある中国習政権による改革の進展状況、北朝鮮問題に端を発する世界情勢の混乱、米連銀・欧州連銀の政策動向等による不確実性は高まっており、不安が多い状況となっております。
国内農薬業界におきましては、当期農薬年度出荷金額は前年度比1.8%増と前年をやや上回りました。また、グローバル企業の大型合併が進展していることから、今後国内外での農薬販売の構図も変わりつつあります。
研究開発については、欧米各社のトレンドが特定の除草剤抵抗性や病害虫防御機能ならびに環境耐性を有する遺伝子組み換え作物の創出や生物農薬の開発に移ってきており、新規合成化学農薬の研究開発は日系メーカーが主流になってきています。
このような情勢の中で当社グループは、経営理念である「我が信条」(お客様のため、社員のため、社会のため、株主のためという4か条)ならびに「どこまでも農家とともに」をモットーとして技術普及・販売を展開しております。
そして100年企業を目指すために、「Lead The Way 2025」をスローガンとした「長期事業計画」ならびに「中期事業計画」の2年目として「強固な経営基盤づくり」のため社内外で活動してまいりました。
研究開発部門では、創薬のための研究開発を鋭意継続しつつ、大型合併や再評価制度により生まれる製品・事業導入の機会を積極的に利用し、世界市場を意識したポートフォリオの充実を図っております。
営業技術普及部門では、農家への適切な技術情報の提供と密接な関係構築、開設4年目の土壌分析室を活用し農業の根幹となる土づくりのお手伝いを実施してまいりました。さらに、グローバルGAP認定取得支援ならびに地域の農業・栽培問題解決のための研究実践農場の運営などの実施に向けた準備に取組んでおります。
また生産部門では、新たな生産及び物流拠点の構築に取り組んでおります。
当連結会計年度においては、国内の販売は順調に推移しましたが、海外の販売状況は、世界的な線虫剤の需要増に支えられてD-Dが好調に推移した半面、過剰在庫を抱える米国向けカネマイトや欧州向けバスアミドの不振により伸び悩みました。
この結果、当連結会計年度の売上高は145億8千7百万円(前連結会計年度比2億7千2百万円の増加、前連結会計年度比1.9%増)、営業利益は20億9千6百万円(前連結会計年度比3千3百万円の増加、前連結会計年度比1.6%増)、経常利益は20億9千4百万円(前連結会計年度比7百万円の減少、前連結会計年度比0.4%減)、更に特別利益として受取補償金の計上、特別損失として研究開発中止に伴う損失を計上いたしました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は19億2千2百万円(前連結会計年度比6億3千6百万円の増加、前連結会計年度比49.5%増 )となりました。
当社グループは農薬の製造、販売事業の単一セグメントでありますが、製品の種類別の営業概況は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、製品の種類別の区分を変更しており、以下の前連結会計年度年比については、前連結会計年度の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。
(イ)害虫防除剤
国内では「チューンアップ水和剤」、「ペンタック水和剤」、「ベネビアOD」等が前連結会計年度を大きく上回りましたが、一方、海外向けダニ剤の「カネマイトフロアブル」が前連結会計年度末からの北米現地での流通在庫調整のため前連結会計年度を大きく下回りました。この結果、売上高は27億2千4百万円(前連結会計年度比1億1千7百万円の減少、前連結会計年度比4.1%減)となりました。
(ロ)病害防除剤
りんごの黒星病対策として緊急使用された「兼商フルーツセイバー」と取扱いが簡便になった新製剤「キノンドー顆粒水和剤」が前連結会計年度を上回りましたが、他のキノンドー剤等が大きく前連結会計年度を下回り、病害防除剤全体では前連結会計年度を下回る実績となりました。この結果、売上高は8億4千6百万円(前連結会計年度比5千万円の減少、前連結会計年度比5.7%減)となりました。
(ハ)土壌消毒剤
国内向け土壌消毒剤は「ネマキック粒剤」ならびに「D-D」が前連結会計年度を大きく上回りました。海外向け土壌消毒剤は「バスアミド微粒剤」が9月以降に供給元のトラブルにより出荷困難となり前連結会計年度を下回りましたが、「D-D」がモロッコ、ラテンアメリカ等での出荷が好調で、土壌消毒剤全体で前連結会計年度を大きく上回りました。この結果、売上高は84億6千5百万円(前連結会計年度比5億2千2百万円の増加、前連結会計年度比6.6%増)となりました。
(ニ)除草剤
「モゲトン粒剤」、「アークエース1kg粒剤」ならびに「カソロン粒剤4.5」が前連結会計年度を上回りましたが、ホームセンター・農業資材店での流通変化に伴い他のカソロン剤が前連結会計年度を下回り、除草剤全体としては前連結会計年度を下回りました。この結果、売上高は15億2千7百万円(前連結会計年度比5千8百万円の減少、前連結会計年度比3.7%減)となりました。
(ホ)その他
展着剤ならびに家庭園芸剤関係は、ほぼ前連結会計年度並みの実績となりましたが、植調剤については、当連結会計年度がかんきつ類の裏年にあたり「ターム水溶剤」の需要が少なく、植調剤全体でも前連結会計年度を下回りました。この結果、売上高は10億2千3百万円(前連結会計年度比2千2百万円の減少、前連結会計年度比2.1%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、155億5千2百万円(前連結会計年度比23億4千6百万円の増加)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は 24億2千7百万円(前連結会計年度は18億9千4百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は 3億1千3百万円(前連結会計年度は3億1千2百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は 6億5百万円(前連結会計年度は12億6千4百万円の支出)となりました。
なお、キャッシュ・フローの詳細は「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析」に記載のとおりであります。