有価証券報告書-第154期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/19 16:14
【資料】
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【項目】
179項目

対処すべき課題

帝人グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において帝人グループが判断したものです。
(1) 帝人グループが目指す姿
帝人グループは、企業理念に基づき、持続可能な社会の実現に向けて、「環境価値」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」の3つのソリューションを中心とした価値を社会に提供し、「未来の社会を支える会社」になることを目指しています。
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環境価値ソリューション気候変動に対する緩和や適応、サーキュラーエコノミーの実現など、世界的な地球環境目標の達成に貢献する製品・サービスを提供
安心・安全・防災ソリューション災害、事故などの様々なリスクから生命と暮らしを守る製品・サービスを提供
少子高齢化・健康志向ソリューションあらゆる年齢の人々の健康的で快適な生活を支える製品・サービスを提供

(2) 中期経営計画における重点施策
2020年2月に、2020年度からの3年間における実行計画として、中期経営計画2020-2022『ALWAYS EVOLVING』を策定、公表しました。帝人グループは、当中期経営計画の期間を長期ビジョン実現に向けた「成長基盤確立期」と位置付け、以下を重点施策として取り組みを強化していきます。
a)機会創出
■資源投入規模
成長基盤確立に向け、3,500億円(3年累計)の「設備投資+M&A枠」を設定します。
■ソリューション領域への重点投入
「3つのソリューション」領域に全体の85%を投入し、社会課題への取り組みを加速し、2030年度までに当該領域の売上高比率を全体の75%まで拡大することを目指します。
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■各事業のステージ(Strategic Focus, Profitable Growth)別
各事業のステージに応じ、事業分野を「将来の収益源育成:Strategic Focus」と「利益ある成長:Profitable Growth」に大別し、中・長期的視点でポートフォリオ変革、キャッシュ創出力の拡大に向けて投入資源を配分します。分野別には、「将来の収益源育成:Strategic Focus」分野に60%(循環投資は除く)を投入し、2030年度までに当該分野のEBITDAをグループ全体の1/3以上とすることを目指します。
将来の収益源育成
(Strategic Focus)
利益ある成長
(Profitable Growth)
マテリアル事業・自動車向け複合成形材料
・航空機向け炭素繊維中間材料
・アラミド繊維
・樹脂
・炭素繊維
・セパレータ、メンブレン
ヘルスケア事業・地域包括ケア関連新事業
・機能性食品
・新規ヘルスケア
(整形・新規医療機器など)
・医薬品
・在宅医療
その他-・繊維・製品
・IT

b)リスク低減(環境負荷低減)
帝人グループは、持続可能な社会の実現に向けて、人を中心に考え、「Quality of Life」の向上に資する革新的なソリューションを提供するとともに、事業活動に伴う環境、社会への負の影響を最小限とすることを目指しています。当中期経営計画の策定に合わせ、環境負荷低減に関する長期目標を定め、その達成に向けた事業展開や削減活動を進めていきます。
項 目目標年度目 標
CO2削減貢献量(※)2030「削減貢献>総排出」達成
気候変動
(CO2排出量)
20302018年度比 20%削減(総量目標)
2050実質ゼロ実現
20302018年度比 30%改善(淡水取水量売上高原単位)
有害物質20302018年度比 20%改善
(有害化学物質排出量売上高原単位)

※ 当社製品使用による、サプライチェーン川下でのCO2削減効果を貢献量として算出。CO2削減貢献量を、グループ全体及びサプライチェーン川上におけるCO2総排出量以上にすることを目指す。
c)経営基盤強化
継続的かつ的確なソリューション提供、市場開拓を加速する仕組みとして、以下のイノベーションの創出基盤を強化し、事業機会の創出を加速していきます。
0102010_003.png「人財」については、柔軟な働き方を提供し、女性のみならず、多様化する人財が能力を発揮し、活躍できる仕組みを整えることが、イノベーションを創出する企業文化の醸成につながると考えており、国内のみならず、海外においても地域特性に応じた目標を設定し、グループ全体でダイバーシティ&インクルージョンを推進していきます。
d)中期経営計画における主要事業戦略
■マテリアル事業
高機能素材とマルチマテリアル化により、高付加価値用途への展開を加速します。
「Strategic Focus」分野(将来の収益源育成)
自動車向け複合成形材料米国でのトップシェア拡大と、欧州・中国市場への浸透を推進
航空機向け炭素繊維中間材料複数の新規大型プログラムの採用に目途をつけ、2023年度以降、量産開始・収益貢献へ

「Profitable Growth」分野(利益ある成長)
アラミド生産能力増強と用途開拓により高成長を継続
樹 脂高付加価値品の拡大により安定収益を確立

■ヘルスケア事業
既存事業で培った強みを活かし、リハビリ/介護や予防/健康増進領域を含む地域密着型総合ヘルスケアサービス事業を展開します。
「Strategic Focus」分野(将来の収益源育成)
機能性食品、地域包括ケアシステム関連新事業、新規医療機器 など保険内外領域で画期的なヘルスケアサービス・製品を創出(機能性食品・ニュートラシューティカル、健康管理支援サービス・重症化予防サービス、人工関節・吸収性骨接合材、うつ病治療器、リハビリ機器 など)

「Profitable Growth」分野(利益ある成長)
医薬品、在宅医療医薬品・在宅医療事業の組織変革による基盤強化や新薬上市により、主力薬の後発品参入影響(「フェブリク」クリフ)を最小化

■繊維・製品/IT
「Profitable Growth」分野(利益ある成長)
繊維・製品成長領域の拡大と基礎収益力の底上げ
IT電子コミックの持続的成長とヘルスケア事業拡大

e)中期経営計画の計数目標
「投資効率」「稼ぐ力」の両面に力点を置き、収益性指標として「ROE」(全社)と「営業利益ROIC」(全社・事業別)、成長性指標として「EBITDA」(全社・事業別)を最重要指標として設定します。それぞれの最終年度(2022年度)における目標は次のとおりです。
ROE10%以上
営業利益ROIC8%以上
EBITDA1,500億円 (マテリアル:800億円、ヘルスケア:450億円、その他:250億円)

(注)ROE:親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本
営業利益ROIC:営業利益/期首・期末平均投下資本
※投下資本・・・純資産+有利子負債-現金及び預金
EBITDA:営業利益+減価償却費(のれんを含む)
足元の経営環境については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。